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2011年8月

2011年8月27日 (土)

“STORM”にもトリチウムマーカーを

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★☆☆☆☆

(放射性物質を取り扱いますので、改造は自己責任で!!)

以前の記事でB.D.のヘッドランプ“STORM”を絶賛しましたが、今回はこのヘッドランプにトリチウムマーカーを取り付ける改造です。

ヘッドランプにマーカーを付けると暗い渓のテント内や消灯後の真っ暗闇の山小屋の中ですぐにヘッドランプの在処がわかり大変便利です。

Storm_4
(B.D.のヘッドランプ“STORM”)

早速本題に入りますが・・・。

“STORM”の裏蓋を開け、電池を取り出すと基盤ユニットを留めている小さなビスが4個見えますので、これをドライバーで取り外します。
“プリンストンテック”ではこの部分に潰しピンを使っており、分解の際壊れてしまい再組み立てが困難でしたが、このB.D.製の“STORM”はビス留めなので分解・組み立てが簡単です。

下のヒンジ側から基盤ユニットを持ち上げますが、その際基盤下部のインダクタがボディーと干渉しますので無理せずボディー側を少し押し広げながら外しましょう。
また、電池取り外し用のタブは突起に掛かっているだけなので紛失しないように注意してください。

Storm_9  Storm_12
(㊧四本のビスを外すと、㊨簡単に分解できる)

次に、どの部分にトリチウムマーカーを固定するか決めなければなりません。
当初レンズかその周辺を、と考えていたのですがなかなか良い場所が見つかりません。
そこで、今回は基盤にマーカーを取り付け、ボディーの透明な窓からマーカーの光を確認できる仕組みにしました。
これでしたら本体を加工しないで済み、工作もいたって簡単にできます。

※ なお、トリチウムマーカーとその関連工作については、過去いくつかの記事がありますので適宜ご参照ください。

Storm_10
(基盤は結構複雑な構造だ)

トリチウムマーカーを取り付ける場所は、ナイトビジョン用の赤色LEDの下の部分としました。
取り付けはSILNETを基盤に盛って、そこにマーカーのガラス管を埋め込むだけです。
SILNET が固まったら、分解と逆の手順で組み立てますが、ビスを締める前に電池取り外し用タブの取り付けを忘れないでください。

Storm_11
(画像中央の砲弾型LEDの下にあるのがトリチウムマーカーのガラス管)

組み立てた状態では、ボディーの透明部分の奥にトリチウムマーカーが位置していますので、横位置からは光が見え難いような気もしましたが、実際に使用してみると、暗いテント内ではトリチウムマーカーは結構明る感じ、また真っ暗闇だとオレンジ色のボディーを透過した光も視認できますので(ボディーが黒色の場合は不明)、この位置でも十分役に立ってくれそうです。

 
これで、ただでさえ多機能な“STORM”にさらに便利な機能が加わり、理想的な山用ヘッドランプが完成しました。
放射性物質が嫌いな人以外(笑)には、是非お奨めしたい改造だと思います。

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2011年8月20日 (土)

“MSR/リアクター”をモディファイする ②

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆


【“MSR/リアクター”をモディファイする ①】からの続きです。

React_7_2

さて、毎度「何もそこまでしなくても・・・」という改造ばかりで申し訳ありませんが・・・。(笑)


今回も、リアクターのバーナー部底面に、JETBOILと同じような“足”を取り付けて、収納・運搬時にクッカーの中で暴れないようにする改造をご紹介します。

まず、バーナー部を分解しますが、ボディーの上下を結合している裏面の3本のビスを外すにはT15のトルクス・ドライバーが必要になります。

Reactorb_2_2
(リアクターの底面には不規則な突起が多く、収納には注意が必要)

バーナーを上下に割ってビックリしたのは、本体内側の空間ほとんどが混合室となっており、そこに左右2個のジエットと混合管でガスを送り込むという、今まで見たことも無い構造を持っている事でした。(画像↓)

Re_5

この大きな混合チャンバーの中でガスと一次空気を十分混ぜ合わせ、その混合気をマット状の金属焼結体(?)表面で燃焼させるという方法で、二次空気を殆ど必要としないバーナーを構成しているようです。
詳細は不明ですが、このマット状の金属の表面に触媒作用を持たせているのかも知れません。
条件によっては(特に弱火の時)COが発生しやすいというのは、この一次空気のみで燃焼させるという構造上、ガスの噴出量(流速)が少ない時には一次空気の吸い込みが十分でない為でしょうが、冬のテント内での使用には厳重な注意が必要だと思われます。

