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2012年5月 6日 (日)

“TLT-Speed” のロックレバーを調整する

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :★☆☆☆☆
(改造は自己責任で!!!)


Tec ビンディングの宿命だったブーツ装着時の煩わしさが格段に改善する、という前宣伝に大きな期待を感じた、“DYNAFIT/Radical ”シリーズ・・・。

しかし、このシステムの要であるトーロケーターも、スキーブレーキの設定が無い“Speed-Radical” では、ストックで板を押えたり、リーシュを手で引っ張りながら爪先をトーロケーターに合わせる必要があったりと、その恩恵もかなり限定的です。

結局“Speed-Radical” はブーツ長の調節幅が倍増した事を除き、大きな進歩は見られなかったと言う感想も多く、特に使用中の“TLT-Speed”が健在なら敢えて買い替える必要も無いというのが結論のようです。

そんな訳で、旧世代機ながら“Dynafit/TLT-Speed” も依然としてツアー用軽量ビンディングとして、暫くは並行して一定の地位を保持していくのでしょう。

しかし、この“TLT-Speed” の最大の問題は組み合わせるブーツによって、小さなロックレバーの操作が非常に固く、(特に使い始めで当たりが出ていない時期は・・・)慣れない女性などは完全にロックすることが難しいということです。

過去の記事にも掲載しましたが、この理由で、中途半端なロック状態のまま登行していると突然リリースして無用の体力消耗を余儀なくされたり、同行者を待たせてしまうのみならず、時として滑落事故に至る危険も十分考えられます。

また、思いっきり力を入れてロックしてしまうと、今度はブーツを外す時にポールでレバーを押したくらいでは開放せず、ポール・グリップの先端で叩くようにして、やっと片側のブーツを外し、反対側はブーツで蹴って・・・、といった対応を迫られます。

これは、“Comfort”や “Vertical” ではトーピースの樹脂製ベースプレートが中空の最中形状のためフレキシブルなのに比べ、TLT-Speed のベースプレートは薄いムクの構造のため撓みによる遊びが全く無いからです。
くわえて、ロックレバーが新しいモデルより小型で、力を入れ難い事もこの一因となっているのでしょう。

Dscf2861 
(力を入れてもレバーがここまでしか起きない場合も・・・)

過去の記事でご紹介したベースにシムをかます解決法が最善だと思われますが、これだと一旦板からビンディングを取り外す必要もあり、私と同類の物好き以外には取り掛かりにくい改造です。

そこで今回は、スキーに取り付けた状態でできる、固いロックレバーの問題を解決する方法をあらためてご紹介したいと思います。

要は、ロックレバーのセレーションが噛合うベースプレートの半円柱状の突起を低く削ってしまうという荒療治ですが、結局のところこれが一番簡単で確実な方法だと思います。

加工は、はじめにベースプレートの突起が約三分の二の高さになるようにリューターで目安溝を両側に刻み、あとはそれを基準にして半円柱状に大まかにリューターで削っていきます。
最初から半円状に削っても良いのですが、左右同じ高さに基準を設けておいた方が失敗は少ないだろうと私はこの方法をとりました。

Dscf2863  Dscf2865
(まずリューターで目安になる高さまで溝を入れて・・・)

粗削りが済んだらヤスリで仕上げ、次に動作をチェックし、最後にキサゲ等で表面を丁寧に平滑に整えれば完成です。

Dscf2868  Dscf2867
(㊧加工前、㊨加工後・この後に綺麗に仕上げれば完成)

今回ご紹介のケースでは、約三分の二の高さに削った状態に調整しましたが、ロックレバーは普通の力で2山以上突起に乗り、誤解放の心配が無くなり、また解放も普通の力で無理なく操作できたと使用者から評価をいただきました。

Dscf2866
(通常の力でしっかりとロックできる位置までレバーを起こせる)

注意する点と言えば、断面が緩い円弧状になるように滑らかに仕上げる事でしょう。
角ばった形状になっていると、レバーのセレーションと固く噛み合ってしまい解放が難しくなりまので要注意です。

