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2012年12月20日 (木)

“DYNAFIT/Spssd-Radical ”が早くもマイナーチェンジ? ③

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆

「“DYNAFIT/Spssd-Radical ”が早くもマイナーチェンジ?②」からの続きです)


Speedn_11
(12-13 “DYNAFIT/Spssd-Radical ”)

さて・・・、2シーズン目で早くもマイナーチェンジを強いられた“Radical”シリーズですが、このようなドタバタ劇になった理由は何なのでしょうか?

また、“Vertical”までのTLTシリーズには設定されていなかった逆転規制機構が、何故“Radical”から設けられるようになったのでしょうか?

その理由の一つは、ヒールリフター(クライミングサポート)使用時に、稀ですがヒールピースが自然に回転してしまいモードが変わってしまうのを防ぐのと、これまでヒールリフターをノーマル・LO・HI と切り替える時にストックの先端ををヒールピースの穴に入れて無理にコジって回さなければならなかった(場合によっては手で回したほうが楽な位だった!)のを改善するためです。

そして、この“Radical”からの変更に伴って、外観からは見えないTLTシリーズの基本構造の設計変更が行われましたので、ついでに紹介する事にしましょう。


さて・・・、TLTシリーズの横方向の開放機構は、“Look”以来の古典的なカム&プランジャー方式のバリエーションと言っても良いでしょう。

Vs_4
(中央の黄色いプランジャーをスプリングで下のカム状のポストに押付ける構造)

しかし、TLTの場合は通常のこの形式のリリース機構と異なり、固定のみでなく歩行・登高モードの位置でもヒールハウジングが一旦停止するような形状に加工されたポストを使用しています。
そして、このポストの形状が“Vertical”までと、最新の“Radical”では大きく異なるのです。

画像をご覧いただけば分かるように、“Vertical”までのポストは四辺形断面のカムなのに対し、“Radical”のポストは円柱に切り欠きがあるような単純な形状に変わりました。

Vs_1  Vs_2
(㊧背面、㊨前面、から見た“Vertical”までのポストと“Radical”のポスト)

この理由は、“Vertical”まではヒールハウジングの一周に4つのストップポジションが必要だった、つまり下の画像でお判りのようにヒールハウジングを回転させることによって、歩行モード → ヒールリフター/LO → ヒールリフター/HI と4パターンのモードを切り替える必要があったからです。(画像は“TLT-Comfort”)
また、この場合は逆回転も可能でしたが、これだと特にヒールリフター使用時に荷重の掛かり方によってはヒールハウジングが回転し、勝手にモードが変わってしまう現象が稀に発生してしまいました。

Spd2_5  Spd2_6
(①滑降モード → ②歩行モード

Spd2_7   Spd2_8 
 → ③ヒールリフター/LO → ④ヒールリフター/HI ) 


しかし、“Radical”シリーズになってこのヒールリフターの切り替えが可動式のアルミ製のパーツに変更になったのです。

おかげでストックのリングを使って簡単にヒールリフターを動かせるようになり、またストップポジションも2箇所でよくなったので、ポストの形状も円柱に解放用の大きな切欠きと歩行・登行兼用の小さな切欠きを設けるだけとシンプルな形状になったのです。

下の画像をご覧頂けば、“Radical”が歩行・登行の3つのモードがヒールハウジングを右に約100度回転させたストップポジションのまま切り替えができることがお判りになると思います。

Spd2_3  Spd2_9
(①滑降モード → ②歩行モード

Spd2_10  Spd2_11
 → ③ヒールリフター/LO → ④ヒールリフター/HI ) 


しかし、この仕組みで両方向に回転可能だとするとどうでしょう。
ヒールリフター使用時に誤動作で左に回転して滑降モードになってしまうと、突然踵が固定されてしまう恐れがあるわけです。

しかも、このTLTビンディングの場合一旦踵が固定されてしまうと、それを解除するためには一旦スキーを外さなければならない訳ですから、考えただけで嫌になっちゃいますよね。
(踵を単独で開放できる自作の“ヒールリリーサー”もありますが・・・)

そこで、メーカーはモデルチェンジのついでにこの誤動作の問題を解決しようと逆転規制の構造を採用したのですが・・・、残念ながらそれが強度不足だったため破損事故が発生し、更にその対策として行われたのが今回の“Radical”シリーズのマイナーチェンジだったという訳です。

とは言え、“speed”の場合は今回ご紹介したようなシンプルな対処で解決でききたものの、“ST & FT”の場合はブレーキの着脱が事実上不可能になるという大きな代償が必要だったのは不幸としか言いようがありません。

メーカーの意欲は分かりますが、私見を率直に述べさせてもらえば、“TLT”には従来型のモード切替でも十分だったと思いますし、トーピースのベースもアルミ製に変更せず見栄えは悪くても従来の頑丈な鉄のプレス製で、形状のみ変えただけで良かったのではないかととも思っています。

また、ハッキリ言えばTLTの基本設計はブレーキ無しを前提にしていますので、ブレーキは後で無理矢理付けたと言ってもいいような構造です。
このため、歩行モードでトーピースが外れるとリーシュ無しでは板を流してしまいますし、場合によっては滑降モードでの転倒でもヒールピースが瞬間的に回転し、ノーブレーキで板を流してしまう場合も無い訳ではないのです。

そんな訳で、私は山で“Comfort ~ Radical”等のブレーキ付の機種を使用する場合でも、ほとんどの場合ブレーキを外しリーシュを使用しているのです。(その方が軽いですしね!)
結局のところ、私はブレーキの外せなくなった12-13の“Radical-ST & FT”を購入する事は絶対に無くなったという事ですね。
皆さんはいかがお考えでしょうか?