また、急な設計変更のせいか構造は中途半端で、接着剤を使用して固定してある?バルブ周りの分解も困難と思われますし、長時間使用で本体が過熱した場合、この接着剤が溶融して「悪さ」をしないかも気懸かりです。

Re_7
(画像中央の白い部分は接着剤でシールしてあるようだ)

ジェットの詰まりをプリッカーで清掃することすら難しく現場修理はまず不可能でしょう。
メンテナンス性は最悪の部類で、アメリカ国内でもジェットが詰まっただけでメーカー送りの修理(交換?)になりそうですが、残念ながら日本では国内の代理店で扱っていないアイテムなので、結局は「燃焼が不調になったら→即廃棄!」という流れなのでしょうね。

大昔のスベアやホエーブスと同等の耐久性までは求めませんが、山行中のストーブの故障は命に関わりますので、それ相応の配慮ある設計とモノ造りをしてもらいたいものです。
いずれにしろ、多くの故障が報告されている初期ロットの製品を長期の山行で使用する場合はサブバーナーを携行するほうが賢明でしょう。
率直に言えば、“リアクター”は信頼性の点で山道具としての合格点には達していない、というのが私の見解です。

閑話休題

さて・・・、今回はリアクターのバーナーを安定した状態でクッカーに収納できるよう“足”を取り付けることにします。
当初、このバーナー底部に内接する正3角形の頂点位置に120度間隔で穴を明け“足”を取り付けようと考えたのですが・・・、外側のリブや内側のプレッシャースプリングなどが邪魔で新たに足を取り付ける位置は見出せませんでした。
当初は「適当な“ゴム足”をビス留めすればOK・・・」などと考えていたのですが、大誤算です。

そこで、苦肉の策として120度間隔の位置にはなりませんし工作も複雑になりますが、本体の上下を組み立てている3本のT15頭のビスの留まっている穴を利用し、長めのビスを使って、“足”になる自作パーツを共締めする事にしました。


早速改造!、と思ったのですが・・・またまた、そうは問屋が卸しませんで、2度目の大誤算がありました。
リアクターはアメリカ製ということで、この頭がT15のビスはISOでなくユニファイ(インチ規格)だったのです。
ピッチゲージでビスを調べてみるとUNC-№6・32TPI (ユニファイではφ1/4in以下は何故か №* で表示している)でした。
当然そんなネジなど手持ちが有る訳ありません。
最近はPC用などの需要があるせいか、ユニファイのビスも比較的入手が楽になりましたが、ステンレスのユニファイ皿ネジとなると秋葉原での入手も困難です。
仕方なく、小口購入の可能なネジ専門店でステンレス製の №6/32TPI ・L 3/4 inを購入しました。

それでは、まず“足”となるパーツを造ります。
“足”はクッカー内部が疵付かぬよう樹脂かゴムで作る必要がありますが、ここは比較的熱くなる場所ですので耐熱性の高い素材を選ばなくてはなりません。
私の場合は端材の手持ちがあったのでテフロン樹脂(PTFE)を使いましたが、この素材は耐熱性は十分なのですが、非常に高価なのが難点です。
PTFE素材が無ければ、はMCナイロン等のエンジニアリング・プラスチックで代用可能かも知れません。

加工は旋盤で画像のような2段円柱状に挽き、中心の穴の端面は使用する皿ネジの頭が沈むよう細径のカウンターシンクで浚っておきます。
バーナー底面の形状に合わせ、画像のような2段円柱型の“足”2個と円盤型の“足”1個を作りました。
足の高さは、この状態で中央のカートリッジ取り付け部と同じ高さになるようにしておき、円盤状のパーツのバーナーに接する部分は、その凹凸に合わせ若干加工しておきます。

以上3個の“足”パーツを、丁度良い長さにカットした№6の皿ネジでバーナーに共締めします。(画像↓)

React_3  React_1


その後、この足の底面に円形のウレタンスポンジシートを貼っておきます。
テフロンは普通の接着剤が効きにくいので、裏面が粘着シートになったものを貼ると良いでしょう。(画像↓)

React_5  React_4

さあ、これで試作品の完成です。
(次の改良型では“足”の中心にアルミのスリーブを入れて、トラスまたはバインドビスでキチッと締まるようにしようと思っていますが、とりあえずこれで様子を見てみることにします)

