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2010年12月

2010年12月31日 (金)

テープでシームシール

便利度 :★★★★☆
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆


強い撥水性を持つエピックやシルナイロンなどの生地でできたテントは、素材の性質上縫製部分は何も処理されずに販売され、購入者したユーザーが自分で“SILNET”などの専用のシール剤を使用して縫い目の防水をしなければなりませんが・・・、このような例外を除き、いわゆる普通のウレタンコート地製のテントの場合には、縫い目に熱接着のテープでの防水対策が施されている場合がほとんどです。

しかし、沢登りなどで使用するオーソドックスな形のタープの場合、中央の棟部分の縫い目であってもテープで防水処理していないものが多いようです。

そのため、購入後に自分でシームシーラーやシルネット等の専用防水剤を縫い目に塗って何らかの防水加工しなければならないことになります。

私の持っているアライテント製のビバークタープもこの部分が縫いっ放しであったため、防水処理をしなければなりませんでした。
とはいえ、防水剤を縫い目に塗布するのも当たり前過ぎて面白くないので、今回はテント用のシームテープを貼ってみることにしました。

シームテープは“小川キャンパル”社製の“シーリングテープ”いう商品名のテント補修用品で、、10mで実売価格1,600円と結構な値段がしますが、上手に貼り付けると市販のテントと同等な耐久性が発揮されるとの事です。

Seam_2

さて、それでは早速作業に入りましょう。
加工にはアイロンとアイロン台かそれに代わるもの、それから耐熱性のクッキングペーパーがあると万全です。

まず、タープの生地をウレタンコート面を表にして広げ、縫い目を真っすぐに伸ばして、強いテンションが掛からない程度の弱い張りを持たせながら縫い目の端からアイロンで接着していきます。

Seam_3

アイロンは120℃との指定ですが、作業をしてみて着きが悪ければ若干温度を上げてもかまわないでしょう。
アイロンは直でもOKですが、心配なら生地とアイロンの間にクッキングペーパーを挟んで作業すると、熱で生地をダメにしてしまう危険を無くす事ができるでしょう。

一工程20~30センチ位で区切り、一度目では仮止め、二度目で気泡を抜きながら仕上げといった感じで、端から順次接着を進めます。
きちんと張り付いた部分は、元の乳白色から透明に変化しますので目で確認しながら慎重に作業を進めればまず失敗はしないでしょう。

完成した状態は画像をごらんいただければ分かると思いますが、外見上はテントメーカーが貼ったものと全く見分けが付かない綺麗な仕上がりになります。
この例ではリッジ部分の補強テープの上から貼りましたので丁度でしたが、テープの幅が25ミリと広いので状況によっては5ミリ~ほどカットしたほうが良かったのかもしれません。

Seam_4  Seam_6

作業自体は単純ですし、塗布時に周囲が汚れたり乾くのに時間の掛かるシルネットよりむしろ面倒は少ないかもしれません。

当然ですが防水は完璧ですし、重量の増加も無視して構わない程でしょうから、普通のウレタン防水タープをご使用の方は試して損の無い(?)山道具のスープアップだと思いますよ。

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2010年12月18日 (土)

シェル出し用ヒートガン の温度調節器を作る

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★☆☆☆☆
(改造は自己責任で!!!)


以前から御紹介しているように、スキー(ランドーネ)ブーツのシェル出しは“ヤル気”さえあればアマチュアにも可能です。(→その他の参考記事
ピンチクリアーの自作というハードルはありますが、マグネットを使用した正確な当たり位置の把握法と併用すれば、シェル出し自体はそれ程難しい作業ではありません。

しかしながら、チョットした気の緩みが数万円也の新品ブーツを一瞬にして粗大ゴミに変えてしまうかもしれない作業である事を考えると、やはり慎重な上にも慎重を期す必要があることも事実です。

そこで、熟練したプロのような経験とカンの乏しい私達アマチュアのために、非接触で表面温度を測定できる放射温度計でシェル表面の温度を監視しながらヒートガンを使用する方法を以前より御紹介し、また、より安全マージンを確保する方法として温度調節式のヒートガンを用いて万が一の過熱を防ぐ方法、さらにより安定した温度調節式ヒートガンへの改造についても御紹介してきました。

