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2012年5月15日 (火)

“Ospray/KODE-38”のトップポッケットを両開きに!

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆


近年ゲレンデスキーヤーやボーダーがゲレンデを離れ、BCを楽しむ方が増加してるようです。
それに伴い、昨シーズンから今シーズンにかけて、BCスキーヤーやボーダーが背負っているザックに、ある種のトレンドがあったように感じるのは私だけでしょうか。

今年の3月、八甲田に行って驚いたのですが、誇張した言い方をすれば、3人に1人が“ Ospray” の“ KODE -30”か“ KODE -38”を背負っていたと感じるほど、旧モデルを含め“ Ospray”シェアが圧倒的なのです。

Kode30b  Kode38
(㊧KODE 30、㊨KODE 38、 ※メーカーサイトより画像を引用させていただきました)

私は10年以上前に同社の“BACKSIDE”を使い始め、以後BC用として現在の“SWITCH”まで3代に渡ってこのメーカーの製品を使ってきましたが、何れもユニークでそこそこ良いザックであると実感しています。

しかし、現在山ボーダーだけでなく、山スキーヤーにまで何故こんなに“ KODE -**”の人気があるのか気になってしまいました。
そんな訳で、他人と持ち物がカブるのは好まないのですが・・・、値段も予想外に安価だったのでまたまたポチッ!と無駄遣いしてしまいました。

さて、“ KODE -38”を実際に手に取ってみると、売れているだけあって手間の掛かったかなり良く出来た製品であることは間違いなさそうです。
まぁ、構造に凝りすぎてかえって使いにくいであろう部分もあり、また少々重過ぎる感もありますが、(私としてはもう少しシンプルな方が好ましいのですが・・・)BC用ザックとしては十分優秀という評価に値するでしょう。

また、以前のようにアメリカ本土製でないため、価格も非常にリーズナブルです。
選択肢の少ないBC用ザックのカテゴリーで、このコストパフォーマンスの製品が売れない方がおかしいと言ったところでしょうか。(笑)

しかし、基本構造自体が複雑でパーツも多く縫製コストを掛けた製品である一方、少々手抜きの感じられる部分も無い訳ではありません。
中でも実際に使用してみて、特に気になったのがトップリッドポケットのファスナーの構造です。

トップリッドの後頭部側に25センチほどの短い直線ファスナーがあるタイプのザックなら片開きのファスナーでも良いのでしょうが、“ KODE -38”のように両サイドまでファスナーが回り込んでいて大きく開く構造のポケットであれば、普通この部分には“頭合わせの両開きファスナー”を使うはずです。
しかし、この“ KODE -38”ではコストをケチったのか片開きのファスナーが使われていました。(画像↓)

F_1
(全閉で左側面にスライダーが位置する片開きファスナーが使われている)

基本的にトップリッドのポケットには、行動中頻繁に使う小物などを収納しますので、ザックを雪面に置いた状態で上側が最小限開けられれば用が済むことがほとんどです。
このため、両サイドまでファスナーが回り込んだ構造であっても、この部分に両開きのファスナーが使用してあれば、2つのスライダーを中央付近に寄せて閉じておき、適宜最小限の長さだけファスナーを開けて必要なものを出し入れするという使い方もできるのです。(画像↓)

F_5
(同社の旧モデルBC用ザック“Switch”では両開きのファスナーが使われていた)

ところが、“ KODE -38”のトップポケットはヘルメットの収納も考慮し、通常のザックよりも側面まで大きく開くような構造になっているにも拘らず、片開きのファスナーしか使われていないのです。
このため、トップリッドから小物を出す時に、普通に雪面に置いた状態では、必然的に側面から大きくファスナーを開けることになり、ゴチャゴチャ小物を詰め込んだ状態だと嵩張る帽子などを取り出す際、横から中の小物が一緒に転げ落ちそうです。(画像↓)

F_2

しかも、閉める時も側面まで手を回さねばならず、慌てているとファスナーが全閉していないのに気付かず背負ってしまうという事もありがちです。

いい歳になってもおっちょこちょいの私などは、そのうちに閉め残したファスナーの隙間から何か大事なものを落としてしまう公算が大ですし、ザックを背負ったまま同行者にポケットから物を出してもらうときもこの心配は残ります。
(お恥ずかしながら、私はこれが原因で日焼け止めの小さなボトルを落としちゃいました)

