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2011年5月

2011年5月27日 (金)

チタン製焚き火グリル??

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆

(まだ実戦未投入なので推測での評価です)


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(今回はこんなものを作りました)

日本の山・・・、特に国立公園内では、原則として(絶対に?)焚き火をしてはいけない事になっていますが・・・、私としては沢登りの露営時に限定し、痕跡を残さず、自然にインパクトを与えず、しかも安全が確保できるような場合は大目に見ても良いのではないか・・・、などと自分勝手な解釈をして私なりのルールで小さな焚き火を楽しむことがあります。

そんな訳で、私はあまり大きな焚き火はせず、調理に最低限必要な大きさの火を熾していますが、小さい焚き火とはいえビリー缶や丸型飯盒を火にかける時には、その場その場で臨機応変な対応をしなければなりません。

この作業は横棒を通して吊り下げたり、三脚状に流木を組んで針金で吊るしたりと結構面倒ですし、いい加減にすると途中で鍋をひっくり返して泣く事にもなりかねません。

しかし、そんな時に焚き火用のグリルがあれば問題は簡単に解決してしまいます。
私も三十年以上も昔、アメリカのPurcell Trench社製の当時は“バックパッカーズグリル”と呼ばれていた「日の字型」の『ステンレスパイプ製焚き火用鍋置き(画像↓)』を西麻布の某ショップで購入し数年使っていましたが、焼けたり曲がったりしていつの間にか無くなってしまいました。

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そんな訳で、それ以降はまた鍋を針金で吊るす原始的な焚き火調理に戻っていたのですが・・・。
この昔使っていた懐かしい道具が現在も形を変えず作られていたようで、最近になってまた輸入してくれるお店が現われたようです。

懐かしさから、思わず“ポチッ”としそうになりましたが・・・、すんでのところで自作マニアの根性が目を覚まし、自作する事を決心しました。

どうせ作るなら軽く小さくしようと、材料にはチタンのφ5mm・L400mmの丸棒を使い、細く畳めるようにステンレスのワイヤーで連結する構造にしました。
また、ここに乗せるのは私の場合主に炊飯用の丸型飯盒程度の直径なので「日の字型」にはせず、2本の棒で「ロの字型」にすることにしました。
Purcell Trench社のサイトにも、“Packer Frame”という枠だけの製品や、“Stix ”という単なる2本のパイプが商品として紹介されていますのでこの形でも問題はないでしょう。

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(折り畳めるチタン製焚火グリル)

構造は単純ですので、画像をご覧いただけば一目瞭然だと思いますが、乗せる位置で異なる大きさのクッカーに対応できるよう両側を異なった幅の台形にしてあります。
チタンの丸棒の両端に穴を明けてステンレスワイヤーで連結しました。
この部分はこんな凝った造りにしなくても、現場で針金を使って連結してたほうがかえって便利かもしれません。

また、両端まで灼熱することは無いにしても、一応熱が加わる物なのでステンレスワイヤーの圧着には銅製のスリーブを使用しました。(画像↓)

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使用する時には、焚き火の両側に置いた石の上面を2本の棒が跨ぐように置けば安定した鍋乗せが出来上がります。
材質は純チタン(2種)ですが、ムク材ですし耐熱性は鉄以上だと思いますので焚き火程度では問題は無いはずです。

使用後は棒状にコンパクトに収納できますが、煤やヤニが付いたりかなり汚れますので専用の袋(画像↓)を作って収納すると良いでしょう。
私は幅広のテープで細長い袋を作り、ベルクロで蓋を閉じられるようにしました。

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現在は沢シーズン前ですし、泊りのある沢に行けるのはまだ先になりそうなので、まだ実際に使ってはいないのですが、使ってみた結果は何れご報告してみたいと思います。

荷物を極力小さくしたい沢登りですが、この80グラムの道具一つで「どうやって鍋釜を焚き火に掛けようか?」という悩みから解放されますので、興味のある“焚き火マニア”の方は1つ自作してみてはいかがでしょうか?