このままクッカーの底に入れてもピタッと落ち着きますが、側面のバルブ部の出っ張りが運搬中クッカーの内側に当たることも考えられますので、心配なら付属のパックタオルで包んでから収納すれば完璧です。
バーナー → カートリッジの順番で収納すると、樹脂製の蓋の中央が上手くカートリッジのバルブ部を押さえ込みガタツキ無く運搬できます。

React_6_2
(通常の使用時にも邪魔にはならない)

さて、これでリアクターの収納や運搬に気を使わなくても済むようになりましたが・・・。

あとは、この少しだけ“よい子”になった“問題児”リアクターの出番をなるべく多く作ってあげることを考えなければなりません。
それが一番難しい問題ですね・・・。

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2011年8月13日 (土)

“MSR/リアクター”をモディファイする ①

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(“REACTOR/改”の評価です)



React_7
(高効率ストーブ、MSRのREACTOR/改)

熱効率の高さと風に強いという面では同類の商品の中でも断然トップの座にある“REACTOR”ですが・・・。

まぁ、ぶっちゃけた話このMSRのリアクターは、工業製品としてみた場合、あまり完成度の高い製品とは言えません。
私見ですが、未完成品と言うか・・・、「開発途中でとりあえず売り出しちゃった」と言うか・・・、そんな感じですね。
定かではありませんが、当初設計ではバーナー底面にバルブのレバーを設ける設計だったのが、何かの不都合で急遽通常のバルブ・ノブを側面に持ってくる設計に変更したような印象です。
結局、当初設計の底部のレギュレター&バルブハウジングはそのままメクラ蓋で塞いだだけにしただけで発売しちゃうというのもずいぶん乱暴な話です。(画像↓)

Re_4  Re_3
(㊧07年製と、㊨11年製、レギュレター部の変更で故障率は下がったか?)

そのためか、多分イグナイターを付けようとしたと思われる痕跡など、内外に意味不明の構造が残されています。(画像↓)

Reactorb_2  Re_8
(㊧バナー底部、㊨同・内部構造)

金型変更で膨大なコストを掛けられない、という理由は解らないでもないですが、一流メーカーなのですから、発売段階では完成形をリリースしてもらいたいものです。

その上、バーナーの底部には当初設計のレバー式バルブ用のストッパーと思しき部分など、意味不明な鋭角の突起があり、クッカーに収納した時中央のカートリッジ取り付け部を中心にクッカーの底でグラグラ動き、クッカー内に疵をつけてしまいそうです。
そこで、バーナーをクッカー内に収納するために、自社製のパックタオルの端切れを“おまけ”に付けて(しかも小さ過ぎ!)、これで包んで収納しろ!というのも極めて姑息で乱暴な対応です。

私も、いい加減に収納して乱暴に持ち運んだら、クッカー内でバーナーが暴れ、クッカー内が大きく凹んでしまいました。
幸い、金床の上に乗せ内側からプラハンマーで板金したら大きな凹みは目立たなくなりましたが、以後バーナーにモンベル製のカートリッジプロテクターを被せて収納するようにしています。(画像↓)
その他、リアクターのクッカーの中に250型カートリッジがピッタリ入る内径の別のクッカーを入れて2重にし、バーナーを安定させる方法も考えられますが、その為だけにクッカーを1個余計に持つというのも考え物です。

Reactorb_4
(プラハンマーで叩いて平に修正し、目立たなくはなったが・・・)

JETBOILではカップに傷をつけずにバーナーをカップ内に収納する工夫がされているのに、リアクターはそんな配慮など微塵も無いようです。

Jbsol2_1
(JETBOIL ではバーナー下部に3点式の樹脂製の“足”があるのに・・・)

また、初期の製品には故障も多く、登山用火器としての信頼性という点にも問題が無い訳ではありません。
これで「BPマガジン」のエディターズチョイスという権威あるアワードまで獲ってしまうというのも如何なものかと思いますね。
早い話が、同誌の編集者は、メーカーに義理立てし、フィールドでの使い勝手やメンテナンス性には目をつぶり、いかに早く“湯を沸かす”か、という観点のみで短絡的に評価を下したということなのでしょう。

まぁ、このように未完成で荒削りな製品ですが、私はこんな道具ほど何故か妙に贔屓したくなってしまう捻くれた性格の持ち主なのです。
そんな訳で、私はこのリアクターを結構気に入っているのですが、いずれにせよ、このままでは使い難い道具であることは否めませんので、まずはバーナーをカップに収納した時、中で暴れずJETBOILのように安定させられるような“足”をバーナーに付ける改造をして見ました。(画像↓)

React_6
(3個の足がバーナーを支えて、バーナー底面が直接クッカーに接触しないよう改造した)


(以下、次回の記事に続く・・・)

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2011年8月 6日 (土)

初心者でも失敗しないシェル出しシステム?②

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★★☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★☆☆☆☆
(シェル出しは自己責任で!)


