« “始祖鳥”と“鶚(ミサゴ)”のハイブリッド誕生? | トップページ | JETBOIL/flash は退化していた??(・・・で、改造・試作②) »

2011年5月 6日 (金)

JETBOIL/flash は退化していた??(・・・で、改造・試作①)

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :☆☆☆☆☆
危険度 :★☆☆☆☆
(試作段階ですので推薦度は未評価です)


以前の記事で“JETBOIL/flash”のご紹介や改造についてご紹介しましたが、その中で旧モデルの“JETBOIL”より進化したような記載をしてきました。
しかし・・・、実際にシビアな環境で使ってみた結果・・・、実は進化どころかむしろ退化したのではないかと思うようになったのです。

Jbk_8
(JETBOIL/flash )

確かに“JETBOIL/flash”は旧モデルの不満なところにはシッカリ手を入れてあり、その点では十分評価に値するとは思いますが・・・、今シーズンのスキーツアーで使用したところ、(あくまで主観ですが)重大な問題点に気づいたからです。

結論から言えばJETBOIL/flash は明らかに「風に弱くなった」のです。
もともと、“MSR/リアクター”に比べれば見た目ほど風には強くなかったJETBOILですが、JETBOIL/flashの新型バーナーになってからは、状況によっては致命的といえるほど風に弱くなってしまったのです。
また、以前からベストでなかったイグナイターも、JETBOIL/flashでは「寒冷時の戸外では使い物にならない!」と言っていいほどのレベルになってしまいました。

新型のバーナーはスペック上の熱量では旧型より大きくなって(?)はいるようですが、これはあくまで無風常温の室内を想定した数値であって、実際のフィールドでの性能は数字では比較できないということです。

Jbk_5
(この開口部から風が吹き込むと無防備なバーナーは・・・)

さて、この原因ですが・・・、旧モデルとそのマイナーチェンジ版のバーナーヘッドは“プリムス”のMFMM(マイクロファイバーメタルメッシュ)を使っていたのにJETBOIL/flashではごく一般的なバーナーヘッドに変更になってしまった事だと考えられます。
Jbk_7

(初代JETBOIL のMFMMバーナーヘッド)

このMFMMは、文字通り細かい金属繊維のメッシュでガスと空気が完全に混合されるため、混合管部で取り入れた一次空気(酸素)で理想混合気により近い状態になり、燃焼には通常のバーナーより少ない量の二次空気しか必要としないそうです。
このためにバーナーヘッド直近から炎が立ち上がり、風にはかなり強いので山用のストーブとしては理想に近いと思われます。
(私の“JETBOIL/改”もプリムスのP-113(生産終了)のマイクロメタルメッシュバーナーを使っていますが・・・、耐久性は通常のバーナーヘッドより劣ると思われます)

Jbk_6
(JETBOIL/ 改)

繰り返しになりますが、モデルチェンジで通常のバーナーヘッドに変更になったJETBOIL/flashは明らかに風に弱くなり、冬の屋外で使用する場合には十分な防風対策をしないと、最悪のケースでは湯が沸くまでに何度も立ち消えしてしまうようになってしまったのです。
(そんな訳で、“JETBOIL/flash”と“マイナーチェンジされた後の旧モデルJETBOIL”を二者択一するとしたら、無風の室内で使うなら前者、冬の戸外で使うなら熱量は少ないとしても私は後者を選びます)


とはいえ、もう旧モデルを新品で入手することは不可能なので・・・、今回は新型のJETBOIL/flashを風に強くするための改造の試作第1弾をご紹介します。

最初は円筒状のモノでバーナーの周囲をカバーしようと思ったのですが、そうすると二次空気が不足し一酸化炭素が増加しそうな気がしたので、最終的に従来型のバーナーでは風に強いと定評のあるプリムスのⅩ 字ゴトクの形式を採用しました。

完成した“JETBOIL/flash” 用ウインドシールド・試作第一号は画像のような形状で材質はチタンの0.8mm厚を使い、スリットでⅩ 字型に組み立てる形式です。

Jbk_3  Jbk_10
(JETBOIL/flash 用ウインドシールド・試作1号機)

テストした結果、風には圧倒的に強くなることが判明しましたが、またいくつかの問題点も明らかになりました。
ウインドシールドの底辺はバーナーヘッド上面の凹型形状に密着するような劣弧状にしましたが、これだと二次空気取り入れ量の問題か?着火時に炎が飛ぶような感じになるのです。
耐風性を高めるためバーナーヘッドとウインドシールドが密着するこの形状にしてみたのですが、バーナーとウインドシールドとの間隙は少々開いていたほうが良いようです。
また、着火性を考慮し対角の2ブロックを囲うような形にしましたが、これも必要無さそうでした。

また、この試作ではウインドシールドをバーナーヘッドに固定してしまうようにしましたが、これだとスタビライザーとカートリッジを取り付けたままのバーナー部を同時収納すると蓋が閉まらないのです。
これにも何らかの工夫をする必要があります。

Jbk_9
(ウインドシールドを固定してしまうと蓋が閉まらない)

さて、以上のテストの結果を踏まえて試作2号機を作りました。
実際にフィールドテストした結果も上々ですので、次回その詳細をご紹介しようと思います。


【余談ですが・・・】

最近の登山界の風潮として、メーカーの公表するスペックのみでその登山用品の総合的な優劣を判断してしまう傾向があるようです。

特にストーブの場合、「○○Kcal /h のハイパワー」だとか「クラス最軽量」だとか・・・、私自身もカタログ上の数値のみで製品の総合的な能力を判断をしてしまっている気がします。

今回の記事でとりあげたJETBOILにしても、バーナーの発生する熱量の最適値は、コンパニオンカップの熱交換部の能力とのバランスによって決まるもので、バーナーの熱量を無闇に高くしても、無駄な燃料を消費して無駄に廃熱を発生させるだけで、出力を上げるに従いその増加量に対しての実用上の効率は逓減していくと思われます。

また穿った見方かもしれませんが、ULブームの影響でメーカー側にも1グラムでも軽くして消費者受けを狙おうとしているような姿勢が覗える気もします。
そのせいかは知りませんが、最新型のJETBOIL ではバーナーのディッシュ部分に大きな肉抜き穴を設けました。
これではこの穴から風が抜けてきそうで、ただでさえ風に弱いバーナーヘッドと組み合わさると・・・、チョット心配してしちゃいますよね。

山道具全般に言えることですが・・・、山で本当に役に立つ道具とは、「ただ軽けりゃ良い!軽けりゃ売れる!」的な発想からは生まれてこないと思いますし、本来の“UL”の思想が目指すものは、こんな軽薄な無思考の対極にあると私は考えています。

そんなわけで・・・。(?)
次回ご紹介予定の「ウインドシールド、試作・2号機」、かなり良好なテスト結果を得ていますので期待してアップをお待ちください。

|

« “始祖鳥”と“鶚(ミサゴ)”のハイブリッド誕生? | トップページ | JETBOIL/flash は退化していた??(・・・で、改造・試作②) »

ストーブ・クッカー」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« “始祖鳥”と“鶚(ミサゴ)”のハイブリッド誕生? | トップページ | JETBOIL/flash は退化していた??(・・・で、改造・試作②) »