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2008年9月

2008年9月25日 (木)

“山屋”なら“ツェルト”でいきましょう!①

便利度 :★★★★☆
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(自立式のテントのほうが快適で設営も簡単ですが・・・)


最近はわが国でも米国のウルトラライトブームの影響か、“シェルター”などとカテゴライズされるフロアレス・テントやタープ類、あるいは“ビビーサック”を使用し荷物を軽量化することが一部の先鋭的なバックパッカーの間にに流行しています。
ただしこのスタイルは、雨が多く、アブや蚊・ブヨ・ヌカ蚊なども多い我が国の風土やフィールドには、必ずしもマッチしていないなと感じるシチュェーションも多いのです。

私も開放感のあるこの種の野営は大好きなのですが・・・、以前は『沢なら絶対タープでしょう!』などと豪語していた私も、最近は沢に行く時でも普通の軽量テントを選んでしまうことが多くなりました。
これも、やはり上記のような理由と年齢が原因なのかもしれません。

とはいえ、テントでは嵩張るし重さもそれなりで、荷物の軽量化にはあまり貢献してくれません。
そこで、私が大昔に軽量化の目的で実践していた、非常用の“ツェルト”をテントとして積極的に使用する方法を、現代的なアレンジで再現したらどうなるのか?を試してみることにしました。

Zelt
(自作のモスキートネット等で改造済みのICIツェルト)

まずは、ベースとなるツェルト選びです。
海外通販を含め候補はいくつかありましたが、今回は高機能素材ゴアテックスを使用していると言う理由で、ICI石井の“ゴア・ライト X ツェルト(2~3人用)”を選びました。
ツェルトとしてはかなり無理な価格設定でしたが、ゴアテックスを使用するとコストの関係でこのような値段になってしまうのでしょう。

また、“ファイントラック”の2~3人用ツェルトだと半分以下の重さですし、モスキートネットも付いているので、どちらにしようかずいぶん悩みましたが、生地の素材と2人用テントとしての居住性(ファイントラック製は幅100cm、ICI製は幅130cmでしかも専用フレーム有・またファイントラック製は寄棟形状で、ICI製は切妻形状)を考えてICI石井のツェルトを選びました。(ソロでしたらファイントラックの1人用か2~3人を選べば理想的なウルトラライト・オールウェザーシェルターのシステムが組めるでしょう)

さて、気になる重量を他の実測可能な2人用軽量テントと比較してみますと・・・(ガイラインは軽量なダイニーマに交換済み、また収納袋込みで、ペグ一式は軽量なものと交換することを考慮し、一律100gとして加算したので実際には少々の増減のある機種もあり)

●モンベル・BDTモノフレームシェルター・ヘキサ(2人用)
   本体     1052g
      フレーム 229g 
      ペグ      100g
                         合計  1381g
  *自立しないが設営は比較的容易。
  *屋根の圧迫感はあるが床面積は結構広く、2人でも装備の置き場はある。
  *換気は非常に悪く、雨天・降雪時の内部での火気使用には要注意。

●石井スポーツ・ゴアライト X  テント (2~3人用・自立型)
     本体      965g
      フレーム 430g
      ペグ      100g
                         合計  1495g
  *2人用超軽量冬季用テントの中ではたぶん最高のテントだと思う。
  *幅が130cmあるので2人でも装備を置くスペースは確保されている。
  *生地が薄いため耐久性には不安が残る。

●BD ファーストライト(2人用・自立型)
   本体    971g
   フレーム 396g
   ペグ    100g
           合計 1467g 
  *まずまず良くできたテントで、換気も悪くない。
  *スリーブの無いインナーフレーム方式は、思ったより設営に手間取る。

★石井スポーツ・ゴアライト X ツエルト(2人用)
     本体      740g
     フレーム  117g
    ペグ        100g
                          合計   957g
  *あくまでツェルトなので居住性はそれなりでしかない。


その他、二人用の軽量テントのカタログデータでは、
BDの“ハイライト”がコンプリートで1420gとなっていますが、目止め用のSILNETなどを加えると実質1450gは超えると思われます。

