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2008年9月25日 (木)

“山屋”なら“ツェルト”でいきましょう!①

便利度 :★★★★☆
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(自立式のテントのほうが快適で設営も簡単ですが・・・)


最近はわが国でも米国のウルトラライトブームの影響か、“シェルター”などとカテゴライズされるフロアレス・テントやタープ類、あるいは“ビビーサック”を使用し荷物を軽量化することが一部の先鋭的なバックパッカーの間にに流行しています。
ただしこのスタイルは、雨が多く、アブや蚊・ブヨ・ヌカ蚊なども多い我が国の風土やフィールドには、必ずしもマッチしていないなと感じるシチュェーションも多いのです。

私も開放感のあるこの種の野営は大好きなのですが・・・、以前は『沢なら絶対タープでしょう!』などと豪語していた私も、最近は沢に行く時でも普通の軽量テントを選んでしまうことが多くなりました。
これも、やはり上記のような理由と年齢が原因なのかもしれません。

とはいえ、テントでは嵩張るし重さもそれなりで、荷物の軽量化にはあまり貢献してくれません。
そこで、私が大昔に軽量化の目的で実践していた、非常用の“ツェルト”をテントとして積極的に使用する方法を、現代的なアレンジで再現したらどうなるのか?を試してみることにしました。

Zelt
(自作のモスキートネット等で改造済みのICIツェルト)

まずは、ベースとなるツェルト選びです。
海外通販を含め候補はいくつかありましたが、今回は高機能素材ゴアテックスを使用していると言う理由で、ICI石井の“ゴア・ライト X ツェルト(2~3人用)”を選びました。
ツェルトとしてはかなり無理な価格設定でしたが、ゴアテックスを使用するとコストの関係でこのような値段になってしまうのでしょう。

また、“ファイントラック”の2~3人用ツェルトだと半分以下の重さですし、モスキートネットも付いているので、どちらにしようかずいぶん悩みましたが、生地の素材と2人用テントとしての居住性(ファイントラック製は幅100cm、ICI製は幅130cmでしかも専用フレーム有・またファイントラック製は寄棟形状で、ICI製は切妻形状)を考えてICI石井のツェルトを選びました。(ソロでしたらファイントラックの1人用か2~3人を選べば理想的なウルトラライト・オールウェザーシェルターのシステムが組めるでしょう)

さて、気になる重量を他の実測可能な2人用軽量テントと比較してみますと・・・(ガイラインは軽量なダイニーマに交換済み、また収納袋込みで、ペグ一式は軽量なものと交換することを考慮し、一律100gとして加算したので実際には少々の増減のある機種もあり)

●モンベル・BDTモノフレームシェルター・ヘキサ(2人用)
   本体     1052g
      フレーム 229g 
      ペグ      100g
                         合計  1381g
  *自立しないが設営は比較的容易。
  *屋根の圧迫感はあるが床面積は結構広く、2人でも装備の置き場はある。
  *換気は非常に悪く、雨天・降雪時の内部での火気使用には要注意。

●石井スポーツ・ゴアライト X  テント (2~3人用・自立型)
     本体      965g
      フレーム 430g
      ペグ      100g
                         合計  1495g
  *2人用超軽量冬季用テントの中ではたぶん最高のテントだと思う。
  *幅が130cmあるので2人でも装備を置くスペースは確保されている。
  *生地が薄いため耐久性には不安が残る。

●BD ファーストライト(2人用・自立型)
   本体    971g
   フレーム 396g
   ペグ    100g
           合計 1467g 
  *まずまず良くできたテントで、換気も悪くない。
  *スリーブの無いインナーフレーム方式は、思ったより設営に手間取る。

★石井スポーツ・ゴアライト X ツエルト(2人用)
     本体      740g
     フレーム  117g
    ペグ        100g
                          合計   957g
  *あくまでツェルトなので居住性はそれなりでしかない。


その他、二人用の軽量テントのカタログデータでは、
BDの“ハイライト”がコンプリートで1420gとなっていますが、目止め用のSILNETなどを加えると実質1450gは超えると思われます。

・・・ですから、このツェルトだと、設営用ポールは行動時以外は不要のトレッキングポール(沢では流木)を使用するとして、二人で使えば一人当たり500g以下で収まる計算で、圧倒的な軽さです。
また、居住性は犠牲になりますが、さらに軽量化をしたければ、フレームを家に置いてくる事だって可能です。

