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2008年10月

2008年10月30日 (木)

“マイクロマックスUL”のウインドシールド(超軽・最終型?)

便利度 :★★★★★
工作度 :★★★★☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★★☆☆☆
(改造は自己責任で!)


スノーピークの“ギガパワー・マイクロマックスUL”はオートイグナイターは付かないものの、軽さといい質感といい世界に誇れるMade in Japan の傑作ストーブだと思います。
そんな訳で、我が家にもう一つこれがあってもいいかな(?)などと考えて、つい2個目を購入してしまいました。

Nnws1
(最終型をセットした状態)

このストーブ用ウインドシールドは、先にご紹介した「改良型」で機能的にはほぼ完成していますが、今回は2台目のマイクロマックスUL用に「改良型」をベースにさらに改良を加えることにしました。
素材は前回の「改良型」製作で蓋の部分を使用してしまい、中途半端になってしまったチタンクッカーの鍋本体部分です。
前回のウインドシールドより直径が一回り小さいので、ストーブのゴトク部分の先端がウインドシールドの外縁から少し飛び出すという理想的な大きさとなりました。

Nnws3
(㊧最終型 ㊨前回製作の改良型)

加工法は前作と同じなので省略しますが、前回は全体を焼き戻ししたので表面がチタン焼けで青黒っぽくなってしまいましたので、今回は焼き戻し無しで加工してみました。(実際には何回か使用すると同じように焼け色がついてしまうのでしょうが・・・)
案の定プレスされて加工硬化していたようで、板金は難しく、縁の折り返し部分は前回同様直線にはなりませんでしたが何とか実用上問題にならない範囲に加工できました。

Nnws2
(ゴトクを安定させるため3箇所プレス加工した)

前回の改良型と異なるのは、ゴトクの切り欠きと組み合わさる部分3箇所に小さな凹みを加工したことです。
加工は、ハンドプレスでΦ2ミリの線材を押し付けて整形しましたが、この加工によりゴトクが定位置に安定しますので不用意にゴトクが回転してしまうことも無くなります。

Nnws4
(旧改良型も最終型同様に3箇所のプレス加工を追加!)

また、前作よりも小型ということで重量もちょうど30gにおさまりました。
まだ試してみたいアイデアはあるのですが、アマチュアの加工能力ではこの程度が限界だと思いますし、機能的にはほぼ完璧といっても良いと思います。

もし、不要な(?)チタンクッカーやチタン食器の蓋などがあったら、皆さんにも是非チャレンジしてもらいたい実用的な自作山道具です。

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2008年10月26日 (日)

“Dynafit-TLT”ビンディングを自分で取り付けよう①

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★★★☆☆
(あくまでも自己責任で!!)


私はここ二十数年程、山スキーのビンディングは家族の分も含めて総て自分で取り付けています。

Dyna3
(最近お気に入りの“Dynafit-TLT”の取り付けは少々手強い)

しかし、最近は製造物責任の問題もあってか、メーカーも販売店も、オーナー自らがビンディングを取り付けるのを嫌う傾向があります。
そのせいか、以前はフリッチ・ディアミールジルブレッタディナフイットなどの山スキー用ビンディングには、紙製やステッカー状のテンプレート(簡易ゲージ)が必ず付属していたものですが、現在テンプレートの付属しているビンディングは販売絶対量が極めて少ないため、販売店が専用のメタルジグを持つメリットの無いMARKERのデューク位なものでしょう。(NAXOはまだ付いてるのかな?)
これも、ビンディングの取り付けを困難にして、オーナー自身による取り付けを減らそう、というメーカーの意図によるものです。

Dpg
(上からディアミール・Dynafitの自作ポリゲージ、下は以前のTLTに付属していていた紙ゲージ)

「ビンディングの取り付けは有資格の専門家以外できない」などと知ったかぶりのアドバイスをする無知な方もいるようですが、私は二十年以上自分で(メタルジグを使用せず)取り付けをしていて一度のトラブルも在りません。
だいたい、私は、2~3時間講習を受けただけで貰えるメーカー公認資格などという空証文を信じるほど素直な人間ではないのです。

北米などでは山スキーヤーやテレマーカーの三人に一人は自分で取り付けを行っている事を考えれば、この作業がアマチュアにも可能であることをご理解いただけると思います。
また、不安ならスキーに取り付ける前に、2×4材等で寸法出しを兼ねた予備実験をしておけばブッツケ本番の不安も解消するでしょう。

Dynabd
(私は付け替えも含め十数組のDynafit取り付けを経験しましたが失敗はゼロです!)

確かにズブの素人が取り付けるのは問題があるかとも思いますが、メーカーの講習会を受けて一応資格を持っている方でもずいぶんいい加減な奴もいますし、私などはかえって自分の自己責任で取り付けたほうが安心するのです。

現在は違うと思いますが、私が三十数年前に神○の某スキー用品店で取り付けのアルバイトをしていた経験では、ショップとはいえ当時は安心して取り付けを任せられるという感じではありませんでした。(敢えて詳細は記載はしませんが、私も反省しています!)

