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2011年7月23日 (土)

“MSR/リアクター”、マイナーチェンジの理由?

便利度 :★★★☆☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★☆☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆

(用途がマッチすれば推薦度は“★★★☆☆”位にはなるでしょう?)


“MSR/ リアクター”は専用のクッカー以外は使用できないというハンデはありますし、製品としては未成熟な部分も多く信頼性も未知数ではありますが、非常に効率の良いストーブで、風に対しても抜群に強く、上手く活用すれば長期の山行での燃料の消費量を驚くほど軽減くしてくれそうです。

React1

まぁ、私は最近長期山行には行けませんので、現在の主な用途はスキーツアーの出発前に車のそばでテルモス用の湯を沸かすくらいですが、それでも風の強い戸外であっという間にテルモス2本分の湯を沸かしてくれるので、それなりに役に立っています。

しかし、“MSR”の日本代理店はキャニスター(カートリッジ)の輸入が面倒なのか?同社のガスストーブの取り扱いをしていませんから、当然この“ リアクター”もガス検を通っておらず日本で正式販売はされていません。
また使用条件によっては一酸化炭素の発生量も多めで、テント内の使用には不向きだとも聞きます。
いずれにせよ、かなり用途の限定される道具であることは否めませんし、普通の山行では出番も少ないでしょうから、仮に我が国で発売しても私みたいな新し物好き以外にはあまり需要は見込めないでしょうね。

そんな訳で、国内ではあまり話題にはならない“MSR/ リアクター”ですが・・・、07年の発売後間もなく、いつの間にかマイナーチェンジしていたのです。

Reactor_7
(新・旧、REACTOR の底部)

私が最初に購入した初期ロットの“MSR/ リアクター”の熱交換部は鍋底と一体型たダイキャスト製の厚いフィンが特徴だったのですが、直後のマイナーチェンジで普通のプレス成型のアルミ製の鍋底に、アルミのフィンをスポット溶接で後付けした構造に変わってしまいました。(バーナー部にも小変更があります)

Reactor_4  Reactor_5
(㊧初期ロット、㊨マイナーチェンジ後の熱交換部)

また、持った感じでも明らかに軽くなったように感じたので重さを量ってみたところ、なんと信じられないことに90g も軽くなっていたのです。
90gといったら普通の小型のストーブ1個分ですから、脅威の軽量化・・・、と言ってもよいでしょう。

Reactor_2  Reactor_3

同時に、ダイキャスト製から普通の底に替わったため全高もわずかに低くなりました。(画像↓)
このため以前の記事でご紹介した“携行の便利技”を使った場合、蓋を閉めると心持ち浮いた状態になる様な気もします。

Reactor_6
(㊧マイナーチェンジ後、㊨初期ロットの製品)

ところで、ULブームも定着し、軽量化がトレンドの登山用具界の中にあって、なぜMSR社は“REACTOR”の当初の設計で、重くなることを承知で、またコストの掛るダイキャスト製の熱交換部を採用したのでしょうか・・・? そして、何故すぐに現在の形に変更したのでしょうか・・・?

さて、JETBOILやETA-POWERなど、薄いアルミニウムの熱交換フィンのあるクッカーは中に水が入っていない状態で空焚きすると短時間でフィンがメルトダウンしてしまうと言われています。

そんな馬鹿な事は現実には起こらないかもしれませんが、しかしそれに近い事は雪や氷で水を作るときに起こる可能性があるのです。
つまり呼び水を入れずに直接雪のブロックをクッカー(カップ)に入れ、直後にバルブ全開で燃焼させるとフィンの熱が均等にクッカーの中の雪に伝わらず、溶けたわずかな水も瞬時に蒸発し、鍋底が部分的に過熱してしまう事が考えられるからです。
JETBOILのマニュアルにも確かそんな事が書いてありますが、この手の製品で雪から水を作るときには少々注意深さが必要という事のようです。

その点、MSRのリアクター初期ロットの製品であれば、鍋底一体型のシッカリしたダイキャスト製の厚いフィンが熱交換部に使われていますから、雪から水を作るときにも、JETBOILやETA-POWERなどよりも乱暴な扱いにも耐えられるはずだったのです。

ところが、こんなシビアな条件下でのヘビーデューティーに耐える頼もしいREACTOR が、発売後わずかな期間で、普通の軽い“早沸きストーブ”にマイナーチェンジされてしまいました。

理由は何なんでしょうか?
旧製品に問題があったからなのか?、軽量化のためなのか?、はてまた、コストダウンの目的なのか?・・・。
詳細は不明ですが、やはりULブームの影響で重い道具は市場で嫌われるというのが一番の理由なんじゃないか・・・と、私は考えます。

確かに商業的な観点に立ち、ユーザーの9割以上を占めるであろう一般登山者にとってはオーバースペックでしかない耐久性と90グラムもの軽量化を、市場という天秤に掛ければ自ずと導き出される結論だったのでしょう。

・・・以上“下衆の勘繰り”だったかもしれません。(笑)

しかし、このマイナーチェンジは海外遠征やハードな長期山行など、堅牢で信頼に足る道具を求める方の目には軟弱な道具に成り下がったと映るようです。
少数でしょうが、敢えてマイナーチェンジ前の旧型を探している方もいると聞きました。

現在の“UL”とは正反対に、”HD(Heavy-duty)”が合言葉だった世代を過ごした私としては、リアクターが普通の道具になってしまったのを少々残念には思いますが・・・、冷静に考えてみれば、現在の私の用途では515gに軽量化されたマイナーチェンジ版で十分なのですから、軽くなった事は大歓迎と言うべきなんでしょう。

何れにせよ、これで、2人での山行でしたら、JETBOILとのハンデはごく僅かになり、ETA-POWERにも(汎用性という面を除き)水を開ける事ができましたので、私ももう少しこのREACTORを活躍させてあげる事ができそうです。

また、冒頭に述べたように、この“リアクター”は「道具」としてはまだ未完成な部分も多々あり、使い勝手も決して良いとは言えません。
そんな訳で、この製品の気になる点についても適宜改造を行っていますので後日記事にしてみたいと思います。

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