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2009年4月14日 (火)

“Dynafit-TLT/Comfort”の破損(欠陥?)対策④

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆


「“Dynafit-TLT/Comfort”の破損(欠陥?)対策③」からの続きです。

前回までの記事で“TLT/Comfort”の一部のベースプレートに、通常の使用で突然破損する恐れのある製品が存在する事はご理解いただけたと思います。(画像↓)

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最終回の今回は、この問題が発生した過程と対策についてまとめてみましょう。

●はじめに、この問題の遠因について記しておきます。
その遠因とは、“旧・TLT”の発展型として“TLT/Comfort”がラインナップに加わった時点で、ブーツソールとスキー板のトップシートまでの設計上の間隔が、“旧・TLT”よりも数ミリ大きくなった、つまりいわゆる「下駄を履かせた」状態になったことにあるようです。(この間“Tri-step”というモデルも短期間存在しましたが、構造な欠陥があり即廃番になりましたので敢えて取り上げません)

この設計変更の理由は、カービングスキーの操作性向上のためと言う一面もあるのでしょうが、主としては、”TLT/Comfort”が“旧・TLT”では無理やり取り付けていた感もあるスキーブレーキを、無加工で取り付けられるように設計を見直したからだと思われます。

そのため、“旧・TLT”のベースプレートが現行の“Speed”や“Race”と同じ型の、スキーのトップシートと密着する薄手のソリッドプラスチック製であったのに対し、“TLT/Comfort”になった時点でリフトアップされたヒールピースに対応して、トーピースも数ミリ分高くする必要が生じ、その結果(厚くなったベースプレートをソリッドで作ると重くなりますから・・・)スキーのトップシートとの間に空洞のあるベースプレートにせざるを得なくなったということです。(Vertical-FT はトップカバーの下にシンプルなソリッドのベースプレートを使用していますが、カバーの無いVertical-ST やComfort-TLT にも、見栄えは悪くてもFTと同じベースプレートを使いたいと思っているのは私だけでしょうか・・・?)

そして、今回問題となった破損の恐れの有るベースプレートについては、その空洞部分の補強が何故か十分でなく、素材の強度に応じた構造になっていなかったわけです。



●さて、今回は問題のある“TLT/Comfort”から破損の危険性を取り除く具体的な方法の一例をご紹介します。


【最終確認】

ご使用中の“TLT/Comfort”が不幸にして破損の可能性が高いロットのものと判断された場合ですが、まずは片方のト-ピースを外して見ましょう。

PZ3のドライバーを使って慎重に一気にビスを緩めます。ビスをエポキシ接着剤で固めている場合はハンダ鏝でビスの頭を熱すると緩め易くなります。

前端のビスにワッシャーがはまっていたら(画像↓)確実に該当品ですから、両方ともトーピースを取り外しましょう。

Wa2_2

③でワッシャーの無かった場合は外したベースプレートの裏を確認しましょう。補強が縦のリブのみでしたら該当品です、両方ともトーピースを取り外しましょう。

Bp_ura4_2
(この状態だったら対象品です)

縦横十字のリブで補強が入っていたら問題は無いので、再びビンディングを取り付けなおしセンター合わせをして完了です。

補強が縦のリブのみでしたら・・・、残念ながら該当品です。以下の方法で補強をすると安心です。


【補強方法の一例】

ベースプレートの裏側にラップを被せ、エポキシパテを十分混合し適当な大きさと形状にしてロックレバーに押される裏側の部分にやや盛り上がり気味に押し付けて配置する。(ラップを使うのは、後で取り外して整形できるようにパテとベースプレートの間に離型のためのクリアランスを確保するためです。固まる前のパテの硬化剤などがベースプレートの素材に影響しないかは未知数ですが、見栄えと僅かな重さを気にしなければ 直接パテを盛っても良いかもしれません。)

Pute  Ponb
(エポキシパテ㊧を混合しベースプレートの裏に配置する㊨)

Gf
(↑私は補強のためグラスファイバーの短繊維をパテに練込みきましたが普通はその必要も無いでしょう)