何か深い設計意図でもあるのでは・・・、と考えてもみましたが、どうしても必然性が見当たりません。
高々数十円のパーツなのですから、メーカー側も妙なコスト意識を捨て、このような小さな部分にこそユーザーが使いやすいような配慮をお願いしたいものですよね。


そんな訳で、自分が納得した道具を使いたいと考える『山道具道楽』としては、この部分を両開きのファスナーにするための改造を行うことにしました。

要は、ファスナー末端の縫製を少し解いて、コイルファスナー№5用でノンロックのスライダーをもう一個挿入すれば良いだけの話です。

ファスナーのスライダーは都内のYKK製品専門問屋でパーツとして購入するのが常道なのでしょうが、卸が主流の店で数十円の商品を1~2個買うのも気が引けるし・・・、と躊躇していた時に思い付いたのが、無駄を承知で既製品の№5のファスナーを裁縫用品店で買ってスライダーだけ利用するという方法です。

今回は残念ながら、既存と同じニッケルメッキのスライダーを使った既製のファスナーが選べなかったのですが、色は合わなくても実用性には全く問題が無いので取りあえず紺色系のファスナーを購入しました。
これを分解してスライダーのみを取り出しますが、スライダーの形状は細部では異なるものの、世界標準の同じYKK‐№5コイルファスナー用ですから互換性は問題ないはずです。

F_4  F_3
(既製品のファスナーからスライダーのみを取り外す)

以前、北米の大規模アウトドアショップのテントかザック売場で、ファスナー補修用のスライダーが多数ストックされているのを見かけましたが、こんなところからもD.Y.I 尊重の国柄が窺い知れます。羨ましい限りですね。

さて、実際の改造については画像をご覧いただければ一目瞭然でしょう。

まず全閉時に既存のスライダーが止まる側の縫い目を解きますが、この作業にはリッパーという裁縫道具があると便利です。(画像↓)

F_6

ファスナーの末端をスライダーが入る程度まで浮かせたら、噛み合せがズレないように慎重にスライダーを挿入しファスナーを閉じていきます。
この段階で務歯の噛み合せが外れないよう、末端部を手縫いで固定しておくと後の作業が安全でしょう。

後は元通り縫製すれば完成です。
この部分は狭いので画像のような工業用シリンダーミシンが有ると便利ですが、距離が数センチと短いので手縫いでもそれほどの手間と時間は掛からないはずです。

F_7
(手縫いでも十分可能だ)

さて・・・、最後に追加したスライダーの引手を既存と同じOspreyのジッパータブに取り替えれば“ KODE -38”の両開きトップポケット仕様への改造も終了です。

実際に(私的には!)非常に便利になったと実感していますので、“ KODE -38”ユーザーの方々には是非お勧めしたい小改造だと思います。

F_8
(色違いもご愛嬌?)

まぁ・・・、「何もそこまで・・・」という声も聞こえてきそうですが・・・、この辺が『山道具道楽』の『山道具道楽』たる所以・・・、とご容赦いただければ幸いです。(笑)

【付記】
大事なことを書き忘れたので追加します!
コイルファスナーのスライダーには、コイルのある表側にジッパータブの付くタイプと、裏側のフラット面側にジッパータブの付くタイプの2種類あります。
今回のKode38では通常のコイル面にジッパータブのあるタイプでしたが、中には裏側のフラット面にジッパータブのあるファスナーもありますので、改造対象を確認の上適合したパーツを入手してください。



※ “ KODE -38”にはまだ改造によって、より使い易くなりそうな部分がありますので、今後継続して手直しをしてみたいと思います。請御期待!

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コメント

私も使い始めて今年で3シーズン目でしたが、今シーズンは異様に増殖していて驚きました。こっちは発売開始して速攻で買ったのに、被ってるなぁって目で見るな!て感じでした。

38で私が感じた不便なところは、せっかくヘルメットやゴーグルの収納を考慮したトップポケットですが、ゴーグルをゴーグルポケットに入れると、突っ張ってヘルメットが入らなくなってしまうことです。

使い方で対処していましたが、やはり理事長のように改造してみようかなと最近思い始めました。

投稿: | 2012年5月26日 (土) 00時29分

“す”さん、毎度です!

ほんとうにOSPRAYの増殖ぶりにはビックリです。
私も使うのが少し恥ずかしくなる位カブリまくっちゃってますから・・・。
まぁ、良いモノがリーズナブルな価格で買えるんですから、当然の事なんでしょうね。

では!

