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2015年2月15日 (日)

シェル出しツール“シェル・プレス”(仮称)を作る②

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆

「シェル出しツール“シェル・プレス”(仮称)を作る①」からの続きです】


材料が揃ったら、早速組立です。

押し型は小指側の押し出し用に単純化した楕円型のパーツを2017アルミのブロックから削り出します。
グラインダーで粗削りし、最後は手ヤスリとサンドペーパーで形を整えますが、すべて手作業だと時間が掛かるかも知れません。

足型に忠実な押し型をアルミもしくは堅木で造るのも良いのでしょうが、私の試した限りでは、単純化した押し型でも、アジャスト部で前後のアジャスターの長さを変えて押し出す角度を調節すれば、リアルな木型と遜色なく加工できるはずです。

なお、必用ならピンポイント用の半球形押し型も作っておくと良いのでしょうが・・・、私は自作のピンチクリアーがありますので、今回のシェルプレスについては楕円の押し型のみ製作しました。

Sp_9
(これを組み立てれば完成)

各パーツはタップでネジを切って組み立てますが、構造が単純ですので詳細は省略します。
下の画像は実験用で、ベース部は簡易型になっていますが、ここまでなら画像を参考に各自工夫をすれば誰にでも比較的容易に製作できると思います。
もちろん、この段階まででしたら、通常のハンドツールだけでの加工が可能です。


Sp2_2
(完成した“シェル・プレス”実験機)

以降、この器具を取り敢えず“シェル・プレス”と呼ぶことにします。

Sp2_3
(ベース部のビスはシェル幅に合わせて長短を交換)


使用法は、まず最短位置にした“シェル・プレス”の押し型をシェル内の任意の位置に当て、反対側のベースにある前後のビスをシェルの形状に合わせ、長さと角度を調節します。
シェルと押し型の間に重ねたウェスを挟み、シェルに接するビスの頭には滑り止めのゴム板を当てておくと良いでしょう。
当然第一バックルは適度に締めておいてください。

また、ビスの調整だけで寸法が合わなければ、長いビスに交換したり、あるいは適当なシムを挟んで遊びを無くしておくと良いでしょう。

器具の位置が決まったら、ターンバックルを指で回して少々圧力を掛けておきます。
これで準備完了です。

Sp2_5
(作業はこんな感じで・・・)

続いて、油圧シリンダーの時と同じようにヒートガンやスチームでシェルを適温まで加熱した後、ラチェット・レンチを回してターンバックルを伸ばし、シェルを押し出します。
所定の幅まで変形できたらあとはじっくり徐冷すれば完成です。急ぐなら流水で冷やしても良いでしょう。

ブーツが冷えたらラチェット・レンチのレバーを切り替えてターンバックルを弛め、シェル・プレスを取り外せば作業はすべて完了です。

実験機では上記の画像のようにベース部のトラスビスの頭がむき出しですがこれでも十分実用的です。


まぁ、実用上はこのままでも構わないのですが・・・、ついでなので完成バージョンとしてベース部のビスを、頭部にアルミの削り出しパーツを取り付け、シェルに当たる部分にウレタンスポンジのシートを張り付けたものに交換しました。
周囲にローレット加工をして回し易くしてありますので、狭いシェル内で寸法合わせをするのも簡単です。

Spvu_2 Spvu_3
(シェルに接する面積を大きくし、滑り止めのクッションを貼った)



繰り返しになりますが・・・、この“シェル・プレス”は必要にして十分な基本構造だけなら、通常のハンドツールのみで製作できます。

そして、これさえ作れば、今まで高価な油圧シリンダーを持つプロショップの専業だと思われていた足指周りのシェル加工が、アマチュアにも簡単にできるようになるのです。

また、バーゲンやネットオークションで買った廉価なブーツが足に合わなかった場合でも、プロショップに持ち込みでシェル出しを頼むと、両足4~6ヶ所なら一回の出費は軽く“諭吉コース越え”でしょう。
(場合によっては、最初から面倒見の良いショップで定価のブーツを買った方が却って安上りという事だって考えられます・・・)

それを思えば一生使えるこの器具の製作費なんて廉いもので、一回使えばすぐに投資額は回収できます。

そんな訳で、今回ご紹介した自作の“シェル・プレス”は比較的簡単にしかも廉価で作成可能ですので、D.I.Y.に興味のあるスキーヤー(& 山スキー屋)には是非お薦めしたい工作です。

何かご質問がありましたら、遠慮なくコメント欄からお問い合わせください。

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山スキー・バックカントリー 2」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
ターンバックルをラチェットで回すというアイデアはとても良いですね。
「必要は発明の母」こんな言葉ありましたよね。ブーツに悩んだ人は色々とアイデアを絞り作業してますよね。この工具を発展させればシンデレラフィット並みの作業が可能じゃないでしょうか?

