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2012年5月

2012年5月25日 (金)

“つめかえ君”に強敵出現!

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★☆☆☆☆
(使用は自己責任で!)



Gworks_gs_1
(韓国版”つめかえ君”、“G-works/Gas saver”)


登山用のガスストーブは、液体燃料のストーブより手軽で便利なのですが、悩みの種は中途半端に残ったガスカートリッジの扱いではないでしょうか?

特に“JET BOIL”などで小型の110型のカートリッジを使う場合など、毎回新品のカートリッジを使うとなると、少しガスの残ったカートリッジの使い道も限られてしまいます。

そんな訳で、中途半端な残量のカートリッジを何本かまとめて1本の満タンカートリッジにできたら・・・、と誰でも考えますが・・・、まさに必要は発明の母、これを可能とする製品も既に10年ほど前から販売されています。

法的な問題から一般の登山用品店では取り扱ってはいないものの、ご存知の方も多いと思います。
そして、そんな製品の筆頭に挙げられるのが以前ご紹介したアルバの“つめかえ君”でしょう。
私も恒常的に使用しており、製品にも不満は無いのですが・・・、過日同種の製品を見つけたので、試しに購入してみました。

韓国の登山用品店には、何故か非常にガスストーブ関連商品が充実していますが、これも韓国製の“G-Works/Gas saver”なる製品で、かなり格好良くしかも非常に安価です。

とは言え、これを買った韓国ではOKなのかもしれませんが、日本ではこの種のガスを詰め替える器具の使用は法律的に禁止されているらしいので、当ブログとしても積極的にお薦めするわけにもいかないのですが(笑)・・・、自己責任で使えばたいへん便利で省資源にもなりますので敢えてご紹介したいと思います。

さて、元祖の“ALVA/つめかえ君”が真鍮の削り出しとは言え、5,500円と少々ボッタクリ価格で商売しているのに対し、この“G-works/Gas saver”は20,000韓国ウォン(≒1,400円・付加価値税込)とかなりリーズナブルで、しかもマシニングセンタで加工したと思われる精巧なアルミの削り出しボディーに着色陽極酸化処理を施した非常に美しい仕上げです。

最近の韓国製品全般に言えることですが、品質の向上は著しく、世界の市場でシェアを拡張し続けるのもうなずけます。
日本も頑張らないと永久に後塵を拝する事になるかも知れません。

Gworks_gs_2  Gworks_gs_3
(細部にはパクリの要素もあるが、仕上げは非常に美しい)

また重量も“つめかえ君”と比べ大幅に軽量ですから、(山に持っていく人は滅多に居ないと思いますが・・・、笑)ザックに入れても大きな負担にはならないでしょう。


そんな訳で、強力なライバルが出現した元祖“つめかえ君”・・・。
現在の値段で買ってくれる人がいるからこそ、販売自粛要請を拒否してでも売り続ける程のボロイ商売が可能なのでしょうが、今後韓国からこの“G-works/Gas saver”をはじめ、安価で造りの良いガスストーブ関連製品群がネット市場に流入してきなら・・・、こんな殿様商売ができなくなるのも時間の問題でしょう。

また、この製品は登山仲間への韓国土産としても最適ですし、限定的にしか輸入されていない今なら、東大門・鍾路5街(トンデムン・チョンノオガ)の登山用品街あたりで大量に買い込み、ネットオークションにでも出品すれば小遣い稼ぎ位はできると思いますよ。
早い者勝ちですから、韓国に行く予定の方は早速買い付けてきたらいかがでしょう。(笑)

Gworks_gs_4
(使用法は元祖“つめかえ君”と全く同じ)

使用法は元祖“つめかえ君”と同じなので今回はあらためて紹介は致しませんが、詳細は冒頭に挙げた5年前の記事の後段をご覧ください。

法的には問題があるものの、あくまで自己責任で使うという方にとっては、買っても絶対に損の無い商品だと思います。

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2012年5月15日 (火)

“Ospray/KODE-38”のトップポッケットを両開きに!

