« 2013年6月 | トップページ | 2013年8月 »

2013年7月

2013年7月28日 (日)

“Fat ウロコ板”に貼るクライミングスキン

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆


【 記事を作製した日時と掲載日時は一致しませんので、今回も季節的に違和感がありますがご容赦ください!笑 】


春の山スキーは軽い板とミニマムな装備で楽しみたいものです。

そんな時に役に立つのが一般にウロコ板とかスケールソールスキーと呼ばれる、板のソール中央キックゾーンに滑り止めのパターンを刻んだスキー板です。

以前のスケールソールは半円や矩形の削り込みを入れただけでしたが、最近のモノはソールから若干突き出したポジティブスケールと呼ばれる形状のモノとなっており、雪質によってはかなり有効な滑り止めとなります。

普通の板だと緩い登りや軽いアップダウンのあるコースの場合一々シールを着脱せねばならずかなり面倒でしたが、ウロコ板ならかなりの部分その手間が要りませんので軽快なツアーを楽しめます。
まぁ、滑降の時には独特の唸り音と振動があり、緩い林道などでは滑りが悪くなるというデメリットはありますが、春のシーズンにはそれを補って余りある効果を発揮してくれるでしょう。

とは言え、やはり急斜面ではポジティブスケールの効果にも限界があり、そんな場合にはシールの登場とならざるを得ません。
しかし、板の中央、接雪面積の半分以上が凹凸のある鱗状という事もありグルーの接着力が有効に機能してくれないのです。
特にファットスキー用のシールは中央にセンターテープを貼って敢えて接着力を落としてありますので、これを“Fat ウロコ板”に使用すると接着不足からシールトラブルの発生原因になってしまいかねません。

Sk_2
(最近のシールはセンターにテープが貼ってある)



そこで私は“Fat 鱗板”で使用するシールではこのセンターテープを除去して接着面の面積を増やし、あの忌々しいシールトラブルの発生を少しでも減らそうと考えました。

下の画像はFatウロコ板のロシニョールBC125用のシールからセンターテープを剥がしているところです。

Ssskin_1 Ssskin_2

(思い切ってテープを剥がしてしまう!)


工作は簡単ですし、それなりの効果は期待できますので“Fat 鱗板”でシールを使う方は是非お試しください。




【余談ですが・・・】


― トヨタ食堂のこと ―

以前も、行きたくても現在はもう無くなってしまって行けない場所として、『叶後』の隠れ里を回想した記事を書きましたが、歳をとると、まるで「走馬灯現象」のように突然忘れていた昔の記憶が蘇ってくることが多くなるようです。

昨日もそんな今では行きたくても行けない場所である、水上駅前の「トヨタ食堂」の事を唐突に思い出してしまいました。

その昔・・・、谷川岳は「近くて良い山」というキャッチフレーズで大人気でしたが、当時私も大学山岳部の仲間とよく通ったものです。

その頃は関越道も開通していませんでしたから、車で行くのも国道17号で天狗ランドや奥利根ドライブイン(懐かしい!)の前を通り延々と運転しなければなりませんでした。

その点、夜10時過ぎの上野発長岡行きの普通列車に乗ると、途中の駅で時間調整しながら進むとはいえ、駅舎で少し仮眠できる位の時間に土合駅に着きましたから、私はよくこの列車を利用して谷川岳に登っていました。
運賃も安かったですし、唯一の欠点は土合駅の500段近くあるあの階段を延々と上るので入山前から疲れてしまうという事位だったでしょうか。(笑)

さて、一ノ倉や幽ノ沢で一日攀って遊び、帰りは水上駅から列車に乗って帰京したのですが、その時必ず立ち寄ったのが駅前の「トヨタ食堂」です。

この「トヨタ食堂」・・・、表現は難しいのですが、ソフトな言葉で言うならかなり個性的な店だったのです。
店内には訳の分からない“格言”やら、『トヨタ蕎麦、褒め褒め食べる福の神』といった店主作?の手前味噌な俳句?みたいな張り紙があったり、新聞や雑誌に掲載された自店の記事が自慢げなサイドライン入りでテーブルに置いてあったりしました。

