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2010年2月

2010年2月25日 (木)

“シンコウ・カンジキ”を山用に弄る②

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★☆☆☆☆
(改造は自己責任で!!!)


『“シンコウ・カンジキ”を山用に弄る①』からの続きです。

さて、SK-Ⅰの改造ですが・・・。

山用のワカンは、シッカリ固定されつつも、同時にある程度の遊びを持った柔軟な固定が理想です。
そこで、靴の前後の位置を安定するようにヒールに細引きのループを回し、踵の位置を決められるようにしました。
この部分の固定には通常の細引きとアイゼンバンド用の15mmのテープとスプリングバックルを使用しました。
なお、ヒール・ループは、画像のように強度に影響の無い部分に穴を明け、使用する靴の大体の大きさに合わせたロープを通しました。

またSK-Ⅰの土踏まずを乗せるサイドメンバーと靴の固定ですが、当初はこの部分にもアイゼンバンド用の15mmのテープとスプリングバックルを使用していました。(画像↓)

Imgp4062
(ウレタンベルト固定に改良前のSK-Ⅰ)

これでも特に不都合は無かったのですが、その後靴がある程度前後に回転する遊びを持たせるため、MSRのスノーシューに使われていてウレタンベルトと専用バックルを使用して柔軟な固定ができるように改造しました。

この部分の固定ですが、フレームにあるオリジナルのゴムベルト用のスリットでは幅が広すぎ、トラバース時などに靴が横に回転してしまう場合がありました。
そこで、本来のベルト固定用スリットは使用せず、本体内側に穴を明けてそこに通したダイニーマロープにMSR製ウレタンベルトのバックルを固定しました。
画像のようにダイニーマロープには細いウレタン製のエアホースを通してあります。

Wakann_6
(改造後のSK-1)

MSRのウレタンベルトとバックルの固定は画像のような方法を採りました。(画像↓)
一方はMSRのバックルとコキ(“日”の字型のバックル)を15ミリのアイゼンバンド用テープを縫製で組み合わせ。
もう一方のバックルも同様にコキと15ミリのテープを組み合わせましたが、こちらは縫製ができない構造ため、アルミ製の潰しリベットで固定しました。(通常のカシメでは強度が心配なためです)

Wakann_4  Wakann_2
(今回の改造のポイントとなるストラップ取付けパーツ㊧と、ウレタンベルトと組み合わせた状態㊨)

これを組み立てれば完成です。
装着には輪カンジキに足を乗せて位置決めをしてからMSRのウレタンベルトを適当な強さに締め込み、それからヒールループに付けたテープをスプリングバックルで締めればOKです。(画像↓)

Wakann_5  Wakann_3
(SK-Ⅰはご覧のように小型だが、最低限必要な浮力は確保されている)

登山靴に取り付けてもシッカリと固定され、また柔軟性も確保されており理想的なワカンに一歩近づいたと思います。

(SK-Ⅱの改造についてもほぼ同様ですが、後日紹介したいと思います。)

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2010年2月18日 (木)

“シンコウ・カンジキ”を山用に弄る①

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★☆☆☆☆
(改造は自己責任で!!!)


大昔の話ですが、私が大学現役の頃は“輪カンジキ”といったら曲木を組み合わせた民芸品?みたいな感じのものでした。

当時はこの木製のワカンにオーバーシューズを履いた靴を一本の細引きで固定するという原始的な方法で装着していましたが、それでも特に不都合を感じる事も無く十分役に立ってくれました。

そればかりか、シーズンオフにはワカンに亜麻仁油を塗りながら次の冬山に思いを馳せるという道具弄りの楽しみも味あわせてくれたのを思い出します。

その後、便利な固定バンドが普及して装着もずいぶん便利になり、さらに手入れの不要なアルミ・ワカンが一般的となった現在は、あの木製独特の味わいも既に過去の思い出となってしまったようです。