しかし、自分で作っておいてなんですが・・・、前回御紹介した温度調節式ヒートガンはテストという目的もあり、手持ちのスライダックを使用して電圧を変化させてヒーターの温度を制御する方式を採りましたが・・・、テストとはいえこれではさすがに大袈裟過ぎたようです。

そこで、今回はその進化型として、当初から予定していたトライアックという半導体を使用してヒーターを制御するデバイスを作ってみましたのであらためて御紹介したいと思います。
この装置は汎用の調光器・調温器として、白熱電球や半田鏝など抵抗負荷全般の制御に使用可能ですから一つ作っておくと種々の用途に便利に使用できるでしょう。

Hgad3
(今回自作したトライアック式電力調節装置)

重さはスライダックの数十分の一とかなり小型・軽量ですし、電子工作初級レベルで作製可能で費用も3,000円位しかかかりません。

なお、ヒートガン自体は前回のスライダックでの実験の時に改造した、ヒーター回路とブロワー回路を分離した状態のものを使用しますので、この部分については以前の記事を参考にしてください。
(無改造のヒートガンのプラグを直接この種の温度調節デバイスに接続すると、ファンの風量も同時に減少し過熱・発火の恐れもありますので、絶対に無改造のヒートガンを使ってはいけません・画像↓)

Hgad4
(外部に取り出したヒーター回路をこのデバイスに中継させる)

温度制御デバイス自体は「秋月電子通商」の“トライアック万能調光器キット(35A型)”を組み立ててケースに組み込むだけですので特に困難は無いと思います。
もっと小型にもできるのですが、AC100Vを扱う機械なので余裕を持ったケースに組み込むと良いでしょう。
また、10A以上は流れそうなヒートガンの制御の場合、トライアックはかなり発熱すると思われますので余裕を持ったヒートシンクを使って放熱を十分にしましょう。
今回私の使用したヒートシンクはジャンクBOXの中に転がっていた昔のパソコンか何かの物の流用ですのであまり見栄えはよくありませんが、これくらいの大きさがあれば20A 位流れても余裕だと思います。

Hgad1
(キットの基盤をヒューズやスイッチと共に余裕を持ったケースに組み込む)

さて、後はこのデバイスを専用コードを使って、以前改造したヒートガンのヒーター回路のバイパス・コネクターを介して中継させれば準備OKです。
温風の噴出し温度は、熱電対式の温度計を使ってヒートガンのノズルから数センチ離れたところで、取りあえず120℃位になるようにVRを回して調節しておけば良いでしょう。

実際の使用に際しては、放射温度計でシェル表面の温度を監視しながら温度を微調節すれば、アマチュアでもシェルを過熱でダメにすることも無く、安全にシェル出し作業が行えるはずです。
なお、シェルの塑性変形に必要な温度は、素材がポリウレタンかぺバックス(ナイロン系)かでも異なるようですし、素材が同系統でもメーカーやアイテムによっても適温は異なるようです。
表面温度が80℃以下ではこの作業には不十分ですし、かと言って100℃を超えると融けてしまう樹脂もありますので、アマチュアでしかも初心者の場合は表面温度が90℃を超えない範囲で作業をして様子を見たほうが安全です。

Hgad5
(温度調節式ヒートガン一式)

また、以前にも御紹介したサーモインナー用ノズルを自作すればこの改造ヒートガンを使って、サーモインナーを安全に成型することが可能ですから、この用途としてこの装置を自作するのもアリだと思います。


 ワックスアイロン用に以前製作した微積分処理で操作量を制御できる温度調節器(画像↓)を流用して、任意の設定温度でのサーモインナー成型の可能性をテストをしましたが、吹き出し口直近の温風の温度管理は難しいらしく、温度をピタッと安定させられませんでした・・・、よって現段階では今回御紹介した温度調節装置と熱電対式温度センサーによる温度監視を併用した方法が簡単でベストだと思います。

Tc

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2010年12月 9日 (木)

Dynafit-TLTはマイナーチェンジで変わったか?