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆


近年ゲレンデスキーヤーやボーダーがゲレンデを離れ、BCを楽しむ方が増加してるようです。
それに伴い、昨シーズンから今シーズンにかけて、BCスキーヤーやボーダーが背負っているザックに、ある種のトレンドがあったように感じるのは私だけでしょうか。

今年の3月、八甲田に行って驚いたのですが、誇張した言い方をすれば、3人に1人が“ Ospray” の“ KODE -30”か“ KODE -38”を背負っていたと感じるほど、旧モデルを含め“ Ospray”シェアが圧倒的なのです。

Kode30b  Kode38
(㊧KODE 30、㊨KODE 38、 ※メーカーサイトより画像を引用させていただきました)

私は10年以上前に同社の“BACKSIDE”を使い始め、以後BC用として現在の“SWITCH”まで3代に渡ってこのメーカーの製品を使ってきましたが、何れもユニークでそこそこ良いザックであると実感しています。

しかし、現在山ボーダーだけでなく、山スキーヤーにまで何故こんなに“ KODE -**”の人気があるのか気になってしまいました。
そんな訳で、他人と持ち物がカブるのは好まないのですが・・・、値段も予想外に安価だったのでまたまたポチッ!と無駄遣いしてしまいました。

さて、“ KODE -38”を実際に手に取ってみると、売れているだけあって手間の掛かったかなり良く出来た製品であることは間違いなさそうです。
まぁ、構造に凝りすぎてかえって使いにくいであろう部分もあり、また少々重過ぎる感もありますが、(私としてはもう少しシンプルな方が好ましいのですが・・・)BC用ザックとしては十分優秀という評価に値するでしょう。

また、以前のようにアメリカ本土製でないため、価格も非常にリーズナブルです。
選択肢の少ないBC用ザックのカテゴリーで、このコストパフォーマンスの製品が売れない方がおかしいと言ったところでしょうか。(笑)

しかし、基本構造自体が複雑でパーツも多く縫製コストを掛けた製品である一方、少々手抜きの感じられる部分も無い訳ではありません。
中でも実際に使用してみて、特に気になったのがトップリッドポケットのファスナーの構造です。

トップリッドの後頭部側に25センチほどの短い直線ファスナーがあるタイプのザックなら片開きのファスナーでも良いのでしょうが、“ KODE -38”のように両サイドまでファスナーが回り込んでいて大きく開く構造のポケットであれば、普通この部分には“頭合わせの両開きファスナー”を使うはずです。
しかし、この“ KODE -38”ではコストをケチったのか片開きのファスナーが使われていました。(画像↓)

F_1
(全閉で左側面にスライダーが位置する片開きファスナーが使われている)

基本的にトップリッドのポケットには、行動中頻繁に使う小物などを収納しますので、ザックを雪面に置いた状態で上側が最小限開けられれば用が済むことがほとんどです。
このため、両サイドまでファスナーが回り込んだ構造であっても、この部分に両開きのファスナーが使用してあれば、2つのスライダーを中央付近に寄せて閉じておき、適宜最小限の長さだけファスナーを開けて必要なものを出し入れするという使い方もできるのです。(画像↓)

F_5
(同社の旧モデルBC用ザック“Switch”では両開きのファスナーが使われていた)

ところが、“ KODE -38”のトップポケットはヘルメットの収納も考慮し、通常のザックよりも側面まで大きく開くような構造になっているにも拘らず、片開きのファスナーしか使われていないのです。
このため、トップリッドから小物を出す時に、普通に雪面に置いた状態では、必然的に側面から大きくファスナーを開けることになり、ゴチャゴチャ小物を詰め込んだ状態だと嵩張る帽子などを取り出す際、横から中の小物が一緒に転げ落ちそうです。(画像↓)

F_2

しかも、閉める時も側面まで手を回さねばならず、慌てているとファスナーが全閉していないのに気付かず背負ってしまうという事もありがちです。

いい歳になってもおっちょこちょいの私などは、そのうちに閉め残したファスナーの隙間から何か大事なものを落としてしまう公算が大ですし、ザックを背負ったまま同行者にポケットから物を出してもらうときもこの心配は残ります。
(お恥ずかしながら、私はこれが原因で日焼け止めの小さなボトルを落としちゃいました)

