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2011年4月 7日 (木)

VOILEのクトーを取り付ける

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★☆☆☆☆
(取り付けはは自己責任で!!!)



Cimg0045


『山スキーにクトー(スキーアイゼン)など必要無い!』と断言される方もいらっしゃるようですが、そんな方々はかなりのエキスパートなんでしょうね。
(それとも、クロカンでも登れるような山にしか行かない人なのかなぁ?)

私のようなヘッポコ山スキーヤーは、修行が足りないせいかどうしてもクトーの助けを借りてしまう場面が多くなります。

荷物を背負ったスキーツアー・・・、シールの効く限界のカリカリの急斜面でキックターン・・・、意を決して板を後方に抜いて、エイヤッと踏み出した途端シールがスリップ・・・、そしてあっという間に急斜面を滑落してゆく・・・、以前こんな『夢』を何度も見たことがあります。(笑)
こんなシチュェーション・・・、思い出すだけでもビビリますね。

しかし、実際の山スキーではもっと厄介な状況にだって遭遇します・・・、ブレーカブルクラストで、アイゼンに履き替えた途端に腿まで踏み抜きそうでスキーを脱いで登ることはできないし・・・、それ以前の問題として、ツボ足登行が可能だとしても、安全にアイゼンに履き替えてシートラーゲンに切り替えられるような場所など周囲には無い・・・。
とにかく今は安定した場所までシール登行で頑張るしかない!
以前、山スキーツアーでこんな場面にもしょっちゅう出っくわしました。

そんな訳で、エキスパートからは程遠い・万年中級者で・還暦目前の・現在の私は、もう簡単なツアーしか行けませんが、それでも山スキーを安全に快適に楽しむためにクトーは毎回携行するようにしています。

そしてクトーの中でも、ヒールリフターを上げた状態ても効いて、しかもブーツを脱がずに着脱のできる、板に直付けするタイプのクトーは、歩行時の抵抗にはなっても安全の確保という観点からはより有効な道具だと私は考えています。

さらに、そんな板に直付けするタイプのクトーの中でも、以前の記事でもご紹介したVOILEのクトー(画像↓)は、厳しいツアーでこそ真価を発揮する、私が自信を持ってお薦めできる結構な「スグレモノ」です。

Vkuto1

またこのクトーは、ベース部分だけでも購入できるので、複数のスキーを持っていてもクトー本体は使い回しができるのも好感が持てますね。

これのパクリ品が松本の“ブンリン”から発売されていますが、こちらもオリジナルよりさらに改良され結構良さそうです。
この山道具屋さんは、以前もPETZL のクトーをパクッたりして、知的財産権的には問題ありですが・・・、まぁ堅いことは言わないことにしましょうか・笑】



しかし、VOILEのクトー(正式名称/Voile Ski Crampon )は基本設計は良くても、大メーカーの製品と比較すると完成度はイマイチで、キッチリ取り付けるには少々慎重さを要する部分もありますので、今回の記事では、その点を含め取り付け方法をご紹介します。

また、このクトーは、ディアミールでは“フリーライド・プロ&プラス”以外ではクリアランスの関係で使用困難です。
またDYNAFITではセンターがプレートでつながっていない“Vertical”シリーズや“Comfort”、または“Speed”でも使用できますが、“Speed”などクリアランスの小さい機種ではブーツによって取り付け位置に制約がでる場合もありますので、必ず事前にチェックしておく必要があります。

※では、早速取り付けてみましょう。

【使用する道具】
①ドライバー(POZI/♯3) ②紙ゲージ(製品に付属) ③ドリル(φ2mm・3.5mm)
④3/8"または10mm ボックスレンチ(モンキーレンチでも可) ⑤センターポンチ、ハンマー、マスキングテープ、鉛筆 etc.

