カテゴリー「山スキー・バックカントリー」の記事

2009年3月 8日 (日)

“逆反り板”レビュー/スキー編(K2・HELLBENT)

便利度 :★★★☆☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★☆☆
危険度 :☆☆☆☆☆


最近のパウダーライディング用スキーは、よりファット化するのと同時にアウトラインやキャンバーの形状に既成概念にとらわれない斬新なものが次々と市場に出されるようになりました。

また、ロッカーやネガティブキャンバーといったソール形状以外にも、スワローテイルやアウトラインがコンベックスサイドカーブといったサーフボード的にパウダースノーを流体として面で捉えてターンするコンセプトのパウダースキーもリリースされています。

「こんなスキーだったら、私でも粉雪を乗りこなせそう!」・・・な気がして、一瞬“K2/PONTOON”というスキーに物欲も動いたのですが、ロコならいざ知らず首都圏に住む勤め人の身では、履くチャンスも無いままルーフボックスの中で錆び付かせてしまいそうで、さすがに理性が購入を思いとどめさせました。

しかし、一難去ってまた一難!、またまたK2からサイドカーブは通常のファットスキーと同等ながら、かなり長くて大きめなロッカーがトップとテールに設けられた逆反りスキー“HELL BENT”が発売されたのです。

Hellbent
(07-08㊧と08-09㊨のHELLBENT、かなりお下品な柄である)

「これだったら圧雪面でも通常のサイドカーブを利用してエッジを使ったターンができ、パウダーでは船底状のソール形状で浮力を得るといった、一挙両得の使い方ができるかも・・・」という悪魔の声に促されて結局・・・お買い上げ!・・・となりました。

で、この“HELLBENT”のレビューですが・・・。
ご存知のような理由で、昨年と今年の短期間しか乗っていないので、正確ではないことをお許しいただきたいと思います。

さて・・・、
まず、浮きます!。
他のパウダー専用ボードには乗ったことがありませんが、感覚的には今乗っているスーパーファットの“VOLKL/GOTAMA”と比べても桁違いといっていいほどの浮力で、特にトップを浮かせるようなテール加重を意識しなくても、普通に浮いてくれる不思議な感覚です。

また、くるくる回り過ぎる感じはありますが、軟らかめの圧雪面でしたらてターンしている限りはロッカー(逆反り)をそれほど意識しなくても普通に乗ることがでいます。

しかし、圧雪のフラットな緩斜面等で真っ直ぐ滑る時など、どうしてもスキーがキョロキョロ落ち着かず、しっかり抑えようとしてもなかなか上手く安定させられず左右のスキー同士がぶつかってしまう傾向が見られますが、これはソール形状から致しかたの無い事なのかもしれません。



と、言う訳で・・・、特に強く推薦することはしませんが、スキーエリアのロコでないスキーヤーにとっては、少なくても“PONTOON”よりは出番が多そうですから、逆反りスキーに乗って見たいと思っている都市在住のスキーヤーにとっては、無難な冒険(?)として最適な板ではないでしょうか?

また、このタイプの板でシール登行した場合、前後の押さえの効かない逆反りスキーがどのような挙動を示すのかも、私にとっては興味深かったので、この板用に自作のスプリットシールも用意していたのですが・・・・。

歩行すら困難な現状では、今シーズンはこのテストも不可能になってしまいました。(涙!)

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2009年2月16日 (月)

3アンテナ・ビーコンは買いか?(PULSE-Barryvox レビュー③)

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(少し高価なのが欠点といえば欠点)


さて、前回の記事のように1対1では抜群な探索性能を発揮してくれたPULSE-Barryvox ですが、この機種のウリでもある複数探索機能はどれだけ有効に機能するかテストしてみましょう。
少々過酷かもしれませんが、今回は1対4でテストしてみることにしました。


Ball
(テストに使用したビーコン)

発信側のビーコンはPULSE-Barryvox 1台とORTOVOX-M1 3台の計4台を使用しました。
発信状態のビーコン4台をビニール袋に包んでグランドにバラバラに放置し探索を行ってみました。

Bm1
(こんな感じで放置した)

1対1の時と同様に矢印に従って進み、位置を特定した時点でその対象をマークして既探知として切り離し、次の探索に取り掛かる・・・といった繰り返しで探査を行います。

Bm3
(複数探索時の表示)

・・・と、言葉で言うのは簡単ですが、さすがに4台を同時探索するというのは最新機種といえども簡単ではないようです。
実際に今回の複数探索テストでも矢印が一時的に正反対だったり見当違いの方向を向いたり、下の画像のように機械が考え込んでいる(?)状態になったりしてしまいました。
このような地上テストで、被探索機の位置が捜索者に目視できる状況だと、これが明らかに異常な表示だと判断できるのですが、実際の救助現場ではずいぶん混乱することは必至でしょう。

Bm4st
(機械も一生懸命考えているのでしょうか?)

地面の上でもこの状態ですから、実際のデブリの上で複数の埋没者を救助するのはやはり機器の特性に対する習熟とかなりの訓練が必要になりそうです。
最新とはいえ、魔法の機械では無い訳ですから過信は禁物といったところでしょうか・・・。


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2009年2月 3日 (火)

VOILE のクランポン・ベースメント、待望の国内販売間近?

便利度 :★★★★★
工作度 :★☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆


以前の記事で VOILE のユニバーサル・テレ・スキークランポンを絶賛しましたが、その後代理店のミヤコ・スポーツが同社の代理店を外れていたので、欲しくても海外通販以外では商品自体の入手ができなくなっていました。

Vkuto3   Vkuto2

まあ、VOILE もユニークで高機能な製品を創る会社なのですが、製造ライン自体はガレージメーカーに毛が生えた程度(失礼!)なので、海外ディーラーへの対応を大手メーカー並にこなしていくのには多少無理があったのかもしれません。
そのため、代理店もこれまで何度か替わったという経緯もあり、輸入再開も危ぶまれていたのですが、今シーズンからは“GMGサービス”(スノーガイド)が VOILE の取り扱いを始めてくれることとなりました。

そしてもう一つの朗報が、昨年までの代理店が扱ってくれなかったユニバーサル・テレ・スキークランポンのベース部分のみのパーツ販売を開始してくれたということです。

Voile_base2  Voile_base_1
(パーツは画像のような簡易包装で、赤・青の2色で供給される)

このパーツは“ユニバーサル・テレ・スキークランポン/ベースメント”という商品名になるようですが、今まで海外通販でしか購入できなかったこれが、国内の登山用品店で購入できるというのは私にとっては素晴らしいことです。

昨今は山スキーヤーでも、状況に応じて複数の板を使い分けることも少なくないと思いますが、このパーツさえ板の分だけ用意すれば、一組のクトー(クランポン)を複数のスキー板で共用することができるわけです

この製品自体のインプレッションや取り付け方法は、以前の記事をご参照いただけば解りやすいと思いますがますが、製品のタグが使いやすい取り付けゲージ(画像↓)なっているので取り付けも簡単です。

Vkutogage

ただ、付属のビスが板によっては長すぎる場合があることと、ネジのピッチが通常のビンディング・ビスと異なり、メタルが入った板でも通常のタップは使用できないことには要注意です。

38in
(センターのナイロンナットはインチ規格!!画像のように加工した 3/8in のソケットを使うと便利)

また、アルペン・ツアービンディングの一部や、直付けの3ピン・テレマークビンディングには不適合の機種もあるようですが、通常の下駄を履いたテレマークビンディングの殆どや、DINAFIT/TLTビンディングには問題なく使用できまるようです。

本当にクトーが必要になる条件下で最高の性能を発揮する優れた製品ですし、一組のクトーを複数のスキーで使い回せるようになった事で、コストパフォーマンスの点でも更にメリットが大きくなりました。
おすすめです!