【余談ですが・・・】

今回のように丸棒に対し直角に中心を通る穴を明けるのは結構難しいものです。(画像↓)

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そこでお勧めしたいのが、閑な時に専用の治具を作っておく事です。
私は以前Φ4mm・Φ5mm・Φ6mm用の治具を作りましたが、いい加減な私が適当に作った治具でも結構頻繁に役に立ってくれています。

あまりにも定番なので、作り方は解説の必要も無いのでしょうが・・・。

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(このような治具を作っておくと大変便利!)

まず、焼入れのできる鋼の端材で正直方体のブロックを作り、フライス盤(ボール盤)に固定したバイスに咥え、まず対象となる丸棒が通る穴を明けます。
この時スコヤなどを使ってバイスの角にブロックの角を合わせておいてください。

次にブロックを90度回転させ、再びバイスの角にブロックの角を合わせて固定し、横の面にΦ2mm程度の穴を貫通させます。
ブロックの端面から丸棒の通る穴と次に明けた穴の中心とは同じ距離になりますから、これで丸棒用の穴と直角でしかも中心を貫くΦ2mmの穴が明いたことになります。

後はクロステーブルのハンドルを横送りし、直径の違う何種類かの穴で同様の加工を行っておけば良いのです。
また、可能なら何かのついでに焼入れをしておくとより耐久性は高まります。

使用法は言うまでもありませんが、丸棒を治具の穴に通し、横のΦ2mm穴をガイドにしてボール盤等で垂直に穴をあければOKです。


また、ボルト(ビス)の末端に割りピンやワイヤーを通して緩み止めにするための穴を明けたい時も同様の治具が有効です。
最初の穴あけの時に対象としたいボルトのタップ下穴径のドリルで穴あけをした後、上の例と同じ方法で細穴を明け、バイスから取り外してからタップを立てておけばよいだけなのですが、これまた便利に使用できます。(画像↓)

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2011年5月21日 (土)

GPSポーチはやっぱりG社が使いやすい!

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆


GPSに頼り過ぎるのも考え物ですが・・・、ここ数年私は何処の山へ行くにもほぼ毎回GPSを携帯しています。
登山道のある無雪期の山で、トラックログを取るか現在位置を確認する時だけ電源を入れるような使い方をだけなら、GPSをザックのトップポケットに入れっぱなしでも良いのですが、積雪期の場合はそんな呑気な事はしていられません。

そんな訳で、私はスキーツアーの時など、以前からザックのショルダーストラップの胸の位置にポーチを取り付けて、行動中は常に電源ON状態のGPSを格納しています。(画像↓)

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ザックによっては多少改造しないとポーチの取り付けが難しい場合もありますが、この位置にポーチがあると視界の悪い時など頻繁に現在位置を確認できるのでたいへん便利です。

さて、以前から私は“グレゴリー”のポーチをこの用途に使用していましたが、“オスプレー”のザックにGPSポーチを取り付けるに当たって、どうせだったら同じメーカーのポーチをコーディネートしようと同社製の“デジストウ”という商品名のポーチに交換しました。

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(㊧G社のポーチ、㊨オスプレーのデジストウ)


そんな訳で、昨年の春からO社の“デジストウ”をGPSポーチとして使ってみたのですが・・・、この冬はまたG社のポーチに戻すことにしました。

その理由は、O社の“デジストウ”は格好も良く、開口部も広くて使いやすいのですが、残念なことにデザイン重視でファスナーを三次元的に湾曲させた縫製をしているせいか、スライダーの操作に引っ掛かりがあって開閉がムーズではないからです。
特に冬用の厚い手袋をしたままだと、この僅かな差がとても気になりました。

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(㊧のようにファスナーが捩じれているより、㊨のストレートのほうが開閉は容易)

その点G社のポーチはファスナーが単純なカーブの直線(正確には2次曲線)となっているため、開閉もスムーズです。
・・・というわけで、両者を使い較べた結果、GPSポーチに関してはアンチG社の私でも、素直に使いやすい物を使うことにしたのです。

