カテゴリー「沢登り」の記事

2016年6月25日 (土)

沢用ロープをシェアする?

便利度 :★★★★☆
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆


Rope_12
(沢用に60mロープを2等分カットしました)

現在、アルパインクライミングで使用するロープは、50mあるいは60mが標準ですが、普通の沢登りでは長くロープを伸ばすことも少ないので20~30m位の短めのロープを使うことがほとんどです。

ロープが長過ぎると、高巻きの後に懸垂で沢に戻る際に薮に絡まったり邪魔になる事もありますし、頻繁に出したり仕舞ったりする場合も短めのロープの方が能率的だからです。

そんな訳で、私は沢歩きには30mのロープを持って行くことがほとんどです。
まぁ、現在の私が行けるレベルの沢では20mでも十分なのかもしれませんが、歳も歳ですので余裕をもって行動できるよう30mを選んでいます。

また、3~4人以上のパーティーなら30mを2本持って行けば、「イザ撤退!」という時でも懸垂一発で降りられない滝はごく少ないはずです。

しかし、φ8㎜前後の30mロープを購入しようとしても、その選択肢はかなり限定され、普通は“ハイキングロープ”あるいは“ヒルウォーキングロープ”などの名称で販売されている登山用の補助ロープを選ばなくてはなりません。

まぁ、30m単位で売られている登山用の補助ロープとは言え、通常はCE/EN 892、あるいはUIAAのダイナミックロープの基準を満たしているはずなので強度的には心配無いのでしょうが、30mでも価格が1万円位はしますし、またバーゲンにも出にくいようです。

そこで、シェアする相手がいるのなら、一般的なクライミングロープという広い選択肢の中から、使い勝手の良さそうな細くて軽いダブルorツイン用の60mロープを買って半分に切って2本にするというのも良いアイデアだと思います。


さて・・・、私は昨年 “EDELRID/アプス” というφ7.9㎜の60mロープがかなり廉い値段で売っていたので、つい購入してしまいました。
この“EDELRID/アプス”は細めでも腰があってアイスクライミング等の用途で評価の高いロープですが・・・、廉さに釣られて衝動買いしたものの、良く考えてみたら私はアルパインもアイスも引退していますのであまり使い途がありそうにありません。

ただ仕舞って置くのも勿体無いし、・・・と考えていた時思い付いたのが、このロープは沢登りでも使い易そうですし、今使っている沢用ロープが古くなったという事もあり、思い切って半分にカットし沢用ロープとして、知人とシェアして使うというアイデアです。


そんな訳で・・・、今回は、このロープをカットした過程を記事にしてみます。


①まず、正確に半分の位置にマークを付けます。
一回だと誤差が出ますので、両端から二本合わせて中央まで手繰る作業を複数回トライして正しく二等分になる位置を見つけましょう。
(㊟画像ではカット前に付けてしまったセンターマークがあります)

②続いて、そのマークを中心とした前後2センチ位の外皮を熱したヘラ等で溶かし解れ止めしておきます。

③続いてマークの位置で思い切って切断します。
 切断には熱したヘラ状の物で一気に溶断してしまうのが簡単ですし、末端の解れ止めにもなります。

Rope_1
(熱した‟もんじゃ焼き”のヘラで切っちゃいまいた・笑)


④両側の切り口はバーナー等で熱し、ヘラで形を整えて固めておきましょう。

Rope_2


⑤最後にそれぞれの長さの中心にセンターマークを付けます。

Rope_4
(乾燥するまでは適当な台に乗せておく)

出来ればここはフェルトペンなど溶剤型のインクでなく、専用のロープマーカーを使いましょう。

Rope_8
(ロープ専用の“ベアール/ロープマーカー”)

画像にある“ベアールのロープマーカー”は1,620円(税込)とただの染料インクとしてはバカみたいに高価なのですが、非溶剤系の染料でロープの強度を損なわないというロープメーカーのお墨付きの製品なので、墜落してから後悔したくない方はこれを使うと良いでしょう。
まぁ、私の仲間内では以前からずっと後述のフェルトペンを使っていて、特に問題は無かったのですが・・・。

⑥それから、必用なら2本のロープが区別できるように、どちらか一方のロープの両端に目立つエンドマークを付けておくと良いでしょう。

Rope_10
(一方のロープの両端にもマークを付けておく)

もちろんこの位置には衝撃は加わりませんので、マークは普通のフェルトペンで構いません。
身近に全く同じロープが2本あると紛らわしいですし、特にこの2本を結んで懸垂支点の捨て縄に通す時、引っ張る下側のロープが識別できないと回収がし難くなってしまいますからね。

以上で終了です!

ロープは大きな墜落や目視できる損傷が無くても、毎週末使う場合なら長くても3年未満、月一回程度の使用でも最長5年位で買い替える必要があるそうです。
“沢歩き”程度ならそれほど神経質にならなくても良いとは思いますが、5~6年以上使ったロープなら折を見て買い替えを考えたほうが良いかも知れませんよ。

もし、山道具屋でアルパインで定評があり、しかも沢でも使い勝手の良さそうな細径ロープが特価で売られているのを見つけたら・・・、シェアできそうな沢仲間に即連絡し、共同で買ってしまうというのもアリだと思います。



(余談ですが・・・)

ところで・・・、センターマーク用のインクは前述の専用品がベストなのでしょうが、私同様こんなものを法外な値段で買うのは馬鹿馬鹿しいとお考えの方も多いと思います。
そこで、文具店で簡単に入手でき、使っていて比較的安全と思われる物をご紹介します。
それは“ぺんてる・タフネーム(平芯・太字)”です。

Rope_6
(㊤ベアール/ロープマーカー、㊦ぺんてる・タフネーム)

このフエルトペンは染料の溶媒に石油系の溶剤ではなくアルコールを使用しているので(多分ベアールの専用品と同じ?)、繊維に与える影響は専用品と同等だと思われます。
しかも、価格は15分の1、税込み108円で買えるんですよ!

