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2010年2月18日 (木)

“シンコウ・カンジキ”を山用に弄る①

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★☆☆☆☆
(改造は自己責任で!!!)


大昔の話ですが、私が大学現役の頃は“輪カンジキ”といったら曲木を組み合わせた民芸品?みたいな感じのものでした。

当時はこの木製のワカンにオーバーシューズを履いた靴を一本の細引きで固定するという原始的な方法で装着していましたが、それでも特に不都合を感じる事も無く十分役に立ってくれました。

そればかりか、シーズンオフにはワカンに亜麻仁油を塗りながら次の冬山に思いを馳せるという道具弄りの楽しみも味あわせてくれたのを思い出します。

その後、便利な固定バンドが普及して装着もずいぶん便利になり、さらに手入れの不要なアルミ・ワカンが一般的となった現在は、あの木製独特の味わいも既に過去の思い出となってしまったようです。

さらにここ数年、伝統的な輪カンジキに対抗するように、浮力も高く格好も良い外来のスノーシューも急速に普及してきました。
そして、普及に伴ってスノーシューはトラクション性能やトラバースでの安定性などにも改良が加えられ、我が国の山岳地形での使い勝手も格段に良くなりました。
しかし、改良されたとはいえスノーシュー(スノーラケット)は、北米大陸の広い雪原をフィールドとする人々によって育まれた浮力重視の雪上歩行具を出自とするため、急峻で起伏の多い地形を苦手とすることは否めません。

一方、我が国においては、雪国各地でその地域性と用途に合わせた生活用具として多種類のカンジキが生み出されました。
その内でも、芦峅(アシクラ)産に代表される小振りな爪付きの輪カンジキは、浮力をある程度犠牲にした分、急斜面での操作性を優先させたもので、複雑な起伏を持つ急峻な山岳地帯を生業の場としていた人々により、その生活史を経て完成された究極の形状を持ったカンジキと言っても良いでしょう。

そのため、このタイプのワカンは同じ山岳地帯を活動の場(遊び場?)とする我が国の岳人にも、最近まで長く“登山用具”として援用され続けましたが、これは急斜面の登下降やラッセルそしてトラバース、あるいは稜線のクラスト斜面で踏み抜き防止にアイゼンと併用したりと、日本の山での汎用性という面ではスノーシューを上回っていたからに他なりません。

また、先ほども述べたように、現在では伝統的な木製に変わり、アルミワカンが主流となりましたが、材質が変わったとはいえ、その原型は数世代以上も前の先人によって完成された木製の輪カンジキの伝統をそのまま踏襲したものにすぎないのです。

さて、このような伝統的な輪カンジキをルーツに持つ登山用のカンジキですが、近年になってアルミ製の物に混じり、一部ですがナイロン樹脂のカンジキも市場で目にするようになりました。

以前から林業関係や電力会社(送電線管理)で使われていた林業機材メーカー(?)製の緑色の樹脂カンジキは、今でもたまに目にしますし、最近では数年前、新興電気工業㈱からナイロン樹脂製のワカンが発売されました。
形的には上記の緑色の樹脂性カンジキの完全なパクリのようにも見えますが、聞くところによるとこの会社の経営者の道楽が鉄砲撃ちで、冬の狩猟という場面で実用的なカンジキが欲しかったという理由から自分の猟ために開発した製品のようで、登山にもそれなりに役立ちそうな感じです。

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(左から、EXP-JAPAN のアルミ・ワカン、シンコウのSK-Ⅰ、同SK-Ⅱ)

当初は小型のSK-Ⅰという機種だけでしたが、後にSK-Ⅱというやや大振りなカンジキも発売されました。(発売当初SK-Ⅱには破損事故が相次ぎましたが、全品リコールされ現在の製品には全く問題ありません)

私も発売当時にSK-Ⅰを購入し、その後SK-Ⅱも入手しました。
両機種とも雪上歩行用具としてそこそこの基本性能は備えているものの、私の印象としては登山用としてはまだ十分でないように感じたため、何パターンかの改良を試みてきました。
今回ご紹介するのは、その最終型です。

特に、SK-Ⅰは600グラムと軽く、初冬や残雪期に「念のため持参する」という使い方には最適だと思います。
ただ、SK-Ⅰは全長が短いため、一般の男性が12本爪のアイゼンを履いたとすると、前爪と干渉してしまうため、このワカンとアイゼンの併用は難しいと思います。

また、本体の爪にスパイクがあり部分的に氷化した場所の通過程度なら問題は無いとはいえ、完全に氷化した急斜面ではアイゼンのようには働いてくれません。
(購入時にスパイクの有る無しが選択できますが、スパイク自体はΦ2mm長さ12mm程のステンレス鋼線を嵌めているだけで着脱は自由なので、必要無ければペンチで抜いてしまうことや再装着する事も可能です)

Imgp4062
(SK-1は軽く携行に便利)

SK-Ⅱの方は幅も広く全長も長いので浮力は十分ですし、アイゼンとの併用も可能なのに加え、木製の輪カンジキと同じくらい大きな爪のオプションも選択できるのという特徴がありますが、900グラムと重くかなり嵩張るのが難点です。
また、足を乗せるサイドメンバーの幅が広いのでオリジナルの状態では登山靴の納まりが悪く、補助ベルト無しで登山に使うには少々問題がありそうです。
欲を言えば、長さは同じでも、幅がもう少し狭く作られた製品があったら理想だと思いますが、儲からない少量生産品のために新たに金型をおこすことも無理でしょうから、当面この2種から選択せざるを得なそうです。


また、SK-Ⅰが発売された当時は、基本的な装着方法もタイやチューブを切って作ったゴムバンドだけで靴と固定する方式で、よりシッカリ固定したい場合のみオプションの細引きやバックル付きベルトを使う設定になっていました。
しかし、最近はメーカーもSK-Ⅱを含め、ゴムバンドに加えベルトで補助的に固定する方式を推奨しているようです。

いずれにしろ、大きなSK-2は幅も広いので標準のゴムバンドだけでは山用としては不十分だと思いますので、早速両者とも改造する事にしました。

今回は靴への取り付けベルト部分を全面改造します。

(以下、続く)

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