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2014年8月

2014年8月28日 (木)

ナイトアイズ/INOVA/STSヘッドランプは使えるか?

便利度 :★★★☆☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆


Inova_4
(ナイトアイズ/INOVA/STSヘッドランプ)

まずは、これまで使っていたブラックダイヤモンドの“ストーム”というヘッドランプのお話ですが・・・。

病気を告知されて以来、手術やら何やらで、ここ何ヶ月か山から足が遠ざかってしまいました。
そんな訳で山道具に触る機会も無かったのですが、先日久々にヘッドランプのスイッチを入れてみたところまったく点灯しませんでした。
そこで、電池を交換しようとバッテリーケースを開けてみたら何と電池が僅かに液漏れをおこしているようなのです。
最近の乾電池は品質が良く、滅多な事では液漏れをおこさないのですが、たまたま質の悪い電池だったのか、あるいは待機電流の必要な回路を持ったヘッドランプであるため、過放電になってしまったためでしょうか?。

液漏れも少なかったようですしボックス内の電極も異常がなさそうだったので、そのまま電池を交換したのですが・・・、スイッチを入れるといきなり防眩用の赤色LEDが点滅するなど正常に作動しなくなっていたのです。

仕方なく分解をしてみたら、バッテリー液が回り込んだのか基盤の一部に腐食が見られたので、またまたビックリしました。
漏れた液はごく少量だったはずなのにこんなに酷い状況になっているとは思いませんでした。

取り敢えず修理を試み、温水とブラシで基盤の一部を洗ってみたのですが、予想以上に腐食が進行していたようで、基盤のランドとチップ抵抗をつないでいたハンダまで侵され、チップ抵抗が脱落していたのです。
しばらく山に行かず放っておいた祟りなんでしょうが、それにしても酷い仕打ちです。

Inova_1
(指示した部分が変色し、その左上のチップ抵抗が脱落していた)

画像は洗浄後のものなのでそれ程酷い状態には見えないかもしれませんが、基盤のエッチング面が変色しチップ抵抗が脱落してしまったのが確認できると思います。

このBDの“ストーム” は多機能ヘッドランプの先駆け的商品なのですが、複雑な動作を制御するため回路も複雑化し、バッテリーからの僅かな液漏れで簡単に修理不能の故障を起こすよような製品でもあったということです。

多機能も結構ですが、こんなに繊細で脆弱な製品が、山道具として相応しいかは少々疑問に思ってしまいますね。

対策としては、山行後一々バッテリーを外しておくのが一番なのでしょうが、それも面倒ですので、バッテリのある裏面を下にして置き、万が一の液漏れの際にも基板に液が回り込み難いように保管するくらいしか思い付きません。



さて、そんな訳で新しいヘッドランプを購入しようと色々と物色してみました。
沢で使う事を想定し、まず防水という条件で探したのですが、水深1メートル程度に耐えられるIPX7準拠のヘッドランプは意外と少ないようです。

初めは新型のBD“ストーム”を考えたのですが・・・、モデルチェンジしたとはいえ同じような物も買うのも能が無いので、他を探してみたら“ナイトアイズのINOVA/STS”という1メートル防水のヘッドランプが目に付きました。

Inova_6
(ハイパワーLED 1個と赤色LED 2個の構成)

ナイトアイズという会社自体も変なモノばかり作って得体が知れませんし、ヘッドランプとしてもまだ評価は定まっていな製品のようです。
しかも、“INOVA/STS”は点灯・消灯等の操作がスマホみたいな指でスワイプする方式を採用していてかなり怪しい製品なのです。

普通なら購入を躊躇うような製品ではありますが、山に行けない暇潰しとブログネタと割り切って購入してみることにしました。

さて、製品を手に取ってみると、見た限りではそこそこ良さそうです。
防水もゴム製のガスケットを使っているしカム式バックルで前後の筐体を密着させるという新機軸を採用しているのも目新しい点です。

Inova_8  Inova_9
(バックルで前後の筐体を密着させる)