Rope_7
(アルコール系の染料マーカーとの記載)

また、使い勝手も、ローラーがベトベトになり手も汚れる専用品より良好ですし、濡れても滲みや色落ちも少ないようです。

ロープメーカーでは、ロープにダメージを与えるインクや溶剤もあるので専用品以外は使うなと注意喚起をしていますし、私自身このフェルトペンのロープに対する安全性については全く保証できません。
また、敢えてお薦めはしませんし、万が一の場合も一切責任を負うつもりもあません。
そんな訳で・・・、使用する場合はあくまで自己責任にてお願いいたします!!。

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2015年10月26日 (月)

良く鳴る“熊鈴”を買ってみた

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(薮漕ぎ用には強度不足と考え推薦度を低く評価しました)



私は沢登りでも、出来るだけ人の居ない場所に行きたいと思っています。
しかしそんな沢には熊さんも多く住んでいるんですね。

しかも最近は人を怖がらない熊が増えてきたと聞きますが・・・、そう言えば一昨年行った鷲羽・三俣から双六の巻道あたりのメイン縦走路でも、所々に熊除けに鳴らす一斗缶が設置されていました。

まぁ、このところ山行回数も減ってきましたので、幸いにここ4年ほど近距離で熊と遭遇した事はありませんが、この夏に行った東北でも笹薮の中で猛烈な獣臭を感じビビりましたし、帰り道ではホカホカの大きな熊のウ○コを踏みそうになってビックリしました・・・、知らぬが仏で、奴らがすぐ傍を歩いていたのに気付かなかったんでしょうね。

そんな訳で、沢や人の少ない山に行く時には熊さんとの不幸な出会い頭での遭遇を避けるために熊鈴とホイッスルは必携の道具です。
私も昔はザックにチリンチリンと五月蠅いベルを付けるのは好きではなかったのですが、現状では背に腹は代えられませんからね。

現在は自作のザックに吊るしても良く鳴るように改良した鈴を使っていますが、過日ネットの宣伝を見ていたら鈴全体がカバーされて身体やザックに接していても良く鳴る熊鈴というのをを見つけました。
それは“東京ベル製作所”という率直な名前のメーカーが作っている“森の鈴/TBKC1”という製品です。

私も以前に上記リンクにある改造熊鈴を作った段階で同様なアイデアは持っていたのですが、さすがに1個モノでカバーを削り出すのも面倒だと諦めていました。

既製品で売っているなら作る手間も要りませんので早速購入です!

届いた熊鈴は、下の画像のように洗練されたデザインで音も良く響き、身体に接触しても響きは妨げられません。

Bb_3
(樹脂のカバーで全体が覆われ、身体やザックに触れてもOK)

しかも、現在の私の熊鈴だと開けた場所に出てもチンチンうるさくて、控えめな性格の私には恥ずかしくてしょうがありませんでしたが、この熊鈴はワンタッチで音をストップできる機能が付いているとの事です。

Bb_8
(錘の部分がロックされ鳴らないようにすることも可)


そんな訳で、早速購入です!

画像↓のように吊り下げ部に切替機構があり、リングを引く度にON/OFFの切替ができるようになっています。

Bb_5

ただし、切り替え部は樹脂製で細いワイヤーで吊り下げられる構造(画像↓)なので薮漕ぎなどで灌木に引っ掛ったら容易く壊れたり千切れてしまいそうで心配です。

Bb_6

まぁ、仕組み自体は良さそうなので、使ってみて強度不足だと判断したら自分なりの改造をしてみようと思います。





【余談ですが・・・】

今年は早くも9月末の沢が不本意ながら私の“沢納め”となりました。
実はその時、今回ご紹介した熊鈴のテストをしようと考えていたのですが、間が悪いというのか、肝心の熊鈴を家に忘れてきてしまったのです。

沢自体は癒し系だったのですが、詰めの笹薮では参考にした記録とは異なり結構苦労させられました。
クマザサに絡んだ蔓は秋になると固くなり、それが身体に絡まるとなかなか前に進めないのです。

そして、傾斜も緩みあと一登りで登山道か?という時点で・・・、運悪く、何とホカホカ(実際に触ったわけではないのですが・・・笑)の熊のウンチを発見してしまったのです。
しかも今回は新兵器の熊鈴を忘れていたし、ガチャは既にザックの中です。

仕方なく、大声でコールしながら薮を漕ぎ続けました。
人気の山域とは言え、平日だし登山者はそんなに多くないだろうと考え、「ホォ~~ホッ!!」とか「ファイト~~!!」とか「熊さ~ん、こないでね~!」とか、とにかく大声で叫んで薮を掻き分けていたところ、程無くヒョッコリ登山道に飛び出しました。
しかし・・・、その登山道には予想外の人数の登山者の列が・・・。

平日にこんなに人がいるなんて・・・、人気の山を舐めていました。
突然出っくわした相手も、薮斜面の下の方で大声で意味不明の叫び声が続いていると思ったら、小汚い老夫婦が薮の中からヒョッコリと目の前に現れたのですからさぞびっくりした事でしょう。

私達も、“薮の中で意味不明の叫び声を発する頭のおかしい奴等”だと思われるのも不本意なので、訊かれる前に「いや~、沢登りで薮を漕いでいたら、新しい熊の糞があって、しかも今回は熊鈴を忘れたんで、仕方なく叫んでいたんですよ~!」などと、取って付けたような言い訳をしてその場を取り繕わざるを得ませんでした。

皆さん、秋の沢には熊鈴を忘れないようにしましょう!

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2015年9月22日 (火)

“ROPEMAN 2”を小改造!

