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2010年4月15日 (木)

推薦!秀山荘の沢登りザック/“ウォータークライム Ⅱ”

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(製品価格を高いと見るか安いと見るかは・・・、使ってみれば判ります!)


まもなく“沢のぼり”シーズンの開幕です!

で・・・、今更紹介するのもなんですが、私は現在沢登りで使用するザックとして、秀山荘の“ウォータークライム Ⅱ”と“ウォータークライム Ⅰ.ⅴ”を使用しています。

Wcsr  Wc6  Wc5

何れも容量の違いだけで大きな差はありませんが、泊りを要する沢の場合に私が多用しているのが“ウォータークライム Ⅱ”という60ℓのザックです。
購入して数年以上経ちますが、近年はハードな沢には行きませんの痛みは少なく、まだまだ現役で活躍しています。

最近は他社でも沢登り用ザックをラインナップに加えているようですが、この“ウォータークライム ”シリーズは沢登り用ザックの先駆者としてその存在感を際立たせている製品で、自信を持ってお薦めできますので、今回あらためて御紹介することにした次第です。

また、このザックに関心はあっても、欧米メーカーと比較するとシンプルな造りで外見も地味なのに価格は輸入品並みとあって、購入を躊躇している“沢屋”さんも多いと思いますが、この記事はそんな方にとっては『買っちゃいましょうよ~♪』という悪魔の囁きともなりますので、要注意です(笑)。


さて、沢登用ザックと言うと「防水性」が問題にされるとお思いかもしれませんが、この“ウォータークライム ”はその逆の発想、つまり防水よりもザックの中に入った水を如何に速やかに排水するかを重視した構造になっているのです。

Wc2c  Wc2
(泳ぎやシャワークライムには最適なザックです)

もちろん濡れては困る物はザックの内側にある防水袋(付属)に入れて浸水を防いでいるのですが、結果としてこの方式のほうが荷物を濡らさずに済むことになるようです。

●ではこのザックの特長などについて箇条書きにして見ましょう。

①ザックの底に水抜きのグロメット(画像↓㊧)とスリット(同、㊨)が設けられている。

Wcb Wcb_8
(底は内側のメッシュ地とのニ重構造でスリットから物が落ちることは無い)

②雨蓋の裏の物入れもメッシュで水切りが良い。(画像↓)

Wcb_4

③背面のクッションはモノフィラメントを3次元に編んだ特殊な素材をメッシュ地で覆った物で、スポンジのように吸水せず、あっという間に乾燥する。(画像↓)

Wcb_9

④ショルダーストラップは同様に水切れの良い素材で、こちらも水を含みにくい。

⑤同様な素材のウエスト(ヒップ)ベルトは嵩張らないシンプルなもので、簡単に取り外しができる構造となっている。
(ウエストベルトがあるとハーネス使用の邪魔になったり、ウエストベルトの荷重でハーネスがずり下がったりと不都合な場面も多いので、私は敢えて取り外して使用することもあります)

Wcb_6

⑥60ℓクラスのザックなのにハードフレームを内蔵していないが、こんな割り切りもこのザックの特徴だ。
大体、20k位までの重さなら肩で背負えるのでフレームが絶対必要という訳ではないし、沢登りの場合はこれで必要にして十分だと思われる。
また、シンプルな造りなので容量60ℓで重さ1.8キロ弱とかなり軽量な部類だ。

⑦ボトムだけでなく全体に丈夫な生地を使っていて耐久性は高そうだ。
吊り上げや藪漕ぎなど乱暴な使い方をしたが、使用頻度はそれほど多くないので現在まで破れて穴が開いたのは底の一箇所のみだ。
ただ、残念なのはテープの素材が悪いのか、経年変化でテープが硬くなってしまい、バックルでの長さの調整がやり難くなってしまった。
現在の製品も同様の素材かは不明だが、「たかがテープ」と考えず、良質の素材を使ってもらいたかった。

Wcb_2
(底の生地は丈夫で、ツギ当てで補修したのは1箇所のみ)

⑧なお、アックス(ハンマー)ループも付いているが、この部分は細いショックコードとコードロックだけと頼り無い構造なので、使用するならユーザーで少々手を加える必要があるだろう。

