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2008年9月18日 (木)

“SILNET”でテントの縫い目処理

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(簡単な作業ですが、上手く仕上げるのは結構手間がかかります)


最近のテントは生地自体の防水コーティングもずいぶん良くなってきましたし、縫い目部分にもシームテープが貼ってあって縫い目からの浸水もほぼ皆無となりました。
大昔のビニロンテントが、重いし防水液臭いし、しかも雨になるとテントの内側に触れたところから雨漏りが始まり大変だった事を考えれば、まさに隔世の感がします。

現在でも、テントやフライ用防水布といえば依然ウレタンコート地が主流ではありますが、“GOLITE”や“INTEGRALDESIGNS”また“ブラックダイヤモンド”などの最新の軽量テントでは“シルライト”や“エピック”など、素材自体に強い撥水性を持たせた生地をコーティング無しで使用するケースも増えてきました。
しかし、これらの生地は、防水コーティングが要らない程度に耐水圧が強いのですが、その強い撥水性が災いして、縫い目にシームテープが接着できないという問題も持っているのです。

そのため、昔のテントでやっていたように、縫い目用防水剤による浸水対策をしないと縫い目からの雨漏りは避けられません。
かと言って、“シルナイロン”や“エピック”は生地の撥水製が高いため、従来の“Kコート”や“シームグリップ”“シームシール”などの溶剤タイプのものは使用できないのです。

Silneta
(従来型の縫い目防水剤)

そこで、これらの生地にはMcNETT社の”SILNET”というシリコン系の目止め剤を使用するのが普通ですが、この”SILNET”は粘度が高く塗布する作業は、勝手に縫い目に流れ込んでくれる従来の目止め剤より少々面倒です。

Silnetb
(”SILNET”とシリンダー)

また、SILNETによる目止め作業には、刷毛で塗る方法と、注射器状のシリンダーを使う方法があるのですが、あまりボッテリ厚塗りしてしまうと剥がれ易くなりますので、私はシリンダーを使ってなるべく縫い目のところだけに必要最小限のグルーを塗る方法を採っています。

BDのテントには画像のようなシリンダーが付属していますが、これが無くても市販の使い捨て注射器(必要ならの先端部分に熱を加え細く変形させたもの)でも同様に使用が可能です。

Silnettohu
(画像はBDのファーストライトの目止めをしているところです)

この方法は、シリンダーへSILNETを上手く充填しさえできれば、後は丁寧に単純作業を続けるだけなのですが、この充填作業は少々工夫をしないと意外と手間取ります。

そこで、今回は私の考えた能率的な充填法をご紹介したいと思います。(シリンダーのノズル径が小さい場合、直接SILNETを吸い上げるのは困難です)

使うものは①SILNET ②シリンダー(BDのテントに付属) ③爪楊枝 ④釣糸(できれば5号位) ⑤ティッシュペーパー・新聞紙(床が汚れないように)


【シリンダーへSILNETを充填する手順】

①シリンダーのノズルの穴が適当な大きさになるように先端をカッターでカットする。穴は小さい方が細かい部分に塗布しやすいのですが、小さすぎると能率が悪いので適度な大きさで作業しましょう。(作業途中で小さいと感じたらその時点でカットしてもよい)

②ピストンを抜いて取り外す。

③ノズルの穴に爪楊枝を差して栓をする。

④シリンダーを上向きにしてSILNETを注入する。(上部の内壁に付着させず、なるべく気泡が入らないように!)

Silnet2

⑤ピストンのゴムパッキンとシリンダーの内壁の間に釣り糸が挟まるようにして(細い糸なら2本)ピストンを挿入。

Silnetito
(このように↑目一杯充填するなら細い針でも可能です)

⑥釣り糸が挟まったゴムパッキンの部分に隙間ができるので、そこから空気を逃がしながらピストンをSILNETの液面まで押し下げる。
内壁にSILNETが付着していると空気が逃げにくくなるので要注意!