便利度 :★★★★☆
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆


初級者を含む3~4人以上で沢に行く時、ロープを必要とする滝で一々後続を確保していると時間掛かってしまいますよね。
そんな時はトップが登った後、後続はフィックスにロープクランプを噛ませて登った方が、ゴボウで登るより安全でスピードアップもできます。

とは言え、沢ではグリップのある所謂ユマールタイプでは大袈裟なので、小型のロープクランプを使う場合がほとんどですが、そんな製品の中でロングセラーとして定評があるのがワイルドカントリーの“ROPEMAN 2”でしょう。

以前のROPEMAN MKⅡ(紛らわしい名称ですね)もまだ現行商品のようですが、このマイナーチェンジモデルも基本的には以前と同じ構造ながら、鍛造ボディーで強度を増し、より細径のロープにも対応できるようになったとのことです。

Rm2_1
(“ROPEMAN 2”にも一応ワイヤーは付いているが・・・)

最近はプーリーと兼用になったり、テープでも固定出来たりと、より高機能な新製品も発売されましたが、私的には沢登りはシンプルイズベストだと考えていますので、今回の買い替えも迷わず新型の“ROPEMAN2”を購入しました。
ちなみに、同社のより軽量な新しいモデル“ROPEMAN 3”はリコールが掛かっています。

さて、以前のモデルからこの製品には落下防止のワイヤーが付いているのですが、これがイマイチ使い勝手が悪いので前回と同じように改造することにしました。

画像を見ての通り、“ROPEMAN2”と組み合わせて使うロック付きカラビナと細いワイヤーで連結し直しただけですが、こうしておくとセットする時も、とても簡単で、誤って落下させることもまずありません。

Rm2_6  Rm2_7
(このようなワイヤーに交換すると使い勝手が格段に向上する)

(補足ですが、ロープマンで使うカラビナは画像のように断面の形状が真円に近く、なるべく太い物が良いでしょう。最近は軽量化のため異形断面のカラビナが主流ですが、ロープマンの場合はロープにセットした時カラビナが機能部品の一つとして働きますので、効果と動作の安定を考えるとオーソドックスな形状のカラビナがベターだと思います。)


落下防止ワイヤーの加工は、自作のダイスと改造油圧プレスでステンレスワイヤーと銅のスリーブを圧着し、熱収縮チューブでカバーしました。

Rm2_3  Rm2_2
(銅製のスリーブを圧着する)

また、末端は組み合わせるカラビナの太さに合わせて塩ビチューブを通したアイに加工して、カラビナから外れにくくしておきます。
使用するカラビナにギリギリ通る大きさの輪にして、ゲートの下部の位置まで通しておけば操作に支障はありません。

こうしておけば誤って落とすこともありませんし、ロープに固定する時もワイヤーでカムを引きながら楽にセットできます。

Rm2_9  Rm2_8
(㊧本体取り付け部、㊨カラビナ固定部)

工作はやや面倒ですが、こうしておけば“ROPEMAN 2”の性能を十分引き出せるはずです。

また、ワイヤーのスゥェージング加工は、今回ご紹介した特殊なツールを使用しなくてもハンドスゥェージャーや汎用のプライヤーを使っても何とかなると思いますので、興味のある方はお試しください。

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2015年9月 8日 (火)

“サワークライム・シットハーネス”にハンマーホルスターを!

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(自作したホルスターについての評価です)



以前の記事にのように、私が今シーズンの沢登り用に新調したのが、モンベル(ゼロポイント)の沢用ハーネス“サワークライム・シットハーネス” です。

本体とレッグループの素材にモノフィラメントメッシュを使った、水を含みにくい沢専用のハーネスで、まあまあ使えそうなハーネスと言う印象です。(画像↓)

Ecinfo_002_04360

しかしながら、この製品も他のハーネス同様ハンマーホルスターが取り付けにくいのです。
まぁ、市販のハンマーホルスター全般に言えることですが、沢用の小型ハンマー(私はMIZOの“チコ”を使用)には些か大き過ぎ、装着してもブラブラして安定しません。

そこで、前回と同様、自分のハンマーに合わせた大きさのホルスターを作り、ハーネスに直接縫い付けるという対応を取る事にしました。

構造は画像をご覧いただければ一目瞭然だと思います。
50㎜幅のナイロンテープを二重の輪に縫い、薄手のテープでハーネスに縫い付けただけで完成です。
取り付ける位置は、自分体型を考慮し、動きの妨げにならず、かつ即座に抜き出せるような位置を選びましょう。

Mbsh_5
(輪の大きさはハンマーに合わせて任意に設定

今回もハンマーのシャフトに合わせた輪の太さで作りましたので、ブラブラする事も薮に引っ掛って容易に落ちてしまうこともなく、使用する時にはサッと取り出す事が可能です。

Mbsh_3
(ハンマーと自分の体型に合わせた専用設計なので使い勝手は好い)


ハンマーホルスターは必要な道具でありながら、なかなか良いモノが市販されていませんので、無いなら自作あるのみです!

簡単な縫製ですので是非皆さんも作ってみてください。

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2015年8月 7日 (金)

キャラバン“KR_1R”のメンテナンス

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(“KR_1R”の製品としての評価です)


最近ラバーソールの沢靴がそのシェアを伸ばしているようです。
私はフェルト底も好きなのですが・・・、日帰りの短い沢の場合、入渓から下山まで履きっぱなしで済むラバーソール沢靴の使用頻度が高くなっています。

また、一時期“アクアステルス”の独壇場だったラバーソールも、最近モンベルの“アクアグリッパー”やビブラム社の“イドログリップ”などが次々に市場に参入し、しかもその何れもが性能においてはほぼ互角と言うレベルまで達しており、自分の志向や好みでラバーソールの沢靴を選べるようになったのも好ましい傾向だと思います。

まぁ、好き嫌いもあるかも知れませんが、沢の状況や時期によってフェルトとラバーソールを使い分けるというのが、これからの沢屋のあるべき姿という事になるのでしょうかね・・・。(?)