さらにここ数年、伝統的な輪カンジキに対抗するように、浮力も高く格好も良い外来のスノーシューも急速に普及してきました。
そして、普及に伴ってスノーシューはトラクション性能やトラバースでの安定性などにも改良が加えられ、我が国の山岳地形での使い勝手も格段に良くなりました。
しかし、改良されたとはいえスノーシュー(スノーラケット)は、北米大陸の広い雪原をフィールドとする人々によって育まれた浮力重視の雪上歩行具を出自とするため、急峻で起伏の多い地形を苦手とすることは否めません。

一方、我が国においては、雪国各地でその地域性と用途に合わせた生活用具として多種類のカンジキが生み出されました。
その内でも、芦峅(アシクラ)産に代表される小振りな爪付きの輪カンジキは、浮力をある程度犠牲にした分、急斜面での操作性を優先させたもので、複雑な起伏を持つ急峻な山岳地帯を生業の場としていた人々により、その生活史を経て完成された究極の形状を持ったカンジキと言っても良いでしょう。

そのため、このタイプのワカンは同じ山岳地帯を活動の場(遊び場?)とする我が国の岳人にも、最近まで長く“登山用具”として援用され続けましたが、これは急斜面の登下降やラッセルそしてトラバース、あるいは稜線のクラスト斜面で踏み抜き防止にアイゼンと併用したりと、日本の山での汎用性という面ではスノーシューを上回っていたからに他なりません。

また、先ほども述べたように、現在では伝統的な木製に変わり、アルミワカンが主流となりましたが、材質が変わったとはいえ、その原型は数世代以上も前の先人によって完成された木製の輪カンジキの伝統をそのまま踏襲したものにすぎないのです。

さて、このような伝統的な輪カンジキをルーツに持つ登山用のカンジキですが、近年になってアルミ製の物に混じり、一部ですがナイロン樹脂のカンジキも市場で目にするようになりました。

以前から林業関係や電力会社(送電線管理)で使われていた林業機材メーカー(?)製の緑色の樹脂カンジキは、今でもたまに目にしますし、最近では数年前、新興電気工業㈱からナイロン樹脂製のワカンが発売されました。
形的には上記の緑色の樹脂性カンジキの完全なパクリのようにも見えますが、聞くところによるとこの会社の経営者の道楽が鉄砲撃ちで、冬の狩猟という場面で実用的なカンジキが欲しかったという理由から自分の猟ために開発した製品のようで、登山にもそれなりに役立ちそうな感じです。

Wakann
(左から、EXP-JAPAN のアルミ・ワカン、シンコウのSK-Ⅰ、同SK-Ⅱ)

当初は小型のSK-Ⅰという機種だけでしたが、後にSK-Ⅱというやや大振りなカンジキも発売されました。(発売当初SK-Ⅱには破損事故が相次ぎましたが、全品リコールされ現在の製品には全く問題ありません)

私も発売当時にSK-Ⅰを購入し、その後SK-Ⅱも入手しました。
両機種とも雪上歩行用具としてそこそこの基本性能は備えているものの、私の印象としては登山用としてはまだ十分でないように感じたため、何パターンかの改良を試みてきました。
今回ご紹介するのは、その最終型です。

特に、SK-Ⅰは600グラムと軽く、初冬や残雪期に「念のため持参する」という使い方には最適だと思います。
ただ、SK-Ⅰは全長が短いため、一般の男性が12本爪のアイゼンを履いたとすると、前爪と干渉してしまうため、このワカンとアイゼンの併用は難しいと思います。

また、本体の爪にスパイクがあり部分的に氷化した場所の通過程度なら問題は無いとはいえ、完全に氷化した急斜面ではアイゼンのようには働いてくれません。
(購入時にスパイクの有る無しが選択できますが、スパイク自体はΦ2mm長さ12mm程のステンレス鋼線を嵌めているだけで着脱は自由なので、必要無ければペンチで抜いてしまうことや再装着する事も可能です)

Imgp4062
(SK-1は軽く携行に便利)