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2009年1月26日 (月)

3アンテナ・ビーコンは買いか?(PULSE-Barryvox レビュー②)

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(少し高価なのが欠点といえば欠点)


まずはビーコンを1対1で探索してみました。
発信状態にしたPULSE-Barryvoxをビニール袋に入れてグランドに放置し、別のPULSE-Barryvoxで探索してみました。

Bs1  Bs2

デジタル探索可能な距離まで近づくと方向を示す矢印と距離が(画像↑)表示されるので、矢印が正面なるように方向を変えながら進んで行くだけで被探索機まで誘導してくれました。
オルトオックスのM1だと本体を左右にゆっくり振りながら発信音と距離表示を目安に進行方向を判断しなければなりませんでしたが、“PULSE-Barryvox”でしたら表示の矢印がダイレクトに探査方向を示してくれるのでそれにしたがって前進すれば自然に被探索機まで誘導してくれます。

Bs3  Bs4

そして至近距離まで近づくと自動的にクロス探索表示(画像↑)に切り替わり、誤差も10センチ単位といっても良い程の精度で探査できるのです。
「初めてビーコンを使う人でも、数分でピンポイント探索が可能」と言うのもまんざら嘘でもなさそうです。

できたら活躍してもらいたくない道具ですが、いざという時には頼りになりそうな最強のビーコンと言っても過言ではないと思います。

しかし、これ位だったらどんなビーコンだって可能なことです。
次にこのビーコンの売りの一つである複数探索機能をテストすることにしました。
少々過酷かもしれませんが、1対4でどこまで順調に探索できるでしょうか?

(以下、次回に続く)


(余談ですが・・・)

最近「本当に山は危険か・・・?」という画期的(?)な問題提起(?)に対する反響が、一部のウェブ上を喧しく駆け巡りました。
しかしそれも、ようやく一段落したようなので、本件に関しての私の考えを、難しい言葉を使わずにお話したいと思います。

私自身、年齢が年齢ですから山との関わり方の基本も1世代前のスタイルでしか学んでいません。つまり、今風に言えば「旧態依然」とした「古い考え」の持ち主かもしれませんし、ここ十数年は他人に自慢できるような本格的な登山らしい登山もしていませんので、大きな口は利けないのですが、これからどのようなスタイルにせよ山の世界に足を踏み入れる若い皆さんが、安全に永く山と付き合って楽しめるように、敢えて私の経験を述べさせていただくことにしました。

以前、ある天才エクストリームボ-ダーはその過激な滑りについて是非を問われた時「道路を歩いてたって、死ぬやつは死ぬ・・・」と返答していました。カッコイイですね!
確かに、街に居たって山に居たって何がしかの事故に遭遇する可能性は双方にありますから、どちらが危険とは一概に言えないのは事実です。

しかし、現実に私は常に「山は危険だ!」と考えて山に入っていますし、特にビギナーの方々には、謙虚にこう考えてもらいたいと思っています。
この件について、確率だとか変数だとか小難しい戯論に終始しても、かえって問題の本質から遠ざかるような気がしますので、私が自らの「経験」から、こう考えるに至った理由を、一例として挙げておきます。

恥ずかしながら、私は現在スキーで骨折し治療中です。幸いにもゲレンデ内でしたのですぐに搬送されましたが、これがソロのBCツアーで携帯もトランシーバーも使用不能な場所だったとしたら五分五分以上で遭難死だったでしょう。
また、以前、山でアキレス腱を断裂したことがありますが、その時はパートナーがいましたし、プラブーツの紐をしっかり締め上てからテーピングして足首を固定し、激痛と戦いながらも這うようにして辛うじて下山することができました。(私はこの時の「経験」から山には必ず2Mバンドのトランシーバーを持参することにしました)
しかし、今回の骨折がその時に起こっていたら状況は全く異なったシビアなものになっていたでしょう。
全く動けなくなった私の命が危険なのは当然として、天候が悪化したら、私を収容するために雪洞を掘った後、疲れた体で救援を求めに下山するパートナーの命さえも危険にさらす事になったと思います。
アイゼンの引掛け等による足首の捻挫などのよくある怪我が予想外の結果を招いた例は、私の周囲にも結構ありますから油断はできません。

つまり、山と街の違いは、事故に遭っても直ぐに救援されるであろう市街地と異なり、山の事故(特に積雪期で単独)では、街では何でも無い怪我であったとしても、歩行不能になった時点で命を落とす確立が急激に上昇し、救援が無ければ厳冬期だったらおそらく3~4日で確実に絶命するということです。
私は、私の「経験」から、この点だけ考えても「山は街より危険だ・・・」って言って良いと思っているのですが・・・。
街では許されるなんでもない失敗も、山では命に関わるわけですから、山の危険さは、事故に遭う確立・・・云々といった頭の中や机の上で計算した相対的な危険度とは別の位相で考えなくてはならない・・・と私は考えます。

そして、私の場合は山の「経験」を積めば積むほど、山が危険だと思うようになりました。

例えば、経験の浅い方は「GPSがあれば道に迷わない」と思うかもしれませんが、決してそんなことはありません。傾斜のある場所での道迷いは、GPSが目的地の位置を指し示したとしても、崖や崩壊地あるいは蜜藪などで進みたい方向に進めないことも多いし、何よりそのような緊急時には僅かな距離をラッセルや藪漕ぎで登り返す気力や体力すら残っていな場合だって多いのです。これも本格的に(?)迷った「経験」が無いとその恐ろしさは理解できないかも知れません。

また、冬の稜線でテントフレームが折れるような強風に遭遇したとしても、テントの幕体に包まって一夜を過ごせば何とかなる・・・とお考えの方がいたとしたらそれは大きな間違いです。このような状況は8割がた遭難と同義です。朝まで体力と気力が持てば何とかなるかもしれませんが、翌日も終日同じ状況ならまずアウトでしょう。
こんな状況になる前にどのように行動したら良いかという判断力も、耐風姿勢をとったまま10分以上一歩も動けないような極限状態を「経験」し、自然の前には己の力など無に等しいという謙虚な気持ちを身をもって知る以外には体得できないでしょう。