まぁ、ガスケットの当たり具合には設計不備も見られます、防水性については大きな問題にはならない範囲だと考えられます。

Inova_10
(ガスケットの当たりは外側過ぎるような気が・・・)

性能的には、メインのLEDは手持ちの懐中電灯のような中心部が明るい配光で、もっとワイドの方が良い気もしますがそこそこ使い易い配光ですし、サブの防眩用赤色LEDもテントや山小屋の中、あるいは天体観測の時には重宝しそうです。
なお、下の画像は約1メートル離れた壁面に投影したものです。

Inova_pr_2 Inova_pr_5
(㊧“INOVA/STS” のメインLED、 ㊨“ストーム”のディスタンスモード)

Inova_pr_3 Inova_pr_1
(㊧“INOVASTS” の赤色LED、 ㊨“ストーム”のプロキシミティーモード)

なお、“ストーム”にあるようなの拡散光のプロキシミティーモード(テント内照明としても理想的!)は残念ながらありません。

また、メイン・赤色ともスワイプで HI/MIDの切り替えとフラッシュ(点滅)モードにできる他、点灯中にスイッチ中央に指を置くことで無段階に照度を調節できるディマー機能も備えています。

Inova_11  Inova_12
(㊧ハイパワーLED と、㊨赤色LED の点灯状態)

バッテリーの寿命は下の画像のとおりで、まずまず合格といったところでしょう。

Inova_7
(最弱にして255時間、フルパワーでは4時間40分の電池寿命)

スワイプセンサーはたぶん静電容量の変化を感知する方式だと思われますが、指先が接触するかしないかの状態で動かしても作動するほどの感度があります。
ただし、しばしば反応が素直でなくなるのは困ったものです。
これもご愛嬌と割り切るしかないのでしょうが、真っ暗なテントの中だと少々イライラするかもしれません。

なお、素手以外でもスマホ対応の手袋なら当然使えると思いますが、吹雪の中でオーバーグローブをした指で正常に動作するかは未確認です。

Inova_5
(可動部分の無いスワイプ式スイッチ)


その他、“INOVA/STS”にはスワイプ方式には必須と思われるON/OFFのロック機能があり、ロックしておけばザックの中で不用意に点灯してしまう事も無いでしょう。(ただし僅かながら待機電流のような物があるかも知れませんので、定期的なバッテリ-の点検は必要かもしれません)

単四/3本使用の“INOVA/STS”と、単四/4本BDの“ストーム”では重量の比較をしても意味が無いかもしれませんが・・・、“INOVA/STS”は辛うじて100gを切っています。
とはいえ、1メートルからの落下に耐える耐衝撃ボディーのためか見た目よりは重い印象です。

Inova_2 Inova_3
(㊧BDの“ストーム”、㊨“INOVA/STS”)

しかし、この“INOVA/STS”を山の中で実際に使う場面を想定すると、操作性については賛否の分かれるところだと思います。

スワイプでの操作は慣れていないうちは結構戸惑うでしょうし、操作全般にわたり初めての人が山行中いきなり手渡されても、どう操作していいのかすら解らないはずです。

BDの“ストーム”等の多機能ヘッドランプ全般についても言えることですが、やはりこのようなベーシックな道具は、初めて手にしても直感的な操作が可能で然るべきではないでしょうか?。
とは言え、このような製品が造られるのも、我々ユーザーが高機能・多機能のほうが優れたモノだと考え、それを求める事も原因の一つであることは明らかです。

本音を言えば、機能は必要最小限に絞っても、高い防水性と耐ショック性、そして電池の液漏れ程度ではビクともしない内部構造を持ったヘッドランプが在ったら、多少高価でも私は間違いなく購入すると思うんですが・・・、そんな地味な商品はまず製造されないのが、現代の市場メカニズムの悲しさなんでしょうね。

まぁ、悪口ばかり書いてしまいましたが、この“INOVA/STS”は革新的な商品であることは間違いないですし、防水性を含め良いところも沢山ありますので、山に行ける躰になったら暫く使ってみて再度ご報告したいと思います。

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2014年8月17日 (日)

アーク の“Briza”用オーバーサイズ・フレーム?