まぁ、このG社の他にもGPSを収納できる大きさのポーチは多数あると思いますが、購入の際には、ザックのショルダーストラップの位置で、片手でスムーズに開閉できるかをチェックしてみたほうが良いと思います。
特に今回ダメ出ししたO社のようにファスナーを3次元的にカーブさせた物以外にも、箱状のポーチでファスナーが角の所で小さなRでカーブするような構造の物の中にも片手で開閉し難い物があるので要注意です。


また、このポーチは裏面がゴチャゴチャしていますが、私は自分のザックに取り付けるに当たっては、必要の無い部分は切り取ってしまい、必要なパーツは自分で縫い付けるという改造を行っています。
取り付けるザックに合わせて自分なりに手を加えると、より使い勝手が向上しますので皆さんも工夫してみてはいかがでしょうか。



【余談ですが・・・】
上の記事にも書きましたが・・・、私は実はアンチG社なのです。
最近のG社の製品は設計も素材もかなり良くなったようですが、以前私が使用した同社製の大型ザックはかなり高価であったにもかかわらず、使用中に重要なプラスチックパーツが破損したり、裏のウレタンコートが僅かの期間でベロベロに剥がれたり、紺色のザックがピンクの斑模様に変色したりと、散々酷い目に遭いましたし、製品ラインナップにも“クレーター・シリーズ”のような救いようの無い製品群があったにも拘らず、一時自らを「ザック界のロールスロイス」だのと宣わっていたのがその理由です。
だいたい、自社の製品の機能や品質ではなく、ブランドのハロー効果に依存した価格設定で商売するようなメーカーにロクなものは無いですよね。
まぁ、見栄でそんな物を買ってしまう方(≒私!)も悪いんでしょうけど・・・。
ユニクロで3,000円で売れるいるような原価の商品を3万円で売って大金を儲け、その一部をエセ環境保護団体に寄付して、キリスト教的価値観を普遍的なものとして他文化圏にまで強要しようとする自己中心的で偏狭な同胞に媚を売るような米国の某社はその極致でしょうかね。
まぁ、出自はともあれ、現在のこの会社は登山用具としてのクロージング・メーカーではなく、ブランド信仰に依存したファッション・アパレル・ブランドなんですから相手にするのも大人気無いんですけど・・・。(笑)

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2011年5月14日 (土)

JETBOIL/flash は退化していた??(・・・で、改造・試作②)

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★☆☆☆☆
(改造は自己責任で!!)



前回の「試作①」の記事でも述べたように・・・、“JETBOIL/flash”は、確かに以前のモデルより使いやすくなっている部分も多いのですが、実際に冬山の戸外で使ってみた結果、耐風性という基本的な能力が旧モデルよりも明らかに低下していると実感しました。

まぁ、室内で使うなら“JETBOIL/flash”のほうが旧モデルの“JETBOIL”より早く湯を沸かせる(?)のかもしれませんが、吹き曝しの戸外となると話は別です。
湯沸しの途中で風によって火が消えてしまうと、当てにならないイグナイターを何度もカチカチ動かしたり、結局ターボライターを取り出したりと、かなりイライラさせられますし、結局時間もかかり燃費も悪くなってしまいます。
無風の室内で計測した沸騰に要する時間の秒単位のデーターも、それはそれで正しいのでしょうが、実際のフィールドの多様な条件下での実力は、そんなデーターだけで単純に比較できるものではないと思います。

“JETBOIL/flash”のユーザーの方はバーナーのみの状態で点火し、炎に息を吹きかける実験をしてみてください。驚くほど簡単に火が消えてしまうことが判るでしょう。

通常の登山用ストーブでも、炎がバーナーの周囲に放射状に噴出すタイプのものは、風の当たった方の火が一瞬消えてもすぐに消えていない部分から再点火し燃焼を維持できる事が多いのですが、“JETBOIL/flash”のバーナーは上方向にしか炎が噴出さないので風に当たると一発で炎全体が消えてしまうようです。
また、バーナー上面の凹型形状は耐風性を高めるためと謳われていますが、その効果はあまり実感できません。