SK-Ⅱの方は幅も広く全長も長いので浮力は十分ですし、アイゼンとの併用も可能なのに加え、木製の輪カンジキと同じくらい大きな爪のオプションも選択できるのという特徴がありますが、900グラムと重くかなり嵩張るのが難点です。
また、足を乗せるサイドメンバーの幅が広いのでオリジナルの状態では登山靴の納まりが悪く、補助ベルト無しで登山に使うには少々問題がありそうです。
欲を言えば、長さは同じでも、幅がもう少し狭く作られた製品があったら理想だと思いますが、儲からない少量生産品のために新たに金型をおこすことも無理でしょうから、当面この2種から選択せざるを得なそうです。


また、SK-Ⅰが発売された当時は、基本的な装着方法もタイやチューブを切って作ったゴムバンドだけで靴と固定する方式で、よりシッカリ固定したい場合のみオプションの細引きやバックル付きベルトを使う設定になっていました。
しかし、最近はメーカーもSK-Ⅱを含め、ゴムバンドに加えベルトで補助的に固定する方式を推奨しているようです。

いずれにしろ、大きなSK-2は幅も広いので標準のゴムバンドだけでは山用としては不十分だと思いますので、早速両者とも改造する事にしました。

今回は靴への取り付けベルト部分を全面改造します。

(以下、続く)

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2010年2月11日 (木)

シェル出し用ヒートガンを温度調節式に

便利度 :★★★☆☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★☆☆
危険度 :★☆☆☆☆
(改造は自己責任で!!!)


最近のスキーブーツやランドーネブーツ(山スキー兼用靴)では、サーモインナーの性能が良くなり、フィッティングも格段に容易になりました。
しかし、サーモインナーが良くなりったとは言え、快適なスキーを楽しむためにブーツのシェルを熱成型加工、いわゆる“シェル出し”を行う必要にせまられることも少なくありません。

特に私の足は舟状骨と小指の付け根の関節が出ているので、足の長さで靴を選ぶとシェル出しをせずにフィットさせる事は困難なのです。

そこで、かつては私もプロショップに依頼してシェルを加工してもらっていたのですが、口では偉そうな事を言いながらいい加減な仕事しかできない「自称スキーブーツ加工のプロ」との対応に辟易した経緯もあり、現在は自作工具と自分なりの方法を使って自宅でシェル出しをしています。

アマチュアの私は自作のピンチクリアのみを使用してシェル出しを行い、プロ用の油圧シリンダーなどの専門工具は使用しませんが、それでも大半の作業をこなせますし、特に舟状骨の当たりなどは油圧シリンダーで内側から押すとブーツのインサイド面が全体に膨らみブーツのコントロール性を損ないますから、こんな場合はピンチクリアでピンポイントの当たり出しをした方がむしろ効果的だと考えられます。

(参考①)  (参考②)  (参考③)  (参考④)  (参考⑤)


実際に自宅で“シェル出し”の作業を行ってみると、一般にはエキスパート・プロの作業だと思われているこの加工も、“フィッティング”や“当たり出し”というレベルのほとんどのケースでは、思ったより容易にできる事がわかりました。
(ただし、ブーツのセンターラインを変えるような大きなシェル加工は、専用の工具が必要な場合もありますのでので、実績のある本物の専業プロに任せたほうが賢明です)

しかし、この作業をアマチュアが失敗なく行うには、シェルを加熱する際の温度管理を正確に行う必要があります。
低温だとシェルが塑性変形しませんし、過熱させてしまうと何万円もするブーツが一瞬にして粗大ゴミと化してしまう危険があるからです。

私は放射温度計(画像↓)でシェルの表面温度を確認しながらヒートガンで加熱したり、温度の調節できるヒートガンを使うなど試行錯誤しながら、表面温度を90℃台前半に保ちながら作業する方法にたどり着きました。

Hgun_1
(非接触で対象の表面温度が測定可能な放射温度計)

当初使っていたヒートガンは国産専業メーカーの製品で風量も十分なのですが、温度調節ができずそのままだと400℃以上の温風が出て油断するとシェルをダメにしてしまいますし、その後導入した温度調節式のヒートガンは安物で温度も安定せず、風量もイマイチ少なく使い勝手が良くありませんでした。

Hgun_3
(㊧安モノの温度調節式ヒートガンと、㊨通常のヒートガン)

