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2011年10月

2011年10月22日 (土)

タープに“雨垂れ避け(Drip arrester)”を付ける

便利度 :★★★★☆
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆



最近の私は、虫の苦手な連れ合いと一緒に簡単な沢登りにしか行きませんので、泊まりもフロアー付のシェルターがほとんどですが・・・、場所と季節によっては沢登りのビバークにタープを使うのも良い方法だと考えます。

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(沢なら前室の無いシングルウォールシェルターも軽くてよい)

通常のテントと比べれば耐風性にも問題があり、雨が吹込むなどで通常の登山では実用的とは言い難いタープですが、沢では稜線ほどの強風はありませんし、地面が傾斜していたり凸凹でテントの張りにくい“優良物件”(笑)とは言えない場所でも、タープならなんとか就寝場所を確保できることも多いからです。
また、何よりタープ独特の解放感も魅力ですし、シンプルで軽量コンパクトというのも沢登りにマッチしている気がします。
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(愛用者も多いアライの“ビバークタープ”)

とは言え、沢の場合でもタープの張り方によっては雨の日の吹き込みや雨漏りに苦労させられることも無い訳ではありません。

かなり昔ですが、木と木の間にクライミングロープを水平に張って、それに四角形のタープを被せ、裾を何ヶ所か張り綱で固定して屋根にしたところ、夕方から大雨になり、木に結んだロープから雨水が伝わって来て懸垂線の中央、つまりタープのど真ん中から雨垂れが落ち、シートが水浸しになってしまったことがあります。

このような失敗を繰り返しながら、ロープを意図的に斜めに張って水勾配を設けたり、タープ直近にシュリンゲを巻き付けて垂らし、ロープを伝わって流れるの雨水をタープに入る前に下に誘導するという知恵を身に付けましたが、こんなチョットした工夫でもタープでの野営は格段に快適にしなるのです。

また、木と木の間に張ったロープにタープを掛けるような張り方をせず、面倒でも斜めに張ったロープにクレムハイストで支点を2個作りロープの下にタープを吊るすという方法も考えられます。

最善の策は流木で支柱を作り、細いガイラインを下向きに張って家型テントのようにタープを設営することでしょうが、それが面倒なら次善の策として、クライミングロープは使わずタープの棟の両側に細いガイラインを取り付け、直接木に結ぶ事でしょう。


また、最近の“ヘキサ”とか“ウイング”などと呼ばれる多角形型のタープなら棟部分のガイライン取付け部の幕体が鋭角になっているため、両端のガイラインを木に固定したとしても、ラインを伝わった水はタープの外縁に沿って流れ、四角形のタープを切妻型に張った場合と比較して棟の裏側を伝う水滴は多くないようです。

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(㊧切妻型に張る四角形のタープと、㊨多角形型タープの棟のガイライン取り付け部)

しかし、この多角形型のタープでも両側の支点を離れた樹木の同じ高さに取り、棟が綺麗なカテナリーカーブ(懸垂線)を描くようにビシッと張った場合は、雨がガイラインを伝わりタープ中央に落ちる可能性も無い訳ではありません。

そこで、私はタープの棟両端のガイライン取付け部に、水滴が幕体内側に回り込み難くするように自称(笑)“Drip arrester”要するに“雨垂れ避け”を付加していますのでご紹介したいと思います。

画像をご覧いただければ一目瞭然だと思いますが、ハイパロンのシートを丸く切って中央に小さな穴を空けただけです。
このパーツでガイラインを伝って来る水を、タープの裏側に流れ込む前に「忍び返し」のように下に落としてしまおうという訳です。

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(“Drip arrester”を取り付けた状態)

穴の大きさはガイライン取付け用のループがギリギリ通る位小さめにしておいたほうが効果的でしょう。
また、可能なら“SILNET”などで防水したほうが良いかも知れません。

こうしておけば、木からガイラインに沿って流れてきた水がこの部分で水滴となって下に流れ落ち、タープの天井部分に水が回り込む事を気休め程度には防いでくれるはずです。

また、以前100円ショップで買った小さなビニール製の「吸盤」の中央に穴をあけて同様のモノ作ったこともありましたが、むしろこちらの方が簡単で形状的にも効果的だったような気がしますので皆さんにはこの方法をお薦めします。



さて・・・、沢登りでは汎用性の高いオーソドックスな四角形のタープが多用され、また樹木を支点にして張ることも多いと思いますが、そんな場合でも棟に若干の水勾配をつけ屋根の鋏角を広げ過ぎないといったチョットした張り方の工夫次第で雨天の居住性を格段に向上させることができます。
そして、さらに今回の記事のような小さなアイテムを装備に加えれば、タープの下で過ごす雨の停滞日をもっと快適にしてくれると思います。

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2011年10月12日 (水)

持ってて安心 ? “ファイヤースターター”

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆


悪天下での休憩時、ストーブの点火で苦労したことはありませんか?