Zelt4
(この夏、このツェルトで沢中3泊してみました。雨にも降られましたが結構快適でした)

こうして考えてみると、ツェルトを使えば屋根だけのタープやお洒落なフロアレスシェルターと比べても重量的にも全く遜色ないか、あるいはむしろ軽いくらいで、しかも殆んどの状況でそれらより快適な“部屋”をフィールドに得ることができるはずです。
さらにソロでしたら“ファイントラック”の1~2人用(240g・モスキーとネット付)を選び、軽いチタンペグやダイニーマロープを組み合わせれば僅か300グラム少々すみますから、特殊な軽量素材のタープとタイベックシートの組み合わせよりもメリットは大きいのではないでしょうか。
(欠点は、開放感が無い事と、新し物好きなULフリークの目には少しオーソドックス過ぎてカッコ悪く映ると言う事くらいかなぁ・・・?)

さて、実際に使ってみると、外見から受ける印象より内部は広く居住性は十分で、条件により多少結露はするものの、おおむね快適に就寝できました。

とは言うものの、私が選んだ“ゴア・ライト X ツェルト”は基本的にはあくまでツェルトですから、ドアにモスキートネットが無いのはもちろん、ベンチレターにも当然モスキートネットはありません。
また、設営するためのコードを連結する部分も貧弱です。

そこで、使用にあたりこのツェルトをもう少し快適なものにするため、少々改造することにしました。
手を加えた内容は後の記事で紹介したいと思います。


(余談ですが・・・)


私はできるのなら山の中の好きなところに寝て、好きなところで焚火をし、その傍らで酒を飲みたい・・・。バカみたいな事ですが、これが私の山登りの目的の一つです。

しかし、残念ながらわが国の登山道のある山では指定地以外の幕営は基本的にルール違反ですし、山中での焚火などマナー以前の問題で以ての外の行為という事になっています。
ローインパクトだの何だの説明は色々でしょうが、理由はどうあれ、取り敢えず「ダメなものはダメ!」そう言う事になっているのです!
だから私は、無雪期に登山コースとなっている場所では(喜んで、という訳でもないのですが・・・)このルールにほぼ無条件で従います。キャンプ指定地が無ければ、あまり好きではない営業小屋だって利用します。

その他にも我が国の登山界には、常識(?)とされているルールが幾つもあります。
中には明確な理由が不明なものもあるかもしれませんが、何れにしろこれらのルールは我々の山の先輩達が、近代アルピニズムの黎明期から我が国の風土や文化の中で登山という営為を数十年も積み重ねる過程で生まれ、また状況に応じて変遷を繰り返し現在の形となったものであることだけは確かなのです。
「ヨーロッパではこんな事は無い」、とか「北米では皆こうしている」、はてまた「マタギの世界では常識だ」などというへ理屈を持ち出すのも結構ですが、他ならぬ現代の我が国で、ただでさえオーバーユースな山を遊び場としている我々は、堅苦しくてもまずはそれらのルールを素直にリスペクトすべきではないかと考えています。

山登りという私的行為に、外から押し付けられる倫理などあるかどうか私には判りません。
しかし、私たちは時間(歴史)的にも空間(社会)的にも、総ての他者(生物)との相互依存関係の中で、生かしあい生かされあって存在しているのです。
ですから、私自身は山登りという遊びの中にあっても、すべての他者に対する自己の責任感と、「目的(意思)は行為(手段)を正当化しえない」という前提に立った、自分なりの最低限の規範性は無くしたくないと考えているのです。

己の行為が環境にどのようなインパクトを与え、その回復にどのくらいの期間を要するのか、また、その行為の痕跡がどれほどの時間に渡って、それを見た他者にどのような影響をもたらし続けるのか・・・?、という想像力を働かせ、そしてその場の自分にとって可能な範囲で影響を最小にするよう努力する・・・、堅苦しく考えなくても、私はそんな程度でもかまわないと思っています。
究極までローインパクトを志向すると、「自然に足を踏み込まないこと」という結論以外に思惟が到達する場所はないのですから・・・。
でも、それでは私達は自らを遊び場から追い出さなくてはなりませんよね。

そんな訳ですから、私が好きなところに寝て、好きなところで焚火をするという目的をかなえようと望むなら、私は「私自身の欲望」を道が無く、安全で痕跡の残らないな焚き火ができて、他の登山者の居ない場所に連れて行くしかないのです。