また、御品書きには日本酒を“風邪薬”、ビールを“下山祝い”(1人1本までがルールだったかな?笑)などと表記していたり、テーブルには七味唐辛子の小缶が置いてあるのに、その缶には『当店の鍋焼きうどんには七味は不要と存じます』みたいな張り紙があり、一見さんが知らずに鍋焼きうどんに七味でも掛けようものなら、店主に睨み付けられるのです。
だったら、七味なんて置いておくなよ!って感じですよね。(笑)

しかし、そんな店内の怪しい雰囲気にもかかわらず、トヨタ食堂の自慢料理だった“ザル蕎麦”と“鍋焼きうどんの味のほうは新聞や雑誌で度々紹介されるほどですから美味しくない筈はありません。

“ザル蕎麦”は国産の蕎麦粉と小麦粉を使用した手打ちで、地物の天然ワサビとウズラの生卵を溶いた蕎麦汁も絶品でした。

一方、“鍋焼きうどん”も国産小麦粉の麺に刻み柚子の隠し味の効いた香り豊かなモノで、自称「日本一美味い鍋焼きうどん」とのたまうのもあながち誇張ではないと思える、これまたザル蕎麦以上の絶品でした。

食べたことの無い方には信じてもらえないかもしれませんが、郷愁にありがちな誇張された記憶ではなく、本当に思い出すだけでヨダレが出そうなほど美味かったのです。

そんな訳で、店内には普通の食堂と同じくカレーやカツ丼など幾つものメニューが掲げられてはいましたが、登山者はほぼ全員が“鍋焼きうどん”か“ザル蕎麦”しか頼みませんでした。
また、知らずに入った一般のお客さんも押しの効いた店主の薦めで、このどちらかを注文させられる場合が多かったようです。(笑)

また、「トヨタ食堂」のもう一つの素晴らしかった点は、ほぼ終夜営業だったという事です。
頑固そうな爺さんと、太めの息子さんで昼夜を分業していたようですが、仕込みの時間はどうしていたのか?また、あの場所で新幹線開業後も終夜営業を続けたメリットは何だったのか?はいまだに謎です。

さて・・・、その後私も結婚し仕事も忙しくなりましたし、関越道が開通し鈍行の長岡行きも無くなりましたから、谷川岳にはもっぱら車で行くようになり、土合駅の階段を大汗かいて登ることも無くなりましたが・・・、それと同時に「トヨタ食堂」に立ち寄る頻度もめっきり少なくなっていきました。

そんな折・・・、と言っても二十年以上昔?の話ですが・・・、寒い冬の早朝、久しぶりに「トヨタ食堂」寄ろうと車で店の前を通ると、門口に提灯が吊ってあり何かいつもと違った異様な雰囲気が・・・・。
それもその筈!、なんと店舗は、ちょうどお通夜明けの朝(たぶん?)だったのです。

噂によると亡くなったのは息子さんのほうで、それ以来食堂の営業はやめてしまったそうです。(この辺は聞いた話なので間違っていたらコメントいただければ幸いです)

・・・と言う訳で、「トヨタ食堂」のあの“鍋焼きうどん”と“ザル蕎麦”は残念ながらもう二度と食べることはできないのです。(涙)

私はグルメではありませんし、食に対しては「味の濃淡を問わず・品の多少を撰ばず」をモットーとしているのですが・・・、あの当時の「トヨタ食堂」で、頑固な店主の視線を感じつつ、まず“下山祝い”で乾杯し、“風邪薬”を飲みながら“鍋焼きうどん”と“ザル蕎麦”を両方一緒に食べること・・・、これだけはもう一度やってみたいと、今でも時々考えてしまいます。

貧乏学生だった当時は、こんな贅沢はめったにできませんでしたから・・・。

 

| | コメント (3)

2013年7月19日 (金)

VOILE /スプリット・インターフェイスのセッティング

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(セッティング前の仕上げ加工についての評価です)



※今回は、来シーズンスプリットボードに挑戦したいと考えている方へのアドバイスです。

昨シーズン、第2次スプリットボードブームは更なる盛り上がりを見せました。

ほぼVOILE 一辺倒だった第一次ブームと異なり、今回のブームは複数の新興メーカーがスプリットシステム自体に新機軸を持ち込んだり、大手メーカーが参入を目論んだりと新たな展開を見せており、成り行きから目が離せない状態となっています。