何か深い設計意図でもあるのでは・・・、と考えてもみましたが、どうしても必然性が見当たりません。
高々数十円のパーツなのですから、メーカー側も妙なコスト意識を捨て、このような小さな部分にこそユーザーが使いやすいような配慮をお願いしたいものですよね。


そんな訳で、自分が納得した道具を使いたいと考える『山道具道楽』としては、この部分を両開きのファスナーにするための改造を行うことにしました。

要は、ファスナー末端の縫製を少し解いて、コイルファスナー№5用でノンロックのスライダーをもう一個挿入すれば良いだけの話です。

ファスナーのスライダーは都内のYKK製品専門問屋でパーツとして購入するのが常道なのでしょうが、卸が主流の店で数十円の商品を1~2個買うのも気が引けるし・・・、と躊躇していた時に思い付いたのが、無駄を承知で既製品の№5のファスナーを裁縫用品店で買ってスライダーだけ利用するという方法です。

今回は残念ながら、既存と同じニッケルメッキのスライダーを使った既製のファスナーが選べなかったのですが、色は合わなくても実用性には全く問題が無いので取りあえず紺色系のファスナーを購入しました。
これを分解してスライダーのみを取り出しますが、スライダーの形状は細部では異なるものの、世界標準の同じYKK‐№5コイルファスナー用ですから互換性は問題ないはずです。

F_4  F_3
(既製品のファスナーからスライダーのみを取り外す)

以前、北米の大規模アウトドアショップのテントかザック売場で、ファスナー補修用のスライダーが多数ストックされているのを見かけましたが、こんなところからもD.Y.I 尊重の国柄が窺い知れます。羨ましい限りですね。

さて、実際の改造については画像をご覧いただければ一目瞭然でしょう。

まず全閉時に既存のスライダーが止まる側の縫い目を解きますが、この作業にはリッパーという裁縫道具があると便利です。(画像↓)

F_6

ファスナーの末端をスライダーが入る程度まで浮かせたら、噛み合せがズレないように慎重にスライダーを挿入しファスナーを閉じていきます。
この段階で務歯の噛み合せが外れないよう、末端部を手縫いで固定しておくと後の作業が安全でしょう。

後は元通り縫製すれば完成です。
この部分は狭いので画像のような工業用シリンダーミシンが有ると便利ですが、距離が数センチと短いので手縫いでもそれほどの手間と時間は掛からないはずです。

F_7
(手縫いでも十分可能だ)

さて・・・、最後に追加したスライダーの引手を既存と同じOspreyのジッパータブに取り替えれば“ KODE -38”の両開きトップポケット仕様への改造も終了です。

実際に(私的には!)非常に便利になったと実感していますので、“ KODE -38”ユーザーの方々には是非お勧めしたい小改造だと思います。

F_8
(色違いもご愛嬌?)

まぁ・・・、「何もそこまで・・・」という声も聞こえてきそうですが・・・、この辺が『山道具道楽』の『山道具道楽』たる所以・・・、とご容赦いただければ幸いです。(笑)

【付記】
大事なことを書き忘れたので追加します!
コイルファスナーのスライダーには、コイルのある表側にジッパータブの付くタイプと、裏側のフラット面側にジッパータブの付くタイプの2種類あります。
今回のKode38では通常のコイル面にジッパータブのあるタイプでしたが、中には裏側のフラット面にジッパータブのあるファスナーもありますので、改造対象を確認の上適合したパーツを入手してください。



※ “ KODE -38”にはまだ改造によって、より使い易くなりそうな部分がありますので、今後継続して手直しをしてみたいと思います。請御期待!

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2012年5月 6日 (日)

“TLT-Speed” のロックレバーを調整する

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★☆☆☆☆
(改造は自己責任で!!!)


