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2011年4月17日 (日)

Dynafit/TLT-Speed のレバーに関して

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★☆☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(改造は自己責任で!)


私はDynafit/TLT-Speedを昨シーズンから使い始めました。
それ以前はTLT-Comfort とTLT-Vertical を使っていましたが、それらに比較してみるとTLT-Speedには幾つか使い勝手に違う部分があるようです

Tlt_speed_2  Vst
(㊧TLT-Speed/改、㊨Vertical-ST)

私の一番気になったところとしてはトーピースのレバーの部分です。
TLT-Comfort からTLT-Verticalに進化した段階でレバーが大型化されロック・アンロックの切り替えに無理な力を要せずにすむようになったのですが、TLT-Speedに関しては現在でも20年前のような小さなレバーのままとなっています。

レバー自体はTLT-Comfort と同じ形状なので、特に問題があるわけではありませんが 、TLT-Speed の樹脂製のベースプレートと組み合わせた場合には要注意です。

それは、TLT-Speed の場合、トーピースの樹脂性ベースプレートがほとんど弾力性の無い薄いソリッドな形状のため、“最中(もなか)”構造で若干の弾力性を有するベースプレートをもつTLT-Comfort やTLT-Vertical と異なり、レバーとベースプレートの間隙の僅かの差が動作にシビアな影響を与え、ブーツとの相性によっては歩行モードでのロックにかなり強い力を要するという問題が発生するということです。

下の画像はTLT-Speed とDynafit 純正(?)のブーツを組み合わせた時のものです。
ビンディングのビボットのピンがブーツの穴に入った状態で、アーム外側の幅を計るとノギスでの手計測で81.9mmです。(画像↓)

Sp_3

次の画像はTLT-Speed とGARMONT  のブーツを組み合わせた時のものです。
この場合はアーム外側の幅を計ると82.3mmでした。(画像↓)

Sp_2

この差は、製品の公差の範囲内に収まる僅かな数値なのでしょうが、僅かとは言えGARMONT のブーツの場合は前者より0.4mmだけアームの戻りが少々少ないということになります。

ちなみに、それぞれのブーツをセットした状態でレバーの穴の後端上面とビスの頭までの距離を測ったら(画像↓)前者が12.7mm、後者は12.2mmでしたから、このわずか0.5mmの差が以下に述べる樹脂製レバーのロック状態に影響を与えることになるのです。

Sp_4
(このように測定したのでやや正確さを欠くかもしれないが・・・)

さて、この微妙な差は実際にこのビンディングを使用する時どのような影響するのでしょうか。

TLT-Comfort など、中空である程度弾力性のあるベースプレート場合はロックレバーがベースプレートを撓ませますのでこの位の寸法の差は無視しても構わないのですが、リジッドなベースプレートを持つTLT-Speed の場合は、後者のブーツとの組み合わせた場合、歩行モードでトーピースをロックしようとレバーを起こしたた時、かなりの力を入れてもレバーのセレーション(ギザギザ)が一段目までしか掛からないという状態となってしまいます。

Sp_6
(力を入れても1段目までしかレバーを起こせない)

TLT-Speed とDynafit のブーツの組み合わせの場合でしたら新品のうちでも、レバーは普通の力でも2段目か3段目まで起こすことができるのに(画像↓)、ブーツの個体差の問題もあるのでしょうが、私の今使っているGARMONT のブーツとTLT-Speed の組み合わせの場合はこのような現象が起きているのです。

Sp_5
(Dynafit のブーツだと通常の力で2段目までレバーを起こせる)

そして、このように1段目までしかロックが掛かっていないと歩行モードでチョット板が引っ掛かった拍子に突然ブーツが外れてしまう事があり、時として非常に危険な事故にもつながりかねません。
「カチッ、カチッ、カチッ!」と3段目までレバーを起こせれば不用意な解放もほとんど起きなくなるようですが、1段目までだとまだ誤解放の心配は残ります。

まあ、最初は固くても使っていくうちにレバーやベースの当たりが馴染んできて、2段目くらいまではレバーが起こせるようになると思うのですが、力の無い女性などの場合はレバーをロック状態まで起こし難く、また無理して確実にロックできる位置まで起こしたとしても、今度は滑降モードに切り替えようとした時TLT-Speed の小さなレバーでは力が入れ難く非常に苦労(ポールのグリップ部で叩くようにレバーを押す etc.)する事になるでしょう。