そんな訳で、この頼り無い“JETBOIL/flash”の耐風性を高めるための改造に取り掛かりましたが・・・。
今回は、前回の試作1号機に引き続き、完成バージョンに近づいた試作2号機を紹介します。

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(装着状態のウインドシールド試作2号機)

素材は1号機同様0.8mm厚のチタンですが外観は少々異なり、組み立てた状態で卍型になる形状です。
前回問題だったバーナー上面との間隙ですが、2号機ではウインドシールド下面に凸凹の加工をし、ブロック間の炎を完全に遮断しないようにしました。
この結果着火時の炎飛びは無くなりましたし、突風で1ブロックの火が一瞬消えてしまった場合でも隣のブロックからの再着火がスムーズになったようです。
MSRの“Pocket Rocket”の同形式のY字型ウインドシールドがバーナー上面との間隙を設けているのもこのためなのでしょう。

また、取り付けも2個のパーツを直角に組み合わせ、バーナーヘッドに「カチッ」と嵌め込むだけと至って簡単ですし、脚の下部をバーナーの周囲を掴む形状にしてありますので逆さにして振った位では外れません。

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(ウインドシールド試作2号機の構造)

また、カートリッジ取り付け状態のバーナーとスタビライザーを同時収納すると蓋が閉まらなくなる問題に関しては、当初ウインドシールド中央部の高さを低く抑えようとも考えましたが、スリットで組み合わさる構造で重なり代の寸法が短いと強度不足が生じると判断し、不本意ですが今回は分割式として使用時に組み立てて取り付ける方法を採りました。
不使用時は分解してバーナーの皿の部分に収納(画像↓)しておけますので邪魔にはなりませんが、使用の都度着脱するのが少々面倒であることは否めません。

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(分解すればこのように収納できる)


しかし、これで“JETBOIL/flash”の能力を活かしながら、“旧・JETBOIL”以上に風に強い“Super-JETBOIL/flash”(笑)の原型が完成したわけです。

試しに、ウインドシールド装着と未装着の状態で燃焼中のバーナー部単体を息で吹いてみると、未装着の状態ではチョット吹いただけで消えてしまうのに対し、ウインドシールドを装着したバーナーは普通に吹いたくらいでは、一瞬1/4ブロックで火が消えてしまったとしてもすぐに再着火し完全に消火してしまうことはありません。
たったこれだけのパーツの追加でこんなに風に強くなるとは・・・、作った私自身驚いてしまいました。


今後の展開としては、「くの字」型のパーツ2枚を中央でスポット溶接してX 型にすれば、強度を保ちながら中央部の高さを低くできますので、蓋の裏にある突起(コーヒープレスのシャフト用?)との干渉を避けられ、常時装着可能なモノが作れそうですね。

まぁ、カートリッジ・スタビライザーをカップ内に同時収納しなければウインドシールドを取り付けたカートリッジ付きバーナー部を入れても蓋は閉まりますし、この蓋の突起も通常は必要無い(イグナイターの保護にも役立ってはいるが・・・)ので、どうしても全てを収納した状態で蓋をしたければ、思い切って切り取ってしまっても良いでしょう。

Jbk2_7
(リッドの裏、中央にある突起は切り取ってしまうことも可能だ)

でも、一番好いのは最新型の“JETBOIL-SOL” を買って、かなり評判が良くまた全高も低い高出力バーナーを流用することかなぁ。
このバーナーにウインドシールドを取り付ければ、おそらく最強のJETBOILになるでしょうし、五徳をかませて普通のクッカーと併用するのにも十分な能力がありそうです・・・。

う~ん・・・、また無駄遣いしちゃいそうですね。(笑)

さて、この“JETBOIL/flash/改” を実際に積雪期の山で何日か使用してみましたが・・・・。(画像↓)

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「効果は絶大!」と自画自賛できるほど耐風性が向上していました。

おまけに、風のある寒い場所では使い物にならなかったイグナイターも、少しはまともに機能するようになった気がします。


また、ウインドシールドの高さはこの試作品より低く、イグナイターの碍管より少し高いだけでも十分防風効果はありそうですし、同時にイグナイターの保護の役にも立ちそうですから、次回はもっと小型化したものも試してみたいと思います。