また、この加工は、“TLT-Speed”と特定のブーツの組み合わせた場合の相性の問題が原因ですから、実際に使用して不都合が無い場合には全く必要はありません。

なお、未加工の“TLT-Speed”と組み合わせても問題の生じないブーツであっても、この程度の加工ではレバーが少々軽めの力でロックできるようになる位で特に不都合は生じませんから、新しいブーツに買い替えても心配は無さそうです。

“TLT-Speed”をご使用の女性で、操作の固いロックレバーでお困りの方は是非お試しいただきたい改造だと思います。
この簡単な調整で、以後は吹雪の稜線で無用の苦役を科せられたり、待たせている同行者の冷たい視線を感じる事も無くなる・・・、と思えばそう面倒な作業ではないはずです。

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山スキー・バックカントリー 2」カテゴリの記事

コメント

管理人様
いつも楽しくblogを拝見させてもらっています。

もし既にやられていらっしゃったら申し訳ありませんが、
TLT-Speedの下駄(正確な名称は知りません)を、TLT-Verticalの下駄に交換をしてみました。
軽量化もさることながら、私にとってイマイチ操作性が悪いと感じられた下駄の回転がスムーズにできるようになり、大変にメリットのある改造ではないかと思います。

『コメント』、というよりも管理人様へのネタ提供、さらに管理人様がこの改造についてどのように考えられるのか、と思いこちらに記載させていだきました。
(不適切なコメントでしたら、削除していただいて結構です)

投稿: 浅瀬 | 2012年5月 9日 (水) 12時50分

浅瀬さんようこそ。
「下駄」というより「ヒールリフター」と言ってあげた方がカッコイイですね。(笑)
実際、TLTのヒールピースに関しては最新のRadicalまで基本設計は同じなのでSpeedのトップカバーをVerticalのモノに交換することは可能です。
しかし、Verticalのヒールハウジングにはトップカバーの支えになる突起があり、そこでヒールリフター(=下駄)にかかる荷重を受けている構造なのです。
事実、初年度製のVerticalでは樹脂のトップカバーの破損が多く、次の年からトップカバーの足部分とハウジングの突起をつなぐホゾの部分に細いスプリングピンを追加して補強したという経緯もある部分なのです。
さらに、SpeedのハウジングにはVerticalのようにヒールリフターに掛った荷重を受け止める突起がありません。
したがって、残念ながらこの改造では、使用中はもちろんスキー搬送中に乱暴に扱われた場合でも、トップカバーのヒールリフター部分が破損する可能性が大で、割れ方によってはビンディング自体が使用不能になってしまう事も考えられます。
安全に使用したければ、Comfort用のトップカバーか、入手可能なら最新のRadicalのモノを試してみると良いと思います。
以上、参考になれば幸いです。

投稿: 理事長 | 2012年5月 9日 (水) 14時50分

浅瀬さん、追伸です。

貴会のサイト拝見しましたが、記事中に『カカトのリリースバネを一番弱い10の位置にまで下げて、抑えるようにして外す事です』とありますが、10は最強の解放値で、正しくは『5以下』と訂正しておいた方が良いでしょう。
10にしてトップカバーのビスを外すと、確実に中のバネ等が飛び散ってしまいます。

差出がましいようですが、記事を信じて高価なビンディングを壊してしまう方がいたら気の毒ですから・・・。
では!


投稿: 理事長 | 2012年5月10日 (木) 09時18分

管理人様
ご丁寧な回答、誠にありがとうございます。
Tlt-Verticalを所持していないため、内部構造で荷重を受けるようになっている事を知りませんでした。
山行中に破損するおそれがある改造になりますので、blog記事は修正いたします。

また、開放値の数値についてのご指摘も誠にありがとうございます。思い込みでblogを記載してしまいました。こちらも修正いたします。

どうもありがとうございました。

投稿: 浅瀬 | 2012年5月10日 (木) 12時12分

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