まぁ、前回のブームと同様、いずれ熱が冷めれば目新しさから飛びついたユーザーのスプリット離れが起こるであろう事は目に見えていますし、その間メーカーの策略にまんまと乗せられた意志薄弱な新し物好きの消費者が、なけなしの金をガッポリと巻き上げられるのは間違いありません。(笑)

とは言え、それでもコアなファンは前回以上に増えているようなので、この2回目のブームが去ったとしても、スプリットボードが我が国のBCシーンの一角を占め続けるのは間違いないでしょう。

さて、現在市場には新興メーカー等から新しいユニークなスプリットボードのシステムが供給されています。
何れもさすが後発メーカーと思わせるような斬新な設計や新しい機能が盛り込まれており興味は尽きませんが・・・、これらをシステムで新たに全部揃えると更なる大出費を覚悟せねばなりません。

そんな訳で・・・、年に何度も使わない道具にこれ以上大金を注ぎ込むのも勿体無いですし、私はハードブーツでもスプリットに乗りますので、その場合VOILE でないとハードビンディングが載りません。

そして、何より山道具の構造はシンプル・イズ・ベストと考えている私は今回のブームもオーソドックスだが確実なVOILE のスプリット・システムで行くことにしました。

さて・・・、スプリットボードを使用するに当たっては、まず自分に合ったスタンスとアングルにビンディングを取り付けねばならないのは言うまでもありませんが、通常のボードと違ってスプリットボードの場合はこのセッティング作業がけっこう面倒なのです。

購入時にはショップでセットしてくれるかもしれませんが、乗ってみてどうもシックリ来ない場合は自分でセッティングを変えなければなりませんよね。
しかし、セッティングに慣れない方が一旦板からベースごと取り外してしまうと、再取り付けにはドライバー片手に長時間板と格闘しなければならなくなります。

Spl_1
(以前の黒いロケーションブロック)

しかも、スプリット・ボードの中には大手メーカーであってもフックを固定するビスの頭がソールから出っ張っていたり、インビスの埋め込み位置などに加工精度の悪いモノもあり、ユーザー側での修正やセッティング時の工夫が必要となる場合も少なくないので要注意です。

また、そんな板の場合、遊びの少ないVOILEのパーツと相まって、前後のロケーションブロックの位置に微妙にズレが生じ、スライダートラックが固くて入らなくなったり左右の板が前後に食い違ったりする場合もあるようです。
今回の画像にある“K2/PANORAMIC”もそんな板でした。

そこで今回は、そんなボードに仕上げの悪いVOILEのインターフェーイスをセッティングする場合に役立つヒントをご紹介したいと思います。

私が今回セッティングを行ったVOILEのロケーションディスク(灰色)のスロットは、φ6mmビスを通すにも力を要する程ギリギリの幅しかありませんでした。
ここに遊びが無いとボードに取り付ける時に微妙な調整ができませんので、そんな場合はまずはスロットの幅に標準的な“遊び”を設けると良いでしょう。

スロットの内側を、ヤスリ等で軽く削りキサゲなどで平滑に仕上げておきますが・・・、まぁこの部分はそれほど丁寧でなくても遊びさえ出ればかまいません。(画像↓)

Splt_2


これで、φ6mmのビスがすんなり入るようになるはずですが、この僅かな遊びが後の微調整作業を楽にしてくれるのです。

また、VOILE の樹脂パーツは全体に仕上げが粗いので、各パーツのランナー接合部や金型の合わせ目など、気になる凹凸があったらヤスリやカッター等で丁寧に整形して仕上げておきましょう。
特に後述のセッティング作業では何度もディスクの付け外しをしなければなりませんが、ディスクの周囲やディスクの嵌るロケーションブロックの内縁を整えておくと、容易にディスクを着脱できて能率的に作業ができます。(画像↓)

Splt_8

次に、こうして仕上げをしたパーツを組み合わせセッティング作業に入ります。

まず自分のスタンス幅とセットバックを考慮し、前後それぞれの足の位置をボードのセンターラインにマークします。
ロケーションディスクを希望するアングルでロケーションブロックに取り付け、付属のアライメントガイド(治具)にセットし、ガイドの中心の穴を取り付けたいスタンス位置のマークに合わせて板に乗せてみます。(画像のアライメントガイドは旧型ですが、新型は剛性の高いものに改良され更に使い易くなっています)