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(TLTの製品としての評価です)


私はここ数年スキーツアーではDYNAFITの“TLT”ビンディングをメインに使ってきました。
このTLTに代表される“Tech”システムは、率直に言ってかなりクセのある製品で、誰にでもお勧めできるビンディングとは言い難いし、特に山スキー入門者には不向きかもしれません。
しかし、ご存知のように山岳スキーレース用ビンディングとしては市場をほぼ独占していますし、ヨーロッパの一般的なスキーツアーにおいても“DYNAFIT”は“DIAMIR” と同等以上に信頼性の高いビンディングとして、かなりのシェアを維持し続けています。

そして、この製品の別の意味での凄い所は、市販された時点から基本設計が全く変わっていない、つまり最初からほぼ完成された(改良の余地の少ない?)製品であったと言うことではないでしょうか。
意地の悪い言い方をすれば「進歩していない」と言うことにもなるのでしょうが、(特殊なレース用やレンタル用を除けば)ビス穴の位置すら二十年も全く変わっていないビンディングというのも珍しいのではないでしょうか。

この、ビス穴位置をむやみに変更したくないというメーカーの方針は、販売店からすればメタルジグを替えなく済むというメリットはあるのでしょうが、その反面私達ユーザーにとっては、ヒールピースが微調節程度(6mm)しか前後移動のできなかった旧世代の“TLT-Speed” から、“TLT-Comfort(=Vertical)”にモディファイされた時も、最大26㎜という中途半端な調節幅しか確保できなかったという弊害を生じさせたことも事実です。(画像↓)

後発のG3-Onyx も前後調節幅は33㎜ほどなので僅差と言えないこともないのですが、時としてこの差が大きな意味を持つ事もあるわけですから、せめてOnyx 程度は調節幅を確保してもらいたいところですよね。

Dyna1
(現行モデルの基本となったSpeed㊨と、Comfort㊧のヒールピースを比較すると、ビスの位置を変更せずに調節範囲を広げるため、アルミ製のベースの四隅を切り欠いて逃げ寸を広げる方法が採られたことがわかるが、この方法では調節幅が最大26mmしか確保できなかった)

もちろん、ヒールピースのトップカバーやプラスチックパーツなどの変更、また解放値がDIN-12までになったりと細かい変化はあったのですが、トーピースの金属部分に関しては少なくても十数年は全く変化が無かったように思います。

しかし!、09-10モデルからトーピースの外見が目に見えるほど変化しました。
そこで早速この新しいトーピースと旧トーピースの何処が変わったかを検証してみましょう。

Dyna2
(㊧以前のトーピースと、㊨マイナーチェンジ後のトーピース)

画像でお判りのように新旧の外見上の相違点はピンのアームとレバーの部分に縞状の凹凸が加わったという事です。(画像↓)
強度を増す目的なのかも知れませんが、無用な凹凸があると雪が付着しやすくなるような気もします。

Dyna7  Dyna6

あと、アームの部分の幅が若干幅広になっています。
これは、“Vertical-FT12”という解放強度DIN 12 までのモデルがラインナップされたのに伴う強度アップのためかもしれません?

Dyna8  Dyna9
(アームの幅が2mmほど増し、形状も変わった)

また、これは一般のユーザーにはあまり関係の無い点かもしれませんが、このビンディングを板に取り付ける立場から言えば、トーピース前端のビスを締めるためにあけられた解放レバー中央の穴が角ばった大きなものに変更されたことが今回のマイナーチェンジの一番大きなメリットではないかと考えています。
以前のモデルはこのビスを締めようとしてもPZ-3のドライバーのシャフトがギリギリの穴径で、スムーズに作業をするためには特殊なポジビットかシャフトを旋盤で細く挽いた自作の改造ビットを必要としたことを考えれば、遅すぎた改良といっても言い過ぎではないと思います。
特にTLTビンディングではブーツのセンター合わせのためにビスの微調整が必要な場合も少なくないので、この改良で調整作業もいくぶん容易になるかもしれません。

Dyna3
(レバー部の穴が角張った大きなものに変更)

今回は取り敢えず外見上の報告となりましたが、使用して使い勝手がどう変わったかについては後日あらためて述べてみたいと思います。

いずれにせよ、このDynafit の TLT ビンディングが、今後もほぼ完成されたシステムとして継続していく事に期待しますが・・・、その半面、このシステムと互換機能のあるビンディングとして、(ブレーキ・レスでもペアで1500g弱とかなり重いとはいえ)より安定した拘束・解放機能を持つ“G3-Onyx” というニューカマーが登場している現在、ここらで基本設計の維持に拘らないリニューアルを考えても良い時期かな・・・、という気もしないではありません。
偉大な先駆者とはいえ、『後生畏るべし 』の格言もありますからね。

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