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2010年1月 7日 (木)

携行型の浄水器を山で使う

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★☆☆☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(今回ご紹介するMSR/ハイパーフロー・マイクロフィルターは現在輸入許可が下りず、メンテナンスも不可能なため、現状では残念ながら推薦できません)


我が国の通常の登山では浄水器が必要と感じる場面にはあまり出会いません。
池塘の水を飲用に使う場合でも度胸(?)さえあれば手拭いで濾過する程度で概ねOKです。(・・・とは言え、大昔ですが私も“間山のテン場”で生水を飲んでかなり酷い目に遭いましたので“概ねOK”とも言えないのですが・・・)
心配なら次亜塩素酸系の殺菌・浄水剤を添加するか、それでも不安なら煮沸すれば特に問題は生じないからです
しかし実際問題として、すぐに水を飲みたい時に浄水剤を加えて10~30分待つのもかったるいですし、ましてやその都度煮沸するというのも現実的ではありません。
そんな時に重宝なのがMSR製などの携帯型浄水器です。

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(北海道ではきれいな流水でも油断は禁物?

また、本州では沢の流水は直接飲用に用いてもまず問題はありませんが、こと北海道となると話はまったく別になります。
現地の山屋の中にも『沢の水や融雪水は全く問題無いべ!』、『濾過するにしてもコーヒーフィルターで十分っしょ!』、『内地の人はなまら神経質だわ!』と断言する方もいますが、私はきれいな沢の水でもエキノコックスの存在を考えると沸騰させる水以外は必ず浄水器で処理してから飲用するようにしています。
私も以前はそれ程気にはしていなかったのですが、エキノコックス症について知識を得た現在は少々神経質になってしまったようです。
また、沢の水以上に藪漕ぎなど汚れた手をそのままにしておく事のほうがよっぽど危険らしく、頻繁に手や手袋を洗うことも有効な防除手段だとも聞きました。

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(北海道の林道で頻繁に出会う可愛いキタキツネ、しかしこいつの居る場所はエキノコックス危険地帯でもある)

さて、現在私はMSRの“ウオーターワークス EX“と”ハイパーフロー・マイクロフィルター”、それから“マイオックス”という殺菌・浄水剤生成器を所有しています。

ウオーターワークス EXはセラミックと逆浸透膜の2段濾過のできる最強の浄水器ですがコストの関係で現在は製造されてませんし、500gと少々重いのが気になります。(現在もセラミック・フィルターのみのミニワークスEX は入手可能)

それに対し”ハイパーフロー・マイクロフィルター”は290gと軽量コンパクトでストレスを感じずに山に持っていくことができます。(残念ながら現在国内販売停止中→後述)

また“マイオックス”はインド旅行の時に購入しました。キット一式で190g以下と軽いのですが、使用は意外と面倒で、それ以後山では使用していません。
数日以内の登山で、プール臭い水でも病気になるよりはましだと考えるなら、“ピュア”などの市販の浄水剤を持参した方が、マイオックスを使うより簡単だと思います。
早い話が、マイオックスも塩水を電気分解して次亜塩素酸系の殺菌成分を生成するだけなのですからね。

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(㊧“ウオーターワークス EX“、㊥”ハイパーフロー・マイクロフィイルター”、㊨“マイオックス”)


(参考)

オーヤラックスの“ピュア”など市販の浄水剤は登山用品店や海外旅行用品店で購入できますが、薬品原価を考えると恐ろしく割高です。

食品加工場に知り合いがいたら清掃・消毒用の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を100CC 程分けてもらえば暫くは(有効期限は一年とされますが、緊急時の対応として一年経ったら2倍、3年以降は3倍量を添加、という反則技を使えば数年は実使用も可能です)この種の薬剤を買わずに済むでしょう。
また、家庭用の塩素系漂白剤も次亜塩素酸ナトリウムが主成分ですから、殺菌・浄水にも使えそうな気がするかも知れませんが、通常は界面活性剤や水酸化ナトリウムなどが添加されていますので、浄水器のフィルターや水筒の内部を滅菌する程度なら問題無いとしても、飲用には不適だと思います。

・・・で、私が必要に応じて持って行くのはプール用の殺菌・消毒剤“バイゲンラックス”(画像↓)ですが、これも10%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液です。
一応医薬品として認められている薬剤なので、お勧めはしませんがあくまで自己責任の範囲でなら口に入れても問題はないと思います。
なお、これでしたら水1リットルに1~2滴混ぜるだけで飲用および浄水フィルターのバックフラッシュ(逆洗)ともに適当な濃度となりますが、残念ながらこの程度の塩素濃度ではエキノコックスまでは除去できないそうです。