Wcb_3
(私は15㎜テープに変更した)

★以上のように沢登りに特化したザックなので、これが必要なユーザーは限られるとは思いますが、目的さえ合致していれば最高のパートナーとなってくれるものと確信しています。


【余談ですが・・・】 -バックパック雑感-

唐突ですが・・・、ここ20年ほどの傾向として、バックパックの背面システムがやたらと複雑になりすぎている気がしませんか?。(私としては“バックパック”より”ザック”と呼んだほうがしっくりくる年齢なので、以下“ザック”と表記します)

荷重を腰で受け止めるという仕組み自体は、70年代、アメリカのバックパッキングムーブメントの中で急速に進化したフレームパックで既に完成されていたのですが、フレームパックの流行が去った後も、その方向性がそのままソフトパックに移植され、徐々に熟成されたシステムとして発達してきたということなのでしょう?。

今や、中型以上のザックではアルミのインナーフレームは当たり前で、複雑なストラップシステムや、かなり大袈裟なヒップベルトが装備されていないと“売れる商品”にはならないというのが現在の登山用品市場の傾向のようです。
さらに、小・中型ザックの中には、私の目から見れば、容量やタイプから明らかに不要と思われるフレームやオーバークォリティ-な背面システムを備えた製品も少なくない気がします。
特に一部の小型パックには、結構本格的な取り外せないヒップベルトが付いていたりしますが、ほとんどの場合あんなものは不要で、必要に応じて振れ止め用のテープベルト程度があればそれで十分なはずです。

また、私たちユーザーのほうも、たかだか十数キロの荷物を担ぐためのザックについて、その背面システムの薀蓄を語るっていうのも何だかオマヌケな感じがしませんか?


かく言う私も、大昔は“片桐”の特注キスリングや “HOPE” のアルミ背負子(知ってる人はかなりの年齢・笑)で、文句も言わず平気で50キロの荷を肩で背負っていたにもかかわらず、その後 フレームパックが流行るとそのブームに流され、JANSPORTS のメカニカルなフレームパックを礼賛したと思えば、結局山岳地形では使い難かったフレームパックが市場から消えて暫くすると、今度は金回りが良くなったのをいい事に、海外で購入した某D社の高級(?)ザックを自慢げに背負い「この絶妙な背面システムが・・・云々」などと薀蓄を語るような時期もあったのですから、私という人間もずいぶんいい加減なものです。

また、ザックを評価するに当たって「・・・ショップで背負ってみて、包み込まれるような絶妙なフィット感に感動し、思わず購入した・・・。」などという表現をウエブ上で良く見かけますが(私も時々そんな事を書きますがね・・・笑)、それらは大体が、一流ブランドの持つハロー効果や、ある種の思い込みによる過大評価の産物だと思います。
なぜなら、多くのザックのアルミフレームは、購入したユーザーが自分の体系に合わせてさらに強く曲げてフィットさせる事を前提に、最小限のS字カーブの状態で出荷されているわけですから、日本人の標準体型ではデフォルト状態で”絶妙”と表現されるようなフィット感が出ることは九分九厘無いはずだからです。
自分の選んだ高価な一流ブランドのザックを、過大評価したい気持ちは分かりますが、この辺の表現には抑制を効かせる必要があると、私自身も少々反省しています。

さて、、重い荷を長期間担ぐのでしたら、凝った背面システムや大袈裟なヒップベルトも決してオーバークォリティーとは言えないのかもしれませんが、最近は装備の軽量化も進み、私の場合(体力の低下を考慮して?)、通常のテント2~3泊の荷物の重さは冬季でも飲料水込みでも20キロ台前半が上限となりますから、この位の荷物をゆとりを持って収納できる大き目のザックを選ぼうとすると、市場にある殆どの製品は私にとって過剰品質の感が否めません。
つまり、店頭に並ぶ大方のバックパックは、私の目には必要の無い機能と重量を、余計な出費を伴って背負わされるような構造のモノばかりのように見えるのです。

そこで私は、50リットルに満たないようなサックでは、可能ならフレームを抜いてしまったり、嵩張るヒップベルトを取り外し、振れ止め程度のテープのストラップに交換したりする改造をしている場合も多いのですが・・・、だったら初めからもう少しシンプルな構造の中・大型パックがあれば好いと常々思っています。