天気の判断にしたって、理屈では判っていながら「擬似好天」に騙されて行動を開始し酷い目に遭うという、山の定石を生かせなかった苦い「経験」を何度か繰り返すことによって、やっとこの簡単な理屈が体で理解できるというのが現実の山の世界なのです。

また、ピッケルを持っていても滑落停止技術が無ければ、持つ意味は半分無いのと同じといわれますが、これらの技術も「経験」から身に付ける以外にありません。
私は所謂「旧態依然とした」大学山岳部新人のころこれらの技術を先輩から教え込まれました。当時は、冬山訓練合宿というのが11月末の富士山で行われるのが恒例で、最初は吉田大沢の下部でアイゼン歩行や滑落停止の練習をしますが、合宿最後には頂上火口内の青氷の上であらゆるパターンの滑落停止、ロープを使ったコンテやタイトロープ歩行などをやらされ、体中アザだらけになりながら体力の限界までしごかれました。(そしてその帰路には8合目でビバーク訓練と称して十数時間もの辛い時間を過ごさなければならないというおまけ付でした。)

まあ、こんなに苦労しても結局、唯一判ったことは「危ないところで滑ったら一巻の終わりだ・・・」という現実だけなのかもしれませんから、現代風に言えば「古い精神主義的な非効率的トレーニング」だったのかもしれません。しかし、こんな簡単な気付きも私にとっては「経験」からしか理解できなかった貴重な財産だと思っています。

「経験」の質と量は決して遭難する確立と反比例はしないかも知れませんが、だからと言って私は「経験」の蓄積が安全登山に寄与しないとは考えていません。
何故なら、私たちは経験と知識を有機的に組み合わせてこそ、リアルなイメージでとしての未来予測が可能となり、変化しいく状況を経験に照らしてより正確に読み取ることができれば、より適切な対応が可能になると考えるからです。
本で読んだり耳で聞いた知識だけでは、いくら蓄積し結合させることができたとしても、それはゲームの画面の様な薄っぺらな仮想現実としてのイメージしか形成しないでしょう。対応すべき状況、適応すべき未来がそんないい加減なイメージでしか把握できない事、それこそがまさに危険な状況への第一歩なのです。

また、「山の常識」の中には、確かに眉唾的なモノや時代の変化に合わない古い常識が含まれているとは思います。
常識を疑う事も大切な心の在り方だとは思いますが、それら「山の常識」の多くは山の先人の、失敗も含めた膨大な「経験」が集積され、時間というフィルターを通過し得たからこそ現代に伝えられているモノには違いないのですから、まずは敬意を払うべきだと・・・、「旧態依然」とした「古い考え」の持ち主である私は考えています。

私はかつて、無理して買った当時流行だった高価なフランスのG社の皮製の柔らか目のクライミングブーツを履き、冬の岩攀りをしましたが(当時はワンタッチアイゼンなど一般的ではありませんでした)アイゼンバンドをガッチリ締めたら1日で寒さと血行障害で爪先をやられてしまいました。まあたいした事は無かったのですが、その後2~3ヶ月は足先の感覚が戻らず結構落ち込みました。(当然それ以後その靴は冬には使わないことにしました・・・)
ワンタッチアイゼンが一般化した現在ではそうとも言い切れませんが、「冬山では冬用の硬めの登山靴を履く」という常識(?)もこんな理由によるものなのでしょう。
条件さえよければどんな足拵えでも大体は大丈夫なのでしょうし、新しい可能性にチャレンジする精神は否定したくありませんが、いざと言う時に指を無くすか無くさないかという大きなリスクを相棒にして人体実験をするより、同時並行で山の先人の知恵を素直に信じ硬い登山靴で行動してみるのも賢明な検証の方法だと思います。
まあ、いくら防寒性があってもバニーブーツのようなタイプの靴も登山向きではありませんが・・・。

さて、きりが無いのでこの辺で終わりにしますが・・・、冒頭に挙げた天才エクストリームスノーボーダーは、街でなく山で雪崩で亡くなり本当の伝説になりました。
スノーボードという遊びにストイックに人生を捧げ、常に修練に励み、豊富な経験を積み重ねた彼でも牙を剥いた自然の前には為す術も無かったのでしょう。
そして、彼は私たちに次のような言葉を残しました。

『僕らは自然そのものであり、本来は自然の枠の中にあるものだが、あたかも自然と闘うように自らの暮らしをつくりあげてしまった。僕らは何と言うか、宇宙のあり方に歯向かっているんだ・・・』(クレッグ・ケリー)

これが彼の自然に対する原罪意識にも通ずる謙虚な姿勢だったんでしょう、カッコイイですね! 
私たちも、自然に対し常に彼のような謙虚さを持って臨み、方法や自己主張の仕方や見解の相違でいがみ合うのではなく、同じ山の仲間として仲良く遊び場を共有したいですね。

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2009年1月18日 (日)

“逆反り板”レビュー/ボード編(K2・GYRATOR)

便利度 :★★★★☆
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :☆☆☆☆☆


近年、フリーライディング・スキーの世界では板のファット化が進行し、パウダー・ライディング以外は不可能といってもいいような形状の板まで普通に(?)市販されるようになりました。

一方、スノーボードはと言うと、もともと構造的にパウダー・ライディングに適している事もあって、古くからパウダーガンといった深雪専用の板も存在しましたし、普通のボードでも少々セットバックを多めに取れば中級者でも容易に深雪に突っ込んで行くことも可能な潜在能力を持っています。

私も以前パウダーガンを購入しましたが、思いのほか出番が少なく、現在山で滑る時にはグルーミングバーンも卆無くこなすBURTONの“FISH”(画像↓)がメインになっています。

Fish

“FISH”は、全長を抑えながら、ワイドなノーズと大めのデフォルト・セットバックで深雪での浮力とテールの抜けを向上させつつ、通常のサイドカーブとアーチベンドで圧雪面での滑走性を確保した名機だと思います。

さて、このようにパウダーボードとはいえ、“GENTEM”などの一部のボードを除いてはソールにコンケーブしたアーチ状のキャンバー(アーチベンド)を設け、加重時の均等面圧と有効エッジ長を確保しているのが普通です。
しかし、昨シーズンだったか(?)、K2から、“GYRATOR”(画像↓)というソールがコンベックス状に逆反りのカーブを描いた画期的なネガティブ・キャンバーのボードが発売されたのです。

Gyrator
(アウトラインは通常のボードと変わらないが・・・)

スキー板では 、パウダー対策として長大なトップベンドを設けたロッカー構造とか、ネガティブ・キャンバーは古くから試みられていたのですが、スノーボードにおいては本来的に深雪に強いという性質のためか、ソール形状までも逆反りにしたモノを市販しようという発想は出にくかったのかもしれません。
敢えて“GYRATOR”を世に出したK2開発スタッフの遊び心には喝采を送りたいですね。

Gyrator2
(2枚合わせるとビンディング位置からロッカーが始まる異常なキャンバーが確認できる)