さて・・・、その他、“Speed-Radical”最新モデルでは当初モデルで問題のあったリーシュ取り付けにも新たなワイヤーループが設けられるなど着実に進化しています。

Speedn_3  Speedn_2
(付加された“Spssd-Radical”のリーシュ取り付けループ・強度は未知数だが)

なにぶんマイナーチェンジ直後の製品なので保証はできませんが・・・、“Radical-ST / FT”のブレーキが取り外せなくなった現状で、スキーツアー専用の軽量ビンディングが欲しいとお考えなら、私はこの“Speed-Radical”が唯一にして最高の選択だと考えています。



以上、3回に分けて“Radical”シリーズのマイナーチェンジについて述べてきましたが、何かの参考になれば幸いです。

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山スキー・バックカントリー 2」カテゴリの記事

コメント

先日はアドバイスを頂きありがとうございました。
昨日、天神平でRADICAL ST使ってみました。
初めての山スキーでしたが何ら問題無く使えました♪

素晴らしいブログに巡り合えたおかげで、すごく楽しむ事が出来ました(笑)

投稿: 今さん | 2012年12月23日 (日) 13時23分

初めまして、山本と申します。
TLTの取り付け方法を検索していて、たどり着きました。丁寧な解説を公開頂きありがとうございます。おかげさまで、ユーロ圏からの個人輸入・自前取り付けに踏み切りました。
さて、radical STを入手し、作業にかかりましたが、寸法だしに困っています。トウピースの取り付け穴に対する、ピボットピンの位置の距離に自信が持てません。よろしければ、ご教示願えないでしょうか。

目視では後ろの穴から15mmと推定しています。
また、ビス穴の配置はコピーから割り出して、
トウピース 幅30 縦39
ヒールピース 前 幅32 後 幅36 縦53
です。
こちらもチェック頂けると助かります。

よろしくお願いいたします。

//山本

投稿: 山本 | 2013年1月14日 (月) 19時48分

山本さんようこそ。

早速ですがピンの位置はトーピースの前後のビスの距離の1/3の所ですから、後ろのビスから13㎜前になります。(以前の5本ビスのモデルでは、後ろ2列の1/2の所で同じく後ろのビスの13㎜前です)
その他の寸法もOKですが、ポンチマークを付けてから現物を乗せ、穴から位置を再確認すれば間違いはありません。

なお、取り付けに際してはピンの位置のミリ単位の誤差などあまり関係ありませんので、トーピースをブーツに取り付けた状態で板に乗せ、ブーツのセンターマークを板のどこに位置させるかを決定してください。

健闘に期待します!

投稿: 理事長 | 2013年1月15日 (火) 11時42分

はじめまして、木村と申します。
いつも大変有益な情報ばかりで大変感謝しておりす。

今年はじめてdynafitに手を出しました。Speed-Radicalです。
が、残念ながら登行モード時の逆回転防止はピン方式のものでした。
(早速最初の山行で折れてしまいました。)

アクタスさんに問い合わせたところ、正規輸入品では今期モデルはすべてピン方式のものしかないとの事。
この記事のモデルは海外通販等でしか手に入らないのでしょうか?
海外通販でピン方式か新方式か確かめるのはワリと難しいですよね。

今後まわりでも購入を考えている人がいますので、もし可能でしたら購入先をご教授いただけましたら幸いです。

投稿: 木村 | 2013年1月18日 (金) 19時03分

木村さんようこそ。

お話ですと国内の正規代理店ルートでは問題のある初期モデルしか流通してないってことみたいですね。
これは大問題ですが、代理店も小さく市場規模も限られているのでこういう事になるんでしょう。
また、私のSpeedは北米に渡航する知人にお願いして購入したもので、手に取って初めてこのマイナーチェンジに気が付いた次第です。
残念ながらこのような訳で、海外通販だと何処で新しいモデルが買えるかは私には分かりません。

投稿: 理事長 | 2013年1月19日 (土) 08時28分

木村です。

情報ありがとうございます。
そうですか。今年新しい仕様のものを確実に手に入れる手段は難しそうですね。
アクタスさん曰く来年のモデルの仕様も2月まではわからないそうです。

新しい仕様の耐久性はわからないにしても、ピン方式の溝対応はどうもその場しのぎ的な気がしますし、実際にすぐ折れたのが気にかかります。

ピンと溝と併用してくれたらもっと良かったような…。

投稿: 木村 | 2013年1月19日 (土) 12時58分

山本です。

寸法のチェックありがとうごいました。
結局、ブーツを採寸してブーツ先端からピンが15mmと割り出して、位置を決定しました。その上でトーピース・ブーツを置いて確認しました。
難儀したのは、T20のドライバーの柄が細くて、ビスをまわしきれなかったことです。インパクトドライバーが必要でした。PZ3ならいけたのですが。
その他、ビンディング乗せ換えでしたが、ビス穴が接近していて、逃がしたり、細かい対応に追われました。
しかしながら、詳細な説明を参考にできましたので、あわてることなく作業を終えることができました。
山道具ブログ、今後も色々勉強さて頂きます。
また、よろしくお願いいたします。

投稿: 山本 | 2013年1月20日 (日) 14時53分

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