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2008年5月15日 (木)

スキー靴のシェル出し(補足情報)

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★★☆☆☆


以前の記事でスキーブーツのシェル出しを自分で行う方法を①~③回に分けて紹介しました。
これは、自作のピンチクリアー(市販の深型Cクランプと削り出しパーツを組み合わせたもの)とヒートガン(ヒーティングガン)を使ってスキーブーツのシェルを変形させ、自分の足にフィットさせるという単純な作業なのですが、シェルを加熱する温度をいかに管理するかが最大の課題となります。
温度が低すぎると塑性変形域に達さず、またシェルを加熱しすぎると数万円のブーツが数分で粗大ゴミとなってしまう危険性もあるからです。

Alltool_1  Sd3
(シェル出しに使用する道具一式㊧と、自作のピンチクリアー㊨)

そこで、前回私は温度管理を正確に行い失敗の無いように、放射温度計を使ってブーツの表面温度を確認しながら作業をする方法を紹介したのですが、実は私はその時点で温度調節可能なヒートガンを所持していませんでした。

その後、工具の激安?通販店でかなりお買い得な温度調節式のヒートガンを見つけ、さらに期間限定大特価(5,000円弱!)で購入しましたので、これでシェル出しを行ってみたところ、さらに安全に作業ができましたので改めて紹介することにしました。

なお、以前の記事でヒートガンの代わりに「大型のヘアドライヤーでも可能かもしれない・・・」と書きましたが、その後1000Wのヘアドライヤーでテストしてみましたら、対象を80℃位までしか加熱できませんでした。
この温度では、シェル出しにはやや力不足です。

Sd1
(これまで使っていたヒートガン㊧、と値段相応の造りだが温度調節可能なヒートガン㊨)

まず、手近なダンボール板などにヒートガンの熱風を当て、放射温度計で表面温度を確認しながら温度調節のダイアルを調節し、約100℃で安定した状態になったらダイアルに油性ペンでマーク(画像↓)をつけます。
外気温により噴出する熱風の温度は変化しますから、だいたいの目安で良いと思います。
実際の作業に当たっては、このマークを中心に温度を90℃~110℃位の間で微調整してください。(実際のブーツ表面温度は、放射温度計で90~100℃の範囲で作業することをお勧めします)

Sd2

あとは、以前に紹介した方法で、強力マグネットを使い足がシェルに当たる箇所を正確にマーキングして、ピンポイントで最小限にシェルを塑性変形させれば良いのです。

Bootspress
(↑これは舟状骨部分を加工しているところ)

【今だから話しますが・・・私は、かつて某プロショップで、「足の骨格運動が云々・・・」などと、足の骨格模型を振りかざして整骨師のような小難しい薀蓄を語って客を煙に巻いて結構な金額を請求したあげく、見当違いのところを加工してしまい、再加工を要求するとあからさまに不機嫌な顔をして「アンタみたいなブス足には苦労するよ!」と宣わった、自称スペシャリストと関わって、嫌な思いをしたことがあります。
実は、これが自分でシェル出しをしようと決断したきっかけでもあったわけですが・・・。

特に舟状骨の突起などはピンポイントでシェル出しできれば、骨格の動きなど無視しても特に問題は生じませんし、小指の関節の突起にしたって足幅全体でなく小さなRで最小限の変形にとどめればブーツのセンターラインが大きく変わることも無いはずです。
ブーツの中で足が内転したとき舟状骨は下に、内踝は膝を前に出した時に斜め前に移動する、あるいは自分の足は膝を入れたときにどのように回転しようとするかなど、基本的な知識さえあれば、“当たり出し”程度のシェル加工は「素人には困難」と言うほどの特殊技術ではありません。
私は競技スキーヤーではなく、単なる中高年山スキーヤーですから、とりあえず足に当たって痛い所を無くすことを最優先すればそれでいいのです】


当然、放射温度計で加熱状態を確認しながらの作業となりますが、以前の400℃以上の熱風が吹き出されるヒートガンと違い、温度調節式のヒートガンで110℃位までしか表面温度の上がらない状態で作業すれば、“ネストール(専用の遠赤外線ヒーター)”を使わなくても、アマチュアでも、加熱し過ぎる心配も無く安心して作業することができます。(以前の記事では書き忘れましたが、ピンチクリアーのボールの部分は作業の前に十分暖めておく必要があります)