・・・ですから、このツェルトだと、設営用ポールは行動時以外は不要のトレッキングポール(沢では流木)を使用するとして、二人で使えば一人当たり500g以下で収まる計算で、圧倒的な軽さです。
また、居住性は犠牲になりますが、さらに軽量化をしたければ、フレームを家に置いてくる事だって可能です。

Zelt4
(この夏、このツェルトで沢中3泊してみました。雨にも降られましたが結構快適でした)

こうして考えてみると、ツェルトを使えば屋根だけのタープやお洒落なフロアレスシェルターと比べても重量的にも全く遜色ないか、あるいはむしろ軽いくらいで、しかも殆んどの状況でそれらより快適な“部屋”をフィールドに得ることができるはずです。
さらにソロでしたら“ファイントラック”の1~2人用(240g・モスキーとネット付)を選び、軽いチタンペグやダイニーマロープを組み合わせれば僅か300グラム少々すみますから、特殊な軽量素材のタープとタイベックシートの組み合わせよりもメリットは大きいのではないでしょうか。
(欠点は、開放感が無い事と、新し物好きなULフリークの目には少しオーソドックス過ぎてカッコ悪く映ると言う事くらいかなぁ・・・?)

さて、実際に使ってみると、外見から受ける印象より内部は広く居住性は十分で、条件により多少結露はするものの、おおむね快適に就寝できました。

とは言うものの、私が選んだ“ゴア・ライト X ツェルト”は基本的にはあくまでツェルトですから、ドアにモスキートネットが無いのはもちろん、ベンチレターにも当然モスキートネットはありません。
また、設営するためのコードを連結する部分も貧弱です。

そこで、使用にあたりこのツェルトをもう少し快適なものにするため、少々改造することにしました。
手を加えた内容は後の記事で紹介したいと思います。


(余談ですが・・・)


私はできるのなら山の中の好きなところに寝て、好きなところで焚火をし、その傍らで酒を飲みたい・・・。バカみたいな事ですが、これが私の山登りの目的の一つです。

しかし、残念ながらわが国の登山道のある山では指定地以外の幕営は基本的にルール違反ですし、山中での焚火などマナー以前の問題で以ての外の行為という事になっています。
ローインパクトだの何だの説明は色々でしょうが、理由はどうあれ、取り敢えず「ダメなものはダメ!」そう言う事になっているのです!
だから私は、無雪期に登山コースとなっている場所では(喜んで、という訳でもないのですが・・・)このルールにほぼ無条件で従います。キャンプ指定地が無ければ、あまり好きではない営業小屋だって利用します。

その他にも我が国の登山界には、常識(?)とされているルールが幾つもあります。
中には明確な理由が不明なものもあるかもしれませんが、何れにしろこれらのルールは我々の山の先輩達が、近代アルピニズムの黎明期から我が国の風土や文化の中で登山という営為を数十年も積み重ねる過程で生まれ、また状況に応じて変遷を繰り返し現在の形となったものであることだけは確かなのです。
「ヨーロッパではこんな事は無い」、とか「北米では皆こうしている」、はてまた「マタギの世界では常識だ」などというへ理屈を持ち出すのも結構ですが、他ならぬ現代の我が国で、ただでさえオーバーユースな山を遊び場としている我々は、堅苦しくてもまずはそれらのルールを素直にリスペクトすべきではないかと考えています。

山登りという私的行為に、外から押し付けられる倫理などあるかどうか私には判りません。
しかし、私たちは時間(歴史)的にも空間(社会)的にも、総ての他者(生物)との相互依存関係の中で、生かしあい生かされあって存在しているのです。
ですから、私自身は山登りという遊びの中にあっても、すべての他者に対する自己の責任感と、「目的(意思)は行為(手段)を正当化しえない」という前提に立った、自分なりの最低限の規範性は無くしたくないと考えているのです。

己の行為が環境にどのようなインパクトを与え、その回復にどのくらいの期間を要するのか、また、その行為の痕跡がどれほどの時間に渡って、それを見た他者にどのような影響をもたらし続けるのか・・・?、という想像力を働かせ、そしてその場の自分にとって可能な範囲で影響を最小にするよう努力する・・・、堅苦しく考えなくても、私はそんな程度でもかまわないと思っています。
究極までローインパクトを志向すると、「自然に足を踏み込まないこと」という結論以外に思惟が到達する場所はないのですから・・・。
でも、それでは私達は自らを遊び場から追い出さなくてはなりませんよね。