“初心者でも失敗しないシェル出しシステム①”からの続きです。


さて、早速このシステムでランドーネ・ブーツのシェルを加工してみましょう。
私の場合、このガルモントのブーツだと、両足の舟状骨と小指の中足骨の関節部分を計4箇所ピンポイントで出さなくてはなりません。
信頼のできるプロショップに頼むと、合計約壱萬円也の出費ですから、自作の工具でD.I.Y.すれば1回で投資の元本が回収できる計算ですね。(笑)

St_2  St_6
(スチーム式なので戸外で作業したほうが良い?)

ヒートガン式と違い、あらかじめピンチクリアーをセットしてから加工に入りますが、押し出す半球の部分は熱が逃げないようシェルとの間に重ねたウエスか雑巾を挟んでおきます。

作業環境としては、室内でも大きめのバットやお盆を用意しその上で作業すれば可能でしょうが、水滴が出ますので作業をするのは室内よりベランダや戸外のほうが良いと思います。


また、このシステムでは加工中もスチームを当てますのでリング部分が数十度の温度になってしまい、直接シェルに接触する部分の表面にリングの痕跡が残ってしまそうですから、それを防ぐためドーナツ状のゴム板をシェルとリングの間に挟むと良いでしょう。(画像↓)

St_5
(リングとシェルの間に3mm厚のゴム板を挟んだ状態)

作業手順としては通常と大差ありません。
シェルを出す位置にダーマトグラフ等でマークを付け、そこにリングの中心が来るようにピンチクリアーをセットし、スチームクリーナーのプラグをコンセントにつなぎます。

(なお、作業全体の流れや、私の考案した強力マグネットを使用したシェルを出す位置の決め方は、過去の記事や、さらに前の記事等をご覧ください)

暫くすると沸騰が始まり、レバーを押すと蒸気が噴出すようになりますから、そうしたら自作の微調整用のノブを回し適量の蒸気がシェルに当たる様に調整します。

このシステムでは、放射温度計でシェルの表面温度を測るのが困難ですが、概ね90℃くらいまで上昇したらさらにピンチクリアーのハンドルを締めこんで、シェルを押し出してゆきます。
その状態で1~2分スチームを当て続けた後、プラグを抜きます。
あとは、冷めるまで放って置けば作業完了ですが、急ぐなら冷水で冷やすと良いでしょう。


で、・・・結果は・・・。

大成功でした。
当初は、誰も試した事の無い新しいシステムなので上手くできるか心配でしたが、とりあえず上手くシェルを加工することに成功しました。

下の画像は舟状骨部分を加工した前後の状態です。
この部分は、大きく押し出してしまうとブーツの操作性に影響が出ますので、ピンポイントで最小限に出す必要がありますが、左側の加工前のシェルに比べて、右側の加工後のシェルは上手く加工されているのがお判りになると思います。

St_4
(㊧加工前・㊨加工後、 画像中央、左右のシルエットの違いに注目!)


まぁ、ヒートガンを使うより仕掛けは大げさですし、簡単といっても少々のコツと勘は要求されますが、アマチュアでも絶対に失敗しない方法としては、まずまずのシェル出しシステムと言っても良いでしょう。

今後の課題としては、リングと押し出すための半球部分の素材を耐熱性のある樹脂に作り変える事や、半球部分の先端表面近くに熱電対かサーミスタの温度センサーを埋め込んでリアルタイムでシェルの温度が判るようにすることでしょうか。

また、ピンチクリアーのリングの部分を、全く新しい形状にするアイデアも煮詰まっておりますので追って御紹介したいと思います。

“山道具道楽”は「駄目で元々」精神に則り、興味の赴くまま、馬鹿馬鹿しい事にも真剣に挑戦し続けます!(笑)

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