さて、今回は取り付けに独特のコツやノウハウを要するDYNAFITのTLTビンディングを例に、実際の取り付けを解説しようとと思います。(もちろん通常のビンディングの取り付けにも応用が可能です!)

さあ、始めましょう!


①取り付けゲージの用意

まず、簡易テンプレート(紙ゲージ)が有る場合はそれを用意して指定のようにカットし、注意深くセンターラインを記入してください。

Dpg1
(センターラインを記入した紙ゲージを貼ったところ)

無い場合は、ビンディングをコピー機の上に置き等倍のコピーを取り、ビス穴の中心に印を付け、同じくセンターラインを引いておいてください。


②取り付け位置の決定

次にスキーへの取り付け位置を決定しなければなりません。

通常はスキーのトップシートやサイドウォールにブーツセンターのマークがありますのでそれを目安にすればOKですが、フリースタイル用のツインチップスキー等には“Core Center(True Center)”のマークや“Freestyle/ FreeRide“または”Traditional(Standard)/Modern”などの2本のマーク、あるいはCoreCenterを基準にした目盛りなどがプリントされていたり紛らわしいものも多いのですが、山スキーでしたら“Traditional(standard)”のマークか、線が2~3本あったとしたら線のうち一番後ろ(テール)側をセンターにしておけば大きな誤りにはならないでしょう。

Dmark1
(K2のフリースタイル・スキーには目盛がプリントされていてわかり易い)

“Core (true)Center”のマークがある板の場合、飛んだり回ったり手摺を滑ったりする方はこのマークか、あるいはここから2~3cmセットバックした範囲にブーツセンターを合わせればいいのですが、通常の滑走やパウダー滑降の場合は、“Core (true)Center”から5cm~9cm位後ろにブーツセンターを持ってくるのが普通です。
ですから、通常は大体のスキーに上記の範囲の位置に通常滑降用のブーツセンターを表すマークが有るはずです。

ツインチップスキー等で、どうしても取り付け位置が前過ぎるように感じて不安なら次の方法でチェックしてみましょう。
2枚の板をソール合わせにしてトップとテールの接雪点をマークして、さらにその2分の1の所にセンターマークを付けておきます。(このマークがほぼコアセンターとなります)
そして、そのセンターマークの位置に自分の足の拇指球を置いた状態で足の全長の1/2に当たる所でスキーにマークをしてみてください。
通常はこの足の中心の位置から1~3センチ位テールよりに通常滑降時のブーツセンター位置がプリントされているはずですから、先ほど自分で付けた足の中心のマークより大幅に前で無い限りそのプリントされたマークのセンター位置を目安に取り付けて良いと思います。

最近のロッカータイプのソール形状(いわゆる海老反り?スキー)はホント悩みますが、そんな時はメーカー推奨位置に自分の滑り(飛んだり回ったりするかしないか?orパウダー主体かハードパック&ジブか?)を考慮して位置決めをするしかありません。

(テレマークの場合、滑る方の個性によってかなり取り付け位置の好みも前後しますが、埋め込みのインビスで移動可能な場合は、とりあえずこのアルペン用のブーツセンター付近で試してみて、「トップが突っ込むようなら少し後ろ・・・」といった感じで適正位置を見出す事も可能でしょう)

スキーの形状によってメーカーの指定するブーツセンターは前後しますので何とも言えないのですが、一般的に女性など小さな足の場合はコアセンター(板の物理的中心)とブーツセンターの距離は短く、逆に大きな足の場合は長くなるということも頭に入れて微調整するのも良いでしょう。(一般的に女性は骨格の違いもあり、ウィメンズモデル以外の板では、センターマークよりも1センチ前をセンターにしたほうが良いと言われています)
スキー操作の理想は、板のコアセンター(=中心)に拇指球で加重する事だ、と考えれば、足の大きさとコアセンターやブーツセンターの相関関係も理解できると思います。(実際のスキー操作では、拇指球より後ろの位置でスキーに加重することが多いので、ブーツセンターマークはやや後ろ目に付けられていますが・・・)


③板厚の確認

ブーツセンターが決まったら、、ビンディングを大体の位置に置いて見ます。
そして、ビスの入る部分のスキー板の厚さをノギスで測りましょう。(画像↓)

Datusa

次にビンディングのビス穴にビスを入れてみて、ビスの先端が何ミリとび出すか測り、先程調べたスキー板の厚さと比較してみましょう。(画像↓)

Ddeps

この差が少なくても3ミリ以上無い場合は、ドリリングもシビアになりますし、ビスを締めたときにスキーのソールを押し出して突起を作って作ってしまいますので、稀ですがビスが長すぎる場合は1~2ミリカットしなければならない場合も出てきます。

短いスキーのテール側、特にディアミールのテールピースなどは板が薄くなっている場所に取り付けなければならない場合が多いのでビスの長さには要注意です。(短い板の中にはディアミールのMサイズだと取り付け位置が後ろ過ぎ、ビスの長さ以前に強度的に取り付け困難な場合もあります)
また、最近のファットスキー等は、幅は広くてもその分板厚の薄いものもあるので、この作業に慎重を期しておかないと後で泣きが入るかもしれませんヨ。

(以下、続く)

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2008年10月23日 (木)

“VARGO”アルコールストーブを弄る

便利度 :★★☆☆☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★☆☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆


私は山でアルコールストーブを使うことは殆んどありませんでした。
ガスストーブのほうが火力も強く、火力調節も簡単ですし、最近は非常に軽い製品も市販されているからです。

Ulw
(Snowpeak のU.L.ガスストーブはなんと56g!)