そんな訳ですから、私が好きなところに寝て、好きなところで焚火をするという目的をかなえようと望むなら、私は「私自身の欲望」を道が無く、安全で痕跡の残らないな焚き火ができて、他の登山者の居ない場所に連れて行くしかないのです。

このような理由で、私は、夏季の登山に沢登りを選択することが多くなりますが・・・。
しかし、「沢なら何してもいいのか?」と訊ねられると、やはり私自身の中でも何をしても良いとは考えていません。例えば私は、黒部・上の廊下だったら、大東新道までだったらビバークも焚き火もOKだと思いますが、薬師沢小屋より上流はビバークも焚き火も絶対に自粛すべきだと思っています。

多分に自家撞着を含んだ独善的な考えですから、異論も多くあるとは思いますが、私には「これが、私が私に課した、私なりのルールだから・・・」としか返答できません・・・。
単なる自分勝手な「思い込み」・・・、それ以上でもそれ以下でもないかもしれませんが、私はそんな気持ちだけは大切にしたいと考えています。

スミマセン! なにか柄にも無いことを述べているうちに、論旨がぐちゃぐちゃになってしまいした・・・。

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2008年9月22日 (月)

GARMIN/topo10M・Ver.8 は「買い!」か?④

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★☆☆☆
危険度 :★★★☆☆
(評価は依然大幅に下方修正のままです)


GARMINのtopo10M・Ver.8 については「登山道が表示できる」を謳い文句にして発売されたのにもかかわらず、当然記載があって当然と思われるメジャーな箇所の登山道が複数個所表示されない事については以前の記事に書いたとおりです。

その後、またあってしかるべき箇所の登山道が表示されない場所を見つけました。

まずは下のtopo10M・Ver.8の画像をクリックしてご覧ください。
北アルプス北部の人気エリア雪倉岳・朝日岳・蓮華温泉エリアです。 (画像にカーソルを合わせクリックして拡大して見てください)

このエリアは残雪期には我が国有数の山スキーエリアですし、無雪期でも蓮華温泉と組み合わせて人気のコースです。
ここでも登山道がいきなりプッツンです。また、営業小屋の朝日小屋も表示されません。

Garminasahi2

次はUUD製の地形図です。
画面では判りにくいかもしれませんが、朝日の巻き道など複雑な登山道も破線で総て表示されています。 (表示された画像にカーソルを合わせ拡大アイコンをクリックして見てください)

Uudasahi2  

その他、この近辺では白馬岳から旭・清水岳方面の登山道の表示が無いことも確認しています。

さて・・・。
実はこの事はすでに代理店の“い○×ネット”に7月中旬に問い合わせ済みで,同時に登山者の安全に係わることだから、正常版への交換と、せめて表示の欠落箇所が何所と何所なのかは公表すべきではないか、との意見も付記しておきました。
それに対し代理店からは。

『平素は弊社製品をご愛用くださいまして誠にありがとうございます。

お問い合わせの地区に関する情報をお調べ致しましたが、ご指摘通りの
収録状況になっておりました。

当社でも、該当個所のデータは収録するべき箇所かと考えております
ので、地図ベンダー(北海道地図株式会社)及びガーミン社への
調査依頼及び対応についての検討依頼を行いました。
状況判明次第、再度ご連絡させて頂きます。』(原文ママ)


との、欠陥を認めるを回答をいただきましたが、その後2ヵ月半無しの礫で、欠落箇所のインフォメーションはおろか、この製品に登山道表記に明らかに欠陥があることすら公表せずじまいです。(その他、この回答には子供騙しの事実と異なる言い訳が併記さえていましたが、馬鹿馬鹿しいのであえて今回は公表しません)

Hcx の“白画面”欠陥を、登山者の安全性を自社の利益との天秤にかけ、ファームアップまでの時間稼ぎで何とか乗り切ったこの会社の呆れるばかりの体質が此処にも現れたと言うことなのでしょう。

日銭が回らないと中小企業は経営が成り立たない事は私も理解しているつもりですが、中高年登山者もGPSを使用する昨今、場合によっては人命に係わる欠陥の公表と、自社の利益の何れにプライオリティーを与えるかすら分からないのでは、明らかに企業体質として異常でしょう?