さて、ボードのソールを船底型に反らせすればパウダーで浮くのは当然のことですが、その反面エッジの有効接雪長は両足の間隔だけと極端に短くなり、アイスバーンやスキー場のグルーミングバーンでは全くコントロール不能になってしまいそうです。

気になります・・・。乗ってみたいです・・・。確かめたいです・・・。

で、買っちゃいました!
訳あって(画像↓)1日しか乗っていませんし、今シーズンはもう乗れませんが、結構お勧めなので(チョコットですが・・・)乗った印象を報告いたします。

Bone1

はっきり言って、浮きます。絶対的な浮力というのか、今まで絶望的だった深雪の緩斜面でも何とか止まらずに浮き上がって走ってくれます。
また、私程度の(≒下手糞)技術でも、先行者が喰い荒らしたトラックだらけのパウダー斜面でも溝に引っ掛からず、自由に縦横に滑ることが可能でした。

一番気になったグルーミングバーンでのエッジホールドですが・・・。
案の定、エッジの押さえは効きにくく、全般に少々不安定なことは確かです。
しかし、想像していたほどダメと言う訳ではなく、圧雪面ではエッジを起ててターンしている限り、この逆反りを意識させる挙動の不安定さはあまり感じませんでした。
これはよい意味で予想外で、ガリガリの人工雪やナイターだと(多分)楽しめないと思いますが、通常の圧雪されたゲレンデでしたらそれほどの違和感を感じず楽しめそうな感じです。

また、パウダーボードというと、つい長めの168を買ってしまいそうになりますが、そこはチョット我慢して158か162くらいのサイズを選べばショートターンでもテールの抜けが良さそうでツリーランも快適そうですから、“山ボード”用としても合格点を付けられるでしょう。

と、言うわけで、安くはない板ですが「どうしても深雪を楽に滑りたくて・・・」、また「“FISH”を持っていなくて」、さらに「お財布に余裕がある」なら、買って損のない、十分楽しませてくれる板だと思います。


“逆反り板”レビュー/スキー編(K2・HELLBENT)も近く公開予定・・・!。

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2009年1月 1日 (木)

3アンテナ・ビーコンは買いか?(PULSE-Barryvox レビュー①)

便利度 :★★★★★
工作度 :☆☆☆☆☆
推薦度 :★★★★★
危険度 :☆☆☆☆☆
(少し高価なのが欠点といえば欠点)


Bpv1
(PULSE-Barryvox の表面と裏面)

我が国のバックカントリーシーンにおいても、近年なってようやくアバランチ・ビーコンの有効性が定着してきました。
高価な部類の道具ではありますが、万が一の場合に友人やあなた自身の生命を左右する道具ですし、スキー一式よりは安価なはずですから、雪山に入る登山者、特に山スキーヤーやボーダーには是非携行してもらいたい道具です。

私も既に十数年何種類かのビーコンを使用してきましたが、数年前から使用している“オルトボックス・M1”を高く評価しています。
シングルアンテナ機ですが、難しい機能が無い分だけ操作もシンプルで、デジタル表示も使いやすく確実な探索ができる名機だと思います。
今までにスイッチ部分の故障で修理(交換?)をしたことと、リコールで電池ボックスの蓋を取り替えたことはありますが、現在まで数台を数年間にわたり、時にはかなり乱暴な使い方をしたにも拘らず現在も元気?に動いています。(本当は定期的に動作点検に出さなければならないのですが、面倒なので一度も点検はしていませんが・・・)

このように、パルスが遅い旧型のM1とはいえまだまだ現役で活躍中なのですが・・・、噂によると、新型の3本アンテナのデジタル・ビーコンは初めて手にする人が操作しても数分で埋没者まで数十センチくらいの精度で到達できるとのこと・・・。
しかも慣れれば複数探索も容易だとの評判もあるようです。
そんな訳で、今シーズンはビーコンを新調することに決定!

さて、3本アンテナの新鋭機というと、選択肢は3機種・・・、

・ピープスの“DSP”
・マムートの“PULSE-Barryvox”
・オルトボックスの“S1”


ということになります。
性能は三者拮抗していて甲乙つけがたい、あとは個人の好みで選ぶしかない、というのが大方の評判ですので、私も好みということで選ぶことにしました。

オルトボックスの“S1”は形も気に入らないし予算オーバーなのでまず候補から除外。
また、個人的な見た目での印象ですが・・・、ピープスは6万円もする機械にしては“玩具っぽい”外見で、知らない人に値段当てクイズをしたら・・・「1,800円位でしょ?」と言われそうな感じです。
それに対し、マムートのほうはVOLVO Sports Design AWARD(ボルボ・スポーツデザイン賞)を受賞したというだけあって、クールで機能的なデザインをしています。
外見に騙され易い(?)私ですから、当然の成り行きとしてマムートの PULSE-Barryvox を購入することになりました。

*さて、手にとって見て・・・、まず好ましい点ですが。

①ディスプレイに日本語表示が選択できる(問題もあり→後述)
②基本操作が両サイドの2つのボタンで、手袋をしたままでも可能
③ディスプレイが単純明快で探索時に判りやすい表示
④メインスイッチも誤作動を排除しつつ片手で操作できる合理的な設計
⑤とりあえずカッコイイし、容積も大きすぎずコンパクトな部類?
⑥磁気センサー式のコンパスを内蔵し、それを探索に利用するなどかなりハイテク技術を使っているらしい??
⑦電池の交換にドライバーやコインが必要無い

Bpv2
(誤動作を防ぎつつ操作性の良い上面のメインスイッチ)

*一方、気になる点は・・・。

Bpvk
(日本語表示は便利だが・・・)

❶日本語(カタカナ)でユーザー名が登録できるが、50音全部が入力できるわけではない(信じられないことですが容量の関係だそうですが、ちなみに私の名は登録できません!)
❷本来ならこの機種の目玉であるはずのバイタルシグナル(埋没者の生存信号)の送信が日本の電波法の関係で意図的にキャンセルされている
❸同様に、複数の探索者と電波で「探索済み」「未探索」情報をリンクする機能もキャンセルされている(涙)
❹筐体内部は防水されているらしいが、電池ボックス部分はパッキンすら無いので多少不安(水没しても発信していたという事例があるそうなので回路自体の防水は確からしい)
❺多くの機能があるのは良いが、本番ではたぶん忘れていると思われる(取り敢えず標準モードと、探索済みの埋没者の切り離し法さえ覚えれば必要にして十分だと思いますが・・・)

といったところでしょうか。
❶については、一度英語モードに切り替えてアルファベットでユーザー名等を登録し、再度日本語表示に切り替えてもそのままの状態で保存されていますので実用上の問題は無いのですが、❷❸については電波法上の問題とはいえ何とかしてもらいたいところです。
本来の機能が使えないのだったらその分価格を下げてもらっても好いですが。(笑)

まあ、並行輸入物や個人輸入物を購入すればフルスペックの海外仕様を、しかも若干安い価格で購入できるわけですから、私も購入に当たってはずいぶん悩みました。

しかし、並行物だとこの価格の商品を保証が一切無い状態で購入することになるのに対し、正規ディーラー経由だと5年間の保障が有る事を考え合わせて、めずらしく素直に正規輸入品を購入することに決定!。
さいわい、某山道具屋の期間限定の割引を利用したら並行輸入品よりは高いものの、保障を考えれば納得できる価格で購入することができました。

さて、早速戸外でテストしてみたのですが・・・。(次回に続く)

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2008年12月11日 (木)

“Dynafit-TLT”ビンディングを自分で取り付けよう④(最終回!)