Splt_10
アライメントガイドにロケーションブロックをはめ込む)

ディスクにはインラインとパラレルの2種類のスロットを持つものがあり、何れもセンターからオフセットされた位置にスロットを設けてありますので、センターディスクを180度反転(“A”側、“B”側と表示がある)させることで取り付け位置をオフセットの分だけ前後に変更することができます。

Splt_5
(㊤パラレル、㊦インライン、いずれもスロットがセンターからオフセットされている)

2個のディスクを交互に反転させてみたり、トー側ヒール側を前後逆にしてみたり、あるいは少しアングルを変更したりして、スタンスマークが治具の中心穴の位置に合い、かつインビスの穴とディスクのスロットが合う位置を見出してください。

Splt_11
(B側の目盛で合わせるとインビスの穴とは合致しない)


可能な組み合わせは基本が4パターン(前後逆を入れて8パターン)ですから、アングルを変更しながら試行錯誤を繰り返しても納得できるセッティング完了までそれほど時間は掛からないはずです。

Splt_12
(反対のA側の目盛で合わせるとインビスの穴と合致する)


まぁ、慣れないうちは少々時間を要するかもしれませんが、慣れて構造を理解してしまえば意外と簡単に作業を終了することができるようになります。

また、構造上スタンス幅はパラレル・ディスクのスロットのオフセット長の単位になりますから、マークの位置にどうしてもセンターを合わせられず、少々ズレてしまう場合のほうが多いと思います。

その場合は、『スタンス幅は広がってもセンターは動かしたくない』とか、『多少セットバックしてもスタンス幅を優先したい』、あるいは『アングルにはあまり拘らない』といった各自の考えに基づき、両足の位置関係を把握した上で納得(妥協?)できるセッティング位置を決めてください。

またベースのガスケットがインビスの穴に大きく掛かってしまう時は、穴明けポンチやカッターなどで遠慮なく切り取ってしまいましょう。(画像↓)

Splt_6


位置が決まったらビスを均等に締め込み、スライダートラックを取り付けてみます。
ここでスライダートラックがきつくて入り難かったり、取り付けたら左右の板が前後にずれたりした場合は再度微調整が必要です。(画像↓)


Splt_7


なお、VOILE はかなりテキトーなメーカーなので、この取り付けビスは同じφ6mmでも製品によってポジドライブだったりフィリップスだったりするようです。
今回の例ではポジドライブでしたが、以前の製品をメンテナンスする時はビスを見て使用する工具の選択を間違わないようにしましょう。(ポジドライブのビスには+型の溝と45°に交差する罫書き線があります)


Spl_2 Spl_3
(㊧昔のこれはフィリップス、㊨新しいこちらはポジドライブ・・・、訳わからんですな)


次に、片方にスライダートラックを取り付けた状態のまま、もう片方を同様の手順でセッティングします。
最終的に両方のスライダートラックが適度な抵抗で抜き差しできるようになっていれば完成です。
お疲れ様でした!


繰り返しになりますが、VOILE の純正ボードはそこそこ良いのですが、同社の樹脂パーツは全般に精度が悪く、イイ加減な拵えなのはこの会社の持ち味だと思って諦めるしかありません。(笑)
この点を寛容な心を持って理解し、面倒ですがセッティングの前に一手間掛けてユーザー側で仕上げ工程を行っておく必要があるのです。
こうしておくことで後の作業が楽になり、また見栄えも良く取り付けができるという訳です。

また、先ほども述べましたが残念ながらVOILE 用のビスパターンを持つスプリットボードの中には精度の悪いものもあるようです。
そのようなボードの場合はただでさえ面倒なセッティングがより難しくなってしまいますが、そこは頑張るしかありません。(笑)

以上は現在スプリット・ボードを使用している方は既にご存知の事ばかりだとは思いますし、季節がらこれから新たにVOILE のセッテイングをしようという方は少ないと思いますが・・・、スプリットボードに興味のある方が来季の参考にしていただければ幸いです。

| | コメント (0)

2013年7月10日 (水)

自作ピンチクリアーのグレードアップ

便利度 :★★★★★
工作度 :★★★★☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆

(自作ピンチクリアー全体の評価です)