Tec ビンディングの宿命だったブーツ装着時の煩わしさが格段に改善する、という前宣伝に大きな期待を感じた、“DYNAFIT/Radical ”シリーズ・・・。

しかし、このシステムの要であるトーロケーターも、スキーブレーキの設定が無い“Speed-Radical” では、ストックで板を押えたり、リーシュを手で引っ張りながら爪先をトーロケーターに合わせる必要があったりと、その恩恵もかなり限定的です。

結局“Speed-Radical” はブーツ長の調節幅が倍増した事を除き、大きな進歩は見られなかったと言う感想も多く、特に使用中の“TLT-Speed”が健在なら敢えて買い替える必要も無いというのが結論のようです。

そんな訳で、旧世代機ながら“Dynafit/TLT-Speed” も依然としてツアー用軽量ビンディングとして、暫くは並行して一定の地位を保持していくのでしょう。

しかし、この“TLT-Speed” の最大の問題は組み合わせるブーツによって、小さなロックレバーの操作が非常に固く、(特に使い始めで当たりが出ていない時期は・・・)慣れない女性などは完全にロックすることが難しいということです。

過去の記事にも掲載しましたが、この理由で、中途半端なロック状態のまま登行していると突然リリースして無用の体力消耗を余儀なくされたり、同行者を待たせてしまうのみならず、時として滑落事故に至る危険も十分考えられます。

また、思いっきり力を入れてロックしてしまうと、今度はブーツを外す時にポールでレバーを押したくらいでは開放せず、ポール・グリップの先端で叩くようにして、やっと片側のブーツを外し、反対側はブーツで蹴って・・・、といった対応を迫られます。

これは、“Comfort”や “Vertical” ではトーピースの樹脂製ベースプレートが中空の最中形状のためフレキシブルなのに比べ、TLT-Speed のベースプレートは薄いムクの構造のため撓みによる遊びが全く無いからです。
くわえて、ロックレバーが新しいモデルより小型で、力を入れ難い事もこの一因となっているのでしょう。

Dscf2861 
(力を入れてもレバーがここまでしか起きない場合も・・・)

過去の記事でご紹介したベースにシムをかます解決法が最善だと思われますが、これだと一旦板からビンディングを取り外す必要もあり、私と同類の物好き以外には取り掛かりにくい改造です。

そこで今回は、スキーに取り付けた状態でできる、固いロックレバーの問題を解決する方法をあらためてご紹介したいと思います。

要は、ロックレバーのセレーションが噛合うベースプレートの半円柱状の突起を低く削ってしまうという荒療治ですが、結局のところこれが一番簡単で確実な方法だと思います。

加工は、はじめにベースプレートの突起が約三分の二の高さになるようにリューターで目安溝を両側に刻み、あとはそれを基準にして半円柱状に大まかにリューターで削っていきます。
最初から半円状に削っても良いのですが、左右同じ高さに基準を設けておいた方が失敗は少ないだろうと私はこの方法をとりました。

Dscf2863  Dscf2865
(まずリューターで目安になる高さまで溝を入れて・・・)

粗削りが済んだらヤスリで仕上げ、次に動作をチェックし、最後にキサゲ等で表面を丁寧に平滑に整えれば完成です。

Dscf2868  Dscf2867
(㊧加工前、㊨加工後・この後に綺麗に仕上げれば完成)

今回ご紹介のケースでは、約三分の二の高さに削った状態に調整しましたが、ロックレバーは普通の力で2山以上突起に乗り、誤解放の心配が無くなり、また解放も普通の力で無理なく操作できたと使用者から評価をいただきました。

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(通常の力でしっかりとロックできる位置までレバーを起こせる)

注意する点と言えば、断面が緩い円弧状になるように滑らかに仕上げる事でしょう。
角ばった形状になっていると、レバーのセレーションと固く噛み合ってしまい解放が難しくなりまので要注意です。

また、この加工は、“TLT-Speed”と特定のブーツの組み合わせた場合の相性の問題が原因ですから、実際に使用して不都合が無い場合には全く必要はありません。

なお、未加工の“TLT-Speed”と組み合わせても問題の生じないブーツであっても、この程度の加工ではレバーが少々軽めの力でロックできるようになる位で特に不都合は生じませんから、新しいブーツに買い替えても心配は無さそうです。

“TLT-Speed”をご使用の女性で、操作の固いロックレバーでお困りの方は是非お試しいただきたい改造だと思います。
この簡単な調整で、以後は吹雪の稜線で無用の苦役を科せられたり、待たせている同行者の冷たい視線を感じる事も無くなる・・・、と思えばそう面倒な作業ではないはずです。

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