一方、アルコールストーブはというと、“パイトーチ”式を除き点火してから火力が安定するまで時間がかかり、火力もイマイチで風にはめぽう弱く、しかも通常は火力調整ができません。
おまけに、アルコールストーブは燃焼時間が短いのに燃料の途中補給ができず、また燃料を使い切るまで吹き消す以外に消火はできないのです。
また、アルコールの炎は明るいところでは視認が難しく、こぼれたり飛び散ったりした燃料に火が着いた場合にはテントを火事にしてしまう危険も高いと思います。

しかも、燃費の悪いアルコールストーブは、数日に及ぶ山行になると食事のメニューをかなり工夫しないと燃料込みのイニシァル重量ではガスストーブに負けてしまうでしょう。

(いささか悪口を書きすぎましたが・・・)このように、デメリットの多いアルコールストーブではありますが、なんともいえぬ独特の味わいがあるせいか、根強いファンも多いのです。
ウエブを巡って見ると、最近のウルトラライト系のバックパッカーやハイカーには何故かアルコールストーブが人気で、空き缶利用の自作派も多いようです。

そこで、いい歳をして流行に流され易い私の事ですから・・・『そろそろ、アルコールストーブ関連で何か作って見ようかなぁ~・・・』などと考えてみました。

とはいえ、皆がやっている空き缶ストーブでは面白くありません。
で・・・、市販の軽量アルコールストーブを使って工作してみることにしました。
購入したアルコールストーブはVARGOの“デカゴン”。
まるで弱そうな怪獣みたいな名前ですし、ガスストーブと同等な高価格の割には雑な造りで、シンプルで軽いだけが取り柄のストーブといった感じです。
無駄遣いかなあ?とも思いましたが、いつものように「チタン製」という言葉に負けてこのストーブを買ってしまいました。

V1

点火してみると、本体上部の突起部がゴトクとなってシェラカップ程度は乗せられるようですが、クッカーだと小さなものでも不安定で安心して乗せられたモノではありません。
しかも、炎が真横に噴き出すため小さなカップだと熱効率が悪そうです。
実際に500CCの水をクッカーに入れ点火してみましたが、満タンの8分目位のアルコールを入れたのに、約10分で沸騰前に燃料切れになってしまいました。
取り扱い説明書には「カップ2杯の水を5~6分で沸騰できる」と記載があったのですが・・・?
また、5~6分とは点火後2分程して炎が安定してからの話なのでしょうか?

そこで早速改造です!
まず直感的に本体の突起だけではクッカーの底とのクリアランスが不足するように感じましたので、専用のゴトクを作ることにしました。
0.8mm厚のチタン板を2枚画像(↓)のような形に切り、スリットを入れてX字形に組み合わせる構造にしましたが、これは、風に弱いアルコールストーブの耐風性を向上させようとの意図もあります。

V15   V2

2枚のゴトクは、本体上部の3箇所の突起と干渉するため、正直角には交わりませんが実用上はまったく問題にはならないでしょう(画像↓㊧)。

さらに、炎の向きを上に向けるため、本体上部にある24個ある小さな火口に細い鋼線を挿して上向きにこじって小さなハンマーで軽く叩き、炎の噴き出す角度を上向に変えました(画像↓㊨)。

V3    V35

これである程度の大きさのクッカーでも安定して乗せられるようになりましたし、炎もクッカーの底に上手く当たっているようです。

この状態で、15cmのチタンクッカーに500cc・20℃の水を入れ、炎の安定したストーブに載せたところ、オリジナルの状態よりはずいぶん改善したような印象でしたが、それでも9分で軽く沸騰したまま、燃料切れで消火するまで、グラグラと沸き立つような状態にはなりませんでした。
ゴトクの高さが足りないのかも知れませんが、本当に説明書にあるように「カップ2杯の水が5~6分で・・・」なんでしょうかね?

V4

どなたかアルコールストーブに詳しい方のご意見を伺いたいところです。

(現在、このアルコールストーブとジェットボイルを組み合わせた下の画像のようなモノを試作・試験中です・・・近日公開予定ですので、乞う御期待!)

