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2013年7月19日 (金)

VOILE /スプリット・インターフェイスのセッティング

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(セッティング前の仕上げ加工についての評価です)



※今回は、来シーズンスプリットボードに挑戦したいと考えている方へのアドバイスです。

昨シーズン、第2次スプリットボードブームは更なる盛り上がりを見せました。

ほぼVOILE 一辺倒だった第一次ブームと異なり、今回のブームは複数の新興メーカーがスプリットシステム自体に新機軸を持ち込んだり、大手メーカーが参入を目論んだりと新たな展開を見せており、成り行きから目が離せない状態となっています。

まぁ、前回のブームと同様、いずれ熱が冷めれば目新しさから飛びついたユーザーのスプリット離れが起こるであろう事は目に見えていますし、その間メーカーの策略にまんまと乗せられた意志薄弱な新し物好きの消費者が、なけなしの金をガッポリと巻き上げられるのは間違いありません。(笑)

とは言え、それでもコアなファンは前回以上に増えているようなので、この2回目のブームが去ったとしても、スプリットボードが我が国のBCシーンの一角を占め続けるのは間違いないでしょう。

さて、現在市場には新興メーカー等から新しいユニークなスプリットボードのシステムが供給されています。
何れもさすが後発メーカーと思わせるような斬新な設計や新しい機能が盛り込まれており興味は尽きませんが・・・、これらをシステムで新たに全部揃えると更なる大出費を覚悟せねばなりません。

そんな訳で・・・、年に何度も使わない道具にこれ以上大金を注ぎ込むのも勿体無いですし、私はハードブーツでもスプリットに乗りますので、その場合VOILE でないとハードビンディングが載りません。

そして、何より山道具の構造はシンプル・イズ・ベストと考えている私は今回のブームもオーソドックスだが確実なVOILE のスプリット・システムで行くことにしました。

さて・・・、スプリットボードを使用するに当たっては、まず自分に合ったスタンスとアングルにビンディングを取り付けねばならないのは言うまでもありませんが、通常のボードと違ってスプリットボードの場合はこのセッティング作業がけっこう面倒なのです。

購入時にはショップでセットしてくれるかもしれませんが、乗ってみてどうもシックリ来ない場合は自分でセッティングを変えなければなりませんよね。
しかし、セッティングに慣れない方が一旦板からベースごと取り外してしまうと、再取り付けにはドライバー片手に長時間板と格闘しなければならなくなります。

Spl_1
(以前の黒いロケーションブロック)

しかも、スプリット・ボードの中には大手メーカーであってもフックを固定するビスの頭がソールから出っ張っていたり、インビスの埋め込み位置などに加工精度の悪いモノもあり、ユーザー側での修正やセッティング時の工夫が必要となる場合も少なくないので要注意です。

また、そんな板の場合、遊びの少ないVOILEのパーツと相まって、前後のロケーションブロックの位置に微妙にズレが生じ、スライダートラックが固くて入らなくなったり左右の板が前後に食い違ったりする場合もあるようです。
今回の画像にある“K2/PANORAMIC”もそんな板でした。

そこで今回は、そんなボードに仕上げの悪いVOILEのインターフェーイスをセッティングする場合に役立つヒントをご紹介したいと思います。

私が今回セッティングを行ったVOILEのロケーションディスク(灰色)のスロットは、φ6mmビスを通すにも力を要する程ギリギリの幅しかありませんでした。
ここに遊びが無いとボードに取り付ける時に微妙な調整ができませんので、そんな場合はまずはスロットの幅に標準的な“遊び”を設けると良いでしょう。

スロットの内側を、ヤスリ等で軽く削りキサゲなどで平滑に仕上げておきますが・・・、まぁこの部分はそれほど丁寧でなくても遊びさえ出ればかまいません。(画像↓)

Splt_2


これで、φ6mmのビスがすんなり入るようになるはずですが、この僅かな遊びが後の微調整作業を楽にしてくれるのです。

また、VOILE の樹脂パーツは全体に仕上げが粗いので、各パーツのランナー接合部や金型の合わせ目など、気になる凹凸があったらヤスリやカッター等で丁寧に整形して仕上げておきましょう。
特に後述のセッティング作業では何度もディスクの付け外しをしなければなりませんが、ディスクの周囲やディスクの嵌るロケーションブロックの内縁を整えておくと、容易にディスクを着脱できて能率的に作業ができます。(画像↓)

