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2011年1月21日 (金)

DYNAFIT/TLT-Speed という選択

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆


私は比較的古い時期から“DYNAFIT”のビンディングを継続して使用しています。
しかし、これまで私が使用してきた機種は、“TLT-Comfort”とその後継機種である“Vertical”(画像↓)だけで、“TLT-Speed”を使ったことはありませんでした。

Dyna3  Tlt_speed_5
(㊧Vertical-ST、㊨TLT-Comfort)

※↑画像㊨のTLT-Comfortは、純正クトーをシッカリ取り付けるためトーピースを金属補強板の入ったVerticalのベースプレートに交換してある。
またこの画像の年式のComfort は素材の品質や精度が良好なので海外のショップ等で見つけたら即入手しておこう。
また、このペイントのトッププレートからクローム鍍金のトッププレートに変わった初年式の製品はトーピースのベースプレートの破損やヒールのロッキングピン折損という重大な問題のある
明らかな欠陥品だ。


これまでDYNAFITの標準モデルとも言うべき“TLT-Speed”を私が使用してこなかった主な理由は、この機種がブーツに対する調節幅が前後で僅か6mmと微調節程度しかなかったという単純な動機で、調節幅が25mm程度はある“TLT-Comfort”や“Vertical”のほうがブーツ交換等で融通が利くと考えたからです。

また、TLT-Comfort /Vertical の2機種は標準でブレーキが装着できますが、“TLT-Speed”については、現在ブレーキの装着は不可となっているようです。(以前はオプションパーツ利用で無理矢理に?装着もできたのですが・・・)

Tlt_speed_2
(TLT-Speed/改・市販のオリジナル品はヒールピースにヒールリフターが有る)

しかし、私は通常のスキーツアーの際には、このビンディングの軽さを生かすためと、スキーの紛失を避けるため、敢えてブレーキは装着せず昔ながらのリーシュコード(流れ止め紐)を装着しています。

リーシュだと転倒して板が外れた時、跳ね返って自分に当たるから危険だ、との意見も無い訳ではありません。
しかし、私が大学生時代までは現在のようなスキーブレーキなどいうモノは存在せず、ゲレンデでも皆リーシュを使用していましたが、稀に自分の板のエッジでで額を割った(!)という武勇伝を聞く程度で、私自身もそれ程危険な経験をした事は多くありません。

また、欧州のオートルート・ガイドツアーなどでは、ブレーキ付きのビンディングでも併せてリーシュの装着をツアー参加の条件としている例も多いようです。
オートルートでスキーを紛失するということは、パーティー全員の命を危険に曝す事になり、自分が怪我をする危険よりも総合的な意味でリスクが高いと考えているのでしょう。
まぁ、唯一の難点はブレーキが無いと板を束ねて持ち歩く時にバラけ易い事でしょうか?。(笑)


・・・そこで、スキーブレーキを使用しない私は、・・・考えました。
履くブーツは決まっているし、ブレーキも必要無いのだったら、“Vertical-ST”よりペアで150gほど軽い“TLT-Speed”の方が(見た目は地味ですが)ツアーにはむしろ有利ではないだろうか、と・・・。



そんな訳で、昨シーズン“TLT-Speed”を載せ替えて使用してみました。
幸いにDYNAFIT はほとんどの機種でビスのパターンが一緒なのでビンディングの載せ替えはいたって簡単です。

Tlt_speed_6   Tlt_speed_1
(㊧TLT-Comfort 、㊨TLT-Speed /改・チタントップカバー仕様)

『同様に“G3/ONYX”も先輩をリスペクトしたのか?ビスのパターンを“DYNAFIT”同じにしてありますので、載せ替えは簡単です。
しかし、“ONYX”はブレーキレスでも実測で1500g弱、一方この“TLT-Speed”は実測で700gですからその差は2倍以上。
“ONYX”が解放時のエラスティティーやモード切替の容易さで優位とあっても、ツアースキーに限定するならこの歴然とした重量差では圧倒的に“TLT-Speed”が優位に立つでしょう。
また、“DYNAFIT”でも
以前紹介した自作道具を使えば、ブーツを外さずに滑降モードから歩行モードに切り替えられますしね。
だいたい、1.5キロもある“ONYX”と“ディアミール”の二者選択しか途が無かったら、TECシステムに理解のある私でも迷わず“ディアミール”を選択する気がします。』