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(必要な場合には是非お薦めします)



同年代の山屋なら似たり寄ったりだと思いますが・・・、私の学生時代の合宿用ザックと言えば“片桐”特注の74㎝キスリングが唯一の選択肢で、冬合宿ならキスリングと一斗缶を“HOPE”の背負子(黄色のポリロープが巻いてあったアレです!)に括り付けて担ぐというのが定番でした。
当然、その頃のザックに「フィット感」だとか「快適さ」などは求める術もありません。

痛いだとか苦しいだとか、余計な事は四の五の言わず、我慢して背負うというのが山登りを楽しむための当然の代償と考えられていた時代だったのです。

そんな訳で・・・、新人の頃はザック麻痺(今では死語かな?)と闘いながら時には50キロオーバーの荷を担いで山を歩いていました。
しかも足回りは、クッション性など皆無の、アイガメ底にペース(竹製の釘)多め打ちでオーダーした“双葉”製のクソ重い山靴です・・・、今考えると、あんな事をやっていてよく身体も壊さず無事に生きてたなぁ、と思う事しきりです。

まぁ、そんな経験をしたせいか、私は現在もザックの背負い心地に関してもあまり細かい薀蓄は語らない方だと思います。(笑)

それに引き替え、最近のザックは肩と腰に荷重を分散させるハーネスシステムが進化し、さらに背面長の調節ができたり、S・M・Lといった使用者のトルソーレングスに合わせて選択が可能な製品も多くなって、昔より格段に快適に荷物を担げるようになりました。

また以前は小柄な女性でも、大型ザックが欲しければ男性を基準に作られたものを選ばざるを得ず、長過ぎる背面長に苦労したようです。
しかし、今日ではただ背面長が短いだけでなく、女性の骨格に合わせたショルダーハーネスやヒップベルトを装備した製品も販売されており、女性でも快適に重荷を背負えるようになりました。
言うならば、女性は男性以上にザックの進化の恩恵を蒙ったということでしょう。



さて、前置きはこの位にして・・・、病気療養中のブログネタ不足とご容赦いただき、タイムリーでも一般的でもない記事で恐縮ですが、とあるきっかけで思い出した、以前に行ったザックの改造をご紹介することにします。

Br
(名品の誉れ高い“Bora”の女性用モデルが“Briza”)


何年か前、連れ合いの使うアークテリクスの“Briza”という女性用大型ザックを購入した折の事です。
このザックも女性専用と謳うだけあって御多分に漏れずハーネス類が女性用のカッティングで造られているのと同時に、Short/ Reglar/Tall の3種類のトルソーレングス別対応になっていました。

使用者に専用のゲージを装着してみると、“Briza”ではトルソーサイズ的には上下サイズの境界線で両方とも選択可能だったのですが、今思えばデフォルト状態の曲りの少ないフレームであることを考慮しなかった事と、この時ゲージのヒップベルトをウェストの高い位置で締めてしまった事に問題があったようです。
また、一般に身長が低い女性が背面長の長いザックを背負うと、ショルダーストラップを締めてもザックが下がって背負い難い、という経験的な先入観があったためか、小さい方の“short”を選んでしまったのです。

しかし、実際に重荷を詰め込み、ヒップベルトを腰骨の位置で締めて歩いてみると、背面長を一番長くアジャストしても、残念ながらどうもフィット感が期待どうりではないとの評価でした。

サイズ的には大き過ぎない上限ジャストの理想的なサイズの筈だったのですが・・・、荷物が重いとザックを下に引く力が大きくなるなどの理由で、僅かに背面長が短か過ぎたようなのです。

フレームの曲り調整などをした結果、改善はみられたのですが、せっかく高い金を払った名品の誉れ高いザックを、イマイチの状態で使うのも些か勿体無い気がしたので、よりフィットさせる方法を考えることにしました。
要は、どうやったら背面長を2センチ程延長できるかということです。

そこで着目したのが、このザックの特殊な構造でした。
このザックは下の画像のように、アルミのフレームに掛かった荷重が、直接フローティング構造のヒップベルトに伝わるという珍しいタイプだったのです。