そこで、前者の高品質で風量も多いものの温度調節ができないヒートガンを、安定した温度調節のできるものに改造する事にしました。
ご覧の通りかなり大袈裟で、これだったら高品質の温度調節式のヒートガンを新しく買った方が賢明なこととは承知していますが、ヒートガンを何個も持っていてもしょうがないですし、温度の安定性に関してはこの方法がベストだろうと考えて改造に踏み切りました。

温度調節には手持ちのスライダック(電圧調節式トランス)を利用して、ヒーターにかかる電圧を調節して温風の温度を可変式にするというも単純な仕組みです。
しかし、ヒートガンの電源プラグにかかる電圧を可変式にしただけではブロアー・モーターの回転数まで変わってしまい、本体の過熱などの問題が生じてしまいます。

そこで、本体を分解してスイッチより先の部分でヒーターに入る回路だけを一旦外に取り出して、そこにスライダックを中継させてヒーターにかかる電圧のみを調節できるようにしました。
こうすれば、スイッチの切り替え機能も生きますので、ブロアーが止まった状態でヒーターのみ通電するという最悪の状態を避ける事ができますし、ブロアーの風量も一定にすることができます。

Hgun_5  Hgun_7

なお、回路的には3線式でも可能ですが、回路を論理的に単純化するため4線形式でスライダックに結線しました。

また、温度調節の必要の無い時はヒーター回路を外に取り出した部分の2個の♂♀コネクター同士を結合しておけば改造前の状態で使用可能なようにしておきました。(画像↓)

Hgun_6

電圧は一定でも雰囲気温度によって温風の温度は変わりますので、吹き出し口の温度ではなく、その時の気温から何度上昇するかを測定しました。

2個のK型熱電対をヒートガンの吸気部分と噴出し部に配置して温度を測定し、その差を紙で自作した目盛りに書き込みました。
噴出し口から5センチくらいの位置で110℃~130℃位を目安に、スライダックを調節し、作業に当たっては放射温度計でシェル表面の温度が90℃+α位になっていることを確認してから成型作業に進めば良いわけです。

Hgun
(中央上が2つの温度センサーの差も測定できる熱伝対式温度計)

慣れてしまえば必要無いかもしれませんが、初めのうちは念のため放射温度計でシェルの表面温度をチェックしながら作業を行ったほうが安心です。

さて、正直な話をすると・・・、自分でもいささか大袈裟すぎて、シェル出しだけのためにここまでするか?・・・、という感じですが、実はこの工作を実行した目的はもう一つあるのです。
それは、この改造ヒートガンの噴出し口に先端を加工した円筒を連結し、サーモインナー用のヒートライザーを作る事です。
このヒートガンは風量も多く、円筒の噴出し部に温度センサーを置いてスライダックで温度管理を行えば、自宅でサーモインナーを焼く事もより簡単となるでしょう。

現在製作中なので、これについてもテストが済み次第レポートしてみたいと思います。


【おまけ】
ついでに、家庭用のヘア・ドライヤーの温風が何度くらいなのか確認するために1000Wのヘア・ドライヤーの噴出し口から10センチくらいの位置で温度測定を行ってみました。
私の測定結果では、ヘア・ドライヤーは吸気温を50℃~程度暖める能力はあるようです。
通常の室温だと吹き出し口直近では100℃位あったとしても、実用上はせいぜい70℃~80℃位の温風ということになりますから、これでは衣類乾燥機で成型が可能と表示のある低温度成型タイプのサーモインナーには使えても、シェル出しに使用するにはやや能力不足で、可能だけど非能率的!といった印象です。(本来がヘアドライヤーですから髪を傷めにくい温度設定も当然といえば当然ですが・・・)

また、K型熱伝対式の温度計は上の画像にあるような専用のものでなく、“秋月電子”などで扱っている安価なマルチテスター(画像↓)に付属のものでも十分実用可能です。

Hgun_4
(右端が熱伝対センサー)

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2010年2月 4日 (木)

“オールマウンテン系逆反り板”は「山ボード」向きか?