【工程】
①取り付け位置を決めます。
実際にブーツを取り付け、ソールに干渉せず且つなるべく前方(理想は拇指球の真下)に位置を決め、マークします。

なるべく前側といっても、ブーツを脱がずに容易に着脱のできることがこのクトーのメリットの一つでもありますから、このあたりは各自で位置を判断してください。
まぁ“TLT-Speed”の場合はブーツ・ソールとのクリアランスの関係で、必然的に着脱のし易い、やや後ろ側の位置になってしまうでしょう。

この時、純正のクトーを使用しないつもりなら、勇気を持って(?)トーピースのクトー用スリットより後側を切り取ってしまう(画像↓)という選択肢も無い訳ではありません。

Aid_3
(このように切り取ってしまうとクトーを前方に取り付けられる)

②紙ゲージ(テンプレート)をマークの位置に置きマスキングテープで固定します。
なお、この時紙ゲージのセンター位置にカッターで小さな窓を開けておくと、板に付けたマークを目視で確認できるので位置決めに便利です。(画像↓)

Voilese_1  
(付属の紙ゲージのセンター位置にカッターで小さな穴を開けると位置決めに便利) 

③ビス位置にセンターポンチを打ちます。

④ドリリングします。
この板の場合、指定はφ3.8mm ×D 9.5mmですが、いきなりφ3.8mm でなく、2mm~程度の細いドリルで案内用の下穴をあけてからにしましょう
ドリルには必ず指定の位置にストッパーを取り付け、穴が深くなりすぎないように作業します。
穴あけ終了後、穴の周囲は大きめに面取りをしておきます。

Voilese_3

⑤念のため、ビスの突き出し長とスキー板の厚さの関係をチェックしましょう
最近のファットスキーは幅が広い分かなり薄い板も多いので、そのまま取り付けるとソールを押し出してしまう事も考えられます。
ビスが長すぎる場合はボルトクリッパー等で先端をカットし、グラインダーで断面を整えておく必要があります。(画像↓・㊨)

また、大きな声では言えませんが(笑)、スキーメーカー指定のドリル穴より0.3mm程深めに穴をあける事でソールの押し出しを回避できる場合も多いので、板厚とビス長を確認して自己責任で試してください。

私の購入した時点での製品のビスはスキー・メーカー指定のD 9.5mmの穴をあけた場合、明らかに長すぎましたのでカットする必要がありました。
皆さんも慎重にチェックしてみてください。(現在の商品では未確認です)

下の画像、㊨の黒いビスはVOILE 付属のものを上記の理由で短くカットしたものです。
また、㊧は通常のビンディング用ビスですがVOILE のビスはネジピッチがかなり異なっているのが確認できると思います。
このため通常のビンディング用タップは使用できません。

Voilese_4
(アメリカのテレマーク系メーカーのビスは規格違いに要注意!)

⑥次に、ビスのみを垂直になるよう慎重に仮締めし、ビス自身で板にでタッピングした後一旦取り外します。
この時、ビス穴の周囲がクレーター状に捲れ上がりますから、この部分をカッターで削り取って平面にしておきます。
これをそのままにしておくと、ベースを取り付けたときトップシートから若干浮いてしまうので要注意です。

Voilese_6  Voilese_5
(㊧ビスを仮締めする、 ㊨ビスで捲れ上がった穴の周囲をカッターでカット)

⑦ベースプレートの裏面のビス穴周囲を面取りカッターで軽くさらっておきます。これも上記と同様の理由によるものです。

Voilese_8  Voilese_9

ビス穴に防水のための接着剤を流し込んで、ポジドライバーでビスを締め込みます。

接着剤は通常木工ボンドで構いませんが、私は面倒でもエポキシ系接着剤を使用しています。
これは私がビンディング載せ替え時の穴埋めにエポキシ樹脂を使用するため、相性を考慮してという理由もあっての事ですから、通常は木工ボンドを使ってください。
(私自身は経験していませんが、フォームコアの中にはエポキシと相性の悪い物もあると聞いた事があります?)