このような理由で、私は、夏季の登山に沢登りを選択することが多くなりますが・・・。
しかし、「沢なら何してもいいのか?」と訊ねられると、やはり私自身の中でも何をしても良いとは考えていません。例えば私は、黒部・上の廊下だったら、大東新道までだったらビバークも焚き火もOKだと思いますが、薬師沢小屋より上流はビバークも焚き火も絶対に自粛すべきだと思っています。

多分に自家撞着を含んだ独善的な考えですから、異論も多くあるとは思いますが、私には「これが、私が私に課した、私なりのルールだから・・・」としか返答できません・・・。
単なる自分勝手な「思い込み」・・・、それ以上でもそれ以下でもないかもしれませんが、私はそんな気持ちだけは大切にしたいと考えています。

スミマセン! なにか柄にも無いことを述べているうちに、論旨がぐちゃぐちゃになってしまいした・・・。

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コメント

余談、感銘を受けました。

投稿: とおりすがり | 2010年9月17日 (金) 03時03分

“とおりすがり”さん、はじめまして。
私の拙文に過分なる評価をいただき恐縮です。
誰しもが以前では想像できないほどの情報発信力を手にいれた現在、その個々の発信する情報が山の自然に与える影響も無視できないものとなっています。
ウェブ上で読者ウケをねらった楽しいステルスキャンプの記録が、結果として貴重な稜線の草原を裸地にしてしまう結果を招いたり、自慢半分の「爆釣記」が結果として、その小渓に棲む溪魚を絶滅状態に追い遣る事だって起こりうるのです。
個々の行為は自己責任でも、情報の発信についてはその影響まで深く思惟した上での抑制が求められるのではないではないか・・・。私はそう考えています。
その意味では「焚き火の楽しさ」を紹介した私の記事も良くなかったかもしれませんね。(笑)

投稿: 理事長 | 2010年9月17日 (金) 08時56分

ツェルトに関して調べていて、たどり着きました。

とても詳細なレビューが参考になりました。

ありがとうございます!

投稿: まんゆう | 2012年2月 4日 (土) 03時32分

“まんゆう”さんはじめまして!

この記事は4年近く前に書いたものなので、内容が陳腐化している点もあるかもしれませんが、参考になったなら幸いです。

では、今後ともよろしく。

投稿: 理事長 | 2012年2月 4日 (土) 07時32分

はじめまして。
ツェルトで検索して訪れました。
ツェルトの記事も大変参考になりましたが、
最後の方のテント泊についてがとても興味深かったです。

テント泊やキャンプの記事はブログでも人気があるようで、皆様よく掲載されていますが、
私自身素人なので、始めのうちは記事を見ると『あ、ここはテント泊登山できるんだ!』と思ってみていました。
でも、調べてみると大体の場所が禁止地区。
しかもどうやって調べていいのか解らない事が多いので、今の所山頂にあるキャンプ場でしかテント泊したことがありません。

でも、山で泊まっている人の殆どは登山道の脇などでテント泊するんだなぁというのが印象です。
逆に、テント場なんて邪道で、
山の中の適当な場所でテント泊するのが登山でのテント泊の王道?と考えられているような気さえします。

そうゆうお話を聞く機会も無いので、
大変興味深かったです。

投稿: yamauchi | 2012年5月17日 (木) 16時59分

“yamauchi”さんようこそ。
私も今まで、沢では焚火もビバークもしてきましたので、自分勝手な思い込みで自分自身を正当化できる立場に居るとは思いません。
そんな訳で口幅ったいのですが・・・、私は最低限自分なりの「自由」と「放埓」の区別だけは心掛けたいと考えています。
「自由」が心を満たし憧れの対象にすらなるのは(他者に対する)「責任」と共に在るからであり、責任を伴わない自己中心の放埓な行為は、一時の造悪無碍的な万能感が心を昂らせることはあっても、その行為の残す何らかの負の余韻に思いを至らせた時・・・、それは楽しかった思い出と言うより寧ろ空疎な記憶としてしか残らないんじゃないかと思うのです。
また柄にもなことを言っちゃいましたが・・・、まぁ、難しく考えなくても、今の若い方なら「40年後の自分が同じ場所で同じように山の自然を楽しめるだろうか?」という想像力を働かせ、ローインパクトな節度ある行動と慎重な情報発信にさえ心を配れば、山はそれほど荒れないと思うんですが・・・。

投稿: 理事長 | 2012年5月17日 (木) 22時32分

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