Js1

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2008年10月16日 (木)

焚火の着火剤・重要な補足情報

便利度 :☆☆☆☆☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :☆☆☆☆☆
危険度 :★★★☆☆
(残念ながら、古くなった場合はこんな評価ですね)


以前の記事でロゴス製の着火剤について、下記のように絶賛しました。

『それは、“ロゴス”という量販店向きのキャンプ用品を作っているメーカーの固形着火剤なのですが、火力も十分で炎の持続時間も長く、半分に切って使用しても焚き火の着火には十分な能力を持っています。
また、水がかかっても消えない程の火力を持っていますので、少々の雨の中でも短時間で焚き火を熾すことができそうです。
これも自信をもってお薦めできる製品です。』


Fire
(㊧ロゴスの固形着火剤、㊨小袋入りジェル状着火剤)

確かに、この着火剤は素晴らしい能力を持っていることは確認済みですが・・・・・・。
しかし、この着火剤にも致命的な欠点があったのです。(もっと早く記事で公表すればよかったのですが、忘れていて遅くなってしまいました、スミマセン・・・)

それは、古くなると乾燥してスカスカのラムネ菓子のようになって、焚火の着火どころか着火剤自身にすら全く火が着かなくなってしまうのです。

Fire1
(このようにスカスカに乾燥してしまうと点火すらできない)

そういえば、この着火剤のパッケージはブリスターパックの上面にアルミ箔を貼った状態で密封されていましたが、これは固化させた燃焼成分の蒸発を防ぐためだったようです。
“メタ”や“エスビット”などの従来の固形燃料がむき出しで置いておいても着火能力の低下が少ないのに対し、このロゴスの着火剤は比較的急速に能力の低下が起こるということなのでしょう。

この状態のままでしたら着火能力も2~3年位は十分保たれるのでしょうが、山に持っていくとなると1パックづつ切り離して小物袋に入れザックに放り込むわけですが、ザックの中で揉まれているうちにパッケージのアルミ箔に穴が開き、そこから揮発成分が蒸発してしまうようです。
知らずに山に持っていったら、火が着かない着火剤だった、というのも洒落になりませんから・・・・私は今シーズン初めからこの製品の使用をやめ、以前使用していた小袋入りのジェル状着火剤を再び使用することにしています。

Fire2
(やはり定番はこのジェル状着火剤でしょう!)

自分で薦めておいて申し訳ありませんが、この着火剤をご使用の方は事前に実際に火が着くかテストする必要がありそうです。


〈 余談ですが・・・『焚き火・考』 〉

以前の記事の「余談」で、私が沢で焚き火をすることについての私なりの釈明を述べました。
また、僭越ですが、私たちが自然の中で遊ばせてもらうためには、私たちが知的動物であるなら他の全ての生物の目で・・・、また私たちが社会的動物であるなら、社会の中で他者の評価という目で・・・、自己を客体視し己の行為の及ぼす影響に対しての規範性が個々に求められるのではないかと言うような事を述べました。

“万事アバウト主義”の私が、何故こんな堅苦しい話をするのかというと・・・。
それは、近年アウトドア系のメディアに焚き火の楽しさが度々紹介されたり、最近では山の老舗雑誌『岳人(9月号)』に尾根上の幕営時に焚き火を使用する記録が写真入で堂々と(?)紹介されていたことについて、これは少々問題かな?、と考えさせられたものですから、敢えて『雑音』を発信させていただいた、というのがその理由です。(『G』誌では焚火に批判的な意見を“雑音”と切り捨てています)
しかも、自ら“焚き火好き”を公言し、ブログに焚き火の写真や着火剤について紹介している関係で、私にも発言する責任が生じてしまったと言うことですね。

一つだけハッキリしていることは、アウトドア系の雑誌で採りあげる“焚き火”は管理されたキャンプサイトでのそれがテーマになっており、上記の某山岳雑誌『G』に掲載された記録は、サバイバル登山の第一人者 氏が、その経験に基づき氏なりの判断基準で責任を持って管理した上での焚き火だと言うことです。
法的な部分はいざ知らず、私個人としては、この山岳雑誌の記事にある、個別の“行為”に関しては格段に大きな異議を挟むものではありません(当然小さな異議はあります・・・!)、しかしこれを影響の大きい媒体に載せるかどうかとなると話は別だと思います。
私としては影響の大きさを考慮すれば、記事のこの部分は当然ボツにすべきだったと考えています。
焚き火は「こそこそ隠れて」、「痕跡を残さぬように」、「遠慮がちに」行う“日陰者”で良いんじゃぁないでしょうか?少なくても私はそう思っています。

以前、山のルール(?)は変遷すると述べましたが、戦前では森林限界を超えた場所でも登山者が焚き火で煮炊きすることは常識でした。旧制高校時代の先輩の話を伺うと今の常識に照らせば、当時はずいぶん無茶な事をしていたようです。

しかし、時は流れ昨今は中高年登山ブームの影響もあってか、日本百名山は言うに及ばず全国の美しく興味深い山域は慢性的オーバーユース状態ですし、混雑を嫌った登山者は、いきおいマイナーで人の居ない山域にまで足を広げるようになっています。
したがって、現代においては、少なくても環境へのインパクトの大きい林間や植生のある場所場所での焚き火は基本的にルール違反と考えるのが妥当だと思うのです。