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★★★☆☆

(あくまでも自己責任で!!)


(「“DYNAFIT”ビンディングを自分で取り付けよう」の最終回です。正直な話“DYNAFIT-TLT”は非常に独創的な製品・・・言い換えればとても癖のある製品ですから、誰にでも無条件でお勧めできる道具だとは思ってはいません。しかし、そんな癖や我侭さもこの製品の魅力なのです。)

⑪ヒールピースの位置決めをします。

作業前に、ヒールピース・ハウジングの回転軸となっている太いアルミ製のポストが調節範囲の前後中央に位置しているか確認し、中央でなかったら後端ビスをPZ3のドライバーで回して調節しておきます。この確認作業はビンディングの新規取り付けより付け替え作業の時に重要です。

まず、トーピースにブーツを取り付け、ヒールピースのピンをブーツ後端の金具の部分に挿入します。

(ビンディングの底面を実物コピーして作ったモノをゲージとして使う場合には、付属のクリアランスゲージ(シム)をブーツとヒールピースの間に挟み、その状態でヒールピース後端の位置を板にマークしておきましょう)

G1  G2
(クリアランスゲージ㊧は画像で判りやすいように旧モデルを使用、現在は銀色)

上からビス穴を覗いて、最初に付けたビス穴のポンチマークと前後2~3mm以内の位置の誤差でしたら(TLT-comfort やTLT vertical の場合は後で調節ができますから)そのままで良いので、靴を外して再度同じ位置に強くポンチを打ちます。

この段階で初めのポンチマークから大きく位置がずれるようでしたら、その場所に新たにポンチを打ち直しましょう。

(また、ビンディングの底面を実物コピーして作ったモノをゲージとして使う場合には、先ほど板に付けたヒールピースの後端マークとコピーの後端センターラインで自作紙ゲージの位置決めをしポンチを打ってください)

なお、同じDynafit でも“Low tech”や“Race”など、後で調節のできない機種を自分で取り付ける場合は特に正確かつ慎重にこの作業を行ってください。


⑫ヒールピースを取り付けます。


トーピースと同様、ドリリングからビスの締め込みまで一連の作業でを行います。
ヒールピースのセンタリング作業はトーピースほどシビアではないのですが、ブーツをトーピースにセットした状態でセンターが合うように、4本のビスを締めこむ順番を変えてみたり、プラハンマーで横から軽く叩いてみたりしてトライしてください。(トーピースの縦センターをバッチリ合わせてもヒールピースの微妙な曲がりでセンターがずれる事もありますのでここで油断しないように!)

また、最後にビスを本締めする際にはベース部分からヒールピース・ハウジングを取り外しておいた方が、ブラインドができずビスの締め込み作業が楽になります。(画像↓)

Heelbis

(重要!)
ビスを締めるときは、両手でドライバーを握り、満身の力で強く締めこんではいけません!
かえって強度を損なうばかりか、ねじ山を舐めてしまって取り返しのつかないことになる恐れもあります。


私の場合(握力60kg位?)は、片手の4本の指と親指を軽く合わせてドライバーの柄を握り、その状態で片手で強く締めこむ、と言った感じで締めています。
(ドリル穴周囲のの面取りを丁寧にやっておくか、予めビスを締めこむことよって盛り上がったビス穴周囲のバリ(?)を丁寧に削っておけば、この程度の力でもビンディング底面とスキーのトップシートが浮いてしまうことは無いはずです)

Imgp3075
(私はこんな感じでドライバーを握り、片手で目一杯締めこむ)

最後にブーツを取り付け、ブーツヒールの金具部部がヒールピースのピンの中心に正確にステップインできる位置になっているか確認します。
これまでの作業の各段階を丁寧に進めているなら、ここで再度調整する必要は無いと思います。

さて、最終チェックが終わったら、接着剤が固まるまで1日以上この状態で放って置きましょう。


⑬最終微調節をします。


ブーツをビンディングに取り付けて、付属のクリアランスゲージ(シム)をブーツとヒールピースの間に挟み、ヒールピース後端のPZ3のビスを回して微調節をします。

新品の板に取り付けた場合は、何度か板を強くあおっただけでクリアランスが変わることがありますので、気休めかもしれませんが私は取り付け作業の前にあらかじめ体重を掛けて何度も板を強くあおっておきます。

あとは、トーピースにリーシュコードを取り付け、各自の解放値にセットすればれば完成です。
お疲れ様でした!


⑭その他 

新品の板だと1日滑るだけでクリアランスが大きく変わることもありますので、最初は小まめに点検と調節を行いましょう。

ヒールピースとブーツの間のクリアランスは狭いほうがしっかり固定されそうな印象をお持ちかもしれませんが、あまり狭いと板に荷重がかかって逆ベンドした時、ヒールピースによってブーツが前方に押され、その前圧でトーピースが誤解放してしまい危険ですし、解放値も設定より高めの強さとなってしまうので要注意です。

Dynafit-TLT ビンディングは、ブーツの縦センター合わせという独特の工程があって手間はかかりますが、落ち着いて作業を行えば特別困難というほどの作業では有りません。
また、自分のスキーですから、ショップで取り付けるより手間と時間を掛けて丁寧に取り付けを行うことができるのも大きなメリットです。

(この一連の記事では、TLTビンディングに慣れない方でも絶対失敗しないよう工程を細分化してありますが、慣れてくれば幾つかの工程は省略が可能です)


ディアミールやテレマークビンディングでしたらもっと容易に取り付け作業ができますので、皆さんも一度、自宅で取り付け作業を行ってはいかがでしょうか。
ご不明な点があれば、必要な助言は惜しみませんので遠慮なくご質問ください。

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2008年11月20日 (木)

“Dynafit-TLT”ビンディングを自分で取り付けよう③

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★★★☆☆

(あくまでも自己責任で!!)


