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2008年9月 4日 (木)

MSR/ドラゴンフライのポンプ?

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆

(これはMSR/ドラゴンフライ・ストーブについての評価です)

私はMSRの液体燃料ストーブを、XGK → ウィスパーライト → XGKⅡ → シマーライトと25年位使い続けています。
これらの燃料タンク分離型のストーブは重心が低く安定性が高いという利点があるのですが、燃料バルブがタンク(ポンプ)側にあるため操作にタイムラグが生じ、火力の微調節が全く苦手と言う弱点もありました。
慣れれば、少々の火力調節も可能ですが、弱火~トロ火までの調節となるとガスストーブには一歩も二歩も及ばないというのが正直なところです。

Df0

しかし、もう10年近く前になるでしょうか・・・、同じMSRから「強火からトロ火まで安定した火力調節ができる」というメリットを謳ってドラゴンフライというストーブが発売されました。
MSRファンの私としては気にはなったのですが、華奢な外観と、この機種だけ専用のポンプ・ユニットを使用するという互換性の無さが気になって購入には至りませんでした。

しかし、昨年の末・・・使用している方からの薦めがあったことと、「なぜ専用ポンプが必要なのか・・・?」が気になったこともあり、(最近はガソリンストーブを使用する機会が少ないにもかかわらず・・・)突然このストーブを衝動買いしてしまったのです。

そしてやっと、何故この機種だけ専用ポンプが必要なのか?従来のポンプは使えないのか?という私の疑問が解消しましたので報告したいと思います。

【ドラゴンフライを使った感想ですが・・・、(XGK-EXと同等な重さを気にしなければ)
華奢な外観からは想像できないような火力(轟音も!)と、ガスストーブ並みの繊細な火力調節機能を併せ持った、現在最もお薦めできる液体燃料ストーブだと断言できます】

さて、私の記憶ではMSRのポンプユニットはマイナーチェンジを除けば、大まかに分けて、初代から第4世代までの4種類に分類できるのではないかと思います、そして4世代の亜種としてドラゴンフライ専用の赤ポンプ(初期モデルは第3世代亜種の青ポンプ)が存在するのです。
画像↓は左から、第2世代~第4世代の汎用ポンプ、そして右端が現行のドラゴンフライ専用ポンプです。

Df1
(この他に黄ポンプといわれる初期型もあります)

通常のMSR汎用ポンプとドラゴンフライ専用では、どこが違うのか確かめるために早速分解してみました。
私も分解して驚いたのですが、バルブの構造はまったくの別物です。
画像をご覧になればお解かりのように、汎用ポンプのバルブシャフトは一体型でテーパー状になった先端部で燃料の流量をコントロールする構造になっています。
一方、ドラゴンフライ専用のバルブは、先端にスプリングで保持されたプランジャーが装着されていました。

Df4  Df3
(㊧が汎用ポンプ、㊨はドラゴンフライ用を分解したところ)

画像からは判りにくいかもしれませんが、汎用ポンプはスクリュー式のバルブを上下することで燃料の流量を任意に漸増減できる単純な構造であるのに対し、ドラゴンフライ用は2段式のバルブになっていたのです。

つまり、ノブを回すと燃料の流路が開くのは汎用ポンプと同じですが、ゴラゴンフライ用のポンプはスプリングで押されたプランジャーが流路を閉ざしているため、ノブを回しただけでは燃料は流れません。
バーナー部のソケットがポンプ部の穴にに挿入され、ソケット先端が穴の奥中央部に突き出しているプランジャーの先端を押し上げるまでは、この2段目のバルブがスプリングの圧力で閉ざされ、バルブを全開に廻し切っても、燃料が流れない構造になっていたのです。
結局、ドラゴンフライには合計3つのバルブがあるということですね。恐れ入りました!
(以前の“青ポンプ”がどうなっていたかは不明ですが、概ね同様だと考えられます)

Df5
(㊤がドラゴンフライ用、㊦が汎用ポンプのもの)

これは、ドラゴンフライの場合、ジェット直下にあるクールフューエルバルブと名付けられたセカンドバルブで燃料の流量の微調整から消火までを行えるため、火が消えていたとはいえ、ポンプ側のバルブが閉まっているとは限らないのです。
そこで、うっかりポンプ側のバルブを閉じずにコネクターを分離したとしても加圧された燃料が噴出さないように、との安全対策がこの複雑なバルブの構造の理由だったのです。

さて、それでは通常のポンプはドラゴンフライにも使えるのでしょうか?

結論から言うと・・・それは“NO”です。
下の画像をご覧ください。

Df6
(ドラゴンフライの燃料チューブソケットは直径が一回り大きい)

バーナー部の燃料ソケットの接続される穴の直径が、ドラゴンフライとそれ以外用のポンプでは異なることが理解できると思います。
構造をよく見てみたらポンプボディーの型が両者で異なるので、ソケット部の小パーツ交換で対応することも不可能のようで、残念ながら、互換性は全く無いということです。

誤用による事故を避けるためには仕方が無いとはいえ、ソケット部分を同じにしてくれていたなら、緊急時に自己責任で汎用ポンプをドラゴンフライに流用(逆は不可ですが・・・)することも可能だったと思うのですが・・・。
メーカーも製造物責任者としてこのような対応を採らざるを得ないのでしょうが、少々親切過ぎる気もしないではありませんね。

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コメント

詳細なレポートありがとうございます。あのコイルバネの存在、二重安全装置らしいとは感じていました(笑)おっしゃるとおりです。
分解時に、うっかりクールバルブだけ閉じて、バラすこともありました。
半分、冗談ですが、MSRでは、それほど加圧しなくても
燃料を送出できます。落差だけで、ポンプ排除は出来ないのかな?on/off程度のバルブで(恐い気もします、苦笑)
アフリカの灯油ストーブなどでは、2mぐらいに持ち上げた
ペットボトルから給油しています
ps
カメラネジの訂正・感謝しています。

投稿: JSB | 2008年9月11日 (木) 00時31分

電動工具の『道具道楽』で検索したらこちらがヒットし、ちょっとお邪魔してしまいました。
ドラゴンフライは8年程前に使っていました。豪州を自転車で周っているときの相棒としてチョイスしたのですが、耐久性に難ありでした。ポンプも欠けやすいし(MSRの他製品も同じかもしれませんが…)、8年前なので詳しい箇所は説明できませんが、バーナーを留めてあるところや、火力調節弁など、故障が多かったです。豪州で会った他の日本人サイクリストも同ストーブをチョイスしていましたが、同じく故障が多いとのことでした。今は改良されたのかなぁ…?

投稿: よっしー | 2008年10月 4日 (土) 08時09分

よっしーさんはじめまして!
そうですね、私もグレーポンプ時代に、ピストンを本体に留めている部分やバルブの部分など3回もクラックや折損などの経験があります。
ただ、代理店は毎回無料か無料に近い値段で修理とか新品交換とかをしてくれました。
また、最近はガソリンストーブの出番が少ない事もあって、最新のポンプになってからはまだ破損は経験していません。
所詮プラスチックですからスベアやホエーブスのような耐久性は期待できませんので、そこは割り切って考えています。
あと、私もドラゴンフライはCFバルブの関係で白ガソリン以外は使わないほうが無難だと感じています。
では、今後とも「道具道楽」同様「山道具道楽」もよろしくお願いします。

投稿: 理事長 | 2008年10月 4日 (土) 08時50分

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