『疑似好天と承知で行動したのはよいが、案の定突然の猛吹雪に見舞われ、やっとの思いで悪場をやり過し、バタつくツエルトの中で取り敢えず熱いコーヒーでも飲んで今後の行動を判断しようとストーブをセットしたものの・・・、イグナイターをいくらカチカチやっても点火せず、仕方なくライターを防水パックから取出して点火を試みるも濡れた指で操作したため回転ヤスリが湿ってしまって点火不能!、さらに別の予備ライターを出したものの、手を拭いたつもりがも再度ヤスリが濡れてしまって万事休す!・・・』 なんて事はありがちですよね。

私はこんなピンチ用に百円ライターとは別に、生活防水仕様の圧電着火ターボライターを小さな防水パックに入れて携帯しています。
大体はこれで問題解決となりますが、私はダメ押しの安全策として、ライターとは別に“ファイヤースターター”とか“メタルマッチ”と呼ばれる道具を、小物入れに入れて携行する事にしています。

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(防水パックに入れた百円ライター㊧と、ターボライター㊨)

画像の“ファイヤースターター”はたぶん30年近く前に購入したもので、山行には毎回持参していますが、実際の使用回数は多くありませんからご覧のようにほとんど消耗していません。

最近はもっと格好の良い同種の製品もあるようですが、これがまだ十分使えるので買い替えはしていません。
たぶん、私は今後も山登りができなくなるまで“これ”と山行を共にし続けるのでしょうね。(笑)

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(年代モノの“ファイヤースターター”・・・、でもまだ現役!)

さて、この“ファイヤースターター”とはライターのフリントと同じフェロセリウム合金と思われる棒にツマミを取り付けた単純な構造で、鋼の擦り板とセットになっており、本体を擦り板で擦ると結構大きな火花が散ります。
本来はシビアな状況を想定したサバイバル必須アイテムなのですが、実際のところは“サバイバルごっこ”用の玩具として使われる事がほとんどではないかと思います。

実際問題として、南海の無人島に漂着したならいざ知らず、日本の山での暴風雪下の緊急事態に、この種のファイヤースターターで短時間に焚火を熾すのは、仮に湿度の高い状態でも機能する“ティンダー(火口)”を持っていたとしてもかなり困難でしょう。
こんな状況では防水マッチを専用の防水ケースに入れて持っている方が余程現実的だと思います。


とは言え、登山用のストーブに点火するだけなら、本体が濡れていても多少拭くだけで火花が出るファイイヤースターターは、ストーブのイグナイターが不調だったり、ライターを濡らしてしまった場合の最後の手段としてきわめて有効な道具となるでしょう。
なお、ガスやプレヒート用のガソリンには直接火花を飛ばして点火可能ですが、アルコールストーブに点火する時は、液面に直接火花を飛ばすより、ティッシュペーパーの小片や枯葉など芯になるものにアルコールを浸み込ませてそこに点火したほうが簡単です。

天気の良い時なら笑い話ですむ小さな事かも知れませんが、非常時に火器が使えるか否かは命に関わる洒落にならない大問題です。

そんな訳で、この“ファイヤースターター”は重さも気にならず、現在でも実勢価格は安いものなら千円台でしょうから、皆さんも安全登山の「お守り」として装備のチェックリストに加えてはいかがでしょうか。

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(私は本体と擦り板を丁度良い太さのチューブに入れて収納している)

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2011年10月 3日 (月)

再流行?の“スプリットボード”をハードブーツで!