また最近は、歩行重視のモデルだけでなく、一見アルパインクライミングを意識したかに見える外見を持つザックの中にも、取り外せない大袈裟すぎるヒップベルト装備したものも少なくないような気がします。
好ましい例として、カナダA社の“Bora”シリーズと”Kamsin”シーリズのように、はっきり用途を区別し、歩行用ザックには取り外す事を前提としないオーバーサイズのしっかりしたヒップベルトを装備している一方、アルパイン用では大型のザックであっても、ヒップベルトやフレームをシンプルかつリムーバブルなものにしているという例もあるのですが・・・、残念ながら結構有名なメーカーでも中途半端な設計のザックを作っている例も少なくありません。

上の記事にも書きましたが、沢やアルパインの場合は大袈裟なヒップベルトではかえって邪魔になりますし、ハーネスのギアループにガチャを吊るしている場合など、ヒップベルトがハーネスをズリ下げてしまって不快だったりと、場合によってはヒップベルトなど無い方が良い場合も多いのです。

アルパイン用でも、BCまでやアプローチで重荷を担ぐ必要がある場合もありますから、大容量のザックにはそれなりのヒップベルトが必要かもしれません。
しかし、本チャンのピッチになってからヒップベルトが邪魔になっても、それを捨てちゃう訳にはいかないので、あんまり大きなヒップベルトだとその分必要も無いのに余計な荷物を担ぐ事を強いられちゃいわけです。
というわけで、現在はアルパインクライミングなどとは無縁な私ですが、強いて後進の登山者ために言わせてもらえば、最小限の大きさで、しかも簡単に取り外しができるのヒップベルトを装備した高品質の中・大型ザックがあればベストだと思うわけです。

また、私が高く評価しているヒップベルトとしては、後期の“DANA DESIGN”の両腰骨部分にプラスチックのアーチのある軽量・シンプルかつ、シッカリ腰で加重を受け止めてくれるモノがありましたが、あの形式をどこかのメーカーが復活させてくれたら理想のザックができるような気がするのですが・・・・。

閑話休題・・・

さて、このような複雑で大袈裟な背面システムがザックのスタンダードとなってしまった一方で、その反動も現われ始めています。

まだマイナーではありますが、UL系バックパックというカテゴリーで、背面システムを含み全体がかなりシンプルで軽量な設計になっている製品も市場に出現しだしたのです。
まあ、これも“UL”という既成の登山形態に対するカウンターカルチャーの露頭の一つなのかもしれませんが、私としてもたいへん興味のある現象だと思っています。

まあ、山道具マニアで、以前は「荷は腰で背負うんだ!」などと吹聴し、複雑な背面システムの薀蓄を語っていた人(≒私?)に限って、そんな新しいシンプルなULバックパックに飛びつくんですから・・・、不定見な道具マニアぶりには我ながら笑っちゃいますけどね。

・・・と、いうわけで、このようなパックパックの2極分化も悪くないのですが、いわゆる「普通のザック」でも高品質かつシンプルな製品が出てくると好いな・・・、などと考える今日この頃です。



(おまけ)

秀山荘のザックの話を書いていたら、ついでに同社の“ザ・合宿”なんていうお茶目な名前の超巨大ザックを後輩が使っていた事や、LOWEALPINEの“カンガ・ヒマール(だったかな?)”なんていう、“ザ・合宿”に負けず劣らず巨大なザックがあった事を、突然思い出しました・・・。
あと・・・、以前シュイナードドラゴンなんていうブランドのザック(クロスター産業がやってたのかな?)もあって、これにもかなり大型のザックがあったし、このメーカーの一連のザックが現代の背面システムの一つの原型になったみたいな気がするなぁ・・・、などとも考えちゃいました。

そう言えば重いキスリングを肩だけで背負っていた当時は“ザック麻痺”という山屋特有のかなり危険な傷害があった事も突然思い出しましたが・・・、これを知ってる人もかなりの年齢ですね!。。

お恥ずかしいかぎりですが・・・、歳をとるとノスタルジー話は尽きませんので、この辺でお終いにします。
お粗末でした!

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