こんな事は言いたくないのですが・・・、若い時に山岳会や大学の山岳部等で山のベテランとの山行を通じて、技術のみでなく精神的な部分までを体系的に学んだ中高年の方は問題無いのですが、中高年になってから突然登山を始められた方の中には、残念ながら山の中で、若い人よりも傍若無人な振る舞いをする方も多いようです。(まあ、若い方でもローインパクトに関心の無い場合は同じかもしれませんが・・・)
閑と金に物を言わせて結構なバリエーションルートをこなす程の年配者(別名をプロガイドの金ズル?とも言います)の中にさえ、私の目から見ても非常識だな、と感じる方が少なくありません。

バナナの皮を谷に放り投げるなどまだマシなほうで、コンクリートの土間とはいえ避難小屋の中までアイゼンで入り込んだり、酷い例では雪で半分埋まった山小屋のトタン屋根の上までアイゼンのまま歩いていって写真を撮っていた中高年の方も実際に目撃しています。

また、渓の中でも、岩魚の大量虐殺にしか興味を持たない源流釣り集団のあまりにも酷い野営の痕跡を目にすると怒りさえこみ上がってきます。(「自分を棚に上げて」と言われるかな・・・?)
彼らも話すと楽しい同年代のオッサン達で悪人には見えないんですが・・・。

山のルール以前に“いい大人”なのに自分の行為がどのような結果をもたらすか、という常識的な想像力すら働かないのでしょうか?・・・それとも、年齢を重ねていても、「面倒だから、誰も見ていないから(見ていても?)、楽しいから、楽だから・・・」、を常識よりも優先させてしまうのでしょうか?

私自身は“山登り”が本来的に自由なものであるべきだと考えていますし、個が「束縛からの解放」や「欲望の充足」を求める事自体を否定するものではありません。
しかし、かと言って、自らを束縛から解き放ち、欲望を満たすことだけが本当の“自由”を手に入れる途だとも私は考えません。
私は、「“自分の欲望”(本能?)に正直な行為」と、「“自分”(理性)に正直な行為」とではたぶん正反対の結果をもたらすと考えています。


これが私たちの大好きな“山”という遊び場を共有する人達の多様性の現実なのです・・・。
雑誌が焚き火の楽しさをを紹介すれば、何処ででも誰にでも許されるのかと勘違いした誰かが何処かで真似をし、私が「焚き火は楽しい」と書けば別の誰かが何処かで真似をします。
そして、その焚き火の跡を見た誰かが何処かで真似て焚き火をし、其処で楽しさを味わった登山者はまた別のところで焚き火をする・・・。

高速道路入り口付近の緑地帯に散乱する大量のゴミだって、最初の誰かがゴミを捨てなければ別の景色になっていたかもしれません・・・。

 ・・・これは明らかに悪循環の連鎖反応を引き起こしそうです、そうなったら私も少なからず良心の呵責を感じざるを得ませんし、下手をすると私も大好きな焚き火を自粛せざるを得なくなりそうですから・・・。

さて、小うるさい大人にはなりたくないと思っていた私が、先輩気取りで説教臭い『雑音』を述べていたら、いささか気分が悪くなりましたので、口直しに、私の好きな詩を紹介します。

なんでもない詩ですが、山の中で寝ころんでいると不思議とこの詩を思い出します。
そして、何だか“自然”にあたたかく抱きとられているような幸せと感謝を感じ、涙が溢れるのです。
皆がこんな感覚を持ってくれたら、山はもっと楽しいところになるんでしょうね。

「お日ひさん、雨さん」 金子みすゞ

ほこりのついた
しば草を
雨さんあらって
くれました。

あらってぬれた
しば草を
お日さんほして
くれました。

こうしてわたしが
ねころんで
空をみるのに
よいように。

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2008年10月 9日 (木)

“山屋”なら“ツェルト”でいきましょう!②

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(自立式のテントのほうが快適で設営も簡単ですが・・・)


Zelt3  

【“山屋”なら“ツェルト”でいきましょう!①】からの続きです。

石井スポーツの“ゴアライト ツェルト”はかなりの優れものなのですが、基本はあくまで緊急用のツェルトですから、軽量テントとして使用するとなると当然のように不足する機能も多々あります。

まず、トレッキングポールや流木をポール代わりに使用して簡単・確実に設営できるようなパーツを作ってみました。
ナイロンテープをクロスさせて縫い(画像↓㊧)、2ミリのダイニーマロープと組み合わせ、トレッキングポールのグリップや流木の末端に被せるだけでしっかり張り綱を固定できるようにしました(画像↓㊥)。
このパーツはツェルトだけでなく、シェルターやタープの設営にも便利ですから皆さんも作ってみてがいかがでしょうか?