(“DYNAFIT”ビンディングを自分で取り付けよう②、からの続きです)

⑦ドリルで穴をあける

ポンチマークを付けた位置に、メーカー指定のある場合はその指定に従ったドリル径と深さで穴をあけます。
私の場合はパイロットドリル(Φ2.5mm)で下穴をあけてから、Φ3.5(~3.8)mmの穴をあけます。
深さは通常8~10mm程ですが、始めに測っておいたビンディング底面からビスが何ミリ突き出していたかを考慮し、薄い板の場合は特に穴の深さに注意しましょう。

薄いスキー板に取り付ける場合は穴の深さに注意するのははもちろんですが、ビスも短いもの(ジュニアビンディング用の物など)を用意するか、ビスの先端を1~3mm位カットする必要があります。

私はパイロットドリルでコアの材質や硬さ、メタルやビンディング取り付け部の補強などを推測しドリルの直径やタップを使用するかを決めます。
はじめから軽くタップを立てるつもりなら、どんなタイプの板でもドリルはΦ3.5mm1本でOKです。

Dillp  Drills
(㊧パイロットドリルと、㊨ストッパー付きドリル)

垂直になるように慎重に穴をあけます。ボール盤を使ってもビンディングのセンターが微妙にズレる事もありますので普通のドリルでかまいません。(これは後述の木ネジの特性も参照してください)


⑧穴の面取りをします


ビスを捻じ込むと穴の縁が盛り上がって、このままではビンディングが浮いてしまいますので、予め面取りカッター(大径ドリルでも代用可)で穴の周囲を沈めます。(必要ならここでタップを軽く立てますがメタルの無い場合は通常タッピングしないほうが良いと思います)

Men  Tap1
(面取りカッター㊧と、タップ作業㊨)

私の場合この次の段階で、総ての穴に一度ビスを3山ほど捻じ込んでから取り外し、この作業で盛り上がった穴の周囲をカッターで削り取っています。自分で取り付けをするメリットは、ここまで丁寧な作業ができるということです。(画像↓)

Bis  Men2


⑨トーピースを取り付けます

ドリル穴の中に木工ボンド(私はエポキシ系接着剤を使いますが、プロショップなどでは取り扱いの簡単な木工ボンドと同一素材の接着剤が一般的です)を少々流し込み、爪楊枝などで塗り広げておきます。

(TLTのトーピースでは樹脂製のベースにビスが初めから捻じ込まれていますが、これはデリバリー時のビスの紛失を避けるため非常にキツい穴になっています。
後でビスを締める時に障害となりますので、一度ビスを取り外しΦ5.5mmのドリルで穴を拡げておくことをお勧めします)


ドリルの穴にビンディングの位置を合わせ、5本のビスを必ずポジドライバー(PZ3)を使って軽く最後まで締め込みます。
後の縦センター合わせ作業がありますので、この段階ではまだ強い力では締め込まず9割程度の力加減止めておいてください。
また、アマチュアはパワーツールを使わず、必ずドライバーで手締めをしてください。

Tpst_2 


⑩ブーツの縦センターを合わせます

まず、ブーツのヒールの中心にダーマトグラフ等でマークを付けておきます。

Hmark
(白いのがダーマトグラフのマーク、金具の黒い線はビスの緩み識別用に付けた線)

次に使用するTLT専用のランドーネブーツをトーピースのピンにセットします。
この状態でスキーのセンターラインと、ブーツヒールのセンターマークが合っているか確認しましょう。
正確に合っていればこのままビスを均等に増し締めをすれば作業完了ですが・・・、実際には3回中に2回以上はセンターが僅かに左右にずれてしまう筈です。

Hline
(この程度だったら許容範囲かギリギリのところ?だが、これをさらに修正する)

センターがずれたままだと正常にヒールピースが解放してくれなかったり、極端な場合はステップインにも支障が出るかもしれません。

しかし、これはメーカー純正のメタルゲージを使用し、ビス穴が正確に明いていても、紙ゲージを使ったのとほぼ同様の確率で、必ずおきる現象なのです。
理由は、木ネジ特有の大きなピッチ角に起因するもので、真っ直ぐ入っていくように見えるビスも実は擂動運動といって、頭を振りながら入っていくからなのですが・・・、小難しい理論は省略します。(正垂直にタップを立てればかなり補正できるはずですが、完全には無くせないでしょう・・・)


さて、センターがずれていたら、⑨で締めこんだビスを前端の1本以外、締め込み切った状態から半回転戻してください。

まずは、前端のビスをある程度強く締めておき、これを基準にして他の4本のビスを何回かトライして合わせる方法を初めに試します。

さあ、ビスを1本ずつ順番に締めてみましょう。(順番というのは「ビスA」を締めたら、次は「ビスA」をまた半回転緩めて、今度は「ビスB」というように、5本中締まっているのは常に1本という事を意味します/面倒でもその都度ブーツを脱着しながらチェックすると完璧です)
そして、5本中一番ずれたビスから自分の頭の中で番号を付け、どちら側にずれたかも覚えておいてください。そして、一番ずれなかったビスから順番にずれた向きなどを考えながら強く締めこんで行けば、センターはかなりの確立でジャストになるはずです。

それでもずれるようなら、前端のビスも半回転緩め、全てのビスを順番に基準点にしてみたり、ネジを締める順番や、どのネジが左右どちらにずれたかを推理しながら、何回か締めたり緩めたりしてセンターを合わせなければなりませんので結構面倒ですが、落ち着いて作業すれば結果は出るはずです。

どうしてもセンターが出ないか、面倒な作業はこれ以上したくないようなら、ビスを全て半回転緩めた状態でブーツを取り付け、ロックレバーを上げてからブーツのヒールを無理矢理センターに合わせる側に強く圧しながら、前述の細径に加工したポジドライバービットで前3本のビスを締め付け、ブーツを外してから後ろ2本のビスを締めるといった力技などを使えば何とかなると思います。

以上は私の経験から申し上げる方法で、必ずしもベストな方法ではないかもしれませんが、専門店でもほぼ同様かそれ以下の方法しか行っていないはずです。
しかし、この一連の作業は Dynafit-TLT ビンディング取り付け作業の成否を決める工程ですから、慎重かつ根気良くセンターを合わせてください。

さて、上手くセンターが出たら、次はヒールピースの取り付けと調整です。

(以下、次回「最終回」に続く・・・)

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2008年11月 2日 (日)

“Dynafit-TLT”ビンディングを自分で取り付けよう②

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★★★☆☆

(あくまでも自己責任で!!)


(“DYNAFIT”ビンディングを自分で取り付けよう①、からの続きです)

《筆者の人格の低さと文章力の稚拙さから、表現が小難しかったり誇大表現で偉ぶったりしていますが、実際には文章で読むほど難しい作業ではありませんよ。》

④使用する道具を揃えましょう。

・電動ドリル
・ドリルビット(Φ3.5/4.0mmの2本でほぼ間に合いますが、パイロット穴用の2.5mmと板の指示によっては3.6/3.8/4.1mmもあると便利です/テーパーリーマを使えば穴の直径を微調整することも可能です)
・センターポンチ&ハンマー
・ドライバー/PZ3(必ずポジドライバーを使用しましょう)

Ddrill
(ストッパー付きドリル、面取りカッター、PZ3ドライバー)

・接着剤(木工ボンド、又はエポキシ系接着剤)
・メンディングテープ、筆記用具、油性マーカー、定規、etc  (スコッチの幅広メンディングテープは筆記用具が使えて便利ですが、この記事では画像でテープが見えやすいようにマスキングテープを使用しています)

Stape

・面取りカッター(大径ドリルでも代用可)
・スキービス用タップ(メタルスキー用にあると便利・アメリカ製のビスにはVoileのテレマーク用などにピッチの異なるビスがあるので要注意です!)

