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2010年2月 4日 (木)

“オールマウンテン系逆反り板”は「山ボード」向きか?

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆


近年、スノーボードの世界ではその基本構造に画期的な革新が起こりました。
それは、ソールが前後方向にコンベックスな形状を持つ、ロッカーボードと呼ばれる、所謂“逆反り板”が登場したことです。

これまでスノーボードのソールといえば、キャンバーといって無加重状態では中央が雪面から離れるような反りを設け、加重した時点でソール全体に均一な面圧がかかるような形状に設計するのがセオリーでした。

例外としては、国産のG社など一部の少量生産メーカーでは、以前から“フラットキャンバー”とか“アクセルキャンバー”とかいった名称でこの常識に反する個性的な乗り味の板を生産してはいたのですが、多くのマスプロメーカではこのような常識から外れる板の生産には及び腰だったようです。

これはパウダーボードも同様で、パウダー専用のスワローテイルの板や、B社の以前のFISHなどでも長らくノーズとテールの幅の差から生じる浮力を利用してパウダーでの浮遊性を高めてはあるものの、「ソールにはキャンバー」という既成概念からは最近まで離れられませんでした。

しかし、ここ2年ほど、マスプロボードの世界にもロッカー形状を持つ製品が急激に増加しており、メーカーによってはアイテム名の末尾に“Camber ”“Rocker ”を加えて、カタログの写真ではわからないソールの形状を明示することも普通になりました。

昨年、当ブログでもロッカーボードの代表として“K2/GYRATOR”を御紹介しましたが、このパウダー用の極端なロッカー形状のソールを持つ板は、これまでのパウダーボードが初速が付いた段階で浮力が出てくるのに対し、走り初めからすぐ浮き上がってくるような不思議な感覚を味わえ、緩斜面でも何とかスイスイ走れてしまう、私のような万年中級者でもかなり楽しめる板に仕上がっていました。
見た目は普通の板なのに、上級者だったらゲレンデ脇はもちろん、底無しパウダーでもその運動性でスワローテイルの板をもカモること不可能ではないでしょう。

Gyrator  Gyrator2 
(K2/GYRATOR・かなり長く深いロッカー形状だ)

また、カチカチでない限り普通のゲレンデでも思ったより普通(?)に乗る事も可能でした。
しかし・・・、やはりセンターから円弧状に逆反りしたパウダー専用のロッカーですから、お世辞にもオールマウンテン&オールラウンダーとはいえないのもまた事実です。

【私も以前、見栄で長いスワローテイルに乗っていた事もありますが、パウダー以外ではノーズがバタついたり、ツリーでの取り回しが難しかったり(・・・と言うより、私の技術が板の性能に付いていかなかった?)でしたから、結局は私としてはパウダーでもB社の“FISH”とか、この“GYRATOR”の方が乗りやすいような気がしています】

さて、パウダー用スキーから始まったこのロッカーボトムですが、スキーでは依然として特殊なパウダーボードのみの展開になっているのに対し、現在のボードの市場ではむしろパウダー専用ではなくジブやグラトリ系の遊びに向けた製品の方により多くのロッカー・ボードが展開され、一般のボーダーにも広く普及するようになっています。

また、K2などの例ではソールの形状を「パウダー・ロッカー」「オールテレイン・ロッカー」「ジブ・ロッカー」の3種類の用途に合わせたロッカー形状で展開していますし、Rossignol ではオールマウンテン用として、AMPTEK と命名したスタンスの間だけ僅かな(1mm)キャンバーを設け、前後を逆反りさせるという変則ロッカー構造のオールマウンテンタイプの板をリリースしているなど、各メーカーとも用途に合わせたボトム形状を複数種類展開しています。

もし、これらの中でオールマウンテン対応のロッカーボードに分類される板が、パウダーでは“Gyrator”のようなロッカー特有の浮力を発揮し、またハードパックでもそこそこのグリップをしてくれ、しかもロッカーの大きな利点でもある引っ掛かりの無い適度なルーズさで悪雪をこなしてくれる能力を兼ね備えていたら・・・・、これは山ボードにも最適な板になるのではないか・・・、なんて考えちゃいますよね。