3rs_1
(㊧“サワートレッカーRS”、㊥“奥利根アクア”、㊨“KR_1R”)

さて、私が現在使っているのはキャラバンの“KR_1R”というラバーソールの沢靴ですが、何度か使ってみて気になった点や、少々のメンテナンスを要した点もありましたので今回はその報告をしてみたいと思います。

この沢靴の甲(アッパー)部分の造りは、発泡プリント補強のあるメッシュ素材で、縫製もポリアリレート系?の糸を使用しているため、基本的には十分な強度を持っています。

しかし、この記事を書いた実働30時間位の段階で下の画像のようにメッシュ部分が擦れて穴が開いてしまいました。
歩き方も悪いのでしょうが、ちょうど発泡プリント補強の無い部分が弱点になったようです。
水捌けの問題もあるのでしょうが、補強の形を工夫するか、素材自体を変更する必要もあるかも知れません。

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(数日の使用で靴の内側に穴が開いてしまった)

このままでは穴が大きくなってしまいそうなので早速リペアしました。
先ず内側にガムテープを貼り、表面もマスキングして“SHOE GOO”を擦り込み、乾かないうちにマスキングを剥がして1日乾燥すればOKです。

Sbr_14
(今回使用した“SHOE GOO”㊤と、製靴用の“ダイアボンド”㊦)

㊟“SHOE GOO”はたぶんシリル化ウレタン系の非溶剤型の接着剤だと思いますが、沢靴やネオプレーンの沢用脚絆の修理だけでなく、普通の靴の修理にも使えますので一つ持っていると便利です。
一方“ダイアボンド”は旧来型の溶剤型の合成ゴム系接着剤で、昔“バンジャク”という商品名だった製靴用の接着剤と同じような物です。
ホームセンターで売っている普通の合成ゴム系ボンドより乾燥後の柔軟性が高く剥がれ難いようなので靴用にはこれを使いましょう。
また、フェルトソールの張り替えなどの時には“ダイアボンド”の缶入りの物を購入すると量的に余裕を持った作業ができて安心です。



体裁は悪いのですが、この黒い“SHOE GOO”は経験上最も強度があり、しかも水にも強いので見栄えの悪いのは我慢しましょう。

Sbr_10
(見栄えは悪いが取り敢えずリペア完了!)

さて、次に気になったのが爪先部分のソールの剥がれです。

この爪先部分は凝った造りになっていて当初のレポートで好評価だった部分なのですが、何故か数日の使用で剥離が始まりました。
当座は問題無く使えても、このまま剥離が進行すると何時か沢の途中でソールがベロ~ンと剥がれてしまうかも知れませんので今のうちにリペアしておくことにしました。

Sbr_8
(爪先部に剥離が発生!)

まず、剥離した両面の汚れを取り除いた上で、尖った精密ヤスリやキサゲ状の物で表面を荒し、製靴用のダイアボンドを塗布して接着し、ハンマーで叩いて密着させます。
続いて、駄目押しの補強として、リューターとドラムサンダーでコバの表面を接着剤の乗りが良くなるよう荒し、その面に“SHOE GOO”を塗布しておきます。

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(剥離部の保護のため表面を荒らしてから“SHOE GOO”を盛る)

乾けばリペア完了ですが・・・、これでまだ暫くはこの沢靴が使用できそうですね。

それから、この沢靴はソールの張り替えも可能なんだそうですが・・・、アッパーの消耗も早い沢靴という事情を考えると、メンテナンスしながらギリギリまで使用し、総合的な限界を感じた時点で新しい沢靴に買い替える、と言うのがコスパの面で賢明な方法ではないかと考えます。


諸般の事情で、今シーズンあと何回沢に行けるかは分かりませんが、シーズンが終わった時点でこのリペアの結果がどうなったか、あらためて報告をしてみたいと思います。


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2015年7月 3日 (金)

モンベルの沢用ハーネスって、どうよ?

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(製品としての評価です)


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(今年はこれを使います)


私は現在、“沢登り”と言うよりは“沢歩き”と言った方が正しいような沢にしか行きませんが、それでもハーネスは可能な限り装着するようにしています。

“スワミベルト”と呼ばれるウエストだけの物でも、通常の懸垂下降ぐらいはできますのでこれでも良いのですが、どうせ持って行くのなら・・・と言う理由で、ほとんどの場合私はレッグループのあるシットタイプのハーネスを使用しています。

これまで、小型軽量であるという理由で、BD社の“クーロアール”を暫く使っていましたが、この製品は確かに軽くてコンパクトなのは好いのですが、使っていてイマイチな点も少なくありません。

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(昨シーズン使っていた“クーロアール”)

その第一はバックルです。
折り返したベルトをバックルに通す操作がきつく着脱がとても面倒で、行動中に再調整するのも一苦労ですし、突然大キジを打ちたくなった時(笑)などかなりイライラします。(女性は男性以上に苦労すると思いますが・・・)

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(操作が面倒なBD㊧と、使い易いアーク㊨のバックル!)

他社、例えばアークテリクス製ハーネスのバックルは見た目は似ているのに着脱や調節は簡単です。
ハーネス訴訟のトラウマが尾を引いているとはいえ、BDともあろうものがなぜもう少し簡単で確実なバックルを製品化できないのか、不思議でなりません。

もう一つの問題は、素材のテープの幅が細くて軟らかいという構造自体の問題か・・・、少量のガチャなどをラックに掛けただけで、全体がズリ下がってしまう事です。(まぁ、この責任の半分は私のメタボ体型にあるのと思われるのですが・・・)

そんな訳で、現役の“クーロアール”も大分くたびれてきましので、沢用の軽量ハーネスでもう少しシッカリとした物は無いか?、と探していた時に目に留まったのがモンベル(ゼロポイント)の沢用ハーネス“サワークライム・シットハーネス” という新製品でした。

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(サワークライム・シットハーネス / メーカーサイトより拝借!)