今回は第5中足骨の前端骨頭(簡単に言えば小指の付け根!)の当たる部分のシェルを少々出してみましたが、以前のように過熱に気を使うことも無く、スムーズに作業ができました。

Sd4
(シェル出しを行ったブーツ㊨、と未加工の同じ型のブーツ㊧、輪郭の違いに注目)

また、この温度調節式のヒートガンは、アダプターを自作すればインナー成型専用のヒートライザーと同じ機能を持ちますから、サーモインナーを自宅で簡単に焼くこともできそうです。試してみたらまたご報告したいと思います。

〈追記〉
高価な新品のブーツを自分でシェル出し加工するのは勇気が要るかもしれません。
もちろん、足の骨格に合わせシェル全体を再成型するような高度なブーツチューンは、素人の手に負えるような作業ではありません。

しかし、部分的な当たりを解消する程度のシェル出しは決して難しくはないですし、経験上ほとんどの場合これで問題は解決してしまいまうのです。
私は家族・知人の分を含めると、ここ数年でも10足以上(たぶん、数十箇所?)ブーツのシェル出しを行いましたが、1回もブーツをダメにしたことはありませんし、現在まで耐久性に問題が出たこともありません。
もし挑戦しようという方がいらっしゃいましたら助言は惜しみませんので、遠慮なくご質問ください。

なお、強力なネオジウムマグネットを使うシェルのマーキングについては、5年ほど前から実行している私のオリジナルアイデアだと自負しているのですが、以前にどちらかで紹介されていたのをご存知の方、あるいは「俺が元祖だ!」という方はご一報ください。謹んで訂正いたします。

また、ブーツを購入する時は、ショップに「必要なら後日でも無料でシェル出しをしてもらうのを条件としての購入である」とのを確約をとっておきましょう。
そして、、実際に使用してみて当たる所があるようなら、自分でマグネット法を使い、ブーツの当たる正確な位置をマーキングしてから、ブーツを購入したショップにシェル出しを頼めば、自分でシェル出しをしなくても、金も掛からずより正確な加工ができると思いますよ。


【追記】
その後、2011年に 『初心者でも失敗しないシェル出しシステム①』  『同 ②』の記事を追加しましたのでご参考に!

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山スキー・バックカントリー」カテゴリの記事

コメント

初めまして。このブログを参考にしてシェル出しにチャレンジしました。結果・・・大成功です。
大変、感謝しております。

有難うございました。

投稿: タッキー | 2008年11月 6日 (木) 15時09分

タッキーさんはじめまして!
シェル出し成功おめでとうございます。
私の記事が参考になって何よりです。

私も初めての時は決心するまでずいぶんと悩みましたが、少しのコツさえつかめれば何とかなるものですよね。
また、他の方からも非公開コメントで自作ピンチクリアー等の問い合わせをいただいておりますので、近日中に補足情報を公開しようと思っています。
では!

投稿: 理事長 | 2008年11月 6日 (木) 16時54分

自分でのシェルだしを考えています。
くるぶしの内側が痛く少し出したいと考えています。
道具はヒートガンと10cmほどの太めのボルト+ナット+鉄パイプを使って内側から突っ張って押し出そうと考えています。
暖めと押し出すイメージが今ひとつわかないのですが、アドバイス頂けないでしょうか?
私のイメージでは・・・。
・5分ほど暖める。(温度計ありません。。。)
・内側から押し広げる。
・そのまま放置し冷えてからボルトを外す。
そんな感じでいいでしょうか?

①それともある程度内側から力をかけておいて、暖めたほうが良いのでしょうか?
②1回で仕上げた方がいいと思うのですが、押し出す度合いは目で見て仕上げたいイメージの2-3mm大目に出しておいて外すとちょうど収まるような感じでしょうか?

