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2011年3月22日 (火)

JETBOIL を“絞首刑”に!(試作編)

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★☆☆☆☆


【今回は“JETBOIL ”をハンギングタイプにする改造です。】

この未曾有の災害の中、公私とも散々な状態で春の予定もすべてキャンセル。
・・・で、こんな事をやってみました。

Jb14


・・・さて、狭いテントの中でストーブを使うのは一苦労です。
特に装備の多い冬に、狭いテントの中で通常のストーブを使用するときは、常にクッカーを押さえていないとひっくり返して大火傷という危険も生じます。

まあ、冬でも短辺180cmのテントを二人で使うならスペースに余裕もありますが、二人用で冬のミニマムと考えられる短辺130cmのテントを使うとなると、安心してお湯を沸かせる場所も無く、ストーブ使用中は二人とも無理な体勢を強いられます。

そんな時非常に便利なのがハンギングタイプのストーブです。
これを使えばストーブ使用時に熱湯入りのポットをひっくり返してしまう心配も無く、お茶くらいでしたら下半身をシュラフに入れたままで楽しむことも可能でしょう。


今回は、狭いテントを使ってまで軽量化を図るハイカーやクライマー御用達のJETBOIL をハンギングタイプに改造してみました。
改造したのは“JETBOIL Flash/改”です。

純正品でもハンギングキットがあるのですが、確か4000円近くと高価でしたし、私の主観ですがやや大袈裟で使い勝手も良さそうには見えません。

そこで、改造の目標を、①軽量でコンパクト・パーツ数の最小化  ②セットに手間取らず即使用できる構造とする  ③本体に手を加えず現状復帰可能  ④吊るす高さの調節が容易 、と定めて設計を開始しました。

①についてはハンギングストーブの現在の主流であるステンレスワイヤーを使用せず、熱に強いアラミド繊維(ケブラー)のつり用糸(細くても耐荷重数十キロ)を支線に使用する事にしました。

しかし、この糸がいくら熱に強いといっても火のそばでは使用できないので、支点はコンパニオンカップの上部から取ることにしました。
また、この結果従来のハンギングストーブが3本の支線で吊っていたのに対し、支点が最上部に近い位置だと2本の支線で安定しそうですから、今回はこの方法を試みることにしました。

本体に穴を開けて支点を取り付けるなら設計は簡単なのですが、カップ内側にリベットが突き出してしまうとバーナー部が収納できなくなるので、目標③は最重要課題です。

当初はコンパニオンカップの外径に合わせたリング状バンドを作って下からスライドさせようと思いましたが、残念ながら熱交換部が邪魔でそう簡単にはいきません。

また、この部分がお粗末な造りだと使用中に外れて熱湯を浴びてしまう危険がありますので無い知恵を絞った結果、アラミド繊維ラインに掛る自重で自動的にC型形状の金属製バンドの末端が結合され、バンドがコンパニオンカップに締め付けられる構造にたどり着きました。
この方法だとフック部を入れても部品点数4、本体だけだとバンドとラインの2点とかなりシンプルです。

さらに、④を実現するため上部フックに自作アジャスターをセットし、ラインを簡単に任意の高さにセットできるように工夫しました。



・・・そして完成したのが、以下のデバイスです。

固定用金属バンドは本来は1mm厚のチタンを使いたかったのですが、長辺で320mm以上取れる素材の手持ちが無かったため1.2mm厚を使い、軽量化のため肉抜き穴をあけましたが・・・。
しかし、これが失敗でした、穴のある板の曲げ加工は困難できれいに仕上がらず、プロトタイプとはいえご覧のように見苦しい姿となりました。(涙)
このような穴の開いた細長い板はおそらく3本ロールを使っても綺麗には曲がらないでしょう。

Jb8
(プロトタイプをコンパニオンカップに取り付けた状態)

次回自作する際は、1mm厚のチタンを肉抜きせずに使用しようと考えていますが、これは私がチタン・マニアだからで、皆さんが自作する際はアルミの1.5mm程度、あるいはステンレスの0.8mm程度の板を使用することをお薦めします。
また、今回の試作では、実寸323㎜ × 20㎜ で作りましたが、次回は幅を15㎜にしようと思います。