登山靴の当たり出しや、スキーブーツのシェル出しに必要なのがピンチクリアーという特殊工具です。
しかし、プロショップ用の本物は高価で素人には手が届きませんので、私は簡易型のピンチクリアーを自作し、自分で使用する靴は自分で矯正しています。

もちろん用途の異なる工具を流用した自作品ですから、専用の製品に比べれば不満な点があるのは当然の事です。
しかし、こんな道具でもアマチュアレベルでの加工は十分可能ですので、これまで便利に使ってきました。

Bpc_8
(自作のピンチクリアー2号機)

しかし、自作ピンチクリアーで不満だった点の一つが、半球状の押し型しかなかったため、ポイントでの加工しかできなかったということです。
これでは小指の付け根から指先周辺を面で押し出すといった矯正をしようとしても中々上手には加工できませんでした。

プロ用工具には半球状の押し型と長球半楕円体の押し型が交換できるようになっていて状況に応じて使い分けが可能なので、私の自作ピンチクリアーにも同様な半楕円体状の押し型を作ることにしました。

専用のピンチクリアーでは「押し型」とセットで「受け」の部分も楕円状のモノに交換するようになっていますが、楕円状「受け」の自作はNCフライスでも持っていないと難しそうなので取り敢えず押し型のみ楕円体にしてみました。

この押し型ですが、素材は2017アルミのブロックをベルトサンダーで削り出し、軽くバフ掛けして鏡面に仕上げてみました。
また、裏側に盲慣穴を開けて3本組タップでなるべく奥までネジを切り、取り付け用のビスを固定してあります。

実際にシェル出しに使用する時は押し型とシェルとの間に重ねたウェスを挟みますのでバフ仕上げまでする必要は無いのですが・・・、撮影用にピカピカにしてみました。(笑)

これでシェル出しをする位置によって二種類の押し型を交換できるようになりましたので、この自作ピンチクリアーの汎用性がさらに高まったと言えるでしょう。

Ov_5  Ov_6
(真鍮製の半球型押し型とアルミ製の半楕円体型押し型)

動作テストとして、ランドーネブーツの小指部分を、私の考案したスチーム加熱システム と組み合わせてシェル出しを行ってみました。

「押し型」の向きに注意し、加熱しながらクランプを締め込み、そのまま徐冷すれば作業終了です。

Ov_3  Ov_1
(スチーム加熱によるシェル出しシステム)

半球状押し型で2カ所押し出すのは困難ですが、この半楕円体の押し型を使用たところスムーズなカーブで成型できましたので、まずは成功というところでしょう。(画像↓)

Ov_2

まぁ、ここまでする物好きな方は少ないかも知れませんが・・・、ピンチクリアーは一つ作っておけば周囲の方も含め長く便利に使えますし、失敗覚悟で何でも自分でやってみるってのも結構楽しいですから、是非皆さんも挑戦してみてください!

| | コメント (2)

2013年7月 1日 (月)

されど手袋・・・“壱萬円” 対 “四萬円”

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(”out dry アルパイングローブ”も“アルファ SVグローブも”それなりに満点!)


アンダーウェアーと同様、登山では目立たないけれど重要なアイテムの一つに手袋があります。

しかし、安物はもちろん、結構高価なブランド品でも名前倒れのグローブもあり、そんなモノを冬山のシビアな環境で使うと、快適でないばかりかそれこそ指が何本あっても足りません。

私の大学山岳部時代は、冬用の手袋といえば“ハンガロテックス” や“斉藤メリヤス”の未脱脂ウールのインナーに“ICI石井”のオーバーミトンの組み合わせでした。
当時はゴアテックスなどありませんでしたから、オーバー手袋も掌部分をビニロン地で補強したナイロンツイルのお粗末なモノでしたが、それで20日以上の冬山合宿をこなし、また冬の壁にも張り付きましたが、その時は指先や手の甲が寒かったものの、「まぁ、こんなモンだろう」と考え別に不自由?も感じませんでした。
しかし、“ハンガロテックス” の手袋は1シーズンも使うと子供の手袋のように小さく縮んでしまいましたが・・・、今でも売っていれば使いたいくらい懐かしい思い出の品です。