さらに、テントのリッジに直接張り綱のテンションがかからない様なシステムとしました(画像↓㊨)。
また、張り綱は総てΦ2mmのダイニーマロープにして軽量化を図りました。(詳細は画像をご覧ください)

Misinn1  Zelt_2  Zelt

また、ツェルトは非常時に被れるように、結んだ紐を解くと底がフルオープンするようになっていますがこれではテントとして使用する場合問題がありますので、後半の部分の底をミシンで縫ってしまいました。

次にベンチレターにモスキートネットを取り付けることにました。
ネットの素材は激安バーゲンで購入したキャンプ用の蚊帳です。
画像のようにネットを円筒状に縫い、ベンチレターの巾着部分にミシンで縫い付けました。
ネット自体も細引きで巾着状に絞れるようにして、ネットが不要なときは完全に開放することも可能なようにしましてあります(画像↓)。

Zelt_1

実際に使用した結果ですが・・・、このツェルトのベンチレター自体が構造的に垂れ下がってしまうため元々換気効率が非常に悪いのに、さらにネットを取り付けたためネットを閉じてしまうと換気が頗る悪くなりました。
まだまだ工夫が必要のようですが、現在のところ本体の巾着部分1周にラケットのガットを通して円筒形状を維持させ、上部で吊って通気性を確保できるようにしようと考えています。

さて、ツェルトといえばはかなり古典的な山道具の典型かもしれませんが、工夫次第ではテントと同様に快適ですし、現代でも立派に通用する、快適な先鋭的ウルトラライトアイテムとして復活する可能性もゼロではないかもしれませんよ・・・?


※(わが国では緊急用の簡易テントをツェルトと呼び習わしていますが、ドイツ語で単に"Zelt"と言うと普通のテントという意味になってしまうそうで、この種の製品は正しくはツェルトザック(Zeltsack)と言わなければならないそうです・・・)


〈余談ですが・・・『熊さん対策』〉

最近、山野井さんの事件もあってか、登山における『熊』対策について話題となっていますが、この件についての私見を述べてみたいと思います。

結論から言うと、『熊』をあなどってはならないということです。

伝聞や過去の経験から、高を括っったり妙な自信を持っている方も多いようですが、私達の性格に個性があるのと同様『人も色々・熊も色々』だと考えたほうが良さそうです。『“熊”とはこういうものだ』とステロタイプ化するのは明らかに危険な誤りだと思うのです。

まずは“福岡大学ワンダーフォーゲル部の日高における事故”をクリックしてご一読ください。(その他、検索すればこの事故についての記述は多いと思いますし、古いですがサンケベツの惨劇の記録なども、合わせてご覧ください)
福岡大の事故は私が大学山岳部現役在籍中の事件で、当時大変ショックを受けたことを今でも鮮明に覚えています。
これらをご覧なれば私が冒頭に述べた結論にご納得いただけると思います。

「熊に鉈で立ち向かって命拾いした」話も実話なのでしょうが、熊と間合いを詰めた勝負をしても、まず勝ち目はありません。ヒグマだけでなく月の輪熊でもです。
以前お話しを伺った鉄砲撃ちの方の表現では熊の前足の攻撃は、「バットの先に漬物石を縛りつけて、それに手鉤を5本縛り付けて、それでフルスイングで殴られるような・・・」だそうです。

(まあ、鉄砲撃ちの方の多くは(?)話の相手が若造や素人だと見切ると突然ミュンヒハウゼン男爵と化し、脚色過多の武勇伝や、「お前だけに教えてやるが・・・」系の楽しい話をたくさん聞かせてくれます。しかし、これらの話はあまり参考にしないほうが身のためです。彼らは30-06ライフルやスラッグ弾専用銃などという民生用では我が国で最も強力な武器を携えているから強がりも言えるのでしょうが、私たちは丸腰なんですから・・・。)

また牙での噛付き攻撃の方も猛烈そうです。
関東の美渓ナルミズ沢の入渓路にある、宝川温泉・汪泉閣は人気の温泉宿です。
この温泉には月の輪熊が数頭飼われており、温泉客は檻を挟んで熊と至近距離で対面し、餌を投げ入れることができます。
そして、桃の収穫時期になると落果した出荷できない桃を熊に与えられるよう檻の脇に置いてあるのですが・・・、桃を投げ入れたとたん、彼らは桃に喰らい付き、あの硬い桃の種をまるで麩菓子のようにバリバリと何も無かった様に噛み砕いて丸ごと飲み込んでしまうのです。月の輪熊ですらこんな感じです、北海道のヒグマだったらたぶん人間の頭の骨など簡単に噛み砕いてしまうでしょうね。
よい温泉ですし、日帰り入浴もできますので山の帰りにでも寄って、熊と至近距離で向き合い餌をやるのも良い経験だと思います。(山の帰りに汗を流すには高額ですが・・・)
平湯の熊牧場(画像↓)なんかよりよっぽどリアルな熊体験ができますよ。オススメです!

Kumabokuzyou

さて、「熊に鉈一丁で勝てた」などというのは事実であっても、それは「熊は自分の胸元まで手が届かないから、いざとなったら抱きついてナガサで一突き・・・」、などという机上論と同じで、偶然生き残った方の幸運なレアケースだと思います。だって、熊に襲われた老人が夢中で突き出した手が熊の咽まで入り、呼吸ができなくなった熊が堪らず退散した、という実話があるからといって、何時でも都合よく手を伸ばした先に熊が口を空けて待っていてくれるとは限りませんよね。

これらの話は、熊スプレーなど無かった昔や、熊スプレーを携行しない圧倒的多数の山仕事の方の武勇伝であって、もし、熊と対峙して鉈を抜いて身構える時間と間合いが有るなら、熊スプレーを使用した方が熊の攻撃を中断させるのに圧倒的に有効だと思います。