宣伝文句によると、本体とレッグループの素材にモノフィラメントメッシュを使った、水を含みにくい沢専用のハーネスとの事ですが、(詳細は上記メーカーサイトのリンクをご覧ください)製品の紹介文を見る限りでは結構好さそうです。

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(悪く言えば“網戸”のようなメッシュ素材でできている)


早速購入してみましたが、実際に少々使った限りでは、少なくともBDの“クーロアール”よりもバックルの着脱が楽で、スワミベルト本体に剛性感があるためズリ下がりも少なそうですし、同じくBDの“アルパインボッド”よりも小さく畳め嵩張りません。
強いて言えば、気になるのは沢用の場合ビレイループが短すぎると感じる事位でしょうか。

ただモノフィラメントメッシュの耐久性については些か心配はありますので、詳細は追ってご報告するとして・・・、現在まで使用した感想では、見た目よりもシッカリしていて、ズリ下がりも比較的少なく、沢用として十分納得のできる製品という印象でした。

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(使用中の画像はこれしかありませんが・・・)

とは言え・・・、『山道具道楽』の私としては、このハーネスを無改造で使うほど素直な性格ではありません。(笑)

そこで、他のハーネス同様ハンマーホルスターが取り付けにくいこのハーネスに、専用のハンマーホルスターを作って取り付けてみる事にしました。

(以下、続く・・・かも?)

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2015年4月27日 (月)

沢用の小型ギア・メッシュバッグを作ろう!

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆

多くの沢には入渓点までの長くて暑くてメジロの執拗な攻撃に苦しむ面倒なアプローチが付いてきます。

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そして入渓点で沢支度を整えるのですが、その時もたもたするとアプローチにウンザリした仲間から顰蹙を買うかも知れません。

そんな時便利なのが、ハーネスからガチャ類、またネオプレーンの脚絆や軍手まで沢の装備一式を入れておけるメッシュバッグです。
あらかじめ一纏めにしておけば、ザックからバッグごと取り出してすぐに沢支度に取り掛かれるからです。

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(沢装備一式を一纏めにしてザックの上部に収納)

私は以前からロープバッグや今回ご紹介するような小型のギアバッグを丈夫なナイロンメッシュ素材で作って便利に使用しています。

工作は簡単で、丈夫なメッシュ生地を任意の寸法に裁断して、口を巾着状に絞れる袋状に縫製し、最後にナイロンテープの取っ手を取り付ければ完成です。

Gb_2  Gb_5
(取っ手とコードロックを取り付ける)


今回の例では工業用腕ミシンと8番の糸で縫製しましたが、普通の家庭用ミシンでも30番の“キングレザーミシン糸”を使用し、バータック縫いを併用すれば十分な強度を確保した縫製が可能です。(私も以前はそれで縫っていました)

Gb_1
(これほど頑丈でなくても実用性は十分)

また、本来の用途の他、縫い付けた小さなループを利用してザックの本体やショルダーに取り付ければ、φ8×30m位までのロープなら収納して行動してもさほど邪魔になりません。
また、薮々の斜面を懸垂下降する時もこれをロープバッグ代りにして腰から提げ収納したロープを繰り出しながら降りれば、投げたロープがブッシュに絡まって苛々することも少なくなるでしょう。

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(取っ手とは別にカラビナの掛かる小さなループを取り付けておこう)


私は、今回作った物以外にも以前から気が向いた時に大小幾つか作ってみましたが、それぞれ便利に使用しています。(画像↓)

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その他、ビールを冷やすのに使うのは当然として・・・、荒業としては玉葱袋のように釣った渓魚の活かし魚籠にしたり、メッシュに入れたまま魚をゴシゴシしてヌメリを取ったりするのにも使えます。

ただし、これをやってしまうと匂いが取れなくなるので、自分のものではやらないほうが無難ですが・・・。(笑)




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2014年11月 6日 (木)

“キャラバン”の新しい沢靴を買う時は・・・

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆

私はずいぶん前から、フェルトソール、アクアステルスソールを問わず、自分の足と相性の良かったキャラバン製の沢靴を愛用しています。

Kr1r
(現在使用中のキャラバン“KR1_R”)


特に最近はアプローチから下山まで履きっぱなしで済むアクアステルスソールの沢靴を使う機会がかなりの割合を占めるようになってしまいました。

しかし、過日アクアステルスソールを製造している“5.10社”が大手某A社に身売りをした関係で、キャラバンに対するアクアステルスソールの供給が停止されるとのインサイダー情報(笑)を得て、これは大変と衝動的に旧モデルのキャラバン製アクアステルス沢靴のストックを探して購入してしまいました。

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(慌てて買ってしまったキャラバン“飯豊AQUA”)

しかしそれも杞憂だったようで、今シーズンキャラバンはビブラム社の開発した“イドログリップ”という新しいウェットコンディションでも防滑性能の高いソールを使った新しい沢靴の販売を始めたのです。

旧モデル“アクアステルス”の買い置きが有るとはいえ、この新しい沢靴は山道具道楽にとって実に魅力的な興味の対象(≒ブログネタ)です。
そこで早速購入!

しかし・・・、この時点で私も手術やら治療やらで暫く沢に行ける状態ではなくなり、やっとテストできたのが水が冷たくなる時期になってからでした。

そんな訳で“イドログリップ”ソールの使用感については前回の記事をご覧いただくことにして、今回は遅れ馳せながらキャラバンの新しい沢靴“KR1_R”についてのレビューを記事にしてみたいと思います。

まず感じたのは、アッパーは結構ペラペラでこれで1万7千円はチョット高いかなぁ?という印象ですが、よく見ると補強のラバーランドもしっかりしていてダイニーマ製の縫い糸のステッチも岩に擦れてしまいそうな位置には無く、良く考えられた、それなりにシッカリした造りの靴であることは間違いなさそうです。

靴紐はかなり細い丸紐状で、好き嫌いの分かれるところでしょうが取り敢えずは良く締まります。
この細さだったら以前の同社の沢靴“丹沢”のようにコードロックを付けてくれてもよかったんじゃないかと思いました。

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(ペラペラな印象だがソールはガッチリした造りだ)

肝心の“イドログリップ”についてはまだ2回しか使っていないので耐久性については何とも言えませんが、私が使った限りでは総合的にまずまずの性能に仕上っていると思います。(画像↓)