きっちりと寸法を測って、締まった状態でコンパニオンカップ上縁のフランジでピタッと止まるように仕上げます。
“三本ロール”が使えれば簡単に筒状に仕上がるのでしょうが、私は所持していませんので太いパイプの端材を利用して丸く成型しました。

Jb13  Jb12_2
(㊧C型のチタン製バンドで、㊨カップ上縁のフランジを支える構造)

チタン・バンド両端の固定部は画像(↓)をご覧になるのが一番だと思います。
アラミド繊維のラインにテンションが掛ると末端同士が縫い合わされるようにシッカリ固定され、荷重が掛っている間は糸が切れない限りコンパニオンカップが脱落してしまうことは無いはずです。
両末端の上部はリッド(蓋)と干渉しないよう若干切り欠いて、その切り欠きと上縁の接点部はやや内側に曲げ、カップのフランジ部に密着するように加工しました。
また、ラインの接続部は画像のようにバンドの末端をカップ表面から浮かしてあります。(画像↓)

Jb10  Jb6

ラインの通る穴は面取りをして内面は、細いラバーバフで鏡面に仕上げておきましょう。
こうしないと強いアラミド繊維とはいえ使用中に傷んでしまうかもしれません。


反対側の支点はハンドプレスで半球形の出っ張りを付けて、この窪みにアラミドライン末端の結び目を納めるようにしました。
私は反対側の支点とレベルを合わせるため凸部下側に穴を開けましたが、ここは頂点部のほうが良かったと思います。
また両方とも凸部の上をラインが通るため、ラインはカップの表面から離れていますのでリッドとの干渉も避けられます。(画像↓)

Jb11  Jb7



コンパニオンカップへの取り付けはコジーを少し下にずらし、末端をC型開いたチタンバンドを上から被せてアラミドラインを引っ張れば末端同士が縫い合わされるようにシッカリ固定されます。(画像↓)
取り外しは逆の手順ですが、付けっ放しにするつもりならラインの出口に8ノットの結節を作っておけばテンションが掛っていない状態でも緩むことは無いでしょう。

Jb9
(両端を開きながら装着する)

この試作品では、ラインを2点支持式にしましたが、これでも特に不具合は無いようです。
むしろこの方が岩壁に吊るす際には安定するでしょうし、冬に雪で水を作る際もブロックの投入が容易だと思います。

もちろん、このハンギングキットを取り付けたままでコジーも併用できますし、ラインの支点を若干下げ、また外側に浮かせてありますのでリッド(蓋)も取り付けられます。(画像↓)

Jb1 

さらに、不使用時にはアラミドラインとフックをコジーのカトラリー・ポケットに収納しておけばノーマルの状態と変わらずに使用することができます。(画像↓)

Jb2


さらに、ステンレス・バネ材を曲げたフックの部分には自作のアジャスターを取り付け、吊り下げる高さを調節できるようにしました。

この調節部分は“3穴式”のロープ固定の仕組みを小型化したものです。(画像↓)
これもアラミドラインを使うメリットの一つでしょう。

Jb4
(黒いタブを引いて締まったコードを弛めれば長さの調節が容易になるが、最後に末端が通る穴を少し離れた位置に設ければこのタブも不要だろう)


以上、まだプロトタイプで実戦未投入の段階で、さらに使用中にバーナー部がカップから外れ、落下しないためのより確実な固定など、細部にについての課題はまだまだ残っています。
また、アラミドラインの耐久性も時間を掛けないと結論は出ませんが、とりあえず現在の状態でも十分有効に機能してくれそうな期待を感じさせくれる工作です。

比較的単純で簡単な工作ですから皆さんも試してみてはいかがでしょうか?

注意!
テント内でストーブを使用するのは原則的には禁止行為です。(笑)
また、ハンギングストーブをテント内に吊るす時は、インナーフレームテントでしたらフレームの交点を支点にするか、また通常のテントの場合は幕体側の支点も補強しないと危険ですから注意してください。




バンド末端の固定法や構造、また取り外し可能なワイヤーを使う構造など、アイデアはまだまだあるのですが、時間と工作技術が不足でなかなか実行に移せません。
・・・と、言うわけで、今後とも継続課題として取り組んでみたいと思います。

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