また、熊スプレーの残留液に興味を示し舐める熊が居るという話ですが、これはスプレーの効果が無いということではありません。スプレーは熊の目と敏感な鼻の粘膜に強烈な痛みを与え攻撃を止めさせるのです。
熊スプレーの主成分は唐辛子のカプサシンですが・・・、人間だってウドンや蕎麦には唐辛子をかけて美味しく頂きますが、唐辛子を目に擦り込んだり鼻から吸い込むのが好きな馬鹿はいませんよね。

また、「向かい風だとスプレーの効果に・・・」という問題ですが、これは確かに噴射した人間の方にもかなりの影響があるかもしれません。いや、かなりあるでしょう。
私も一度有効期限切れの熊スプレーを捨てるため、河原の葦原で全量噴射してみたことがあります。
その経験では、名前こそスプレーと言っていますが、実際には霧ではなく“勢いの強い水鉄砲”と言った感じで5メートル以上飛び、いわゆる殺虫剤のスプレーのように霧状に拡散したり風で流れたりと言う感じではありませんでした。(もちろん風下に向けましたが、それでも『これは強烈に凄いな!』と熊に同情したくなった程ですから、携行や保管には工夫が必要です
向かい風だと人間もかなり辛い思いをするかもしれませんが、熊に殺られるよりはましだと思うしかないでしょう。

そこで、私は沢にノコギリは持って行っても、熊と戦えるような大型の刃物は持って行きません。
その代わり、熊との遭遇が予想される沢には、北米のグリズリー王国の住人に『ベアアタックの90パーセントを阻止できる・・・』と控えめ(?)にその効能を認められている“熊スプレー”をホルスターに入れて持参しています。(正直な話、多くの場合ザックの雨蓋の中にある場合が多く、一昨年葛根田川で熊に遇った時もかなり慌てました。反省!!)

もちろん、出会い頭の遭遇では何が起きるかわかりませんが、距離があったら敵意が無い事を示し(どうやってだ?)熊スプレーの安全ピンを外しながら、ゆっくり後退するしかないでしょう。
嘘だか本当だか知りませんが、熊は100メートルを7秒台で走るそうですから、攻撃する意思のある熊だったら走って逃げたって結果は明らかですよね。

いずれにしろ、突然向かってこられても勝ち目はありませんので、そうならない為に私はヤバそうなエリアでは熊鈴(沢だったらガチャ)で常時金属音を立て、時々奇声を発したりホイッスルを吹いたりして、相手(熊)にこちらの存在を認識させ、熊に遠ざかってもらうようにしています。

また、沢での野営の場合も、焚火などで煙や臭いを立てたり、ラジオを鳴らしたりして人間の存在を知ってもらうようにしています。
仮に野営地が特定の熊のテリトリーで、しかも熊の巡回路の近くであれば、如何に上手に気配を消したつもりでいても、彼らには遠くからでも人間の存在が判ってしまうそうです。
私のは、彼らが気が付くより早めにこちらから気が付かせてあげて、それで退散してくれるであろう大半の熊に近寄らないでもらおうと言う作戦ですね。

だけど・・・、逆にそれが自分のテリトリーへの侵入者を排除したいと感じる熊や、その食料に興味を持ってしまう性格の熊だったら・・・逆効果ですかね?。
まあ、テントの周りまで近づいて来たら・・・。熊スプレーを構えて大声を上げながら退散してくれるのを待ちつつ、震えながら成り行きを見守るしかないでしょう(涙)。

最後まで読ませてからでは申し訳ないのですが・・・。こんな雑文を読むより“ココ” (盛岡のOUTBACKさんのサイト)をご覧になった方が為にになりますので是非ご一読ください。

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2008年10月 2日 (木)

“マイクロマックスUL”のウインドシールド(超軽・改良型)

便利度 :★★★★★
工作度 :★★★★☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★★☆☆☆
(改造は自己責任で!)


先にスノーピークの“マイクロマックスUL”のチタン製ウインドシールド作製の記事を書きましたが、今回その改良型を作りましたのでご紹介します。

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(1号機㊧、と改良型の2号機㊨・縁の部分の高さに注目)

前回のウインドシールドは、丈夫な造りではありましたが、軽いとはいえストーブ本体よりも重くなってしまいましたし、また縁の部分が高すぎて大き過ぎるクッカーだと炎の逃げ場が塞がってしまうという問題もありました。

今回はその問題を総てクリアーしたウインドシールドを目指して設計に取り組んでみました。
まず、軽量化のために取り付け部の四角い1mm厚チタンプレートを省略しストーブ直付けとし、縁の高さも低くカットすることにしました。
素材は既製品のチタンクッカーの蓋ですから、こちらが希望する高さに調節するためにはどうしてもカットせざるを得ないのですが、問題は縁をカットした切断面をどうするかということです。
素材となったクッカーの蓋の縁はプレスでカールさせてありますが、素人ではとてもそんな加工はできませんし、かと言って0.4ミリの薄板の切りっ放しでは強度的に弱く簡単に変形してしまいそうです。
そこで、板金加工で縁を幅4ミリ程内側に折り返し二重にする事にしました。