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また、アクアステルスソールと違い、トーからインサイドにかけての外縁部が厚くなっている、いわゆるクライミングゾーンが設けられています。
気休め程度かも知れませんが、細かいホールドに立ち込む時には有効かもしれません。

Scboots_4
(㊤“イドログリップ”、㊦“アクアステルス”)

また、これと併せてフォームラバーのミッドソールが爪先部分のみ硬いラバーとのコンビになっています。
これもこれまでの沢靴には無かったことで、細かいホールドに乗った時や、長いアプローチや下山に使った時の耐久性に良い影響をもたらすはずです。

Scboots_5
(㊤“KR1_R”の爪先部分、㊦“キャラバンの旧タイプ”)


それから、現在キャラバン製のアクアステルス沢靴“黒部AQUA”や“飯豊AQUA”を履いていて、これから新しい沢靴として“KR_1R”に買い替えようと考えている方に重要なアドバイスがあります。

それは、これまでお使いのサイズと同じものを買えばOKと考えず、必ず試し履きをしてもらいたいという事です。

理由は従来のキャラバン社の“黒部”や“飯豊”のラスト(木型)は3Eワイズで、しかも釣り用のストッキングウェーダーやネオプレーンのソックスやを履いてジャストサイズになるよう、呼び寸法より1サイズ近く大きめに作られていました。
それに対し、“KR_1R”は足の長さでは従来同様大き目ながら、幅がやや細めの2Eのラストに変更されたからです。
従来モデルでも、より登攀用的性格の強い“大峰AQUA”などは2Eワイズのラストだったようですが、“KR_1R”はこれよりもさらに細めな印象です。

下の画像でも“KR_1R”は以前の“黒部AQUA”よりサイズが0.5大きいのに以前のソール幅が実測で1㎝以上細めなのがお判りだと思います。

Scboots_8 Scboots_9
(㊧“KR1_R”の26.5㎝、㊨“キャラバンの旧タイプ”の26㎝、10㎜以上幅が違う)

スニーカーサイズ26.5㎝の私が従来のキャラバンの沢靴を選ぶときは、中厚のソックスを履いても半サイズ下の26.0㎝で丁度だったのに、“KR_1R”の26.0㎝を試し履きした時にショップでずいぶん悩んでしまいました。

特に私の場合左足が脛骨骨折後遺症による浮腫のため右足より体積が大きく、従来の3Eの沢靴だったら26.0㎝でジャストだったのに、幅が狭くなった、“KR_1R”だとこれではやや窮屈なのです。

そこで暫し悩んだ結果、今後はシビアな沢に行くことも無いだろうから爪先の捨て寸が大き目でも問題無いだろうし、アプローチや下山時の歩行の快適性も考え、結局26.5㎝を買う事にしてしまいました。

つまり、スマートな足の方は以前の3Eの製品と同じサイズを購入しても、よりホールド感が向上したと感じるでしょうが、足の幅が広い方では半サイズ大きくしないとキツク感じるかも知れないという事です。

私の場合も、以前より0.5大きいサイズにしたのですが、初めての使用の際に小指の側面にマメができて痛い思いをしました。
(初めて使用した後に自作ピンチクリアーで矯正したせいか、あるいは足が慣れたかは定かではありませんが、2回目の沢では10時間行動の後でも特に足に問題は起こりませんでしたが・・・。)


そんな訳で、足型によってはこの新しいキャラバンの沢靴は、従来の同社製の製品と比べ、足との相性が少々異なりますので慎重に履き比べてもらいたいと思います。

以上、短い使用経験からの拙い報告ですが、来期に沢靴を新調しようと考えている方の参考になれば幸いです。

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2014年10月11日 (土)

沢登りのビレイに“MICRO JUL”はどうだろう?

便利度 :★★★☆☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★☆☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆


病気療養のため、今年の私の“沢シーズン”は9月下旬から始まり、2回行っただけでもうすでに終わっちゃいました。
そんな訳で、またぞろ季節外れの記事になっちゃいますがご容赦ください。


さて・・・、沢登りにはなるべく軽くてコンパクトなロープが好いだろうという事で、φ8㎜程度のダブルやツイン用のダイナミックロープや、“ヒルウォーカー・ロープ”  やハイキングロープなどと呼ばれる登山用の補助ロープを使ったり、さらに登攀的な要素が無い沢の場合は渡渉やラペル專用にもっと細いダイニーマロープなどを使う事もあります。

Microjul_5
(㊤登山用φ8㎜補助ロープ、㊦ダブル/ツイン用φ7.8㎜ロープ)

また、多少の滝攀りのある沢の場合でも、本来は禁止行為なのですが、ダブル用のダイナミックロープをシングルで使っちゃう事だってありがちな事です。

また、大きな声では言えませんが(笑)、私の場合も結構いい加減で、連れ合いのフォロー用にロープを引っ張って滝を登る時はビレイを当てにしないという前提で動いているというのが正直なところです。
沢ではシッカリした中間支点が得られない場合も多く、ほとんどランナウトになっちゃいますしね。

Cc
(今回行った癒し系の沢でも一箇所嫌らしい滝が・・・)

現実問題として水量の多い沢での確保の場合は、転落水没したパートナーを浮上させるため、即座にロープを繰り出して安全な場所まで流せる方法を採らねばなりません。

そんな場合は、確保器具など使わず使わず、不確実だが自由度の高い昔ながらの肩絡み確保などの方法を選んでだ方がかえって安全な場合だってあるはずです。

また、元来沢登りはプリミティブな遊びですから、あまり道具に頼らず、少ない道具を応用力でカバーしながら行動することを楽しむ、というのが本筋かも知れません。

しかし・・・、それじゃあ『山道具道楽』としての立場が無くなりますので、普通の沢での滝登りの場合に、可能な限り安全にリードを確保するための道具とはどんなものだろうか・・・?、と考えてみました。

・・・で、リードの確保に沢用の細めのロープをシングルで使った場合でも、落ちた瞬間に大きな制動力が働き確実にロープをロックでき、しかも軽くシンプルなビレイデバイスはあるだろうか?と考えていた時に目にとまったのがEDELRID社の“MICROJUL”という製品です。(画像↓)