Dtap
(スキービスピッチのタップと段付きドリル)


【有ると便利な自作スペシャルツール】

・ドリル・ストッパー
画像↓の㊤はネジ止で任意長に調節できる自作のドリル・ストッパー、㊦はパイロットドリルの真鍮パイプ製の簡易ストッパー。(最初の画像の右側にあるような赤い市販のプラスチック製のものは力を掛けるとズレる恐れがある)

Dst1

・スペシャル・ポジビット
TLTのトーピース前端のビスはレバーの穴にドライバーを挿入して奥のビスを締めますが(画像↓㊨)、通常のPZ3のシャフト規格はΦ8mmなので穴の内径ギリギリでかなり締めにくいのです、そのため画像㊥の右側のポジビットを旋盤でΦ6.7mmに挽いた左側のようなTLT専用ビットを自作しました。これは大変便利でストレスを感じることなく前端のビスを締められます。市販品でしたら“エムズウイング”のビンディング用ポジビット(画像↓㊧の一番下)がシャフト先端径7mm/中央部5mmですから同様に使用できます。

Pz3   Dst3 Tpst


ドリルビットはスキー専用の段付きドリルがあれば1回で面取りまでできて便利なのですが、種類を揃えると非常に高価ですしメタルジグを使用しないアマチュアには不要です。
しかし、下手をするとドリルでスキーを貫通させてしまい、大泣きをする恐れもありますから必ずストッパー(金属パイプでも可)を取り付けておきましょう。
直径は3.5 、3.6 、3.8 、それと4.1mm(メタルのある場合)があれば理想ですが、普通はΦ3.5と4.0mmでほぼ間に合います。
(板によっては、“Φ3.8×9mm”などと、使用ドリルの直径と穴の深さが記載されているのでそれに従うのが確実ですが、大体は上記の2本で何とかなるはずです)

ショップではメタルジグと専用の段付きドリルを使って正確に穴あけをしますが、アマチュアの場合はΦ2.5mm位のドリルで先行穴をあけてから正規の直径のドリルで穴を広げるのも良い方法でしょう。
私はこのΦ2.5mmのパイロットドリルで穴を開けてみて、ウッドコアは硬いか?、フォームコアなのか?メタルは入っているのかいないのか?等を判断する事にしています。


また、私はメタルスキーやビンディング取り付け用プレートが内装された板の場合でもΦ4.1は使わずΦ3.5か3.6mmで穴を開け、タップで一周くらいネジ山を切っています。
メタル入りスキーに取り付ける場合、タップを持っていないならドリルはΦ4.1mmが必要といわれますが、わざわざ買わなくてもドリルセットに入っているΦ4.0mmでも大丈夫でしょう。


⑤位置決めの準備をします。

まず、スキーの縦中心にメンディングテープ(マスキングテープでもガムテープでも可)を余裕を持った長さで貼り、画像のようにアングル材の端材とノギスを使って前後でスキー幅の中心を出し、そこを結んでテープに縦のセンターラインを引いておきます。

Dcent1   Dcent2   Dcent3
(スキー幅を計り、アングルをソールとエッジに当て、ノギスで正確に1/2幅を割り出す)

次に、板に自分で決めたブーツセンターのマークも正確に印をつけておきましょう。(私はこのロッカータイプのスキーの場合、コアセンターの70mm後ろがメーカー推奨位置の約15mm後ろになりましたが、ここをブーツセンターとしました。)
通常のスキーでは迷わずメーカーのセンターマークを利用しましょう。

Dbc1   Dbc3  Dbc2
(スキー板のセンターラインにブーツセンター位置をマーキング)
  

⑥取り付ける位置決めをしましょう。

ブーツを板に載せブーツセンターを合わせます。画像のようにスコヤを使うと正確ですが三角定規でもかまいません。
次にDYNAFITビンディング用のピンの嵌るピボット穴の位置とヒール末端の位置を、同様にスコヤ等を使って正確にマークします。

ビンディングの底面を実物コピーして作った紙ゲージでは、5個の穴うち後ろ横2列の間隔の1/2の所がピボットのラインです。(2段下の画像㊧の紙ゲージを参照)

Dbc01  Dpin   

次にトーピース・ヒールピース用の紙ゲージをセンターラインおよび前後のマーク位置を合わせて貼り付けます。(画像↓㊧)

ゲージの位置を再確認したらセンターポンチをゲージのビス位置のマークに合わせて木槌で叩いてドリルを案内する凹みを付けましょう。(画像↓㊨) 

最後に、左右の板を比べて同じ位置にポンチが打たれているかを確認します。
(最近はコストの関係で、チュニジアなどという、およそスキーとは縁の無い国でスキーを生産しているメーカーもあり、板によってはセンターマークが左右で何ミリかずれてプリントされている粗悪品もあるので要注意です!)

Dpg1_2   Dpg2

私はここで自分のブーツ専用の自作プラスチックゲージを使いヒールピース用のビスも同時にマークしてしまいますが、付属の紙ゲージ又はビンディング本体を実物コピーして作った紙ゲージを使用する場合は、後に解説するDYNAFITビンディングに必要かつ重要なブーツの縦センター合わせと、ヒールピースのクリアランス合わせを考えると、まず始めにトーピースのみドリリングして取り付けてしまう方法を選択したほうが良いでしょう。

そのため付属の紙ゲージを使う場合でもヒールピースのポンチは軽く跡が付く位に弱めに打っておき、ビンディングの底面を実物コピーして作った物をゲージとして使う場合はこの段階では何もしないでおきます。

時間が許せば、この段階で前端のビスのみ穴あけ面取りをしてビス1本でトーピースを仮固定し、トーピースにブーツを装着して、ブーツヒールのセンターマーク(後述)とスキーのセンターラインを合わせてからトーピースが動かないように慎重にブーツを外し、それぞれのビス穴の中心にポンチマークが来ているか確認しておきましょう。
そして、大きな位置の違いがあったら修正ポンチマークを新たに打ち直しておけば、後の縦センター合わせの作業がずいぶんと楽になります。

(以下、続く・・・)

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2008年10月26日 (日)

“Dynafit-TLT”ビンディングを自分で取り付けよう①

便利度 :★★★★★
工作度 :★★☆☆☆
推薦度 :★★★★☆
危険度 :★★★☆☆
(あくまでも自己責任で!!)


