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2013年6月 1日 (土)

八甲田振興協議会のスキーマップ

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆



㊟ 今回は冗長な文章ですので、適当に読み飛ばしてください。


春の八甲田山は私のようなのんびり山スキーヤーにもってこいのエリアです。
ロープウェイを使えば、たいした登り無しに何本かのクラシックコースを楽しめますし、赤倉まで少し登れば箒場のロングルートを滑ることもできます。

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(北八甲田連山)

さらに、派生ルートを組み合わせればルートのバリェーションは無数ですし、酸ヶ湯をベースにした周回コースや、谷地温泉に泊まって高田大岳を滑ったりと温泉とスキーを組み合わせた楽しみ方も好いですよね。

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(高田大岳・八甲田屈指の楽しい斜面)


それから、南八甲田も人が少なく静かなスキーツアーを楽しめる素敵なエリアです。

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(静かな南八甲田)

また、初心者でも八甲田名物?のガイドツアーに参加すればパウダーシーズンでも安心して楽しめますし、何よりガイドツアーなら帰りの足の心配をしないで済むのも助かります。

しかし、静かな山を楽しみたい私は春にガイドツアーなどに参加する気など毛頭ありません。
そんな個人山スキーヤーがルート判断をする時に頼りになるのが“八甲田振興協議会のスキーマップ”というリーフレットです。
ホテルのフロントなどに置いてある無料のリーフレット宣材の一つですが、国土地理院の地形図をベースにしているため表記も正確で、付記されている情報も充実しているフリーマップとしては出色のものでした。

Map_1
(㊧2011年版と、㊨2010年版のスキーマップ)

私の記憶にあるだけでも、もう10年以上前から版を重ね、記載ルートの変更などの改定もありましたが、何年か前から、コースに設置されているツアー標識の番号が追記入され、さらに使いやすい地図に進化しました。

Map_2
(標識ナンバーの位置はかなり正確だ!)



しかし・・・!、そんな便利な地図が残念ながらもう使えなくなったのです。
それは、発行していた“八甲田振興協議会”自体が解散してしまったからです。

スキー人口の減少と東日本大震災の影響で八甲田周辺も御多分に漏れず、一時のような賑わいは無く、全体的に活気がありません。

その影響でしょうが、“八甲田振興協議会”が解散した以上に衝撃だったのが、個人スキーツアー客が帰路の足としていた“春スキーシャトルバス”が今年から運行されなくなってしまったことです

この“春スキーシャトルバス”は、ここ数年二転三転がありながらなんとか光洋観光により運行が継続されていたのですが、とうとう今年は運行中止という最悪の事態に至ってしまいました。

急遽、八甲田ロープウェイが無料の送迎バスを運行してくれる事になったのですが、完全予約制で1便定員15人、1日3本では効率的に八甲田を楽しむにはお粗末すぎです。

まぁ、この八甲田ロープウェイの対応自体には感謝していますが、3月中にシャトルバスの運行中止を発表しておいて、ゴールデンウィーク直前に突然無料の送迎車運行を発表したのでは一旦足の遠のいたスキー客を呼び戻すことにはつながらなかったようです。

この状態で、以前のように八甲田で効率的に山スキーを楽しむためには、本数の少ない無料送迎車のダイヤに合わせて行動するのではなく、予め迎車の場所と時間を考えて戻るタクシーを予約したうえでロープウェイに乗るという方法しか無くなったのです。
何時来るかわからない流しのタクシーを待つ訳にもいきませんからね。

採算が合わないなら相応な運賃を請求しても構いませんから、シャトルバスを以前のようなダイヤで運行してもらいたいというのが私の願いです。
そうでないと、今後も八甲田に春スキーに行く人の数はさらに減り続けるでしょう。

迎車のあるガイドツアーは客が増えて儲かるかもしれませんが、他人に頼るのではなくルートや地形の判断を含めて山スキーを楽しむような山スキーヤーにとって、シャトルバスの無い八甲田ではツアーコースとしての魅力は半減以下ですからね。
いくら東北の復興に微力ながら協力しようとしても、これじゃあ行きたくても行く気も起こりませんよ。
無料送迎も結構ですが、こんな場合でも互いにウィン・ウィンの関係が成り立たないと物事が上手く長続きしないのは世の常ですから・・・。


さて・・・、話は少々変わりますが。
私の大好きな東北の山やスキー場も、最近年を追うごとに元気が無くなっています。
東北のキャンプ場も近年営業をやめてしまう所が増えているのは気がかりですし、スキー場でも実質的に経営破綻している例は指を折って数えるほどの数にのぼります。