⑦釣り糸を引き抜き、ノズルの爪楊枝を外して上を向け、気泡を抜いてから作業開始。気泡が残っていると、作業中ピストンを止めてもSILNETがノズルから出続け、綺麗な仕上がりになりません。
また、SILNETの乾燥(固化)には2日程を要しますので、できるだけ広い室内にテントを張って作業したほうが良いでしょう。

Silnet1
(この状態で上を向け、気泡をノズルに集めて抜きましょう)

以上、簡単な工夫ですが、SILNETによる面倒極まりない目止め作業が幾分か楽になりますので、シルライトやエピック製のテントやタープの目止めをお考えの方は是非お試しください。


(おまけ・・・)

今回目止め作業をしたBDのファーストライトは、超軽量テントとしてはまずまずの性能を持った好いテントだと思います。
雨天時の出入りや換気の面を総合すると、夏季には後発のハイライトの性能には及ばないと思いますが、積雪期の使用や入り口の位置、またフロアーの形状(ハイライトは台形で若干狭いので・・・)を私的に熟慮した結果、重量が70g重くてもこのファーストライトが第一候補にあがりました。
欲を言えば純正オプションのように大袈裟でない、超軽量な靴置き場程度の前室があれば最高なのですが・・・。

また、このBDのライト・シリーズはカタログデーターのコンプリート重量で、ファーストライトが1.49kg・ハイライトが1.42kg・ワンショットが1.28kgと非常に軽量です。

考えてみると、タープでのビバークでは必ずGORETEXなどの透湿防水素材製のシュラフカバー等を持たなければならないのですが、カバー単体でも2レイヤーの軽いもので230g、通常では400g以上はあります。ビビーだったら更に倍重くなってしまうでしょう。

しかし、軽量テント使用ですと必ずしもシュラフカバーは必要無くなりますので、2人での山行ではタープ(本体&ペグ・張綱)とシュラフカバーを併用するより、むしろ軽量テントのほうが軽く快適な寝床を確保できるはずです。
また、ソロでもBDのワンショットなどを使用すれば、設営の簡単さ・設営に要する時間や快適性を考えると、いかにタープに重さでのメリットがあるとはいえ、総合的な優劣の差は逆転するかもしれません。特に荒天の稜線や吸血昆虫の多い場所ではなおの事でしょう。

また、我が国では“バックパッキング”と言っても、殆どの場合は山の稜線を歩き、そして往々にして風が強く設営条件の悪い稜線で幕営する、いわゆるテン泊縦走登山とオーバーラップする行為に他なりません。
このような条件のコースをタープ1枚で乗り切る醍醐味は、私たちに自然と一体化する代え難い悦びを与えてくれますが、それは時として命懸けの苦行と同義になることもまた覚悟しておかねばならないでしょう。

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コメント

こんちはーいつもは読み逃げさせていただいてますが、今回のSILNETはタイムリーだったので初コメ書きです。

実は先日BDのHilightを購入しましてーそろそろSILNETというところなんですけど、このSILNETの情報って余りないんですね。。。特に塗布中~後の写真は殆どなし、、なので今回のレポはヒジョーに参考になりました。

他には「ホワイトガソリンで若干薄めて刷毛で塗る」という方法もあるそうですが、コーティングへの影響が怖そうですね。

投稿: nut's | 2008年9月20日 (土) 11時38分

nut,sさん、ようこそ。
早速ですが、BDのハイライトは素晴らしい設計のテントですね。
パネル構成がシンプルで、ファーストライトが入り口やベンチレター部の縫い目に防水に弱点があるのに、ハイライトでは庇があるのでその弱点をカバーし、しかも雨天時の換気も良好そうですから。

それから、シルネットでの目止めは結構大変ですが、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
また、シンナーなどの溶剤でシルネットを薄める事はあまりお勧めしません。シルネットは基本的に溶剤型ではなく、変性シリコンが空気中の水分で固化するタイプの樹脂だと思いますので、そのまま使うのがベターだと思いますよ。

あと、作業の時はティッシュペーパー1箱を常に手元に置いて、シリンダーでシルネットをワンスパン塗るごとに、上から指でなぞるように縫い目に馴染ませていくといいですよ。
では健闘を祈ります!

投稿: 理事長 | 2008年9月20日 (土) 12時14分

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