そんな訳で・・・、この自作ウインドシールドはあくまでアマチュアが考えた試作段階のもので、耐久性などは未知数であり、さらなる小型化や素材・形状など、まだまだ改良の余地はありそうです。
とはいえ、この状態でも十分実用性はあると思いますので、JETBOIL/flash の耐風性に不満を持っているユーザーの皆さんには是非お試しいただきたい改造だと思います。



【余談ですが・・・】

ここだけの話ですが・・・。(笑)
率直に言って、一連の“JETBOIL”は工業製品としてはかなりいい加減な設計だと思います。
例えば、カップを持つための取っ手もネオプレーン製のコジーに縫い付けたテープのみで、このためカップを持つ時にコジーがビロ~ンと伸びてしまって不安定極まりないのです。
常識的な感覚として、熱湯の入った容器を保持する取っ手の構造としては些か疑問を感じざるを得ません。
これが原因で火傷でもしたら、訴訟大国のアメリカで製造物責任賠償訴訟を起こせば大儲けできるかも知れませんね。(笑)

そこで、以前にも記事にしましたが、カップの上下に細いベルクロテープで自作したバンドを回してコジーを固定しておくと(画像↓)より安定して保持できますので、こちらも是非お試しください。

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(コジーの裏側に“SILNET”で滑り止めのドットを付けておくとさらに安定します)

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2011年5月 6日 (金)

JETBOIL/flash は退化していた??(・・・で、改造・試作①)

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :☆☆☆☆☆
危険度 :★☆☆☆☆
(試作段階ですので推薦度は未評価です)


以前の記事で“JETBOIL/flash”のご紹介や改造についてご紹介しましたが、その中で旧モデルの“JETBOIL”より進化したような記載をしてきました。
しかし・・・、実際にシビアな環境で使ってみた結果・・・、実は進化どころかむしろ退化したのではないかと思うようになったのです。

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(JETBOIL/flash )

確かに“JETBOIL/flash”は旧モデルの不満なところにはシッカリ手を入れてあり、その点では十分評価に値するとは思いますが・・・、今シーズンのスキーツアーで使用したところ、(あくまで主観ですが)重大な問題点に気づいたからです。

結論から言えばJETBOIL/flash は明らかに「風に弱くなった」のです。
もともと、“MSR/リアクター”に比べれば見た目ほど風には強くなかったJETBOILですが、JETBOIL/flashの新型バーナーになってからは、状況によっては致命的といえるほど風に弱くなってしまったのです。
また、以前からベストでなかったイグナイターも、JETBOIL/flashでは「寒冷時の戸外では使い物にならない!」と言っていいほどのレベルになってしまいました。

新型のバーナーはスペック上の熱量では旧型より大きくなって(?)はいるようですが、これはあくまで無風常温の室内を想定した数値であって、実際のフィールドでの性能は数字では比較できないということです。

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(この開口部から風が吹き込むと無防備なバーナーは・・・)

さて、この原因ですが・・・、旧モデルとそのマイナーチェンジ版のバーナーヘッドは“プリムス”のMFMM(マイクロファイバーメタルメッシュ)を使っていたのにJETBOIL/flashではごく一般的なバーナーヘッドに変更になってしまった事だと考えられます。
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(初代JETBOIL のMFMMバーナーヘッド)

このMFMMは、文字通り細かい金属繊維のメッシュでガスと空気が完全に混合されるため、混合管部で取り入れた一次空気(酸素)で理想混合気により近い状態になり、燃焼には通常のバーナーより少ない量の二次空気しか必要としないそうです。
このためにバーナーヘッド直近から炎が立ち上がり、風にはかなり強いので山用のストーブとしては理想に近いと思われます。
(私の“JETBOIL/改”もプリムスのP-113(生産終了)のマイクロメタルメッシュバーナーを使っていますが・・・、耐久性は通常のバーナーヘッドより劣ると思われます)

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(JETBOIL/ 改)