焼石岳の北にある“夏油高原スキー場”は私のお気に入りのスキー場です・・・。
しかし先日ここを引き継いで経営している加森観光が今シーズン限りでこの事業から撤退するとの報道がありました。
バブル全盛期に当時の世相を反映した豪華な施設として計画されたものの、営業開始はバブルが弾けた後という不運なスキー場なので、前々からいつかこんな日が来るとは思っていたのですが・・・。
日本離れ?した高い吹き抜けのエントランスと広いレストラン、センターハウス内に温泉まである至れり尽くせりのスキー場だったし、右の端っこにある蕎麦レストランも美味い上にブーツを脱いでゆったり寛げましたから、私みたいな中高年スキーヤーにはもってこいだったんですが・・・。
また、若い元気な人用には、1ゴン山頂駅直下にランディングに失敗すると即ドクターヘリが飛んで来そうな巨大キッカーも用意してありましたし・・・。
何とか今後も営業だけは続けていってもらいたいものです。

(そういえば私たちスキーヤーの強い味方、加森観光は“おんたけ2240”からもすでに撤退してしまったそうですね。“御嶽ロープウェイスキー場”も何年か前に閉鎖になっちゃいましたし、このままじゃあ御嶽から山スキーのできるスキー場が無くなっちゃうかも知れません。)


ところで・・・、大震災の影響が大きかった沿岸部以外でも、ここ数年の東北地方は景観も含め雰囲気自体が大きく変わってきた気がしませんか?。

車で走っていても風力発電の風車ばかり目につきますが、東北全体でいったい何機のあの目障りな人工物が立っていて、それで一体どのくらいの電力が得られているのでしょうか?

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クリーンエネルギーの重要性は分かるのですが、あれで本当に必要な時に必要なだけの電力が確保でき、また風力発電に対応する送電網と、それを活用するための法律や制度などを整える目途は立っているのでしょうか?。
さらに、この風車一基で年間何羽の渡り鳥が粉砕されるのかなぁ?発生する低周波の空気振動は近くの人に影響はないのかなぁ?などと要らん心配までしたくなってしまいます。
私的にはあの遠くに居ても嫌でも視界に入る無粋な風車は、自然破壊ならぬ景観破壊じゃないかと思うんですが・・・。 
私が神経質すぎるんでしょうかね?(笑)


また、東北各地にも至る所に某大物政治家の親族が経営する某ショッピングモールが絨毯爆撃のように次々にオープンしています。
おかげで付近の人々は東京に居るのと同じ品揃えの店で自由に買い物ができたり、楽しく食事(≒ジャンクフード?)を楽しめるようになりました。

その結果、人々の暮らしはお洒落で便利になったのでしょうが、その反面周辺の街並みにはシャッターを閉めた、かつては地域に根付いて賑わった商店の痕跡が並ぶようになりました。
また、ショッピングモール内のガソリンスタンドは地域相場よりかなり安い単価設定で大繁盛ですが、駐車場から程ない距離のガソリンスタンドは軒並み廃業に追い込まれるのです。

私は過激な反グローバリズム主義者にシンパシーを感じる者でもなく、またマルキストでもありません。
また、少なくてもアメリカ人のチョムスキーよりはアメリカが好きだと思っています。(笑)
そして、市場原理主義に与するわけではありませんが、規制緩和やTPPには消極的ながら賛成やむなしという立場をとっています。

しかし、この大好きな東北が変わっていく過程を、山登りという遊びを通じ長く時系列で観てきた私としては、昨今のこの変貌ぶりを見るにつけ、これでこの地を愛して訪れる私達のみならず、ここに暮らす多くの人々が、本当に豊かになり幸せになったのだろうか・・・?、と改めて考えさせられてしまうのです。

山屋やスキーヤーという、あくまでビジターとしての立場での話ですが・・・。
歴史あるスキー場でもシャトルバスの運行にすら窮し、また、少なからぬ経済波及効果で地元を潤していた新興スキー場の経営が傾いてしまえば、周辺の旅館や商店も連鎖的に経営困難に陥ります。
一方では一握りの巨大資本が莫大な利益を上げながら、他方ではかつて賑やかだった懐かしい山麓の町が寂しいシャッター街に変貌するというのはあまり愉快な事ではありません。

市場の原理が富の分配を適正に制御する機能を持たないなら、それをするのは政治の役割のはずなんですが・・・、その政治の最優先目標が目先の経済成長だったとしたならそれに期待しても無駄ですからね。
No way out・・・、なんか嫌な感じです。

人は歳を重ねる毎に過去を美化する傾向が逓増するそうなので、これも年寄り特有の「昔は良かった」的懐古趣味なのかもしれませんが・・・、現状が文化の健全な発展過程の切片なのかと聞かれれば、答えは「否!」以外の言葉では表現できませんよね。
何とか良い方策は無いものかと悩んでしまうのですが・・・、残念ながら私の頭では思考停止以外の到達点を見い出せません。