そこで今回、K2のオールマウンテンロッカーボード“TURBO DREAM ”と、Rossignol の変則ロッカー構造の“ANGUS”に試乗する機会を得ましたので、簡単にレポートしてみたいと思います。

Tbang
(㊧K2/TurboDream、㊨Rossignol/Angus)

短時間の滑走なので第一印象のみの報告ですし、万年中級者&中高年者の私のレビューですので正確ではないと思いますが、取り敢えずまとめてみました。

【K2/TurboDream】

下の画像で判るようにボトムラインは、同じK2でありながらパウダー・ロッカーの“GYRATORと比較してセンター部がフラットにも見える、かなり控えめなロッカー形状を持っています。
また、イニシャルセットバックも3/4inありますが、山ボードやフリーランにはもう少し下げた方が浮きやすくなるしターンも安定しそうな感じです。
とはいえ、ゲレンデ脇のパウダーでは十分浮いてくれましたし、ピステンが掛かった斜面でもGYratorのようにでクルクル安定しないような事は無く、ゲレンデボードとしても普通に楽しめる板に仕上がっています。
これは平踏み状態でも、パウダー用のロッカーボードよりスタンス間の有効エッジ長が長く確保されているためでしょう。
もちろん板を傾けたターンをしている時は、はサイドカーブ全長でエッジが雪面とコンタクトしているのでまったく違和感は感じません。
また、緩いとはいえロッカー形状のため、いい加減な滑りをしていても不用意にエッジが噛んで転倒する事も無さそうです。
以上を総合すると、この板は山ボードとしても、残雪期までオールラウンドに使用できそうなお勧めの板だと思います。

Angus
(フラットな中央部に緩やかなロッカーを組み合わせたボトム形状)

【Rossignol/Angus】

AMPTEK と名付けられた、下の画像のように変則ロッカー形状を持った板です。
センターの55センチくらいが緩いキャンバー(1mm)を持っており、スタンス位置から外側はーズ・テール共に結構逆反りしています。
前後の長いロッカーで浮力を得ながら、両足の下とその間のほぼストレートなセンター部でガッチリとエッジを効かせて、ロッカーボードにありがちな不安定さやエッジのスッポ抜けを防ごうというわけなのでしょう?
しかし、弱いキャンバーを持つスタンス位置の前後にロッカーが始まる屈曲点があるためか?、圧雪の超緩斜面では足元にやや抵抗を感じました。(ワックスが合わず、しかも十分スクレープされていなかったという原因もあるかもしれませんが・・・?)
また、ジブやグラトリでの使用も考慮されているためでしょうか、インビスのセットバックは1/2inと少な目です。フリーランやパウダー主体の使用なら思い切ってもう1in近く下げて乗ったほうが良いかもしれません。

Angus2
(スタンスの下から急激にキックした特殊なロッカー形状)

またこの板は米国“Trans World Snowboarding” 誌のテストで、399ドル以下のクラスで09-10のベスト10に選ばれたという事前情報の先入観があったからかもしれませんが、実際に乗っても良く浮くし、ピステンの斜面でもそこそこ踏ん張ってくれる感じで、大変好印象を持ちました。
この板も山ボードとして、パウダーのみならず悪雪や残雪期までオールラウンドに使用できそうです。
(う~ん、なんか物欲に負けてこの板を買ってしまいそうな感じだなぁ。笑!)

ただ問題は、板のグラフィックが“大人気無い”というか・・・ 、“気持ちが悪い”というのか・・・。
完全に私の好みではないし、乗った板だけかもしれませんが中国製のこの板は全体に造りが雑でソールも手で撫でて判るほどのコンケーブがあったりと、趣味性の高い工業製品の仕上がりとしてはイマイチな感も拭えません。
コストの関係はわかりますが、もう少しましな製造管理のできる工場で作るとさらに評価は上がると思うのですが・・・。

・・・と、いうわけで。
オールマウンテン用とかフリーライド用と明示のある“控え目な逆反り板”は、たぶん新雪・悪雪から春のコーンスノーまで、山ボードでも十分オールラウンドに活躍してくれそうです。
フルシーズンで考えるなら、見栄でスワローテールやトンガリ頭をシーズン通しで使うより、こっちのタイプの板のほうが山ボードをもっと楽しめるかもしれませんよ。

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