理屈は簡単ですが、板金などやったことがない素人がいきなり難加工材のチタンを相手にするのはかなり無謀な試みであることは確かです。
しかし、乗りかかった舟ですからアマチュアの特権「駄目で元々」精神でチャレンジすることとなりました。

まず希望する縁の高さに折り返し代の幅を加えた高さに一周をカットします。
次に、全体を熱して焼き戻しを行い、折込む高さに加工した自作の当て金を内側に当てて外側からプラスチックハンマーで叩いて折り筋を入れ、徐々に全周を内側に折り込んでいくのですが・・・そこは、やはり素人の悲しさで、注意して作業してもどうしても直線にはならず苦労しました。

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とはいえ、折り返した部分を金床と板金ハンマーでイジメて馴染ませたら不細工とはいえ何とか縁の部分の強度は出たようです(画像↑)。
また、判っていたことではありますが、加工に際しバーナーで焼き戻しをしたら、全体がチタン特有の焼け変色を起こしました。

(チタンの焼けはサンドペーパーで擦ったぐらいでは簡単に落ちません。どなたか簡単にチタンの焼けを取る方法をご存知でしたら教えてください)


後は、前回同様サークルカッターでストーブのゴトクに刻んだスリットと組み合わさる円形の穴をあければ完成です。
テストした限りでは(外観を除けば!)理想的なウインドシールドだと太鼓判を押せるほどの性能だと思います。
そして、重量も34gと前作の約半分となりましたから、この世界最軽量のストーブのパートナーとしては最適ではないでしょうか。

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戸外でストーブを使う場合、ウインドシールドの有無が沸騰時間に大きな差をつけます。
かと言ってストーブ全体を覆う折りたたみ式やMSRのようなアルミホイル製のものは重く嵩張りますし、手軽ではありません。
その点このタイプの物は、セッティングも簡単でありながら十分な効果が得られますから、省エネの観点からも是非お勧めしたい改造だと思います。

(なお、現在更なる改良型が完成していますので、追ってご紹介します)


(余談ですが・・・)

このストーブにも“ウルトラライト”という名称が冠されていますが、私も最近のウルトラライト・ブームにはかなり毒されているようで・・・、「ウルトラライト」とか「クラス最軽量」などというキャッチコピーに、ほいほい乗せられてしまいます。(まぁ、以前からチタンだとかカーボンなどという言葉に弱かったのですが・・・)

しかし、最近つい衝動買いしてしまった(使用頻度の低いであろう)軽量山道具を前に、ふと考えたことがあります。
それは、私の登山にとってウルトラライトという方向性は、はたしてどのような意味を持つのか?ということです。

私の場合は、年齢からくる体力の低下やあちこちガタの来た骨格をカバーする、というのが主目的なのかもしれませんが、同時に自身が反省しているのは、装備の進化に甘えて“担げる躰”を維持するトレーニングを怠っているのではないかという事です。
沢などで装備を省略できず、必要に迫られて重荷を背負わなくてはならなかった時、特ににこれを感じてしまうのです。歳なのだからしょうがない、とも思うのですが・・・。

そもそも、“ウルトラライト(=「超」のつく程の軽量化)”とは長期山行やロングトレイルを“無補給”“ノー・デポ”で歩き通す必要から、「その目的のためなら、寝る・食うは多少不自由でも我慢しよう・・・」というところがルーツであって、「ただ、楽をしよう・・・」ではなかった筈です。
そんな気概を持ってロングトレイルに挑戦する人のバックパックは、旅の前半には食料や燃料でパンパンに膨れ、ウルトラライトどころか、肩にズッシリ負荷を掛けているはずです。

また、通常は3日以上掛かるようなコースを1昼夜で駆け抜けるようなトレラン的登山を志すアスリートにとっての“ウルトラライト”とは、限界まで身体を鍛えあげたた上で、更なる高みを目指すための残された唯一の選択肢としてのそれなのでしょう。

つまり、“超”軽量化の前提として、それは『己の目的を実現する手段であって・それ自体が目的ではない』という事を忘れてはならないと思うのです。

私もこのブログの記事では、「○×gの軽量化!」などと大騒ぎし、『軽量道具自慢』を発信している張本人なので大きな口はたたけないのですが、本音を言えば、私はこのウルトラライト志向自体が自己目的化してしまうと、私自身の中で、山登りという遊びが本来の楽しみ(食う・寝る・遊ぶ)を失ってしまうのでは・・・とも、危惧しているのです。

さらに、冗談半ばで極論すれば、1~2泊の山行にウルトラライトな装備を駆使するのは、5.9のラインをボルトラダーで攀るような行為に等しいかもしれないのです。

逆説的ではありますが・・・軽量化でロングトレイル踏破を目指す、真のウルトラライト志向のバックパッカーは、寧ろ普通の山行ではザックに石でも詰めて足腰を鍛えるのが本筋なのかも知れませんよ~。

な~んちゃって!
肩の凝る精神論は「閑話休題」。

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