しかも・・・、たぶん・・・、これは東北地方に限った事ではなく・・・、日本全体の将来の姿なのだ、と考えるとチョット落ち込んじゃいます・・・。


まぁ、今回はこんな愚痴を言うために“八甲田振興協議会のスキーマップ”をネタにしてしまった訳ですが・・・。

とりあえず、皆さん東北に行きましょう!、東北で楽しく遊びましょう!、東北の然るべき処にお金を落としましょう!、そして ビジターもローカルも共にウィン・ウィンで東北を元気にしましょうよ。



【余談ですが・・・】

ちなみに・・・、私はこの今では貴重品となった“八甲田振興協議会のスキーマップ”を、私の余命から考えれば優に一生分は既に確保しています。
しかし・・・、シャトルバスが無いんじゃこれも宝の持ち腐れになっちゃうかも知れませんね。

Skimap

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コメント

はじめまして。茨城在住、男(69歳)です。
Garminの情報を漁っているうちにこのサイトに遭遇。ひさびさに八甲田と酸ヶ湯の話題に接し懐かしい思いでいっぱいです。当方も、1980年前後に友人に誘われて5月連休の八甲田を訪れて以来病みつきになりました。毎年、酸ヶ湯の自炊棟の207号室を予約して四半世紀も通い詰めました。話題のシャトルバスも何度世話になったことか。箒場に下りると、バス停の位置が毎年違っていたのを思い出します。三軒ある土産物屋に公平にスキーヤーがいきわたるように市の交通部が配慮したのでしょうか。バスの時間待ちの間にバッケ(フキノトウ)を摘んで、夕食の酒のツマミとしたものです。まだお元気だった三浦敬三さんに連れられて様々なバリエーションル-トを教えていただきました。そのときの話で、あのオオシラビソに打ち付けられた案内番号とルート設定は敬三さんたちがなさったもので、スキーマップのコースはそのルートを踏襲したものだとのことでした。多くの思い出が時間とともに消えていきます。風力発電の風車、同感です。

投稿: | 2013年6月19日 (水) 10時42分

“名無し”さんようこそ。

駄文を読んでいただきありがとうございました。

時代とともに総てが変化する事は分かっているつもりなんですが、八甲田がこんなになってしまうとさすがに寂しい気がします。
まぁ、私も還暦を過ぎておりますので、そのうちに体が動かなくなると、そんな心配もしなくなるのかも知れませんが・・・。(笑)

では!

投稿: 理事長 | 2013年6月19日 (水) 11時53分

行ってしまいました、八甲田。やっぱりやめられないかなあ。

シャトルバスの運行主体は酸ヶ湯やロープウェイのようですが、JRバスが1日3便出ていました。マップも健在です(ネットに出ているのは古いですね)。

ご笑覧
http://ojerblog.web.fc2.com/22Blog/2014/2014-04-26HakkodaSan.html

投稿: OJer | 2014年5月 3日 (土) 17時05分

oJerさん、うれしい情報ありがとうございました。

昨年の春行った時に“八甲田振興協議会”が解散したのでマップはもう無いと言われました。
記事中のマップは一昨年行った時の2011年版だと思いますが、また新版が出たなら嬉しい限りです。
さらに良かったのは、シャトルバスが復活した事ですね。
昨年はロープウェイの出す予約制のシャトルワゴンだけでした。
山スキーヤーの減少で待っててくれるタクシーも少なくなりましたので、1日3便とはいえ本当に良かったと思います。

P.S.
サイト拝見しました。
山頂駅付近など山の上では思ったより雪が少ない気がしますがどうだったでしょう?
弘前の桜も、昨年は連休には間に合わなかったのですが、今年は綺麗だったようで良かったですね。

投稿: 理事長 | 2014年5月 3日 (土) 17時52分

山頂駅の周囲は少なかったですが、全体的に積雪は十分ありました。酸ヶ湯の湯坂もまだ亀裂が入っていませんでしたね。来年行けるかどうか自信はありませんが、予約だけしちゃいました。ははは。

投稿: OJer | 2014年5月 3日 (土) 20時12分

八甲田の酸ヶ湯温泉に宿泊し私はガイドツアーに参加しました。
名前のリンク先はその時のバックカントリースキーの記録です。
今は熊本市在住なので青森にはなかなか足も向かないのですが懐かしいです。

また、岩手県北上市に単身赴任していたので夏油高原スキー場には週末通ってました。

楽しいお話が見れました。
Ojerさんのところは今から見に行ってきます。。。

投稿: | 2014年5月 4日 (日) 16時58分

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