Bs1
(“Briza”のヒップベルトはフレームが支点のフローティング構造)


そこで、この構造を利用することにしました。
つまり、オーバーサイズのフレームを自作してオリジナルの物と交換し、背面長を延長するという手段を採ることにしたのです。
これが上手くいけば、ジャスト・サイズのザックに変身させる事も容易いはずです。

で・・・、早速改造開始です。
オリジナルのフレームはT3㎜×W25㎜のアルミのフラットバー(平角棒)が使われていますが、この寸法なら我が国で市販されているフラットバーの標準サイズの一つで入手も容易です。

また、国内で市販されている一般的なフラットバーはA6063/T5の押し出し材ですが、この素材は比較的強度も有りますし身体に合わせて曲げる加工も可能ですので、これを使えばオリジナルと同等なオーバーサイズフレームが簡単に製作できるわけです。

フラットバーは定尺モノ(4メートル)で買えば割安ですが、60㎝弱の材料を2本取るだけだとかえって不経済ですので、こんな場合は1センチ単位で指定寸法にカットしてくれる通販などで買えばムダな残材も出なくて好いでしょう。

工作自体は簡単で、フラットバーを任意の長さにカットして末端を丸く仕上げてから、体型に合わせた曲げ加工を行えば完成です。(画像↓)

Bf1  Bf2
(㊧下側が自作のフレーム、 ㊨末端をラウンド加工)

Bs2  Bl2
(㊧オリジナル、 ㊨自作のオーバーサイズフレーム)

Bs1_2  Bl1
㊧→㊨、背面長を2㎝長くすることができた)


私の場合、念のため+2㎝と+3㎝(後に+2.5㎝に短縮)のオーバーサイズを2組作ってみました。

結果的には、2.5㎝のオーバーサイズまでなら、気掛かりだったランバーパットとの収まりもこの位の延長なら全く問題無く上手に納まり、ヒップベルトのと本体の干渉も無く、また背負った感じも全く違和感は無いそうです。(画像↓)
私の場合は最終的にプラス2㎝の方をチョイスしましたが、最後に、もう一度背中のラインに合わせてフレームを曲げ加工してフィットさせれば完成です。

この手のザックで、後ろに引かれるとかショルダーストラップが浮くような気がする時は、フレームが背中のラインに合っていない場合が大半です。
通常、出荷状態では意図的に浅いカーブを付けてあるだけなのでフイットしなくて当然ですから、自分の背中のカーブに合わせて遠慮なく曲げてしまいましょう。

Bs3  Bl3
(ヒップベルトの位置が下がり、背面長が延長された)

正直な話、今回のフィッテイングはあくまで窮余の一策ではあることは確かですが、幸運な事に実際に使用してみた限りでは良い事ずくめで、全く不都合は生じませんでした。
そして、以後も出番は少ないものの・・・、まさにジャストフィットの理想的な大型ザックとして活躍しています。


まぁ、今回の例は全てのザックに応用できる改造ではありませんが、アークテリクス社の“Bora”や“Briza”などこの形式のヒップベルトのザックなら、今回の例のようにオーバーサイズのフレームを自作したり、反対に背面長が長すぎる場合はショートサイズのフレームを自作したりして、よりフィット感を高めることが簡単にできるはずです。
該当の方は是非お試しください。



【余談ですが・・・】

今回取り上げた“Bora”や“Briza”は、現在は既に旧モデルの範疇で、この後継モデルではハーネスの取り付け部がモールド成型の樹脂パーツをウェルディング加工で取り付けた先進的な構造になり、軽量化もされているようですが、私的には重くても総て縫製で仕上げられた旧モデルのほうが、はるかに所有する喜びを感じさせる製品だと感じます。

特に、私も使っている最後期モデルの“Bora”や、今回ご紹介した“Briza”に関しては、手前味噌かもしれませんが・・・、今後もこれ以上のザックは製造されない、と言っても過言ではない位の名品だと思っています。

しかし、唯一で最大の問題は・・・、病み上がりの私に、これを背負えるだけの体力が残っているかという事でしょうね。(涙)

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