そこで、このような場合の対処法を考えてみました。

まず考えられるのは、以前、TLT-Comfort のベースプレートに欠陥があった時にメーカがディーラーに指示した姑息な方法と同じ一番前のビスの部分、ベースプレートとトーピース本体の金属部分の 間に厚さ0.5~0.7mm.程度のワッシャーを挟むという方法です。
これでレバーのセレーションとベース凸部との間隔はワッシャーの厚みの分だけ離れますから、取り敢えずレバーはより手前まで起こせるようになる訳です
しかしこの方法ではトーピースが僅かに変形する訳ですし、ベースとトーピース本体にに掛かる力が均等ではなくなるので、構造的には些か問題のある方法だと言わざるを得ません。

また、ベースプレートの凸部を削ってしまう事も考えられます。
この場合は、彫刻刀の等で半円柱状の凸の上面を低く整形すれば良いでしょうが、これだと少々見栄えが悪くなりますし、極端に低くしてしまうとブーツを替えた時に少々心配も残ります。

そこで私は、トーピースがベースプレートに接する形状に倣ったシムを作って間に噛ませる方法を考えました。


複数作ることになるし、計画中の着雪防止対策用にも使用したいので、遠回りですがまず2000系アルミでテンプレートを作る作業から始めました。

Tltsim1  Tltsim2
(㊧自作のテンプレート、㊧トーピース本体の取り付け部に倣った形状だ)

あとは、機械的な強度のある0.5~0.8mm(厚いほどレバーは起こしやすくなる)のジュラコン板等にこのテンプレートを使用して罫書きを行い、カッターで切り出せば完成です。

Tltsim3  Tltsim4
(㊧切り出したジュラコン板のシム、㊨テンプレートとシム)

そしてビンディング取り付けの際ベースと本体金属部の間にこのシム(私の場合は0.5mm)を挟んで取り付ければ総ての問題は解決!というわけです。
これで外見は全く変えずにロックレバーの動作を改善することができる訳です。

・・・とは言え、この方法はビンディングを一度取り外す必要もあり少々手間の掛かり過ぎる方法ですから、私自身も一般的にはベースプレートの凸部の上面を削る方法で対処したほうが、ベターだと考えます。

いずれにしろ、ブーツとの相性が悪く、力の弱い女性などがレバーをロックし難いと感じる場合や、ロックが弱く、歩行中にたびたび誤解放するような場合、何れかの方法でロックレバーに対策を講じておくべきだと思います。



【余談でもない?のですが・・・】
さて、TLT-Speed が着雪に弱いのかという理由は、ベースプレート後端にあるクトー取り付け部の凸型形状がダムのようになって雪の逃げを妨げている点と、トーピース中央のスプリングが付いたアームの逃げ代となっている中央の穴の部分の角がスキーのトップシートと直角で接する形状となっているからです。

そこで、着雪を少なくする手段としては純正クトーの使用を諦め、クトー取り付け部の凸型形状を金属部分の面の高さまで削り取ってしまうのが一番だと思われます。

また、トーピース中央のスプリングが付いたアームの逃げ代となっている中央の穴の部分の部分をTLT-Comfort のような底面の角にRの付いた雪を排除しやすい形状にすれば着雪による動作不良はかなり防げるのではないか、と考えられます。

カイデックス板(ナイフのシースなどに使用する熱可塑性高強度樹脂)を上記のアルミ製テンプレートをオス型にしてフォーミングし、ベースとトーピース本体の間に挟めば排雪性がかなり向上すると思われます。
この目的で現在カイデックス板の0.5~0.8mmを探しているのですが、残念ながらどうしても1mm厚以上のものしか見つけられません。

仕方なく、ジュラコン板でテストしてみましたが熱可塑性が低く上手に仕上がりませんでしたので、このアイデアは現在検討中です。

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コメント

こんばんは。無事取り付けも終わりテストも終わりました。突然何度も開放され、何が起こっているかわかるのに十数分。トゥピースのあの場所に雪ががっつりついていたのを知らずに履いていたんですね。マメに穿る為に道具を持ち歩こうと思いました。

投稿: A | 2015年12月22日 (火) 01時38分

“A”さん、毎度毎度です!

早速ですが、雪の付着でトーピースがロックされない事はよくありますが、一度しっかり固定されてしまえば後はそんなに誤解放する事は無いと思いますよ。

雪の付着防止にはシリコンのペースト(ドライフライのフロータントなど)を塗るのも良いでしょうね。
昔は「ゆきつかーず」なんて言う名前で山道具屋で売っていたんですが、今もあるのかな???

投稿: 理事長 | 2015年12月22日 (火) 09時13分

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