アドバイスお願いします。

投稿: ふくだ | 2011年1月 8日 (土) 12時47分

“ふくだ”さん、ようこそ!
山で酷い目に遭ってた(笑)ので返事が遅れました。

早速ですが、踝の位置はアッパーとロアーシェルが二重になっていて両面加熱の必要があり、しかもヒンジに近い位置なので難度は高いと思ってください。
また加熱時間は、ヒートガンのノズルに近いと10秒でも表面が溶けてしまいますので一概には何とも言えません。
それからシェルが塑性変形したとしても除冷直後の状態から時間を掛けて少々元に戻っていきますので、やや多めに出しておいたほうが良いでしょう。

結局のところ私の一番のアドバイスは、まずは不要なブーツで一度予備実験をしてからのほうが良い、と言うことに尽きます。

参考にならなかったかも知れませんが、失敗の可能性のある一発勝負は控えたほうが無難だと思いますよ。

また、何か御質問があれば遠慮なくどうぞ!

投稿: 理事長 | 2011年1月11日 (火) 08時39分

はじめまして!
ブーツがどうもイマイチなので、来シーズンのブーツは近くのプロショップみたいなところにお願いしようか検討していて、このサイトに流れて来ましたが、前に一度相談したところ、上で書いてある”足の骨格模型”で説明をされたので、ちょっと不安になってしまいました^^;
ここで書かれているプロショップって静岡の店じゃないですよね?

投稿: peachchi | 2012年5月 4日 (金) 12時08分

“Peachchi”さんようこそ!
山に行っていて返事が遅くなりなりました。

早速ですが・・・、ブログの記事にあるブーツチューン屋は、幸いなことに静岡ではありません。
ご安心ください。(笑)

某シェル加工屋の悪口ばかりを書きましたが、高価な道具を備えた本当に上手なプロショップも少なくないですから、評判を聞いて信頼のできるショップか判断すると良いでしょうね。

では!

投稿: 理事長 | 2012年5月 6日 (日) 21時33分

はじめまして。スキーブーツのシェル出しで記事を拝見しました。私も小指付け根がピンポイントで痛く、自分でシェル出しをしたいと考えています。ピンチクリア?等をセット販売して頂く事は可能でしょうか?(ヒートガンは当方でも購入出来そうです。) 宜しくお願い致します。

投稿: かず | 2013年2月 2日 (土) 19時40分

“かず”さんようこそ!

早速で申し訳ありませんが、私は完全にアマチュアですのでご希望には添いかねます。

なお、近々市販の部品を使った新しいピンチクリアーの製作記事を掲載予定ですので、それらを参考に自作を考えてはいかがでしょうか?

投稿: 理事長 | 2013年2月 4日 (月) 11時19分

はじめまして。
一連の記事を見て、ホットエアーガン(5000円弱)を購入し、インラインスケートのシェル出しをしてみました。シェルが薄いせいか、乱暴な加工でも舟状骨が入るだけのスペースが出来て、すっかり足入れが改善し満足しています。

情報ありがとうございます。

投稿: かいぞー | 2013年3月27日 (水) 15時28分

“かいぞー”さんようこそ!

私の記事が役に立ったなら幸いです。

今後とも『山道具道楽』をよろしく!

投稿: 理事長 | 2013年3月28日 (木) 08時56分

はじめまして。
スキー暦は長いのですが、くるぶしがかなり出ており、長年泣かされています。店でシェル出ししてもらっても自分がしてほしい部分と微妙に外れたりしています。そこでここのHPを拝見させていただき、勇気がわいてきました。ピンチクリアーの販売はしていないとのことで(できたらお願いしたいのですが)、その作り方を伝授していただけないでしょうか?ちなみに溶接技術はありません。よろしくお願いいたします。

投稿: ニッシー | 2014年6月 8日 (日) 20時25分

”ニッシー”さんはじめまして!

早速ですが、ピンチクリアーの製作や、素人でもできるシェル出し加工については、当ブログのバックナンバーに幾つもの記事がありますので、まずはそれらをご覧ください。(全部「山スキー・・・」のカテゴリーの中にあるはずです)
その上で不明な点があれば、何なりとご質問ください。

ではご健闘を祈ります!

投稿: 理事長 | 2014年6月 9日 (月) 08時28分

今年の初めに購入したスキーブーツですが、
1.小指の付け根
2.くるぶし内側の下
が当たりますので、シーズン前に何とかがんばろうと思います。

投稿: | 2015年11月 9日 (月) 21時25分

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