« 2013年4月 | トップページ | 2013年6月 »

2013年5月

2013年5月25日 (土)

“JET-BOIL/SOL”のバルブをさらに改良する

便利度 :★★★★☆
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★☆☆☆☆


Jbnob_9
(今回はこれを作りました)


以前にも話題にしましたが、“JET-BOIL/Flash”や“JET-BOIL/SOL”のコントロールバルブのワイヤー製ノブは、カートリッジを取り外した状態でしか折りたためないため、バーナーとカートリッジを組み立てたままコンパニオンカップに収納できない設計になっています。

まぁ、原則としてはカートリッジを取り外して収納するのが正しいのでしょうが、JETBOILは名前の通り「何時でも何処でも短時間で湯が沸かせるか」が命ですから、使うたびに一々カートリッジを着脱しなければならないのではJETの名が廃るというものです。

Jbnob_5 Jbnob_6
(㊧使用時、 ㊨収納のため折り畳んだ状態)


自宅で保管する時は別にしても、短い山行中くらいはJETBOILをすぐ使える状態で持ち運びたいですよね。
(SOLの場合、組み立てた状態ではコンパニオンカップの蓋は完全に閉まりませんので、もう5㎜カップが深ければ・・・という恨みはありますが)

そこで私は以前記事にしたようにワイヤー製のバルブノブを改造してカートリッジとバーナーと一体化した状態で収納できるようにしました。

しかし、オリジナルのワイヤー製ノブを短く改造しただけでは反転した時の変形も大きく、耐久性も心配だと考え、その後ショートタイプのノブをワイヤーで自作することにしました。

素材は“ステンレス・バネ線”を使用し、直径はオリジナルと近似寸法のΦ1.5㎜にしました。(画像↓)
通常のステンレス丸棒は弾力性に欠け変形しやすいので、今回の用途にはこのバネ用の素材を使う必要があります。
焼なましてから整形しその後再焼き入れをすれば加工の自由度は大きくなりますが、線材とはいえステンレス鋼のT6処理は素人には難しいので、そのままの状態で曲げ加工したほうが良いでしょう。

Jbnob_3

構造はオリジナルの一重のベイル状ではなく、折り畳んだ時に応力が分散しやすい二重のスプリング構造にしました。

Jbnob_7
(㊧オリジナル、㊥改造品、㊨今回自作したもの)

弾性の強い“ステンレス・バネ材”を任意の形に曲げ加工するのは、想像以上に難しいものです。
二重のスプリング状に加工する部分は、加工後の戻りを考慮した直径の丸棒で専用の治具を作り、旋盤のチャックに咥え手回しで巻いて行くと良いでしょう。
体裁を気にしなければ適当な丸棒に手で巻いて作っても構いません。

次にバーナー下部への収まりを考えながら寸法を決め、プライヤーやペンチなどで整形します。

Jbnob_1  Jbnob_2 Jbnob_4
(㊧自作治具で、→ ㊥このように巻いて、→ ㊨ペンチで仕上げる)

後はこれをバーナーに取り付ければ完成ですが、微調整も必要となるので詳細は先にリンクした記事の後段をご参照ください。(画像↓)

Jbnob_8

また、ノブの取り外しはできなくなりますが、取り付け後に末端を直角に曲げておくとより堅牢な構造にすることもできます。(画像↓)
なお、この場合ワイヤーの末端のみ“焼なまし”しておくと取り付け後に末端を曲げるのが楽になります。

Jbva
(こちらは“JETBOIL-SUMO”用のやや長いバルブノブ)


目立たない小さな改造ですが、JETBOILを組み立てたまま収納できるようにしておくと、吹雪の中、安全な場所を見つけてなんとかツェルトにもぐり込み、一刻も早く温かい飲み物を口にしたいといったシビアな状況だけではなく、頻繁にティータイムを楽しむようなのんびりハイキングにも結構便利に使えるはずですよ!

| | コメント (2)

2013年5月16日 (木)

BCツアーには“BOTHY BAG”か“ツェルト”か?