便利度 :★★★☆☆
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(ハードブーツ仕様のスプリットボードとしての評価です)


最近、BCボーダーの間で再びスプリットボードに関心が集まっているようですね。

思い返せば、我が国での初めてのスプリットボード・ブームが起こったのは10年少々前だったと思います。

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それ以前にも北米には同様のアイデアが散見されましたが、VOILEが現在のインターフェースとほぼ同じシステムをリリースしたのを切っ掛けに、第1次スプリットボード・ブームとも呼ぶべき流れが北米に起こり、その波はすぐに日本にもやってきました。
また、同社からは自作派向けの「スプリット化改造キット」も発売されたため、我が国でも多くのBCボーダーが好みの板を真っ二つに割ってスプリット化するという荒業に挑戦したものこの頃です。

その後、あの“Burton”までが外見的に洗礼された(外見だけ!笑)独自のスプリットシステムを発表するなど、一時はこのスプリットブームもずいぶん盛り上がったものです。

しかし・・・、残念ながらそのブームもそう長続きはしませんでした。
モードチェンジの手間や、クライミングスキンの取り扱いの面倒さ、また急斜面では意外とテクニックを要するシール登行の困難さが不慣れなボーダーに嫌われた事もあって、実質3年ほどでこの盛り上がりも急速に衰えてしまったのです。

スプリットボードの機動性を熱く語っていたスプリットボーダーも次第に寡黙になり、結局大半のスプリットボーダーは以前のようにスノーシューでのハイクアップというスタイルに戻ってしまいました。
かく言う私も同類項ですし・・・、さらに、私はこれをきっかけに本来の出自である“山スキーヤー”に軸足を大きく戻してしまいました。

そして・・・、流行は10年単位で繰り返すといいますが、一部のエンスージアストが細々とその伝統を継いできたスプリットボードもここに来て再びブーム再燃の兆候が見えてきたのです。

しかし、率直に言わせていただけば、再び盛り上がるであろうスプリットボードの流行も、消費者に常に目新しいプレゼンテーションを行って市場を活性化し、自ら喚起した需要により利益を得ようというメーカーや業界の商業的意図が先導しているものであるなら、この盛り上がりもまた一時の流行で終わってしまうであろうことは過去の歴史からも明らかです。

とは言え、この10年でロッカーボードにに象徴されるようなスノーボードの根幹にかかわる革新も著しく、また基本システムは同一ながら、一部のコアなスプリットボード・フリークによる着実なモディファイを繰り返し、システムとしての成熟は格段に進歩しているのもまた事実です。

そんな訳で・・・、スプリットボードに新たに強い興味を持ったBCボーダーの皆さんが、メーカーや業界に踊らされていることを重々承知の上で、奥深いスプリットボードの世界に禁断の一歩を踏み込み、目眩くような数年間を過ごすのもまた一興だと思います。


で・・・、今回は昔話になりますが、私が実行していた、ハードブーツでスプリットボードに乗るための改造です。
以前の私のホームページで紹介しましたが、そちらも消えてしまったようなので再び記事にしてみました。

さて・・・、スプリットボードとハードブーツ(山スキー用のランドーネブーツ)の相性は意外と良いようで、山スキー出身の私などは登行時にもソフトブーツより快適だと思っている位です。

そんな訳で私はハードブーツ用のビンディングのパーツをVOILEのスライダートラックに移植して使用していた事があります。
純正にもハードブーツの履けるオプションパーツがあるのですが、実用上は問題が無いものの意外とお粗末な造りで微調整もできず、イマイチ納得できなかったので、他社製のハードビンディングのトー&ヒール・ピースでVOILEに合うものを探しました。

しかし、アルペンボード用のハードブーツ用ビンディングといっても、作っているのは当時でも数社しかありませんでしたし、現在ではアルペンボードがますます不人気となり、そのビンディングの種類もさらに減少してしまいました。
現在、選択肢に上がるのは“I-BEX(旧・BURTON→R-17)”か“F2”、あるいは“ACT‐GEAR”や“G-style(旧SHR)”ぐらいでしょうか。

この内VOILEのスライダートラックとの相性を見ると“ACT‐GEAR”や“G-style”は構造上まず選択肢から外れてしまいますし、“I-BEX(旧・BURTON→R-17)”も同様に取り付けられません。
まあ、VOILEのスライダートラックを強引に加工すれば付かない事は無いかもしれませんが微調節ができず強度的にも問題が残りますのでお勧めはできません。