ただし、“TLT-Speed”は“Comfort/Vertical ”より板の表面からブーツソールまでの間隔が狭く(画像↓)なりますので“VOILE”のスキークランポンを装着している場合はクランポンのベースを少々後ろに移動する必要が生じるかもしれません。

Tlt_speed_4   Tlt_speed_8
(㊧TLT-Speed 、㊨TLT-Comfort 、の板とブーツソールの間隔の相違)

Tlt_speed_3   Tlt_speed_7
(歩行モード時、㊧TLT-Speed では踵が直接ベースプレートに乗るが、㊨TLT-Comfortではヒールピースの突起に踵が乗る)


さて、使用してみた感想としては、当然といえば当然ですが歩行・滑降とも“TLT-Comfort/Vertical”と”TLT-Speed”の使用感に全く差異はありませんでした。
ヒールピースハウジングの形状とピンの長さ、そして板の表面からブーツソールまでの間隔が若干異なりますが、使用する上では全く同様か、あるいはファットスキーの場合はむしろ登行・滑降とも安定するような気もします。
(ただし、“TLT-Speed”を自分で取り付ける場合は、ヒールピースの可動域が微調節程度なので位置決めは慎重に!)
   

そんな訳で・・・、“TLT-Speed”という機種は、スキーブレーキは必須だとお考えの方や、DIN-11以上の解放値が必要な滑りを志向する方には全く不向きかもしれません。
しかし、ツアーを主目的と考えるなら、“Comfort”や“Vertical”と使用感もほとんど変わらず、さらにスキーを軽量化できる、この“TLT-Speed”のほうがベターな選択と言って間違い無いと思います。
どんな新しいTEC システムのビンディング(↓)が登場しようと、この“TLT-Speed”がオールドファッションとして世界のツアーシーンから消え去らないことを祈りたいですね。


【余談ですが・・・】

そういえば、永らく基本設計やビスパターンを死守していたDYNSFITも、ここに来てようやく画期的な“TLT -Radical”というマイナーチェンジ以上の変更を行った新製品を出してきました。
“TLT -Radical”では、トーピースにブーツをセットする時、まさに画期的といえるほど容易になったということなので、私も大いに期待をしています。
しかし、使いやすくなるのは結構なのですが、とにかく『TEC システムは軽さが命!』・・・、“TLT -Radical”が“G3/ ONYX”みたいに重たくなっていないと良いのですが・・・。

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コメント

いつも参考にさせてもらっています。

20年ぶりに山スキーの世界に戻ろうと先日ガルモントのスキー靴を買ったのですがダイナフィットTLTに適合しないアドレナリンを買ってしまいました。サーモインナーを焼いてしまっているのでもう返品・交換は不可能です。なんか良い方法はないものでしょうか?
何しろ驚異的な軽さのビンディングのようでぜひ使いたいと思っています。

投稿: 高瀬 | 2011年1月27日 (木) 12時31分

高瀬さん、はじめまして!

早速ですが、「良い方法」は思いつきませんね。
ディアミールの付いた板を買うか、思い切ってブーツをヤフオクで売ってしまって、TLT対応のブーツに買い換えるしか無いと思いますよ。

良いアドバイスができず残念ですが、これからも「山道具道楽」をよろしく!

投稿: 理事長 | 2011年1月27日 (木) 14時24分

早々とした返信ありがとうございます。やっぱりそうですか。残念。ヤフオクで売るのも気が進まないので、ディアミールで頑張るしかないですね。そのディアミールもこれから買わなくてはならないのです。わざわざ重いビンディングを買うというのもこれまた気が進まない話で、今大変なジレンマに陥っています。数年後には一般の兼用靴が使える兼用ビンディングが販売されるようになればいいのですが。

投稿: 高瀬 | 2011年1月28日 (金) 09時25分

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