またここ10年以上?は廃番になるまで“モンベル”の“システム3グローブ”というのを長く使っていました。
シェル・ゴアのグローブインナー・フリースのインナーの3層構造で中で脱ぐときにインナーがひっくり返ったりと問題は多かったのですが、この手袋は掌の補強が皮革でなく樹脂コーティングの強靭な生地を使っていたので条件の悪い時でも乾かすことができるため私の定番手袋として何世代か使い続けました。
皮革を使った手袋は春だとジャブジャブ水が入ってきますし、一旦濡れると乾かないので、欧米の乾燥気候ならいざ知らず、私は日本の湿雪には、多少耐久性が無くても樹脂コーティング生地で補強された手袋がベストだと考えていたからです。

しかし、一昨年だったか?、使用中の“システム3グローブ”がくたびれてきたので同じものを購入しようと山道具屋に行ったところ、もう同じモデルは製造していないとのことでした。

そこで、“システム3グローブ”の後継モデルだという、“out dry アルパイングローブ”という手袋を買ってみたのです。(画像↓)

Glb_1 Glb_2

この製品は掌の補強には皮革が使われているのですが皮の部分を含め裏側全体に透湿防水性のあるメンブレンがしっかり貼られていてシームシールもしてあるので皮革部分は濡れても内側には浸み込んでこないという事のようです。

Glb_7
(皮革部分の裏にもout dry のメンブレンが貼られている)

以前の“システム3グローブ”はゴアのグローブインナーが別体式の3重構造だったので保温性は高いのですが全体が分厚かったのに対し、この“out dry アルパイングローブ”は2重でインナーも薄く仕上げられスキーポールを握っても違和感は少なそうです。

・・・と言う訳で、さっそく使ってみたのですが・・・、第一印象は「寒い!」の一言でした。
インナーグローブはメリノウールを使っているのですが、同社の以前のシステム3グローブと比べてかなり薄く、物を持った時の指の感覚は良いのですが厳冬期の保温性に関しては些か不足では・・・?、と言わざるを得ません。

グローブをワンサイズ大きなものにして、厳冬期には少々厚めのインナーグローブに交換して使うというのが正解だと思いました。

そんな訳で、もうちょっと温かいグローブを買おうと物色していたら、私の好きなカナダのA社の“アルファ SVグローブ”というのが目に留まったのです。

しかし・・・、値段を見てビックリ!定価は4万円近くもするじゃありませんか!!!
割引価格にポイント加算を考えても完全に予算オーバーです。

かなり躊躇しましたが、値段なりに良い物は良いのでは・・・と、あっさりと物欲の軍門に下り、購入してしまいました。

Glb_3 Glb_4
(“アルファ SVグローブ”)

結果は・・・、まぁ一口に言えば「最高!」ですね。
”out dry アルパイングローブ”同様、このグローブも裏側全体にゴアのインナーが密着ライニングされていて防水性は完璧ですし、インナーの保温性も十分です。

Glb_5
(全体がゴアの3レイヤー仕立て!)

また、保温性のある厚手のインナーにも拘らずアウターシェルが手の込んだ立体裁断により縫製されていますのでグリップを握った時のフィット感も思ったほど悪くありません。

Glb_8

(㊧A社製、㊨M社製、立体裁断パターンの差は歴然!)

ドローコードなど細部の使い勝手も総て二重丸といったところでしょう。
問題は値段だけです。

しかし・・・、モンベルの”out dry アルパイングローブ”が1万円弱、このA社の“アルファ SV”が4万円弱ですから正味4倍の価格差という事になります。
この価格差を考えると、私の結論としては”out dry アルパイングローブ”のオーバーサイズを購入し、通常は付属のインナーで、厳冬期にはインナーを厚めのウールの物に交換して使い、後日お財布に余裕がある時にスキーポールを握った時の感覚の良いジャストサイズの物を残雪期用兼スペアとして買い足すというのが賢明な選択だと思います。

費用対効果で見れば“out dry アルパイングローブ”で問題なのは厳冬期の保温性だけですから、メーカーには厚手のウール製インナーや、掌面だけ薄手のフリースを使ったグリップ重視のインナーと組み合わせられるといった商品構成で、もう少し丈夫な製品に改良してもえばなぁ~・・・、と考えているのは私だけじゃないと思うんですが・・・。



| | コメント (2)

« 2013年6月 | トップページ | 2013年8月 »