Microjul_1 Microjul_2


これは、日本ではまだあまり使われておらず、また安全基準も定められていないないハーフロープよりも細い、ツインロープ用のデバイスで、φ6.9㎜なんていう、私のような頭の古い人間には信じられないくらい細いツインロープを使う事をも前提で造られている確保器具です。

Mgj_2
(“Mega jul” と “Micro jul” のロープ径適合表)

スペックを見たらシングルでも8.9㎜から使える事になっていたので、ダブル用の8㎜や7.8㎜ロープ一本でも、通常の確保器よりは確実にロープをロックしてくれそうです。

Microjul_4
(Φ7.8㎜のダブル/ツイン両用ロープでの使用状態)

そんなわけで・・・、早速入手してみました。

普通のビレイデバイスがアルミ合金なのに対しこれはステンレス・ダイキャスト製で、薄くても強度と耐久性が保てる材質のため外見は非常に小振りで、同社の“MEGA JUL”をそのまま一回り小さくした感じです。

このデバイスの特徴はカラビナに掛けるワイヤーループの一部に青いプラスチックでカバーされた指を掛ける部分が設けられ、ここに指を掛けて保持することでロープ繰り出しの際にカラビナと確保器の間隔を離してロープの流れをスムーズにしようという工夫がされているというものです。

ただし、外見はカッコイイのですが仕上げは雑で、特にロック解除用のカラビナを通す穴の部分は薄くて鋭角の角がありました。
このままでは梃子にするカラビナが傷ついてしまいますのでリューターと回転砥石で面取りをしてからシリコンバフで磨いておきましたが、ついでにその他の気になるところもシリコンバフなどで平滑に仕上げておくと良いでしょう。


さて・・・、現在の私は病み上がりだし歳も歳ですから、癒し系の沢にしか行けないのですが、そんな沢にも期待に反してピリッと辛い滝の一つや二つはあるものなので、早速使用することになってしまいました。

Mjb
(判り難いが・・・、ビレイループから下がっている青いのが“MICRO JUL”)

実際にリードの墜落を止めたわけではありませんから何とも言えませんが・・・、細径のロープをシングルで使っても“ルベルソ4”などのバケット型デバイスよりはビシッとロックしてくれそうな感じはします。

しかし、この機種の新機軸として設けられた指を掛けてカラビナから離した位置でデバイスを保持してロープの流れをスムーズにできるはずの仕組みも、この超小型のビレイデバイスと濡れたロープの組み合わせだと期待したよりロープの繰り出しがスムーズではありませんでした。

また、フォローの確保やラぺリングの際、ロープをロックさせることができますが、“MEGA JUL”と異なり“MICRO JUL”のロック解除用カラビナを掛ける穴は小さく、私の手持ちのほとんどのカラビナではゲートが閉まらないのです。
これじゃあ操作中にカラビナを落っことしてしまいそうですね。

Microjul_3
(梃子にするカラビナのゲートが閉まらず不安定!)


“MEGA JUL”をそのまんま相似形で小さく作ったのが原因なのでしょうが、この穴はまともな設計者ならもう少し大きめに作るはずだと思います。
率直に言って設計不備ですな。

それから、“MICRO JUL”を支点に固定し(画像↓)、ワンウェイロック的にフォロー用の確保をすることもできますが、実際にやってみたところ、ルベルソ4などでは簡単なはずのこの操作が、恐ろしくスムーズでなく、すぐに他の方法に変更せざるを得ませんでした。

しかし、「そんなはずは無いだろう?」と、家に帰ってからマニュアルを読み直すと、なんと・・・、私が使い方を間違っていたことが判明!
この“MICRO JUL”でフォロアーの確保をする時は、リード確保の時とは反対側からロープを通さねばならなかったのです。

この確保器のロープの通し方は“ルベルソ4”“ATCガイド”のフォロアー確保モードとは裏表逆ですから、以前の確保器に慣れていると無意識に同じ方法を採ってしまうので、初めて使う場合は要注意です。

Mgj_1
(マニュアルはよく読まないとね!汗)

先に述べたように、このタイプのバケット型確保器を支点に固定してのフォロアーの確保は、独りで2人同時確保ができて多人数パーティーの時は大幅な時間の節約ができます。

ただし、墜落者が流水中に没してしまう事が考えられる場合には、ムンターヒッチを含め解放に時間の掛かるオートロック式の確保は危険ですので、近くの支点を経由したグリップビレイや肩絡みなどの古典的な確保、または8環による確保を試みたほうが良いでしょう。


結論から言えば、私の勘違いもあり沢では期待したほど使い勝手は良くありませんでしたが・・・、確実なストップとロープの流れの良さという相反する条件はそう簡単には両立しないという事なのでしょう。
とは言え、機器の特性を理解して少々使い慣れれば、細径シングルロープでも滑落程度なら確実にストップさせられるビレイデバイスとして十分実用的だと思います。

とは言いながら・・・、まぁ一般論として、“MICRO JUL”より一回り大きめのシングル/ダブルロープ用の“MEGA JUL”でも、通常より細径のロープでもより確実にストップさせられそうなので、ロープ操作の容易さ、あるいは汎用性という観点から、沢でもこちらを選んだ方が良いかも・・・、と言うのが私の結論かなぁ?。

〈補足〉
●“ヒルウォーカー・ロープ”など登山用の補助ロープには「クライミングには絶対に使用しないでください」と注意書きがありますが、これは日本ではまだツインロープ用の安全基準がありませんし、例外を除き通常φ8㎜以下の物は補助ロープの範疇とされるからです。
しかし、それらの補助ロープもパッケージよく見るとダブルやツイン用のダイナミックロープとしてUIAAの基準をパスしている物がほとんどだと思います。