温厚な私が、なぜこんなに憤慨しているのかと言うと、最近”IDAオンライン”というGPSショップのお客様掲示板で、同種の問い合わせに対するこのショップの回答に、下記のような記述を見つけたからです。

『お問い合わせありがとうございます。

北海道地図製作及び、代理店に問い合わせたところ、
北海道地図製作様からは、「確かにご指定のエリアの登山道に欠落があった。」
とのことで、代理店の方には連絡を入れデータも送付しているようです。

現在代理店とGARMIN社の方で対応を検討しているとのことですが、
結論は出ていないようです。

誠に申し訳ございませんが、何か情報わかりましたら、HP、メルマガ等でお知らせいたし
ます。

よろしくお願いいたします。』(原文ママ)


この回答の日付が7月28日ですから、これが正しいとすると代理店は少なくてもこの段階で地図製作会社から欠落箇所のデーターを入手していたということになります。

にもかかわらず『状況判明次第、再度ご連絡させて頂きます。』と言っておきながら、既に2ヶ月・・・。
また意図的な不作為で逃げ切ろうという悪意を感じるのは私だけでしょうか?


★まあ、この代理店を貶してばかりでも何なので、好いニュースを一つ!

“POIデータ全国山小屋避難小屋 Ver.1.00 ”が代理店より無料公開されました。
早速ダウンロードしてみましたが、小さな避難小屋まで登録されていますし、GPS画面上に可愛いアイコンで小屋の位置が表示されますよ。

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2008年9月18日 (木)

“SILNET”でテントの縫い目処理

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(簡単な作業ですが、上手く仕上げるのは結構手間がかかります)


最近のテントは生地自体の防水コーティングもずいぶん良くなってきましたし、縫い目部分にもシームテープが貼ってあって縫い目からの浸水もほぼ皆無となりました。
大昔のビニロンテントが、重いし防水液臭いし、しかも雨になるとテントの内側に触れたところから雨漏りが始まり大変だった事を考えれば、まさに隔世の感がします。

現在でも、テントやフライ用防水布といえば依然ウレタンコート地が主流ではありますが、“GOLITE”や“INTEGRALDESIGNS”また“ブラックダイヤモンド”などの最新の軽量テントでは“シルライト”や“エピック”など、素材自体に強い撥水性を持たせた生地をコーティング無しで使用するケースも増えてきました。
しかし、これらの生地は、防水コーティングが要らない程度に耐水圧が強いのですが、その強い撥水性が災いして、縫い目にシームテープが接着できないという問題も持っているのです。

そのため、昔のテントでやっていたように、縫い目用防水剤による浸水対策をしないと縫い目からの雨漏りは避けられません。
かと言って、“シルナイロン”や“エピック”は生地の撥水製が高いため、従来の“Kコート”や“シームグリップ”“シームシール”などの溶剤タイプのものは使用できないのです。

Silneta
(従来型の縫い目防水剤)

そこで、これらの生地にはMcNETT社の”SILNET”というシリコン系の目止め剤を使用するのが普通ですが、この”SILNET”は粘度が高く塗布する作業は、勝手に縫い目に流れ込んでくれる従来の目止め剤より少々面倒です。

Silnetb
(”SILNET”とシリンダー)

また、SILNETによる目止め作業には、刷毛で塗る方法と、注射器状のシリンダーを使う方法があるのですが、あまりボッテリ厚塗りしてしまうと剥がれ易くなりますので、私はシリンダーを使ってなるべく縫い目のところだけに必要最小限のグルーを塗る方法を採っています。

BDのテントには画像のようなシリンダーが付属していますが、これが無くても市販の使い捨て注射器(必要ならの先端部分に熱を加え細く変形させたもの)でも同様に使用が可能です。

Silnettohu
(画像はBDのファーストライトの目止めをしているところです)

この方法は、シリンダーへSILNETを上手く充填しさえできれば、後は丁寧に単純作業を続けるだけなのですが、この充填作業は少々工夫をしないと意外と手間取ります。

そこで、今回は私の考えた能率的な充填法をご紹介したいと思います。(シリンダーのノズル径が小さい場合、直接SILNETを吸い上げるのは困難です)