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆


近年、スノーボードの世界ではその基本構造に画期的な革新が起こりました。
それは、ソールが前後方向にコンベックスな形状を持つ、ロッカーボードと呼ばれる、所謂“逆反り板”が登場したことです。

これまでスノーボードのソールといえば、キャンバーといって無加重状態では中央が雪面から離れるような反りを設け、加重した時点でソール全体に均一な面圧がかかるような形状に設計するのがセオリーでした。

例外としては、国産のG社など一部の少量生産メーカーでは、以前から“フラットキャンバー”とか“アクセルキャンバー”とかいった名称でこの常識に反する個性的な乗り味の板を生産してはいたのですが、多くのマスプロメーカではこのような常識から外れる板の生産には及び腰だったようです。

これはパウダーボードも同様で、パウダー専用のスワローテイルの板や、B社の以前のFISHなどでも長らくノーズとテールの幅の差から生じる浮力を利用してパウダーでの浮遊性を高めてはあるものの、「ソールにはキャンバー」という既成概念からは最近まで離れられませんでした。

しかし、ここ2年ほど、マスプロボードの世界にもロッカー形状を持つ製品が急激に増加しており、メーカーによってはアイテム名の末尾に“Camber ”“Rocker ”を加えて、カタログの写真ではわからないソールの形状を明示することも普通になりました。

昨年、当ブログでもロッカーボードの代表として“K2/GYRATOR”を御紹介しましたが、このパウダー用の極端なロッカー形状のソールを持つ板は、これまでのパウダーボードが初速が付いた段階で浮力が出てくるのに対し、走り初めからすぐ浮き上がってくるような不思議な感覚を味わえ、緩斜面でも何とかスイスイ走れてしまう、私のような万年中級者でもかなり楽しめる板に仕上がっていました。
見た目は普通の板なのに、上級者だったらゲレンデ脇はもちろん、底無しパウダーでもその運動性でスワローテイルの板をもカモること不可能ではないでしょう。

Gyrator  Gyrator2 
(K2/GYRATOR・かなり長く深いロッカー形状だ)

また、カチカチでない限り普通のゲレンデでも思ったより普通(?)に乗る事も可能でした。
しかし・・・、やはりセンターから円弧状に逆反りしたパウダー専用のロッカーですから、お世辞にもオールマウンテン&オールラウンダーとはいえないのもまた事実です。

【私も以前、見栄で長いスワローテイルに乗っていた事もありますが、パウダー以外ではノーズがバタついたり、ツリーでの取り回しが難しかったり(・・・と言うより、私の技術が板の性能に付いていかなかった?)でしたから、結局は私としてはパウダーでもB社の“FISH”とか、この“GYRATOR”の方が乗りやすいような気がしています】

さて、パウダー用スキーから始まったこのロッカーボトムですが、スキーでは依然として特殊なパウダーボードのみの展開になっているのに対し、現在のボードの市場ではむしろパウダー専用ではなくジブやグラトリ系の遊びに向けた製品の方により多くのロッカー・ボードが展開され、一般のボーダーにも広く普及するようになっています。

また、K2などの例ではソールの形状を「パウダー・ロッカー」「オールテレイン・ロッカー」「ジブ・ロッカー」の3種類の用途に合わせたロッカー形状で展開していますし、Rossignol ではオールマウンテン用として、AMPTEK と命名したスタンスの間だけ僅かな(1mm)キャンバーを設け、前後を逆反りさせるという変則ロッカー構造のオールマウンテンタイプの板をリリースしているなど、各メーカーとも用途に合わせたボトム形状を複数種類展開しています。

もし、これらの中でオールマウンテン対応のロッカーボードに分類される板が、パウダーでは“Gyrator”のようなロッカー特有の浮力を発揮し、またハードパックでもそこそこのグリップをしてくれ、しかもロッカーの大きな利点でもある引っ掛かりの無い適度なルーズさで悪雪をこなしてくれる能力を兼ね備えていたら・・・・、これは山ボードにも最適な板になるのではないか・・・、なんて考えちゃいますよね。

そこで今回、K2のオールマウンテンロッカーボード“TURBO DREAM ”と、Rossignol の変則ロッカー構造の“ANGUS”に試乗する機会を得ましたので、簡単にレポートしてみたいと思います。