また、ポジドライバーはフィリップスより強いトルクが掛けられますが、スキーのビスは力を加減して締めないとネジ山を舐めてしまい、取り返しのつかない事態に陥ってしまうので要注意です。

Voilese_14

⑨最後に樹脂製のノブを取り付けます。
3/8インチのソケットでステンレス製のナイロンナットを締めこみます。
薄型のナットと樹脂パーツの形状からソケットの外周を㊧画像のような形状に旋盤で挽いたスペシャルツールがあると便利ですが、無くてもモンキーレンチの先端などで何とかなるでしょう。 

Voilese_7  Voilese_15

⑩さて、完成です。
念のためクトーを取り付け、動作をチェックしておきましょう。

Voilese_16  


※このクトーの取り付けは、ビンディングの取り付けの前哨戦としての練習にも最適の教材ですから、山スキー道具のD.I.Yを考えている方は是非試してもらいたいと思います。

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コメント

お世話になります。理事長さん

このボレーのアイゼンですが、センタービスが緩み易くはないですか?
ネットでも一部そのような記載がありました。

僕もこのアイゼンは2個目なのですが、1つ目は使わないまま人に譲り
2個目は人から譲り受けた中古です。
その為か、アダプタを回すたび結構、センタービスが緩みます。

とりあえず、ダブルナットにして対応していますが、薄型のボルトを用意しないと少しくわえが足りてません。

樹脂プレートだから仕方が無いのでしょうか?

投稿: Katsu | 2013年4月27日 (土) 12時40分

このナットはナイロンナットといって樹脂のリングで緩み止めをしているのですが、何度か付け外しをしていると効果が弱くなってしまいます。
ただし、ノブを回す時に緩みますが正常に機能していれば外れてしまうことは希だと思います。
(ビス高が低く凹部にあるのでWナットを効果的に使うのは困難でしょう)

ダメならナット交換です。このビスはISOのφ5㎜ですがナットの対辺は大きめの3/8インチ(普通は8㎜)ですから、このサイズの入手は難しいでしょう。
一番良いのはナイロンナットより緩み止め効果の高い“Uナット”の薄型の物を買って下にワッシャを咬ませることだと思います。

では、これから山の用意があるので、質問があれば詳細は後日説明いたします。
では!

投稿: 理事長 | 2013年4月27日 (土) 17時20分

ありがとうございます

同じ5mmナットが入ったので、ステンのものと交換したのですが
ソレが良くないかもですね・・・

そうか!外径が違う上、弛み止めがナット側にあるとは・・・
勉強になります。

ありがとうございました
理事長もお気をつけて行ってらっしゃいませ。

投稿: Katsu | 2013年5月 1日 (水) 10時18分

はじめまして。

以前、TLT取り付けの際に、こちらのサイトを参考にさせて頂き、無事取り付けることが出来ました。ありがとうございました。
ところで、こちらの記事の中で、「フォームコアの中にはエポキシと相性の悪い物もあると聞いた事があります?」とありますが、具体的にどこのメーカーのどのスキーに合わないなどの情報はありますでしょうか?
また、理事長様は、どのようなエポキシ接着剤をお使いでしょうか?
もし他の記事で説明済みでしたら申し訳ありません。

よろしくお願い致します。

投稿: 山崎 | 2015年3月 5日 (木) 12時39分

山崎さんようこそ!

フォームコアと接着剤の相性ですが、これは以前から都市伝説のように言われていたコトなので、念の為一応このような記載をいたしました。
国外でもこの説があったようで、実際にテストした方もいますので参考にしてください。→

https://www.wildsnow.com/598/epoxy-backcountry-ski-core/

この実験でも判るように、全部とは言えませんが通常のコアならエポキシでOKでしょう。
種類は硬化時間の長いものでしたら何でもよいと思います。

投稿: 理事長 | 2015年3月 5日 (木) 14時59分

概ね心配ないというお答えを聞き安心しました。
前回は木工用ボンドを使用しましたが、次回のビンディング取り付けには硬化時間の長いエポキシを使用してみたいと思います。
ありがとうございました。

投稿: 山崎 | 2015年3月 5日 (木) 20時28分

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