使うものは①SILNET ②シリンダー(BDのテントに付属) ③爪楊枝 ④釣糸(できれば5号位) ⑤ティッシュペーパー・新聞紙(床が汚れないように)


【シリンダーへSILNETを充填する手順】

①シリンダーのノズルの穴が適当な大きさになるように先端をカッターでカットする。穴は小さい方が細かい部分に塗布しやすいのですが、小さすぎると能率が悪いので適度な大きさで作業しましょう。(作業途中で小さいと感じたらその時点でカットしてもよい)

②ピストンを抜いて取り外す。

③ノズルの穴に爪楊枝を差して栓をする。

④シリンダーを上向きにしてSILNETを注入する。(上部の内壁に付着させず、なるべく気泡が入らないように!)

Silnet2

⑤ピストンのゴムパッキンとシリンダーの内壁の間に釣り糸が挟まるようにして(細い糸なら2本)ピストンを挿入。

Silnetito
(このように↑目一杯充填するなら細い針でも可能です)

⑥釣り糸が挟まったゴムパッキンの部分に隙間ができるので、そこから空気を逃がしながらピストンをSILNETの液面まで押し下げる。
内壁にSILNETが付着していると空気が逃げにくくなるので要注意!

⑦釣り糸を引き抜き、ノズルの爪楊枝を外して上を向け、気泡を抜いてから作業開始。気泡が残っていると、作業中ピストンを止めてもSILNETがノズルから出続け、綺麗な仕上がりになりません。
また、SILNETの乾燥(固化)には2日程を要しますので、できるだけ広い室内にテントを張って作業したほうが良いでしょう。

Silnet1
(この状態で上を向け、気泡をノズルに集めて抜きましょう)

以上、簡単な工夫ですが、SILNETによる面倒極まりない目止め作業が幾分か楽になりますので、シルライトやエピック製のテントやタープの目止めをお考えの方は是非お試しください。


(おまけ・・・)

今回目止め作業をしたBDのファーストライトは、超軽量テントとしてはまずまずの性能を持った好いテントだと思います。
雨天時の出入りや換気の面を総合すると、夏季には後発のハイライトの性能には及ばないと思いますが、積雪期の使用や入り口の位置、またフロアーの形状(ハイライトは台形で若干狭いので・・・)を私的に熟慮した結果、重量が70g重くてもこのファーストライトが第一候補にあがりました。
欲を言えば純正オプションのように大袈裟でない、超軽量な靴置き場程度の前室があれば最高なのですが・・・。

また、このBDのライト・シリーズはカタログデーターのコンプリート重量で、ファーストライトが1.49kg・ハイライトが1.42kg・ワンショットが1.28kgと非常に軽量です。

考えてみると、タープでのビバークでは必ずGORETEXなどの透湿防水素材製のシュラフカバー等を持たなければならないのですが、カバー単体でも2レイヤーの軽いもので230g、通常では400g以上はあります。ビビーだったら更に倍重くなってしまうでしょう。

しかし、軽量テント使用ですと必ずしもシュラフカバーは必要無くなりますので、2人での山行ではタープ(本体&ペグ・張綱)とシュラフカバーを併用するより、むしろ軽量テントのほうが軽く快適な寝床を確保できるはずです。
また、ソロでもBDのワンショットなどを使用すれば、設営の簡単さ・設営に要する時間や快適性を考えると、いかにタープに重さでのメリットがあるとはいえ、総合的な優劣の差は逆転するかもしれません。特に荒天の稜線や吸血昆虫の多い場所ではなおの事でしょう。

また、我が国では“バックパッキング”と言っても、殆どの場合は山の稜線を歩き、そして往々にして風が強く設営条件の悪い稜線で幕営する、いわゆるテン泊縦走登山とオーバーラップする行為に他なりません。
このような条件のコースをタープ1枚で乗り切る醍醐味は、私たちに自然と一体化する代え難い悦びを与えてくれますが、それは時として命懸けの苦行と同義になることもまた覚悟しておかねばならないでしょう。

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2008年9月10日 (水)

“山ラジオ”買いましたが・・・

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(山で使用した評価は後日・・・)