繰り返しになりますが、モデルチェンジで通常のバーナーヘッドに変更になったJETBOIL/flashは明らかに風に弱くなり、冬の屋外で使用する場合には十分な防風対策をしないと、最悪のケースでは湯が沸くまでに何度も立ち消えしてしまうようになってしまったのです。
(そんな訳で、“JETBOIL/flash”と“マイナーチェンジされた後の旧モデルJETBOIL”を二者択一するとしたら、無風の室内で使うなら前者、冬の戸外で使うなら熱量は少ないとしても私は後者を選びます)


とはいえ、もう旧モデルを新品で入手することは不可能なので・・・、今回は新型のJETBOIL/flashを風に強くするための改造の試作第1弾をご紹介します。

最初は円筒状のモノでバーナーの周囲をカバーしようと思ったのですが、そうすると二次空気が不足し一酸化炭素が増加しそうな気がしたので、最終的に従来型のバーナーでは風に強いと定評のあるプリムスのⅩ 字ゴトクの形式を採用しました。

完成した“JETBOIL/flash” 用ウインドシールド・試作第一号は画像のような形状で材質はチタンの0.8mm厚を使い、スリットでⅩ 字型に組み立てる形式です。

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(JETBOIL/flash 用ウインドシールド・試作1号機)

テストした結果、風には圧倒的に強くなることが判明しましたが、またいくつかの問題点も明らかになりました。
ウインドシールドの底辺はバーナーヘッド上面の凹型形状に密着するような劣弧状にしましたが、これだと二次空気取り入れ量の問題か?着火時に炎が飛ぶような感じになるのです。
耐風性を高めるためバーナーヘッドとウインドシールドが密着するこの形状にしてみたのですが、バーナーとウインドシールドとの間隙は少々開いていたほうが良いようです。
また、着火性を考慮し対角の2ブロックを囲うような形にしましたが、これも必要無さそうでした。

また、この試作ではウインドシールドをバーナーヘッドに固定してしまうようにしましたが、これだとスタビライザーとカートリッジを取り付けたままのバーナー部を同時収納すると蓋が閉まらないのです。
これにも何らかの工夫をする必要があります。

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(ウインドシールドを固定してしまうと蓋が閉まらない)

さて、以上のテストの結果を踏まえて試作2号機を作りました。
実際にフィールドテストした結果も上々ですので、次回その詳細をご紹介しようと思います。


【余談ですが・・・】

最近の登山界の風潮として、メーカーの公表するスペックのみでその登山用品の総合的な優劣を判断してしまう傾向があるようです。

特にストーブの場合、「○○Kcal /h のハイパワー」だとか「クラス最軽量」だとか・・・、私自身もカタログ上の数値のみで製品の総合的な能力を判断をしてしまっている気がします。

今回の記事でとりあげたJETBOILにしても、バーナーの発生する熱量の最適値は、コンパニオンカップの熱交換部の能力とのバランスによって決まるもので、バーナーの熱量を無闇に高くしても、無駄な燃料を消費して無駄に廃熱を発生させるだけで、出力を上げるに従いその増加量に対しての実用上の効率は逓減していくと思われます。

また穿った見方かもしれませんが、ULブームの影響でメーカー側にも1グラムでも軽くして消費者受けを狙おうとしているような姿勢が覗える気もします。
そのせいかは知りませんが、最新型のJETBOIL ではバーナーのディッシュ部分に大きな肉抜き穴を設けました。
これではこの穴から風が抜けてきそうで、ただでさえ風に弱いバーナーヘッドと組み合わさると・・・、チョット心配してしちゃいますよね。

山道具全般に言えることですが・・・、山で本当に役に立つ道具とは、「ただ軽けりゃ良い!軽けりゃ売れる!」的な発想からは生まれてこないと思いますし、本来の“UL”の思想が目指すものは、こんな軽薄な無思考の対極にあると私は考えています。

そんなわけで・・・。(?)
次回ご紹介予定の「ウインドシールド、試作・2号機」、かなり良好なテスト結果を得ていますので期待してアップをお待ちください。

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