自分の回りでは御茶ノ水までブーツチューンに行く人が数人いるのですが、なかなか満足出来ないようです、とは言え工具を作ってまでこだわりは無いようで…手伝ってあげたい気もあるのですが、人様のブーツをギタギタにするのは気が引けるので言い出せないでいます。
山道具さんは他人のブーツもいじりますか?

投稿: FOES | 2015年2月27日 (金) 09時28分

FOESさん、ご無沙汰でした。

このターンバックルを使うアイデア、単純で好いでしょ?
コロンブスの卵みたいなもんで、色々考えるより失敗覚悟で取り敢えず作ってみると道は開けるものですね。

ところで、私は基本的に身内かごく親しい方の道具しか加工は引き受けません。(道具を貸すこともありますが・・・)
自己責任ならまだしも、他者への責任が発生する仕事は楽しくありませんからね。
では!

投稿: 理事長 | 2015年2月27日 (金) 10時01分

DYNAFITのセルフ取り付けに引き続き拝見させて頂きました。【ブーツのセルフシェル出し】はスキーヤーの積年の夢とも言えるでしょう。道具から作成されるとはとても素晴らしい◎ 真似させていただきます。

投稿: とおりすがり | 2015年2月28日 (土) 18時42分

“とおりすがり”さん、ようこそ。

私の酔狂な道楽が参考になったのなら幸いです。

その他、ピンチクリアーでのシェル加工やインナー成型など、過去の記事にはまだ面白いモノも結構ありますので是非バックナンバーもご覧ください。

では今後ともよろしく!

投稿: 理事長 | 2015年3月 2日 (月) 07時44分

はじめまして。以前からこちらのサイトは拝見さえてもらっていました。私も踝内側と小指の付け根の当たりに苦しんでおり 何度ショップに持ち込んでも思うようにならず 軟骨が成長するばかりで困っていました。スキーショップ手伝いの経験はあるので道具さえあれば自分でやりたいと思っていました。早速ピンチクリアーは自作し踝内側はOKとなりました。小指付け根用に油圧シリンダーがほしかったのですが サラリーマンの自宅ではちょっと敷居が高いなと思っていました。そこに出てきたのがシュエルプレス。これなら私ででも作れそうです。リンクにあるターンバックルとラチェットレンチをモノタロウで購入しトライしようと思います。
情報ありがとうございました。

投稿: ヒロ | 2015年3月 8日 (日) 17時15分

“ヒロ”さん、はじめまして。

ピンチクリアーよりシェルプレスを作る方が簡単かもしれませんので頑張ってください。
何か不明な点などありましたら遠慮無く質問して結構ですよ。

では!

投稿: 理事長 | 2015年3月 8日 (日) 19時58分

私もターンバックル ?型のワイヤー用の物を切断して自作して使っていますが、場所によっては滑ってうまく行きませんでした。山道具さんのアイデアを参考に修正して再トライしたいと思います。またせっかく出しても1ヶ月位すると元に戻るので温め方が足りないのかなと思っています。

投稿: 小指が痛い | 2015年4月27日 (月) 01時24分

“小指が痛い”さん、ようこそ!

私もピンチクリアーから油圧ポンプまで、素人ながら暗中模索で無茶なシェル出しにチャレンジをして来ましたので、“小指・・・”さんも頑張ってください。

それから、成形後のシェルは徐々に戻る事はあっても、加熱が適正なら一月で戻る事はありません。
私の経験では、実際に押し出す時点での温度を90℃+α(素人は~100℃までが無難です)程度にすればOKだと思います。

では、成功を祈ります。

投稿: 理事長 | 2015年4月27日 (月) 07時44分

2008年の記事にコメントしてましたが、実際に参考にさせてもらうのはここかなと思ってます。
エアシリンダーは会社の製品で山のように使ってるのですがもらうわけにもいかず…(笑)

投稿: | 2015年11月 9日 (月) 22時12分

“宙”さん、ようこそ!

別の記事へのコメントによると、小指の付け根の関節と踝の下の突起が当たるようですね。
小指の球の部分はこのシェルプレスが良いと思いますが、舟状骨の出っ張りはできればピンチクリアーを作った方がやり易いと思います。
分からない事があれば助言は惜しみませんので、頑張ってチャレンジしてください!

投稿: 理事長 | 2015年11月10日 (火) 07時51分

先ほど施工が終わりました。
取り急ぎビデオをお送りします!
https://youtu.be/KtsoobyF188

今回は助かりました、まだ実践まで時間がありますが実践前には膨らみ具合を確認して現地へ行こうと思います。

投稿: | 2015年11月28日 (土) 18時15分

“宙”さん、成功おめでとうございます。

動画を拝見しました。
押し出す側のパーツは「袋ナット」のようですが、この部分は既製品でも「握り玉」という工作機械のハンドル部品が有るので、これなんかに交換するともう少し直径の大きな押し出し部に改良できると思いますよ。

では!

投稿: 理事長 | 2015年11月30日 (月) 07時48分

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