パテを置いたベースプレートをラップを敷いた平滑で丈夫な金属板や厚目のガラス板などに当て、Cクランプ等でプレスしておく。(ベースプレートは少し反っているのでこうしておかないとスキーに取り付けたときの状態にならない)

Cl  Clup
(ビス穴の部分にカイモノを当ててCクランプでプレスしておく)

パテの硬化を待って取り外すとプレート裏側の凹凸形状ぴったりの補強ブロックができる。

できたら最小限の大きさにカッターやヤスリなどで形良く成型しまでしょう。(画像↓)
このままだと5グラム程度ですが、もう少し小さく削れば3グラム位までの軽量化は可能だと思います。

Imgp3389

このブロックをベースプレートの裏に戻しますが、その時に両者の凹凸のディテールを埋めるためシリコン系接着剤を裏の溝の部分に少しだけ塗っておくのも良いでしょう。


スキーにトーピースを再取り付けすれば完成ですが、その際には以前の当ブログの記事を参照してセンタリングを確実に行ってください。
なお、ワッシャーを取り外したのとベースプレートが撓まなくなった分、ロックレバーを起こす動作は固くなります。




【破損した場合の応急対策について】

不幸にして登行中に突然ベースプレートが破損して取れてしまったら・・・。
考えられる対策は2つでしょう。

外れてしまったプレートを探してガムテープ作戦で取り敢えず板に固定し、ロックレバーを起こし押さえて固定する。

プレートが飛んで行って見つからなければ、ザックの中を探して同じような厚さのものを見つけるか、木の枝を同じ厚さに輪切りにするなどして、ガムテープで固定しロックレバーが下がらないようにする。

いずれにしろ以上のような方法で山頂までたどり着けば、滑降時にはロックレバーは(特別な場合を除き)プレートの破損とは関係ありませんので降りはそれなりに楽しめるはずです。


さあ、これで安心して山スキーツアーに行けるようになりました。めでたしめでたし!!


●さて、「自分のは“TLT/Comfort”でなく“Vertical”だから安心だ!」と思った方には申し訳ないのですが・・・、実は06-07と07-08の“Vertical”にもヒールピースの樹脂部分に問題があるのです。(08-09からVerticalのクライミングサポート支持部にC断面スプリングピンが追加されたのにお気づきの方も多いと思います)

欠点ばかり論ってもなんですが・・・、ご希望があればこの点についても、問題点の指摘と対策を公開しようと思っています。

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コメント

理事長さん、おはようございます。
4回にわたる詳細な内容お疲れ様でした。
破損したその場ではなかなか見当たらない対処法ですが的確な対策までありがとうございます。
TLT自体はシンプルかつ頑丈で非常に素晴らしいものと思いますのでメーカーにもきちんとした対応を望みたいですね。
G3からクイックリリースタイプが出たようですがいかんせん重さが・・・。
今後はリリースの容易度を上げるためのヒールプレートの改良を望みたいところです。
これからも素晴らしい情報宜しくお願いいたします。

by山滑兎

投稿: Taki | 2009年4月16日 (木) 07時42分

山滑兎さん、こんにちは。
本当にTLTは欠点まで魅力に感じてしまう不思議な道具です。
私も使い初めは、粉雪まみれでトーピースのピンがなかなか入らず、二度と使うもんかと思ったこともありますが・・・、数年後の今もまだ使ってますから。
ここまで爪先を入れて踏み込めばOK、みたいな爪先ストッパーは付くようにはできないんでしょうかね(笑)。

しかし、最近のDynafitはプラスチックの材質も確実に悪くなっています。
お気付きかもしれませんが、モールドする時の融けたプラスチックの流れた波模様みたいなのが表面から確認できると思います。以前はこのような状態ではありませんでしたからね。
山滑兎さんの割れたプレートもこのモールドの波模様の線から破壊が始まっているように見えるのですが・・・。
では、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: 理事長 | 2009年4月16日 (木) 08時40分

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