携帯電話で各種情報の入手が可能になったとはいえ、深い山中で気象情報などを入手するには、やはりAMラジオに頼るしかありません。
また「熊よけには鈴なんかよりラジオの方が良いよ!」と山仕事の方からアドバイスされたこともあります。

Yr
話題?の“山ラジオ”)

そんなわけで、現在私は山に小型ラジオを持っていくことが多いのですが、一時ラジオと非常用のトランシーバーの2台を山に持っていくのも無駄だと考え、アマチュア無線のトランシーバーでAM中波放送の受信可能な、スタンダードのVX-2をラジオ兼用で使用していた時期もありました。
しかし、この機種のAM中波の受信感度はかなり低く、社外品の中波兼用・専用アンテナもいろいろ試しましたが、感度や重さなど山で使うにはイマイチの域を出ませんでした。

Vx2
(VX-2㊧と、AM中波受信可能な非純正アンテナ各種)

そこで、最近は再び小さなラジオ(ブランドは国産だが中身は中国製?の安物)を山行に持って行っていたのです。

その後同じスタンダードから、AM専用のフェライトバーアンテナを内蔵したVX-2の後継機のVX-3が発売されたので、購入を考えていたのですが・・・

・・・そんな折、運悪く(?)雑誌の広告で「新発売・SONYの“山ラジオ”」というのを目にしてしまったのです。
調べてみたら実勢価格が9000円弱ということなので、いつもの悪い癖で早速購入。

と・・・、言うわけで、取り敢えずの使用レポートです。

【良いところ】
①名刺サイズで薄く、非常に軽量。

Yr_2
(画像では分かりにくいが、カードサイズでかなり小型、リール式のFMアンテナ兼用イヤフォーン一体型)

②アルカリ単41本でスピーカー使用時17時間(イヤフォンでは72時間)の長寿命。
③PLLシンセサイザー・チューナーで安定した受信が可能。
④山エリア選局ではワンタッチで中継局からの受信に切り替えられる。
⑤通常のエリアと山エリアがプリセットされていて受信が簡単。

Yrura
(通常エリア・セットの割り当て番号は裏面に記載があるが・・・)

⑥ノイズキャンセラーで声だけを強調することもできる。


【ダメなところ】

①「こんなもの誰が使うのか?」と思えるほど、馬鹿みたいに大袈裟なケース(画像↓)が付属。これは不要!

Yrcase

②ケース込みの為か、価格が高すぎるような気が・・・。
③思いのほか操作が難しく、暫らく使わないと使い方を忘れそう。
④山エリアの一覧表が無いと設定困難。(通常エリアの一覧は本体裏面に印刷あり)

Yrcard
(付属の“山エリア”割り当て番号一覧表)

⑤広告の写真で見るより、実物は全体的に安っぽい造り。

今後、実際に山で使ってみて、この製品の長短を報告してみたいと思います。




(追記)2016 3/2

“山エリアカード”の携行ですが・・・、下の画像のように樹脂製のカードの周囲を一回り小さくカットすると付属の小さな方のカバーと本体の間に収納できます。
カードが無いと山の中でのエリア設定が難しいので、こうして一緒に携行するととても便利です。

Yamar_2 Yamar_1

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2008年9月 4日 (木)

MSR/ドラゴンフライのポンプ?

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆

(これはMSR/ドラゴンフライ・ストーブについての評価です)

私はMSRの液体燃料ストーブを、XGK → ウィスパーライト → XGKⅡ → シマーライトと25年位使い続けています。
これらの燃料タンク分離型のストーブは重心が低く安定性が高いという利点があるのですが、燃料バルブがタンク(ポンプ)側にあるため操作にタイムラグが生じ、火力の微調節が全く苦手と言う弱点もありました。
慣れれば、少々の火力調節も可能ですが、弱火~トロ火までの調節となるとガスストーブには一歩も二歩も及ばないというのが正直なところです。

Df0

しかし、もう10年近く前になるでしょうか・・・、同じMSRから「強火からトロ火まで安定した火力調節ができる」というメリットを謳ってドラゴンフライというストーブが発売されました。
MSRファンの私としては気にはなったのですが、華奢な外観と、この機種だけ専用のポンプ・ユニットを使用するという互換性の無さが気になって購入には至りませんでした。

