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2010年12月 9日 (木)

Dynafit-TLTはマイナーチェンジで変わったか?

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(TLTの製品としての評価です)


私はここ数年スキーツアーではDYNAFITの“TLT”ビンディングをメインに使ってきました。
このTLTに代表される“Tech”システムは、率直に言ってかなりクセのある製品で、誰にでもお勧めできるビンディングとは言い難いし、特に山スキー入門者には不向きかもしれません。
しかし、ご存知のように山岳スキーレース用ビンディングとしては市場をほぼ独占していますし、ヨーロッパの一般的なスキーツアーにおいても“DYNAFIT”は“DIAMIR” と同等以上に信頼性の高いビンディングとして、かなりのシェアを維持し続けています。

そして、この製品の別の意味での凄い所は、市販された時点から基本設計が全く変わっていない、つまり最初からほぼ完成された(改良の余地の少ない?)製品であったと言うことではないでしょうか。
意地の悪い言い方をすれば「進歩していない」と言うことにもなるのでしょうが、(特殊なレース用やレンタル用を除けば)ビス穴の位置すら二十年も全く変わっていないビンディングというのも珍しいのではないでしょうか。

この、ビス穴位置をむやみに変更したくないというメーカーの方針は、販売店からすればメタルジグを替えなく済むというメリットはあるのでしょうが、その反面私達ユーザーにとっては、ヒールピースが微調節程度(6mm)しか前後移動のできなかった旧世代の“TLT-Speed” から、“TLT-Comfort(=Vertical)”にモディファイされた時も、最大26㎜という中途半端な調節幅しか確保できなかったという弊害を生じさせたことも事実です。(画像↓)

後発のG3-Onyx も前後調節幅は33㎜ほどなので僅差と言えないこともないのですが、時としてこの差が大きな意味を持つ事もあるわけですから、せめてOnyx 程度は調節幅を確保してもらいたいところですよね。

Dyna1
(現行モデルの基本となったSpeed㊨と、Comfort㊧のヒールピースを比較すると、ビスの位置を変更せずに調節範囲を広げるため、アルミ製のベースの四隅を切り欠いて逃げ寸を広げる方法が採られたことがわかるが、この方法では調節幅が最大26mmしか確保できなかった)

もちろん、ヒールピースのトップカバーやプラスチックパーツなどの変更、また解放値がDIN-12までになったりと細かい変化はあったのですが、トーピースの金属部分に関しては少なくても十数年は全く変化が無かったように思います。

しかし!、09-10モデルからトーピースの外見が目に見えるほど変化しました。
そこで早速この新しいトーピースと旧トーピースの何処が変わったかを検証してみましょう。

Dyna2
(㊧以前のトーピースと、㊨マイナーチェンジ後のトーピース)

画像でお判りのように新旧の外見上の相違点はピンのアームとレバーの部分に縞状の凹凸が加わったという事です。(画像↓)
強度を増す目的なのかも知れませんが、無用な凹凸があると雪が付着しやすくなるような気もします。

Dyna7  Dyna6

あと、アームの部分の幅が若干幅広になっています。
これは、“Vertical-FT12”という解放強度DIN 12 までのモデルがラインナップされたのに伴う強度アップのためかもしれません?

Dyna8  Dyna9
(アームの幅が2mmほど増し、形状も変わった)

また、これは一般のユーザーにはあまり関係の無い点かもしれませんが、このビンディングを板に取り付ける立場から言えば、トーピース前端のビスを締めるためにあけられた解放レバー中央の穴が角ばった大きなものに変更されたことが今回のマイナーチェンジの一番大きなメリットではないかと考えています。
以前のモデルはこのビスを締めようとしてもPZ-3のドライバーのシャフトがギリギリの穴径で、スムーズに作業をするためには特殊なポジビットかシャフトを旋盤で細く挽いた自作の改造ビットを必要としたことを考えれば、遅すぎた改良といっても言い過ぎではないと思います。
特にTLTビンディングではブーツのセンター合わせのためにビスの微調整が必要な場合も少なくないので、この改良で調整作業もいくぶん容易になるかもしれません。

Dyna3
(レバー部の穴が角張った大きなものに変更)

今回は取り敢えず外見上の報告となりましたが、使用して使い勝手がどう変わったかについては後日あらためて述べてみたいと思います。

いずれにせよ、このDynafit の TLT ビンディングが、今後もほぼ完成されたシステムとして継続していく事に期待しますが・・・、その半面、このシステムと互換機能のあるビンディングとして、(ブレーキ・レスでもペアで1500g弱とかなり重いとはいえ)より安定した拘束・解放機能を持つ“G3-Onyx” というニューカマーが登場している現在、ここらで基本設計の維持に拘らないリニューアルを考えても良い時期かな・・・、という気もしないではありません。
偉大な先駆者とはいえ、『後生畏るべし 』の格言もありますからね。

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