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2010年4月24日 (土)

110型カートリッジ用パワーブースターの試作 ②(挫折編)

便利度 :★★★☆☆
工作度 :★★★☆☆
推薦度 :★☆☆☆☆
危険度 :★★☆☆☆


“110型カートリッジ用パワーブースターの試作 ①(構想編)”からの続きです。)

さて、試作1号機は下部の銅版が結構重く嵩張るので幅を短く切り、さらに熱伝導率を上げるためヒートパイプをハンダ付けする事にしました。

Powerb_9   Pb2_2
(㊧改造前、㊨改造後の状態)

ハンダ付けに当たっては対象がヒートパイプなので当然熱が逃げやすく、半田鏝は熱量の大きなものが必要です。
私は300W の鏝を使いましたが、最低100W位あったほうがハンダの流れが良いと思います。

熱吸収部のフィンは旋盤で削り出し、ヒートパイプの入る穴はリーマで正確に仕上げました。
ヒートパイプとの接合は “固まるタイプの放熱用シリコン”を塗って嵌め込み、下部を油圧プライヤーで6角形に軽くカシメました。(画像↓)

Pb2_4

さあ、この試作完成型を早速テストしてみましょう。

通常のストーブで110型カートリッジを使い、炎に熱吸収部に近づけると素早く熱が伝達され熱放出部が効果的にカートリッジを暖めてくれました。
これで一応“110型カートリッジ用のパワーブースター”は完成です。
ヒートパイプは手で曲げられますので、使用するバーナーやクッカーの形状に合わせて熱吸収部を炎の近くのちょうど良い位置に持ってくれば完璧ですね。


さて、次に主要目的であったJETBOILで試してみる事にしました。(画像↓)
・・・・・しかし。

Pb2
(排気部にフィンを接触させても効果は十分ではありませんでした)

「あれ???」
カートリッジまで十分熱が伝わってきません。

しかたなく熱吸収部を排気部の穴に接触させてみましたが、それでも十分に熱がカートリッジに伝わっていないのです。
時間が経って熱吸収部が温まってくると徐々に熱は伝わってきますが、それではタイムラグがありすぎて実用的ではありませんし、伝わる熱の量も十分ではありません。

「ガーン!!」
完全に失敗です。


JETBOILは熱効率が高くあっという間にお湯が沸きますが、これはバーナーの熱を熱交換部を通じ高効率でコンパニオン・カップ内の水に伝えるためで、したがって熱を奪われた排気の温度は予想よりはるかに低かったのです。
ヒートパイプの熱伝達量は両端の温度差に依存するそうなので、熱吸収部がこの程度の温度だと効率が極めて悪くなると言う事なのでしょう?

これはある程度予想していましたので、熱吸収部の寸法を大きくしフィンも多目にしたつもりだったのですが・・・・、ここまで効果が出ないのはまったく想定外でした。

そういえば、排気部のすぐ上にネオプレーン製のコジーがあっても焦げないのですから、この結果も当然と考えなければいけなかったのです。
完全に私の読み違いです。
いや~、これがJETBOILの熱効率の凄さなんですね、恐れ入りました!

しかし、これぐらいで諦めていたら「アマチュア自作マニアの名が廃る!」、と言うものです。
早速リターンマッチを始めることにしました。

(“110型カートリッジ用パワーブースターの試作 ③(リベンジ開始編)”に続く)



【余談ですが・・・】

ところで、ガスバーナーのカートリッジ部に被せるモンベル製の“ソック(orチューブ)・プロテクター”なる道具があり、私も使ってますが・・・。

使ってる皆さんはどんな効果を期待して使ってますか?
モンベルのカタログの説明ではたしか「・・・雪の上に直接置いても凍りつかず、ガスの消費量を抑えます・・・」みたいな事が書いてありましたし、同様な他社製品の以前の能書きでは、「保温する事によって液化ガスの冷却を防ぎ・・・云々」と説明されていた記憶があるんですが・・・。

あれって本当にそんな効果があるんですかね?
また、ガスの消費量を抑えられるんでしょうか?
特に気温がガスの沸点よりかなり高い時は、???だと感じるんですけど、専門家でないのでよく分からないんですが、本当のところはどうなんでしょう?