しかし、昨年の末・・・使用している方からの薦めがあったことと、「なぜ専用ポンプが必要なのか・・・?」が気になったこともあり、(最近はガソリンストーブを使用する機会が少ないにもかかわらず・・・)突然このストーブを衝動買いしてしまったのです。

そしてやっと、何故この機種だけ専用ポンプが必要なのか?従来のポンプは使えないのか?という私の疑問が解消しましたので報告したいと思います。

【ドラゴンフライを使った感想ですが・・・、(XGK-EXと同等な重さを気にしなければ)
華奢な外観からは想像できないような火力(轟音も!)と、ガスストーブ並みの繊細な火力調節機能を併せ持った、現在最もお薦めできる液体燃料ストーブだと断言できます】

さて、私の記憶ではMSRのポンプユニットはマイナーチェンジを除けば、大まかに分けて、初代から第4世代までの4種類に分類できるのではないかと思います、そして4世代の亜種としてドラゴンフライ専用の赤ポンプ(初期モデルは第3世代亜種の青ポンプ)が存在するのです。
画像↓は左から、第2世代~第4世代の汎用ポンプ、そして右端が現行のドラゴンフライ専用ポンプです。

Df1
(この他に黄ポンプといわれる初期型もあります)

通常のMSR汎用ポンプとドラゴンフライ専用では、どこが違うのか確かめるために早速分解してみました。
私も分解して驚いたのですが、バルブの構造はまったくの別物です。
画像をご覧になればお解かりのように、汎用ポンプのバルブシャフトは一体型でテーパー状になった先端部で燃料の流量をコントロールする構造になっています。
一方、ドラゴンフライ専用のバルブは、先端にスプリングで保持されたプランジャーが装着されていました。

Df4  Df3
(㊧が汎用ポンプ、㊨はドラゴンフライ用を分解したところ)

画像からは判りにくいかもしれませんが、汎用ポンプはスクリュー式のバルブを上下することで燃料の流量を任意に漸増減できる単純な構造であるのに対し、ドラゴンフライ用は2段式のバルブになっていたのです。

つまり、ノブを回すと燃料の流路が開くのは汎用ポンプと同じですが、ゴラゴンフライ用のポンプはスプリングで押されたプランジャーが流路を閉ざしているため、ノブを回しただけでは燃料は流れません。
バーナー部のソケットがポンプ部の穴にに挿入され、ソケット先端が穴の奥中央部に突き出しているプランジャーの先端を押し上げるまでは、この2段目のバルブがスプリングの圧力で閉ざされ、バルブを全開に廻し切っても、燃料が流れない構造になっていたのです。
結局、ドラゴンフライには合計3つのバルブがあるということですね。恐れ入りました!
(以前の“青ポンプ”がどうなっていたかは不明ですが、概ね同様だと考えられます)

Df5
(㊤がドラゴンフライ用、㊦が汎用ポンプのもの)

これは、ドラゴンフライの場合、ジェット直下にあるクールフューエルバルブと名付けられたセカンドバルブで燃料の流量の微調整から消火までを行えるため、火が消えていたとはいえ、ポンプ側のバルブが閉まっているとは限らないのです。
そこで、うっかりポンプ側のバルブを閉じずにコネクターを分離したとしても加圧された燃料が噴出さないように、との安全対策がこの複雑なバルブの構造の理由だったのです。

さて、それでは通常のポンプはドラゴンフライにも使えるのでしょうか?

結論から言うと・・・それは“NO”です。
下の画像をご覧ください。

Df6
(ドラゴンフライの燃料チューブソケットは直径が一回り大きい)

バーナー部の燃料ソケットの接続される穴の直径が、ドラゴンフライとそれ以外用のポンプでは異なることが理解できると思います。
構造をよく見てみたらポンプボディーの型が両者で異なるので、ソケット部の小パーツ交換で対応することも不可能のようで、残念ながら、互換性は全く無いということです。

誤用による事故を避けるためには仕方が無いとはいえ、ソケット部分を同じにしてくれていたなら、緊急時に自己責任で汎用ポンプをドラゴンフライに流用(逆は不可ですが・・・)することも可能だったと思うのですが・・・。
メーカーも製造物責任者としてこのような対応を採らざるを得ないのでしょうが、少々親切過ぎる気もしないではありませんね。

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