私はここ二十数年程、山スキーのビンディングは家族の分も含めて総て自分で取り付けています。

Dyna3
(最近お気に入りの“Dynafit-TLT”の取り付けは少々手強い)

しかし、最近は製造物責任の問題もあってか、メーカーも販売店も、オーナー自らがビンディングを取り付けるのを嫌う傾向があります。
そのせいか、以前はフリッチ・ディアミールジルブレッタディナフイットなどの山スキー用ビンディングには、紙製やステッカー状のテンプレート(簡易ゲージ)が必ず付属していたものですが、現在テンプレートの付属しているビンディングは販売絶対量が極めて少ないため、販売店が専用のメタルジグを持つメリットの無いMARKERのデューク位なものでしょう。(NAXOはまだ付いてるのかな?)
これも、ビンディングの取り付けを困難にして、オーナー自身による取り付けを減らそう、というメーカーの意図によるものです。

Dpg
(上からディアミール・Dynafitの自作ポリゲージ、下は以前のTLTに付属していていた紙ゲージ)

「ビンディングの取り付けは有資格の専門家以外できない」などと知ったかぶりのアドバイスをする無知な方もいるようですが、私は二十年以上自分で(メタルジグを使用せず)取り付けをしていて一度のトラブルも在りません。
だいたい、私は、2~3時間講習を受けただけで貰えるメーカー公認資格などという空証文を信じるほど素直な人間ではないのです。

北米などでは山スキーヤーやテレマーカーの三人に一人は自分で取り付けを行っている事を考えれば、この作業がアマチュアにも可能であることをご理解いただけると思います。
また、不安ならスキーに取り付ける前に、2×4材等で寸法出しを兼ねた予備実験をしておけばブッツケ本番の不安も解消するでしょう。

Dynabd
(私は付け替えも含め十数組のDynafit取り付けを経験しましたが失敗はゼロです!)

確かにズブの素人が取り付けるのは問題があるかとも思いますが、メーカーの講習会を受けて一応資格を持っている方でもずいぶんいい加減な奴もいますし、私などはかえって自分の自己責任で取り付けたほうが安心するのです。

現在は違うと思いますが、私が三十数年前に神○の某スキー用品店で取り付けのアルバイトをしていた経験では、ショップとはいえ当時は安心して取り付けを任せられるという感じではありませんでした。(敢えて詳細は記載はしませんが、私も反省しています!)

さて、今回は取り付けに独特のコツやノウハウを要するDYNAFITのTLTビンディングを例に、実際の取り付けを解説しようとと思います。(もちろん通常のビンディングの取り付けにも応用が可能です!)

さあ、始めましょう!


①取り付けゲージの用意

まず、簡易テンプレート(紙ゲージ)が有る場合はそれを用意して指定のようにカットし、注意深くセンターラインを記入してください。

Dpg1
(センターラインを記入した紙ゲージを貼ったところ)

無い場合は、ビンディングをコピー機の上に置き等倍のコピーを取り、ビス穴の中心に印を付け、同じくセンターラインを引いておいてください。


②取り付け位置の決定

次にスキーへの取り付け位置を決定しなければなりません。

通常はスキーのトップシートやサイドウォールにブーツセンターのマークがありますのでそれを目安にすればOKですが、フリースタイル用のツインチップスキー等には“Core Center(True Center)”のマークや“Freestyle/ FreeRide“または”Traditional(Standard)/Modern”などの2本のマーク、あるいはCoreCenterを基準にした目盛りなどがプリントされていたり紛らわしいものも多いのですが、山スキーでしたら“Traditional(standard)”のマークか、線が2~3本あったとしたら線のうち一番後ろ(テール)側をセンターにしておけば大きな誤りにはならないでしょう。

Dmark1
(K2のフリースタイル・スキーには目盛がプリントされていてわかり易い)

“Core (true)Center”のマークがある板の場合、飛んだり回ったり手摺を滑ったりする方はこのマークか、あるいはここから2~3cmセットバックした範囲にブーツセンターを合わせればいいのですが、通常の滑走やパウダー滑降の場合は、“Core (true)Center”から5cm~9cm位後ろにブーツセンターを持ってくるのが普通です。
ですから、通常は大体のスキーに上記の範囲の位置に通常滑降用のブーツセンターを表すマークが有るはずです。

ツインチップスキー等で、どうしても取り付け位置が前過ぎるように感じて不安なら次の方法でチェックしてみましょう。
2枚の板をソール合わせにしてトップとテールの接雪点をマークして、さらにその2分の1の所にセンターマークを付けておきます。(このマークがほぼコアセンターとなります)
そして、そのセンターマークの位置に自分の足の拇指球を置いた状態で足の全長の1/2に当たる所でスキーにマークをしてみてください。
通常はこの足の中心の位置から1~3センチ位テールよりに通常滑降時のブーツセンター位置がプリントされているはずですから、先ほど自分で付けた足の中心のマークより大幅に前で無い限りそのプリントされたマークのセンター位置を目安に取り付けて良いと思います。

最近のロッカータイプのソール形状(いわゆる海老反り?スキー)はホント悩みますが、そんな時はメーカー推奨位置に自分の滑り(飛んだり回ったりするかしないか?orパウダー主体かハードパック&ジブか?)を考慮して位置決めをするしかありません。

(テレマークの場合、滑る方の個性によってかなり取り付け位置の好みも前後しますが、埋め込みのインビスで移動可能な場合は、とりあえずこのアルペン用のブーツセンター付近で試してみて、「トップが突っ込むようなら少し後ろ・・・」といった感じで適正位置を見出す事も可能でしょう)

スキーの形状によってメーカーの指定するブーツセンターは前後しますので何とも言えないのですが、一般的に女性など小さな足の場合はコアセンター(板の物理的中心)とブーツセンターの距離は短く、逆に大きな足の場合は長くなるということも頭に入れて微調整するのも良いでしょう。(一般的に女性は骨格の違いもあり、ウィメンズモデル以外の板では、センターマークよりも1センチ前をセンターにしたほうが良いと言われています)
スキー操作の理想は、板のコアセンター(=中心)に拇指球で加重する事だ、と考えれば、足の大きさとコアセンターやブーツセンターの相関関係も理解できると思います。(実際のスキー操作では、拇指球より後ろの位置でスキーに加重することが多いので、ブーツセンターマークはやや後ろ目に付けられていますが・・・)


③板厚の確認

ブーツセンターが決まったら、、ビンディングを大体の位置に置いて見ます。
そして、ビスの入る部分のスキー板の厚さをノギスで測りましょう。(画像↓)

Datusa

次にビンディングのビス穴にビスを入れてみて、ビスの先端が何ミリとび出すか測り、先程調べたスキー板の厚さと比較してみましょう。(画像↓)

Ddeps

この差が少なくても3ミリ以上無い場合は、ドリリングもシビアになりますし、ビスを締めたときにスキーのソールを押し出して突起を作って作ってしまいますので、稀ですがビスが長すぎる場合は1~2ミリカットしなければならない場合も出てきます。

短いスキーのテール側、特にディアミールのテールピースなどは板が薄くなっている場所に取り付けなければならない場合が多いのでビスの長さには要注意です。(短い板の中にはディアミールのMサイズだと取り付け位置が後ろ過ぎ、ビスの長さ以前に強度的に取り付け困難な場合もあります)
また、最近のファットスキー等は、幅は広くてもその分板厚の薄いものもあるので、この作業に慎重を期しておかないと後で泣きが入るかもしれませんヨ。

(以下、続く)

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