●しかし、だからといって私はこの記事においてダブルやツイン用のロープをシングルで使用することを推奨するものではありません。
あくまで大きな墜落や鋭利な岩角の無い沢登りの補助として使う場合に、私自身が危険行為と承知で自己責任で使っているというだけの話です。
私自身も、沢登りとは言えφ7.8㎜ロープ一本だと、リードには不安を感じますので、できたら真似をしないでもらいたいとも思います。

●また、ロープの長さは癒し系の沢でも20メートルでは苦しい場合もありますので、難しくない普通の沢でも30mはあったほうが安心です。
それから、3人以上のパーティーの場合は30mを2本持って行けばフォローの2人同時確保で時間を節約できますし、万が一の事故や撤退にもほぼ対応が可能でしょう。

●また30mのヒルウォーカーロープを購入する以外にも、60mのダブル用のダイナミックロープで、アイス用の細めの物を共同で買って、半分に切って二人でシェアするというのも良い方法だと思います。





【余談ですが・・・】

体調が完全に回復すればの話ですが・・・、今後試してみたいのはEDELRID社の“FLYCATCHER - φ6.9㎜”みたいな極細のツインロープの60mモノを個人輸入して、滝を直登する時にはツインの30mとして使用する事です。

これだったら“MICRO JUL”も本来の機能を活かせそうですし、なにより禁止行為には該当せず安全な上、懸垂下降時にも30m目一杯使えますから・・・、結構面白いと思うんですが・・・。

誰かやってみませんか?

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2014年10月 1日 (水)

出揃ったか?、ラバーソールの沢靴

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆
(3種類とも実用上の差は無いようです)



3rs_1
(“サワートレッカーRS”、“奥利根アクア”、“KR_1R”、三役揃い踏み)


十年ほど前から沢登り用の靴にラバーソールが使われるようになりました。
クライミングシューズでは定評のある5.10社が製造しているアクアステルスソールという濡れた岩でも滑り難いコンパウンドの配合された素材がリリースされてからのことです。
沢の中だけでいえばラバーソールはフェルト底には敵わないのですが、乾いたスラブやアプローチから下山までを総合的に考えれば、ラバーソールが有利になる場合も少なくありません。

そして、このジャンルは長らくアクアステルスソールの独壇場だったのですが・・・、アクアステルスソールの他社への素材提供が無くなったせいか?、最近新たにこの市場に参入するメーカーが複数出てきました。

キャラバンのラバーソール沢靴も、アクアステルスソールの供給が停止された後、ビブラム社の“イドログリップ”に切り替えてリバイバルし、モンベルも前回の手痛い失敗の経験を活かし、新しい“アクアグリッパー”というオリジナルの防滑素材でラバーソールの沢靴をリリースしたのです。

そんな訳で、病気治療の一段落した私は、ポンコツとなった身體に鞭打ってこの3種類のソールを試しに、水の冷たくなった秋に今シーズン2回目の沢に行ったので、今回はそのレポートをしてみようと思います。

Scboots_2  Scboots_1  Scboots_3
(㊧“アクアグリッパー”、㊥“アクアステルス”、㊨“イドログリップ”)

と言っても、私に脚が3本あるわけではないので、あくまで同行者の感想である事をご容赦ください。

“アクアステルス”ソールは現在も5.10社の“水遊び系の靴”にも使われていますし、先駆としての評価が定まっています。
また、キャラバンの“奥利根アクア”も“飯豊アクア”同様、ごく標準的な沢靴なので、これをベンチマークとして比較してみます。

まず、今回私の履いた“イドログリップ”ソールのキャラバン“KR_1R”については靴自体のラストが従来とは変わったため、履き心地は使用する方の足の形により評価は分かれるでしょう。(後日詳細記事をアップする予定)

足の裏の感覚は硬めで、ネオプレーンの沢足袋のようにダイレクトに凹凸を感じ取れるようなソフトな感覚が好きな人には向かないかもしれませんが、私はもう微妙な足裏感覚を要求されるような登攀はしませんし、ラバーソールの場合はアプローチから下山まで沢靴のまま通すという流儀ですので、むしろこの位底が厚く硬めの方が好ましい気がします。

ソール自体のグリップは、“アクアステルス”ソールと遜色無いように感じました。
また、秀山荘オリジナルの“忍者”も“アクアステルス”から“イドログリップ”にソール素材が変更されましたので同様な性能ですから、足裏のダイレクトな感覚が好みの方はこれを選べば良いと思います。

Scboots_7
(私が試した“イドログリップ”ソールの“キャラバンKR_1R”)

そして、モンベルの“サワートレッカーRS”は、軽くてソール全体が薄く、沢足袋感覚で使用できそうですが、アプローチや下山等長期間の歩行を含む沢旅では足が疲れやすいかもしれません。

Scboots_6
(モンベルの“サワートレッカー RS”)

また、サワートレッカーRSはモンベルの以前の沢靴同様足首部分にネオプレーンのインナースパッツが付いた構造になっています。
確かに砂等の侵入は防げるのでしょうが、保温には役立たないでしょうし、何より脱ぎ履きが非常に面倒で乾き難く、インソールの着脱もとてもやり難いという問題があります。
インナースパッツの装備も悪くないのですが、付けるなら前側をベルクロなどでオープン出来る構造にすることを切に望みます。

また、“アクアグリッパー”ソールについては、他の2種類の防滑ソールの同行者と同じようなペースで問題無く付いて来ていましたので、グリップ自体は問題無いレベルに仕上がっていると思われます。


そんな訳で、沢旅の形態に合わせて選べば3者ともそれなりの効果を発揮してくれるでしょう。

しかし、昔を思えば良い時代になったものです。
選択肢が多くなるというのは好いですね。
40年前は地下足袋に草鞋(ワラジ)しかありませんでしたから・・・、長い沢旅の時はキスリングのサイドポケットの半分位は交換用の草鞋が詰まってましたし、地下足袋の特性か?シーズン初めには必ず足の爪先が真っ黒にやられて痛い思いをさせられた事を思い出します。

今は装備も良くなり、しかも軽くなったというのに、残念ながら今度は私の躰がいう事をきかなくなっちゃいましたよ。

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