通常、ストーブに点火前は( カートリッジ内の液化ガスの温度 ≒ 雰囲気温度 )であり、燃焼を始めた以降は液化ガスが気化することで潜熱を吸収して自らを冷やし続けちゃう訳で、断熱状態と仮定するなら燃焼中は( カートリッジ内の液化ガス温度 < 雰囲気温度 )の差が逓増し、絶対に不等号が逆転する事は無いはずです。

それで、液化ガスの温度値が漸減し、その気化できる最低の温度に近づくにつれ、気化するガスの量が減って火力が落ちちゃうんですよね。

そんな時、もし( カートリッジ内の液化ガス温度 < 雰囲気温度 )で、気温がガスの気化温度より高ければ、断熱材でカバーしないほうが、カートリッジ表面から熱を取り入れて液温を高め、ガスの気化を促進する働きをしてくれるんじゃあないかとも思うんですが?

それなのに、カートリッジの外側を断熱素材で覆ってしまうと、カートリッジの中の液温は気化可能な限界まで温度が下がり続け、より短時間で気化できない温度になっちゃうんじゃあないでしょうか?

ビーカーの中ではすぐに蒸発してしまう液化窒素が、断熱されたジュワー瓶の中では長時間気化せずに液体でいられるのと同じ原理で、場合によっては断熱材で覆う事がかえって逆効果ってことも考えられます。

もちろんバーナーを直接雪の上に置く場合ならガスを冷やさない役目は果たすと思うんですが、厳冬期に直接雪の上にカートリッジを置いて調理をするバカも滅多に居ませんよね?

もちろんパワーブースターを使う場合には、熱を逃がさず効率よくガスの加温に使えるようこの手の断熱素材でカートリッジをカバーしてしまうというのも理に適った事だと思いますが、それ以外はむしろ火力安定の効果が期待できない場合も多いんじゃあないでしょうか。

特に最近の寒冷地用ガスは、沸点の低いイソブタン(-12℃)やプロパン(-42℃)などが混入され、かなり低い温度でも気化してくれる訳ですから、少なくてもそれ以下の温度の時しかこの手のカートリッジの保温カバーは意味が無いように思うんですけど・・・。

う~ん・・・、皆さんはどうお考えでしょうか???

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コメント

余談のほうに反応します。
カートリッジの保温カバー(?)ですが、私の場合は、保温のために使っているのではなく、カートリッジを鍋に入れて運ぶときに鍋が傷だらけになるのを防ぐ目的で使っています。理屈としては、よほど極端に低い気温で無い限りは使わないほうが、カートリッジが温まりやすいと思います。

投稿: のり | 2010年4月24日 (土) 13時04分

“のり”さん、こんにちは!
私も同じような目的で無意識にカバーを使っちゃってますが、バーナーを使用するときは外してしまったほうが良いって事なんでしょうね。

また、MSRのリアクターなんかはカートリッジでなく、バーナー本体にはあれをかぶせておかないとポットの中がギタギタになっちゃいそうですから。
では、今後ともよろしく!

投稿: 理事長 | 2010年4月24日 (土) 13時31分

ざっと斜めに読んだだけですが、モンベルにそんな製品があるとしたら、きっと中の人は頭がおかしいんだと思います。今私の中でモンベルへの信頼感が音を立てて崩れています(笑)

投稿: 通りすがりが一言 | 2010年4月25日 (日) 12時49分

“通りすがりが一言”さんはじめまして。

で・・・、モンベルは、ただカートリッジを保護するって言ってるだけで嘘はついてませんし、実際に保護するという用途では十分役に立ってますから、そこまで貶さなくてもイイと思いますよ(笑)。
ただ、条件によっては使うとかえって燃焼が安定しなくなるかも知れませんけどね・・・。

では!今後ともよろしく。

投稿: 理事長 | 2010年4月25日 (日) 18時08分

モンベルのカバーですが、
今年の初日の出待ちを九十九里浜でしていたのですが。
友人同士でまったく同じ
キャプテンスタッグのシングルバナーを使ってましたが。
私はカバー付き、友人のは無しの状況で
火力もカートリッジの使用限界残量にも大きく差がつきました。
過酷な冬山では判りませんが、多少は役に立つ様です。

投稿: 通りすがりの人2 | 2010年4月26日 (月) 05時11分

“通りすがりの人2”さん、こんにちは!
貴重な御意見ありがとうございました。
しかし、この手の実験は変数が多すぎて一律な結果が出ないのが常なんでしょうね。
例えばガスの種類や混合比率、気温と風の強さや日照、さらには炎の大きさや鍋の種類による、炎や鍋底からの輻射熱の影響、またカートリッジのニップル部からの熱伝導、カートリッジを置いた場所の温度や熱伝導率・・・etc. 、の組み合わせなんて無数ですから。

誰か、同じバーナーで、例えば気温-10度で燃料はスノピの金缶を使って、同じ鍋を載せて・・・、と条件を揃えた場合のカバー有と無しとのテストをした人いませんかね?

投稿: 理事長 | 2010年4月26日 (月) 09時30分

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