投稿: 理事長 | 2012年5月26日 (土) 07時53分

オスプレーのザックのふたのファスナーはYKKの5RCタイプという特殊な製品で、日本製でなく、一般には入手がむづかしいのですが、どのように入手されたのでしょうか?

投稿: 剣のふもと | 2012年7月27日 (金) 10時01分

“剣(剱?)のふもと”さん、ようこそ。
お名前からすると富山県・・・、とするとYKK関係の方でしょうか?(笑)
さて、YKKは世界数十カ国に工場があって(ニセモノを入れるとその何倍?)それぞれ独自の型番で製品を造っているようですが、基本的にYKK 規格の5番コイルファスナーといったら、公差の範囲内でほぼ同寸法と言っても良いみたいですよ。
そんな訳で、私はオリジナルの5RCZ の代替品として国産の5CN というスライダーを使いました。
チョット滑りが良すぎる気がしましたので、クランプでスライダーの口高を僅かに押さえましたが、特に問題無く使用できています。
気掛かりなら、YKKのサービス窓口や浅草橋の三協ファスナーあたりに聞いてみたらいかがでしょうか?

投稿: 理事長 | 2012年7月27日 (金) 17時25分

ご返答ありがとうございます。ちなみに5CNに5RCZあるいは5RCTのスライダーは、入らないので、お気を付けください。また、スライダーの表裏は、関係なく通るよう設計されてます。例えば、KODE38の雨ふたは表使い、右肩ベルトのハイドレーション部分は、裏使いですが、同じスライダーが使われています。

投稿: 剣のふもと | 2012年7月27日 (金) 19時26分

“剣のふもと”さん、やはりYKK関係の方でしたか。
私みたいな素人にアドバイスを頂戴できて幸いです。(汗)
Kode に使われている5番のコイルエレメントは国産のものより幅が0.15~0.2mm位小さめですからスライダーの逆互換ではスムーズに動かないかもしれませんね。
しかし、私のブログのケースでは現在まで不具合も無くしっかり閉まっているのですが・・・、専門家の意見をお聞かせください。
また、コイルファスナーでは表使いの場合と裏使いの場合で、引き手を取り付ける部分が裏表逆になるのでスライダーは別物になりますよ。
Kode38でも形状の違いは確認済みですが・・・、国産の製品はコイルが表になる製品だけなのかもしれませんね。
では、今後ともよろしくお願いいたします!

投稿: 理事長 | 2012年7月27日 (金) 20時13分

連絡遅れ申し訳ございません。CF(コイルファスナー)の場合、厳密には、表使いと裏使いでは、スライダーのテープ溝のオフセットが異なり、兼用できません。訂正いたします。私が気にしたのは、OSPREYでは5RCが使われているにもかかわらず、5CNのSLS(スライダー)を使われたという点です。5RCには5CNのSLSは通りますが、逆は不可です。いわゆる大は小を兼ねるということですが、あまりお勧めできません。チェーン割れの危険があり、できれば、5RC専用のSLSをお使いください。しかしながら。JPNでは、流通しておらず、入手困難と思われます。これが冒頭のメールで懸念していたことです。5RCと5CNの何が違うかということを説明いたしますと長くなりますので、別メールにてお問い合わせください。今後共宜しくお願いいたします。

投稿: 剣のふもと | 2012年8月29日 (水) 23時52分

“剣のふもと”さん、毎度です!

アドバイスありがとうございます。
ご指摘どおり、同じ5番でも規格が僅かに違うようなので、強く推奨できる改造ではない事には私も同感です。
ただし、ご指摘を受け、敢えて乱暴に扱ってテストしてみましたが、一旦噛合ってしまった結合部が割れてしまうような兆候は一切見られませんでした。
また、Wスライダーなので仮に不具合が生じても、追加したスライダーを取り除いてしまえば簡単にオリジナル状態に復旧できますので事実上は問題無いと判断し、私はこのまま使用して行きたいと考えています。

まぁ、当ブログの記事のほとんどが『良い子は真似をしてはいけません』系の改造ばかりなので、その点は片眼をつぶってご容赦ください。(笑)

また、情報の共有と言う観点から、よろしければ5CNと5RCの違いと、なぜ同じ会社の同じ型番の製品が微妙に異なるのかの理由を、専門家の立場から私たち門外漢にも理解できるように簡単にご教授いただけると幸いです。

では、今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: 理事長 | 2012年9月 1日 (土) 10時40分

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