Splt_8

次に、こうして仕上げをしたパーツを組み合わせセッティング作業に入ります。

まず自分のスタンス幅とセットバックを考慮し、前後それぞれの足の位置をボードのセンターラインにマークします。
ロケーションディスクを希望するアングルでロケーションブロックに取り付け、付属のアライメントガイド(治具)にセットし、ガイドの中心の穴を取り付けたいスタンス位置のマークに合わせて板に乗せてみます。(画像のアライメントガイドは旧型ですが、新型は剛性の高いものに改良され更に使い易くなっています)

Splt_10
アライメントガイドにロケーションブロックをはめ込む)

ディスクにはインラインとパラレルの2種類のスロットを持つものがあり、何れもセンターからオフセットされた位置にスロットを設けてありますので、センターディスクを180度反転(“A”側、“B”側と表示がある)させることで取り付け位置をオフセットの分だけ前後に変更することができます。

Splt_5
(㊤パラレル、㊦インライン、いずれもスロットがセンターからオフセットされている)

2個のディスクを交互に反転させてみたり、トー側ヒール側を前後逆にしてみたり、あるいは少しアングルを変更したりして、スタンスマークが治具の中心穴の位置に合い、かつインビスの穴とディスクのスロットが合う位置を見出してください。

Splt_11
(B側の目盛で合わせるとインビスの穴とは合致しない)


可能な組み合わせは基本が4パターン(前後逆を入れて8パターン)ですから、アングルを変更しながら試行錯誤を繰り返しても納得できるセッティング完了までそれほど時間は掛からないはずです。

Splt_12
(反対のA側の目盛で合わせるとインビスの穴と合致する)


まぁ、慣れないうちは少々時間を要するかもしれませんが、慣れて構造を理解してしまえば意外と簡単に作業を終了することができるようになります。

また、構造上スタンス幅はパラレル・ディスクのスロットのオフセット長の単位になりますから、マークの位置にどうしてもセンターを合わせられず、少々ズレてしまう場合のほうが多いと思います。

その場合は、『スタンス幅は広がってもセンターは動かしたくない』とか、『多少セットバックしてもスタンス幅を優先したい』、あるいは『アングルにはあまり拘らない』といった各自の考えに基づき、両足の位置関係を把握した上で納得(妥協?)できるセッティング位置を決めてください。

またベースのガスケットがインビスの穴に大きく掛かってしまう時は、穴明けポンチやカッターなどで遠慮なく切り取ってしまいましょう。(画像↓)

Splt_6


位置が決まったらビスを均等に締め込み、スライダートラックを取り付けてみます。
ここでスライダートラックがきつくて入り難かったり、取り付けたら左右の板が前後にずれたりした場合は再度微調整が必要です。(画像↓)


Splt_7


なお、VOILE はかなりテキトーなメーカーなので、この取り付けビスは同じφ6mmでも製品によってポジドライブだったりフィリップスだったりするようです。
今回の例ではポジドライブでしたが、以前の製品をメンテナンスする時はビスを見て使用する工具の選択を間違わないようにしましょう。(ポジドライブのビスには+型の溝と45°に交差する罫書き線があります)


Spl_2 Spl_3
(㊧昔のこれはフィリップス、㊨新しいこちらはポジドライブ・・・、訳わからんですな)


次に、片方にスライダートラックを取り付けた状態のまま、もう片方を同様の手順でセッティングします。
最終的に両方のスライダートラックが適度な抵抗で抜き差しできるようになっていれば完成です。
お疲れ様でした!


繰り返しになりますが、VOILE の純正ボードはそこそこ良いのですが、同社の樹脂パーツは全般に精度が悪く、イイ加減な拵えなのはこの会社の持ち味だと思って諦めるしかありません。(笑)
この点を寛容な心を持って理解し、面倒ですがセッティングの前に一手間掛けてユーザー側で仕上げ工程を行っておく必要があるのです。
こうしておくことで後の作業が楽になり、また見栄えも良く取り付けができるという訳です。

また、先ほども述べましたが残念ながらVOILE 用のビスパターンを持つスプリットボードの中には精度の悪いものもあるようです。
そのようなボードの場合はただでさえ面倒なセッティングがより難しくなってしまいますが、そこは頑張るしかありません。(笑)

以上は現在スプリット・ボードを使用している方は既にご存知の事ばかりだとは思いますし、季節がらこれから新たにVOILE のセッテイングをしようという方は少ないと思いますが・・・、スプリットボードに興味のある方が来季の参考にしていただければ幸いです。

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