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その他、UV照射式の浄水器などもあるようですが、使用条件を考えると国内では一般的なフィルター式の浄水器を選択する方が無難でしょう。
 
さて、これらのフィルター式浄水器を使用すれば誰でもその場で直ぐに安全な飲料水を得ることができるのですが、さらにチョット工夫するとより効率的に、安全な水を使うことができますので、私が前回の夏の北海道で試してみた方法をご紹介したいと思います。


MSRの“ウオーターワークス EX“と”ハイパーフロー・マイクロフィイルター”は自社製のハイドロメダリーバッグやナルゲンボトルの口部のネジに直接接続することを想定していますが、これらの容器は使い難かったり嵩張ったりしますので、私はナルゲンの“フォールディングカンティーン”という広口の水筒(画像↓)を使用してみました。
プラティパスより嵩張りますが不使用時は小さくたため、通常のナルゲンボトルを使用するより断然便利です。
(余談ですが・・・、この製品は冬のテントでPボトルとして使用するのにも最適ですし、防水コンテナの代用等いろいろ便利に使えますので1個持っていても損はありません)

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(ナルゲン・フォールディングカンティーンと、MSR ハイパーフロー・マイクロフィルター)


まずこのナルゲン・フォールディングカンティーンを浄水器に接続し浄水作業を行い(画像↓㊧)、その後この浄水を普通のプラティパスの水筒に移すのですが、”ハイパーフロー・マイクロフィイルター”の場合は浄水器本体のみ取り外し、アダプターをフォールディングカンティーンに取り付けたまま(画像↓㊨)プラティパス注ぎ移すとスムーズに作業ができます。

Msrhf2 Msrhf4_2


また、沸騰させる調理用の水は濁っていなければ浄水器で濾過する必要がないので上手く使い分ける方が能率的です。
しかし、同じプラティパスの水筒だと中身が同じ水だけに、どちらが濾過済みの水だか判らなくなってしまいます。
そこで、プラティパスの栓の部分に細引きで目印を付けて生水と濾過済みの直接飲用可の水筒と区別しておきました。
小さな工夫ですが、こうしておけば安全・安心ですし無駄な濾過を行わずに済み効率的でもあります。

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(赤い細引きは調理用の生水、青は浄水済みの飲用水と分けておいた)

さて、この山用として最適な
”MSR/ハイパーフロー・マイクロフィルター”ですが、中空糸膜をフィルターに使用したこの製品は軽いだけでなく、“ミニワークス”や“スゥィートウォーター”などのセラミックフィルター式の浄水器に比べ濾過速度が格段に早いのも特徴で、以下の事情が無ければ絶賛大推薦間違いなしの製品なのですが・・・。

しかし、海外では現在も購入可能なのに、国内では何故か今年から購入できなくなってしまいました。
代理店の通関申請が突然不受理となったためとの事ですが、困ったことに交換用のフィルター等のメンテナンスパーツも国内では入手できなくなってしまったのです。

原因は、どうも日本のお役人の杓子定規な法規運用のためのようです。
聞くところによると浄水器は輸入の際に「食器」の範疇に分類され、したがって食器と同じ基準の食品安全検査にパスしない限り輸入の許可が下りないのだそうです。
国民の健康と安全を守るための浄水器を、融通の利かない石頭的法規運用で輸入禁止にするなど、本末転倒のお役所主義には怒りさえおぼえますね。

代理店もMSR本社とこの馬鹿げた非関税障壁を乗り越える方策を協議し、一日も早い輸入再開を図ってもらいたいものです。
同じ樹脂とOリングを使った“ウオーターワークス ”がOKで“ハイパーフロー”がダメと言うのも説得力がありませんし、売りっぱなしで機能維持に必須の交換用フィルター等のメンテナンスパーツの供給をしてくれないというのも、この製品を供給した企業としての責任を果たしているとは言い難いと思います。

そんな事情がありますので、メンテナンス部品の安定供給などを考えますと、我が国での現在のベストバイ浄水器は、マイクロフィルターに次いで軽く、濾過速度もまずまずな“MSR/スゥィート・ウォーター”  か、“カタダインのハイカー”ということになると思います。

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