しかし、唯一“F2”のトー&ヒール・アッセンブリーのビスピッチは40㎜ですから、VOILEのスライダートラックの4×4ビンディング取り付け穴とピッタリ同じなのです。(画像↓)

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さすが4×4規格の創始者の“F2”!、ハードビンの設計もメトリックスケールでやってくれていたんですね。

また、“BLAX”のハードビンや、“Raichle”や“DEELUXE”の「X-bone”シリーズ」もトー&ヒール・アッセンブリーは“F2”と同じモノを使用していましたので、これらのパーツが入手できれば同様に使用できるはずです。

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(VOILEスライダープレート/改、ハードビンディング仕様)

そんな訳で、VOILEのスライダートラックは、“F2”のトー&ヒール・アッセンブリーを“ポン付け”するだけで、簡単にスプリットボードのハードブーツ(ランドーネブーツ)仕様に改造することができるのです。
しかも、付属の3°のカンティングウエッジを、歩行モードの時は親指側、滑降モードの時は小指側がアップするように取り付ければ、歩行にも滑降にも有効だと思います。

下の画像はブーツサイズ大きい私用の試作品なので、スペーサーが厚くなっていますが、本来はもっと薄いほうが良いでしょうし、小さなブーツの方でカントを付けないならスペーサーも必要無いかも知れません。
ただし、ブーツのサイズによってはスペーサーが無いとトーピース本体やブーツの爪先がボードやブラケットと干渉し、踵の上がる角度に制約が出てしまいますので、Voile純正のツーリングライザーと組み合わせたりしながら、トライアンドエラーでセッティングを煮詰める必要があるでしょう。

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(純正のカンティングウエッジと試作したジュラコン製スペーサー)

純正のハードビンキットよりも若干重く、やや下駄になりますが、ソール長の微調整も可能ですし上記のようにカント調節もできる上、長年定評のある頑丈な造りで安心して使用ができます。

しかし・・・、“ポン付け”するだけでOK!、とはいっても、男性が大き目なブーツを使用する場合には少々問題が生じます。
ソール長が30センチ前後より大きいと適正なセンタリングができない、つまりブーツが取り付けられたにしても、センターが後ろ過ぎる位置での固定になる場合が生じるということです。
特に私はセンターよりむしろトー側にオフセットさせたセッティングが好み?なのでこれは大問題です。

【付記】
VOILEのスライダートラックに古いF2系のトー&ヒール・アッセンブリーを移植する場合には、可能なら調節幅の大きいLサイズのモノを使用してください。
現在の製品は不明ですが、以前のF2系のこのパーツにはSとLサイズがあり(画像↓)、この改造の場合はセンタリングのためにも、調節幅の大きいLサイズを使ったほうが自由度が高まると思います。


Splt_2  Splt_3
(両画像とも、㊧がSサイズ、㊨がLサイズのトーピース)


しかし、このようにブーツの適正なセンタリングができない場合も、画像で示したようにインターフェースプレートのトー側に同一ピッチ(40/3mm ≒13.33mm 前方)で穴をあけてトーピースをより前方にセットする事で簡単に問題解決できます。
下の画像でドライバーで指示した列の穴が新たに加工した穴ですが、大きめのイズの男性用ランドーネブーツでしたらほとんどの場合この加工が必要になるかも知れません。

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(1番下の面取りをしてあるのが新たに加工した穴)

この新たにあけた穴を使用してトーピースを固定し、センタリングを行えばソール長32センチ程度でも好みのセンタリングが可能となるはずです。(画像↓)


Splt_7  Splt_9

さあ、これでスプリットボードのハードブーツ仕様が完成です。


ランドーネブーツ(山スキー用の兼用靴)はソールが登山靴と同じビブラムで通常の登山道や岩場でも安心ですし、何より急な雪面でのキックステップがソフトブーツの何倍も楽ですし、歩行モードのスプリットを履く時もトラバースで足首が安定し、またブーツを歩行モードにするとソフトビンのようにハイバックが邪魔になることもありません。
私見ですが、総合的に見てスプリットボードとハードブーツ(ランドーネブーツ)の組み合わせはかなり相性が良いと思うのです。

ここ、『山道具道楽』の読者は他人と同じことをするのを潔しとしない方が多いと思いますので、意を決してスプリットボードの世界に足を踏み入れるのでしたら、いっその事ハードビン仕様で!と言うのも悪くないんじゃあないでしょうか。(笑)

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