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(記事にある“BOTHY BAG”を2人で使った場合の評価です)


日帰りのスキーツアーでもツェルトは必携です。
悪天時にはこの薄い布一枚有るか無いかでランチタイムが天国になるか地獄になるかが決まりますし、イザという時には本当に天国に行かないですむかもしれないからです。

さて、冬山登山やスキーツアーなど、雨の心配のない厳冬期に使うツエルトの理想は、ノンコーティングのタフタ地で作ったものでしょう。
ところが、この通気性が高く結露も少ないため冬には快適なノンコーティング地のツェルトも、雨には無力ですから使用時期が限定されてしまい、そのため一般には市販されていません。

少々前の事ですが・・・、私も山スキーで使う冬専用のツェルトが欲しくて調べたところ、“アライテント”が快く受注生産に対応してくれるという事でした。
本気で発注しようと思っていた矢先に、たまたまネット上で通気性のあるノンコート地でありながら、かなりの撥水性を持つナノテックスという生地で作られたツェルトがあるのを見つけたのです。

それが、テントメーカーではありませんが、好いシュラフを作っている“NANGA”という国内メーカーの、“ナノテックスツェルト”という商品です。
通気性が高く撥水性に優れ4シーズン対応というふれこみだったので試しに買ってみることにしました。

まぁ、雪山の休憩用にしか使っていないので正確な評価はできませんが、冬季限定と考えるならノンコーティング地製同様に快適なツェルトと言うことができそうですし、ノンコートのタフタ製と違い雨の心配も必要な春のスキーツアーにも安心して持って行けそうです。
また、柔らかく通気性のある生地なので畳むのも楽で非常にコンパクトに収納でき、重量も320gとそこそこ軽量なのも好印象です。

Bothy_2
(ナノテックスツェルトは外見もいたってシンプル)

とは言え、所謂「日本のツェルト」は一般的に小型のテントという範疇で作られており、ポールで屋根型テントのように建てられる形状で底割れ式のフロアーが設けられている物がほとんどです。
したがって簡易テントとしては使い易い反面、スキーツアーで休憩時にただ被って使うような場合には少々無駄や問題があるのも事実でしょう。

一方、欧米では休憩時や緊急時ただ被って使用するための、フロアーが無くまた頭周りの空間に余裕を持たせた“ブーシー(Bothy)・シェルター”あるいは“ブーシー・バッグ”と呼ばれるツェルトが多用されています。

そこで私はLIFE SYSTEMS”の“2 PERSON SURVIVALSHELTER”という“BOTHY BAG”を試しに買ってみました。
シルナイロン製で二人が向かい合って座れるスペースがあり、天井外側にはリフレクティブテープが縫い付けられ、また側面には透明な窓とベンチレターが設けられています。

このベンチレターは収納袋も兼ねていますが、本体生地に張りがあるため強風時などにこの小さな収納袋に収めるのは苦労するかもしれません。
また、重量も450gと結構重く生地の性質でやや嵩張りますが、緊急時に命を託す事を考えればこの位シッカリしたモノの方が安心できます。
ただ軽ければ良いってものでもありませんからね。

Bothy_1
(収納状態はJETBOIL-SOL より一回り大きい)

さて、実際に使ってみると頭の周辺に余裕があり快適ですが、スキーブーツを履いた二人が向かい合って座り、中央でストーブを使用するなら長手方向がもう少し長いとさらに快適だろうと思います。
また、強風時には頭の周辺の生地が風に煽られて普通のツェルトよりバタつく気がしました。(画像↓は中に1人しかいないので形状が分かり難いかな?)

それから、透明の窓はあると結構便利ですが、収納時にシワシワになりますので長期保管時には大きめのスタッフバッグに収納すると良いでしょう。

Bothy
(透明な窓は結構便利!)