Tbang
(㊧K2/TurboDream、㊨Rossignol/Angus)

短時間の滑走なので第一印象のみの報告ですし、万年中級者&中高年者の私のレビューですので正確ではないと思いますが、取り敢えずまとめてみました。

【K2/TurboDream】

下の画像で判るようにボトムラインは、同じK2でありながらパウダー・ロッカーの“GYRATORと比較してセンター部がフラットにも見える、かなり控えめなロッカー形状を持っています。
また、イニシャルセットバックも3/4inありますが、山ボードやフリーランにはもう少し下げた方が浮きやすくなるしターンも安定しそうな感じです。
とはいえ、ゲレンデ脇のパウダーでは十分浮いてくれましたし、ピステンが掛かった斜面でもGYratorのようにでクルクル安定しないような事は無く、ゲレンデボードとしても普通に楽しめる板に仕上がっています。
これは平踏み状態でも、パウダー用のロッカーボードよりスタンス間の有効エッジ長が長く確保されているためでしょう。
もちろん板を傾けたターンをしている時は、はサイドカーブ全長でエッジが雪面とコンタクトしているのでまったく違和感は感じません。
また、緩いとはいえロッカー形状のため、いい加減な滑りをしていても不用意にエッジが噛んで転倒する事も無さそうです。
以上を総合すると、この板は山ボードとしても、残雪期までオールラウンドに使用できそうなお勧めの板だと思います。

Angus
(フラットな中央部に緩やかなロッカーを組み合わせたボトム形状)

【Rossignol/Angus】

AMPTEK と名付けられた、下の画像のように変則ロッカー形状を持った板です。
センターの55センチくらいが緩いキャンバー(1mm)を持っており、スタンス位置から外側はーズ・テール共に結構逆反りしています。
前後の長いロッカーで浮力を得ながら、両足の下とその間のほぼストレートなセンター部でガッチリとエッジを効かせて、ロッカーボードにありがちな不安定さやエッジのスッポ抜けを防ごうというわけなのでしょう?
しかし、弱いキャンバーを持つスタンス位置の前後にロッカーが始まる屈曲点があるためか?、圧雪の超緩斜面では足元にやや抵抗を感じました。(ワックスが合わず、しかも十分スクレープされていなかったという原因もあるかもしれませんが・・・?)
また、ジブやグラトリでの使用も考慮されているためでしょうか、インビスのセットバックは1/2inと少な目です。フリーランやパウダー主体の使用なら思い切ってもう1in近く下げて乗ったほうが良いかもしれません。

Angus2
(スタンスの下から急激にキックした特殊なロッカー形状)

またこの板は米国“Trans World Snowboarding” 誌のテストで、399ドル以下のクラスで09-10のベスト10に選ばれたという事前情報の先入観があったからかもしれませんが、実際に乗っても良く浮くし、ピステンの斜面でもそこそこ踏ん張ってくれる感じで、大変好印象を持ちました。
この板も山ボードとして、パウダーのみならず悪雪や残雪期までオールラウンドに使用できそうです。
(う~ん、なんか物欲に負けてこの板を買ってしまいそうな感じだなぁ。笑!)

ただ問題は、板のグラフィックが“大人気無い”というか・・・ 、“気持ちが悪い”というのか・・・。
完全に私の好みではないし、乗った板だけかもしれませんが中国製のこの板は全体に造りが雑でソールも手で撫でて判るほどのコンケーブがあったりと、趣味性の高い工業製品の仕上がりとしてはイマイチな感も拭えません。
コストの関係はわかりますが、もう少しましな製造管理のできる工場で作るとさらに評価は上がると思うのですが・・・。

・・・と、いうわけで。
オールマウンテン用とかフリーライド用と明示のある“控え目な逆反り板”は、たぶん新雪・悪雪から春のコーンスノーまで、山ボードでも十分オールラウンドに活躍してくれそうです。
フルシーズンで考えるなら、見栄でスワローテールやトンガリ頭をシーズン通しで使うより、こっちのタイプの板のほうが山ボードをもっと楽しめるかもしれませんよ。

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