上の画像は実際に使用した時の様子ですが、このような用途には(2人で使用し中央でストーブを使わない場合)通常のツェルトよりも快適かもしれません。
また、3~4人パーティーのBCツアーで使用するなら、このタイプの4人用を持って行けば昼間から楽しい宴会だって楽しめそうです。

いずれにせよこの手のシェルターは、一人で使うならいざ知らず複数で快適に使用したいと思うのなら、少々大きめの物を選ぶ必要があります。
昨今はミニマム指向というのか、軽量化優先で山道具を選ぶ傾向が顕著ですが、やはり山道具選びには「軽さ」と「丈夫で快適に使えるか」というアンチノミーに何処で折り合いを付けるかという視点が大切なんじゃないでしょうか?。
道具は「使えてなんぼ?」が基本ですし、山登りは「修行」でなく「遊び」なんですから、安全で快適でないと面白くありませんからね。


さて・・・、先に紹介した“ナノテックツェルト”も素材以外は普通のツェルトですが、通気性があって結露も少なく、2人向かい合って座った時に中央でストーブの操作をするスペースも広くとれ、しかもコンパクトで軽量ですから、冬に2人で使用することを前提にすれば、総合的に判断して“LIFE SYSTEMS”の“2 PERSON SURVIVALSHELTER”と比べても甲乙付け難いといったところだと思います。

目新しくてお洒落な“BOTHY BAG”と、オーソドックスで汎用性の高い普通の“ツェルト”・・・、さぁ、皆さんだったらどちらを選びますか?
悩んだら両方買っちゃいましょうか。(笑)

| | コメント (2)

2013年5月 7日 (火)

スプリットボードのシールを改良する

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆



Tailf_2
(“Spark R&D”製のテールクリップキット)

スプリットボードとスノーシューのどちらが優れているのか?と時々訊ねられます。
もちろんコースの地形や諸条件によりどちらが有利だとは決められませんから、私としては『板を担いでスノーシューで登る方が面倒が無いし、金も手間もかからないよ』と答える事にしています。

まぁ、ルートによってはスプリットボードのほうがスノーシューより圧倒的に有利な場合も少なくありませんが・・・、そのルートで有利なはずのスプリットボードでも、シールトラブルが発生すると、後発のスノーシュー・パーティーに「フフッ!」と笑われながら追い越されて悔しい思いをしたり、場合によっては登行中止という事態も考えられます。

無論シールのメンテナンスが完璧ならそんな心配は不要ですが、多くの方が使っているVOILE(アセンション製)のような貼り流しスキンだと、一寸メンテナンスをおろそかにしただけでシールトラブルの発生も多くなってしまうというのが現実です。
特にトリミングの時に余った長さのシールを、カットするのが勿体無いからといってテールベンドの接雪点より長い位置でカットしてしまうと必ずシールトラブルに見舞われるので要注意です。


何より一番良いのはテールフックのある新型のスプリット専用のシールに買い替える事ですが・・・、今更2万円も金を掛けるのも勿体無いと考えるなら、今使っているシールをテールフィックスタイプに改造すると良いでしょう。

この改造には G3のテールクリップを改造 したものとBDのSTSテールキットを組み合わせるという方法もありますが、それが面倒なら  “Spark R&D”製のテールクリップキットを使えば比較的簡単に貼り流しのシールをテールフィックスタイプに改造することができます。

また、これから新品の張り流しシールをトリミングするなら、初めから初期投資としてテールフィックスに改良しておいた方が良いと思います。(画像の例はトリミング時に合わせて改造したものです)

Tailf_1
(テールフィックスに改造したVoile の純正クライミングスキン)


また、このテールクリップキットには、既に今お使いのシールを短めにトリミングしてしまったため、キットのストレッチベルトでは届かない場合を想定した延長用のナイロンテープが付属しているので、とりあえずどんな場合でも改造が出来そうです。

取り付けは、付属のマニュアルがテンプレートになっていますのでそれを参考にしながら作業すればOKです。
念の為、ストレート側のエッジからテールクリップのバックル部中心までの長さを測り、シール貼った状態でストレッチベルトが真っ直ぐ引かれる位置にマーキングし、付属のカシメを打てば出来上がりですから、両方合わせても30分程度で終わる簡単な作業です。
改造途中の画像はありませんが、改造した状態をご覧になれば特に解説の必要も無いでしょう。

Tailf_4 Tailf_3
(3本のカシメで留めるだけの簡単な作業)

山スキーヤーと違い、BCボーダーはシール(クライミングスキン)の扱いに不慣れな方も多いと思いますが、貼り流しからテール固定に改造しておけば突然のシールトラブルで泣かされる危険性をかなり低下させることができると思います。

| | コメント (0)

« 2013年4月 | トップページ | 2013年6月 »